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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-01-31

[misc]千葉国独立後のものがたり

千葉国独立から一ヶ月…緊急現地ルポ・・・面白いです。webmasterにそういうセンスがないだけに、プリティ柘植さんの次ぐらい(笑)にあこがれてしまいます。

[economy][pension]マクロ経済から公的年金を考える その7

その6で最終回だとしておいてなんですが、積み残し等を整理したいと思います。

私案の骨格

あれこれ書いてきて、その4その5で全体像を示した私案ですが、その骨格を改めて示しますと次のようにまとめられます。

基本はそれぞれの年齢層を母集団とする積立方式
国民の年齢構成に変動があっても、過去債務による債務超過等の問題が発生しません。
徴収額の積算は保険料方式
すべての国民が、支払った保険料(所得額にかかわらず定率。つまり、支払額そのものは所得に比例して増えます)に運用益を上乗せした額の年金を受け取れます。言い換えれば、受取年金額が総支払額を下回る人はいません。
母集団内所得再分配による最低年金額の確保
受取年金額まで所得比例ですと、低所得者層の方々は安心して老後が過ごせませんから(マクロな意味では、消費が過小なレベルで均衡します)、同じ母集団に属する高所得者層の方々の運用益を一部融通して最低年金額を保証します。
徴税と一体化した保険料徴収
既述のとおり保険料は所得に比例しますから、所得税と一体のものとして把握・徴収します。なお、自分で十分運用できるから国の年金などいらんという人には、上記の再分配額のみを支払い、自分自身のための部分については支払わないというオプションがありますので、それぞれの人の実情に即した将来設計を可能としています。

所得再分配スキームの見直し

まず、誤りを訂正します。以前、保険料支払停止権を行使するために支払う再分配に充てる額を計算しましたが、あれは計算を間違っていました。あの額は再分配なかりせば受け取ることができる年金額から実際に受け取る額を差し引いた額でしたが、この差額は、まず受取額であって支払額ではない上に、停止権を行使した際には自分の元本相当額は不要になるのですが、それにより支払が減る分を勘案していませんでした。再分配充当額は要すれば母集団にとっての予定利率と各個人にとっての予定利率の差ですから(厳密には再運用益の帰属とかいろいろありそうですが、とりあえず捨象します)、下の表の額が「ほぼ」正しい充当額です(単位は断りない限り万円。所得分布その他はこれまでの例のとおりです)。

所得額501502503504505506507508509501,2501,7505,000
支払保険料額 a618304254667890102114150210600
予定利率スプレッド(%) b-4.90-2.01-0.7500.060.120.170.220.270.310.430.580.9
再分配充当額 a×b-0.29-0.36-0.2200.030.080.130.200.270.350.641.215.4

最高所得者層で言えば、なんと100倍も多く支払わなければいけないとしておりまして、非常に恥ずかしい間違いをしてしまいました・・・。

さて、この訂正を前提として、鰻谷さんのコメントや英-Ranさんのご指摘、つまり、金持ちだから年金はいらないといって権利行使した後で貧乏になり、やっぱり年金がほしいと思って支払いを再開しようとしたら保険料を支払うだけの金が無くて再開できないというケースがあり得るのでは、という点について考えてみたいと思います。

これを自己責任だ、といってしまうと公的年金のメリット(=将来の不確実性を減らすことにより、異時点間の所得配分を最適化する)そのものの否定になってしまうので、やはり何らかの措置を講ずべきと考えられます。

とすれば、最低年金額を設定していたことにからめて整理するのが一番KISS(Keep It Simple, Stupid!)な感じでいいのかな、と思われます。つまり、最低年金額を受け取るために必要な積立金が確保された後においてのみ、支払停止権を行使可能として、その積立金は取り崩しを禁じておけば、最低年金額の受給は保証されますから、それ以上は自己責任で、ということで不確実性を減らせるでしょう。

具体的には次のようなスキームとなります(所得分布その他はこれまでの例のとおりです)。

所得額501502503504505506507508509501,2501,7505,000
必要積立金額1241.91475.51603.91680.41687.251693.71699.81705.51711.01716.11729.81748.01787.5
必要積立年数4536191612119887653

2段目の「必要積立金額」は、それぞれの階層に属する者が120万円の年金を受け取り続けるために、受給開始時(=65歳)において積み立てておくべき金額です(額の違いは予定利率の差=受取期間中の運用益の差に起因します)。3段目の「必要積立年数」は、その額以上の額が受給開始時において積み立がるために必要な、支払開始時(=20歳)からの所定の保険料を支払いを継続する期間の長さです。例えば最高所得者層においては、当初3年間は600万円ずつ支払い、4年目からは、引き続き600万円ずつ支払っていくか(最後まで支払い続ければ毎年1,853万円受取可能)、それとも5.4万円ずつ支払っていくか(最後まで支払い続ければ毎年120万円受取可能)を選択できることになるわけです(保険料の定率払いにこだわらなければ、例えば最初に1,711万円支払って、2年目以降は5.4万円ずつ支払うことにしても同じです)。

この場合、150万円の層と250万円の層が権利行使した際、逸失分(前者は年3,600円、後者は年2,200円)を支払うのか、好きで行使するのだから支払わないこととするのか、という選択肢がありますが、前者にするとキャッシュを逆流させる手続を整備することも必要(この層ですと所得税の課税最低限を下回ることとなるケースも多いですが、この場合税金とネットするという形でも処理できません)ということを考慮すれば、まあ後者でいいのかな?

