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2005-01-13

[economy]今回の景気回復についての地域経済に着目した分析

昨日、昨年のマネーサプライ貸出動向が公表され、前者は2年連続で1%台の伸び率にとどまり、後者は8年連続でマイナスとなったのですが、それについていちご経済板にて、ドラエモンさんが90年代からの銀行貸出の減少は不良債権など金融機関の側の問題が原因というのが構造改革派の主張であり、こっち側は資金需要の低迷を原因だと言ってたわけ。(中略)つまり、現在の回復は不良債権など構造問題の解消による不可逆的なものではないとレスしていました。これに触発されて、以下、適当に数字をいじくってみました。

まず、先の貸出動向では地銀の貸出は回復に向かっていることが明らかになっていますが、第二地銀や信金はまだ減少を続けているので、地銀がそのように貸出を増やすことができる要因としては、基本的には経営状態がいいということであって、地方の経済が相対的に良好なわけではないだろう、と考えられます。しかし、第二地銀や信金にしても都銀よりはいいわけで、やっぱり地方経済はいいんじゃないかとも考えられます。

そこで、日銀の都道府県別預金/貸出金統計から21世紀に入ってからの各地域別貸出金の動向(対前年同期比、単位%)を算出すると、次のとおりです。

 北海道東北関東北陸中部近畿中国四国九州全国
FY01中-3.70-0.95-2.65-3.59-1.31-4.66-3.46-1.59-2.48-2.86
FY01末-5.89-2.98-3.96-2.84-4.40-5.26-2.33-1.25-4.08-4.08
FY02中-5.94-4.10-5.96-2.26-6.80-6.90-3.21-3.12-3.92-5.72
FY02末-0.29-2.22-5.11-3.21-5.35-5.78-2.95-2.61-2.15-4.65
FY03中0.69-1.96-3.89-1.12-3.21-5.28-1.76-1.10-1.63-3.52
FY03末-0.26-2.40-3.88-0.12-2.07-4.61-0.59-0.19-1.67-3.25
FY04中-0.66-1.92-3.32-0.68-1.27-3.47-1.020.50-1.47-2.67

まだマイナスが続いているのは既述のとおりですが、マイナス幅が小さくなっていることは明らかです。でも、何か変だと思いませんか?というわけで、ちょっと違う切り口でまとめると次のような表を作ることができます。

 北海道東北関東北陸中部近畿中国四国九州
FY01中295381476
FY01末165732894
FY02中453921786
FY02末973421568
FY03中942731586
FY03末732941685
FY04中832751694

これは、各地域をワーストから順に並べたときの順位で、強調部分は全国以下のもの、つまり足を引っ張っている地域ということです。関東や近畿が足を引っ張っているわけですから、先の地域経済が相対的に良好なのかも、という仮説が支持されるようにも見えますが、ここでちょっと別の表を見てみましょう。

 北海道東北関東北陸中部近畿中国四国九州全国
実数0.600.691.070.981.320.871.030.780.630.92
順位138695742n.a.

これは昨年11月の地域別有効求人倍率(webmaster注:リンク先は地域区分が上記貸出計数とは異なるので、「関東」「中部」については、「関東」=「北関東・甲信」+「南関東」−山梨・長野、「中部」=「東海」+山梨・長野で計算しました)ですが、この順位は貸出のそれとまったく違っています(1回だけのサンプルなので単なるお遊び以上の意味はありませんが、上記順位と貸出のFY2004中間決算での順位の相関係数を参考までに計算すると-0.23となります)。

有効求人倍率は2つのグロス変数(求人数・求職者数)から計算されるものである一方、貸出の方はストックの変化率ですので、労働状況に関する同様のデータとして、地域別就業者数の変化率(CY04Q1-Q3)を見てみましょう(実数は期間内平均値(万人)、変化率は対前年同期比(%)。有効求人倍率と同じ地域のデータであり、かつ、都道府県別データがないので、「関東」は「北関東・甲信」+「南関東」、「中部」は「東海」を用いました)。

 北海道東北関東北陸中部近畿中国四国九州全国
CY04Q1(実数)25745422412787739743731936926236
CY04Q2(実数)26947922862887769943801987026372
CY04Q3(実数)26848322922947739813861977046379
CY04Q1(変化率)-1.15-0.440.632.211.05-0.10-0.80-1.53-0.290.24
CY04Q2(変化率)-1.47-0.420.62-0.69-0.640.001.331.540.720.20
CY04Q3(変化率)-0.74-0.410.350.680.260.20-0.260.000.860.27
変化率平均値-1.12-0.420.530.730.220.030.090.000.430.24
順位128964537n.a.

こちらの順位も貸出のそれとは傾向が全く異なります(相関係数(対FY04中間決算ベース)は-0.217)。貸出も雇用も同じ遅行指数ですから、本来似通った傾向を示してもいいはずなのに、なぜこんなにも違うのでしょうか。まともなペーパーでもないので乱暴な議論をすれば、次のようなグルーピングが成り立っているのでは、などという仮説も考えられます。皆様はどうお考えでしょうか、ご批判、ご意見などお伺いできれば幸いです。

デフレ改善グループ(関東、北陸、中部、中国)
ため込んだ自己資金を用いての投資で経済成長を達成し、それに伴い雇用も増加。このままの状態が維持できれば、そのうち自己資金を使い果たしてもなお資金需要が継続し、貸出も増加するかも(あくまで維持できれば、ですが)。
デフレのど真ん中グループ(近畿)
・・・。まあ、それでも次のグループよりはましですが。
停滞グループ(北海道、東北、四国、九州)
雇用状況は低位で安定し、金融もそれに応じたレベルでほぼ均衡。ある意味、「構造改革」(もちろん、小泉政権のいうそれとは違う意味です)が完了した地域。orz...

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