過去債務処理

以前、考えられる選択肢を列挙しましたが、その中でどれが/どの組み合わせがよいのかは検討しませんでした。まず選択肢を再掲しますと次のとおりです。

  1. 保険料引上げ
  2. 年金額のカット
  3. 国庫負担(=租税負担)
  4. 解消しない(=債務超過の解消を次世代以降に繰り延べる)
  5. 高利回りの運用

まず、4と5を脱落ということにします。この連載における年金制度の評価は、貯蓄と消費のバランスを最適化するという観点からまずもっておこなっていますが、4や5のように将来の見通しがはっきりしなかったり、運に頼るというものではリスクが残り、やはり個人の選択を貯蓄に傾斜させると考えられるからです。

次に2ですが、これはできるにこしたことはない、としかいえません。原田先生の主張のように、高齢者は子や孫の生活を圧迫してまで既得権を守りたいとは思わないはずだ、となればよいのですが、webmasterの主観的認識としては、ある程度のカットは可能かもしれませんが、今の過去債務に由来する債務超過の全額を解消できるほどのカットはできないのではないか、と考えています。

では、2では仮に解消できなかった場合の対応はどうあるべきなのでしょうか。公的年金自体は可処分所得中の貯蓄と消費のバランスの最適化に特化させるとするなら、それと別の政策目的を公的年金制度の中に持ち込み、狙いに紛れが生じる保険料による負担は、(少なくとも本連載のスタンスからすれば)避けたほうがベターと考えられますので、残るは3ということになります。

どれだけ2によりカットできるかによりますが、おそらくはカット後においても巨額の債務超過が残るでしょうから、短い期間にそれを解消するのは難しいでしょうし、仮にできたとしても、今この時代における現役世代のみが負担すべきものでもないように思いますので、数十年単位で少しずつ埋め合わせていくということではないかと考えられます。

この債務超過は年金数理的に相当程度の蓋然性で確定可能な額になりますから、明確な目的税として制度を仕組み、なぜそうした税金が必要なのか、それによりどの程度の期間で債務超過が解消され、税を廃止できるのか、ということを説明していけば、導入に対する抵抗感も多少は緩和できるように思います。

精緻な分析をした結果ではありませんが、たとえばこうした用途に用いる税として、特別に加算する相続税なんてものが考えられるのではないでしょうか。相続税がすぐれているのは、税を負担する世代を明確に区分できることです。過去債務の対象となる世代により多く穴埋めしてもらおうというのは自然な考え方だと思いますが、対象世代となる高齢者層に税金を払うだけの余裕がないにもかかわらず、そこから税金をとりたてては、老後の生活の安定を図るという年金制度の自己否定になってしまいます。ですから、生活の安定を考えなくてもよい時点、つまりは死亡した時点で、高額の年金をもらっていたことの埋め合わせをしてもらうことになります。

それ以後の世代については、加算する税率や課税最低限のレベルにおいては過去債務対象世代よりも緩和すべきですが、いずれにしても、過去債務を完全に埋め合わせ終わるまでの間は加算税率や課税最低限の引下げを維持し、埋め合わせの終了をもって恒久的な相続税に戻す(それまでの間に相続税制度の改正がある場合は、この加算部分は別枠で考慮することにします)ということになります。その他の税では、今の現役世代がどうしても重い負担になってしまいますが、相続税であれば、どうせ死ぬのは人間一度きりですから、そういう問題も生じません。

そんなことを考えながら現行の相続税制度を見ますと、課税割合はたったの4.5%ということですから、増税の余地がまったくなくフィージビリティ上問題、ということでもなさそうです。バブル期と今の計数を単純比較しても方向性がいえるだけで精緻な議論にはなりませんが、時系列の統計を見る限り、課税対象を10%まで増やし、加重平均税率を20%まで引き上げれば、2兆円前後の増収は見込めそうです。債務超過が200兆残っても100年、100兆なら50年で埋められます(それまでの間の見合いの国債費等も埋める必要がありますが、ラフには)。過去債務対象世代にはたとえば上記を50%・30%とするなどすれば、さらに短期化もできるでしょう。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
まさくに (2005-02-04 21:42)

初めまして。とても色々なことを知っておられ、驚嘆しております。私は一介の無知な国民ですが、勝手に社会保障改革の私案を考えてみました。どのようなご意見があるか、知りたいとも思っております。いつも政治家や官僚批判を書いていますから、ちょっとお気を悪くされるかもしれませんが。拙文ですがTBさせて頂きました。
とても頭がいい人の考える内容や書いている文章は、読むのが辛い。それは、私が基本的な用語や単語を知らないし、難しい理論や高名な方の書いているような著書を読まないからです。やっぱり、官僚になる方々は違うんだな〜と、皮肉とかではなく本当に感心していますが、それ故なぜ日本がこんな風になってしまうのか、いつも疑問に思っています。私の考えというのは非常に単純で、思いついたことを適当に書いているだけですから、下らないと思われるかもしれません。「何じゃ、こいつ」と感じたら、コメントとか削除して下さい。

bewaad (2005-02-05 12:42)

批判には慣れてますから、あまりお気にされぬよう>まさくにさん。社会保障改革の私案、拝見しましたが、十分議論のたたき台になると思います。逆に、仕事と違ってこのページは好き勝手に書いているので、説明不足が多いかと思いますが、よくわからん、ということがあれば遠慮なくコメントください。

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今までの社会保障制度改革の骨子をまとめてみましょう。加筆あり。 (カテゴリー:社会保障問題を読んでみて下さい。そちらにもう少し詳しく書いてます) 1)年金・医療・介護は保険制度を廃止し、税方式に変える 2)従来の雇用主負担分は社会保障税として新税を創設 3..

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