toppage memoranda
(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2005-02-07
■ [government][law]続・バカには正しくバカと言おう
このエントリでは、webmasterは事実誤認に基づき財務省を不当に貶めてしまいました。財務省の担当の方々には心からお詫び申し上げるとともに、読者の方々におかれましては、事実関係等については「実はwebmasterがバカでした(続々々・バカには正しくバカと言おう)」をご覧いただきますようお願い申し上げます(なお、自戒のために、訂正を施さず間違ったテキストを公開しております。2005-02-09追記)。
昨日の「実質金利ギャップの検証」の続きを書くべきところですが、「バカには正しくバカと言おう」関連のフォローアップをさせていただきます。何をフォローアップするかといいますと、課税の公平とは何と何の公平なのか、ということです。
isologueの「ファンドの外国人投資家への課税「強化」、ですって?での議論は、要すれば今回の措置はもともとファンドであっても課税される前提であったことについて、その「ファンド」とは何かという点であまりにもグレーゾーンが広かったものを、きちんと課税対象だと「明確化」した、というものです。この点については、LPS(Limited Partnership)とかLLC(Limited Liability Company)といった類の、主としてアメリカ法に基づく準法人組織に対応する日本法の規定がなかったことに問題があったように思います。
従来の日本法に基づく制度に当てはめれば、民法上の(任意)組合か商法上の匿名組合が似通っているわけですが、これらは基本的に各出資者に租税負担が帰属し、ファンド自体には法人格がないという取扱いなので、法人税の対象にはなりません。では、上記のLPSやLLCその他類似の組織には法人格があるのでしょうか、それともないのでしょうか。法人格があるのであれば法人税の対象になりますし、なければ対象にはなりません。
結論から言ってしまうと、アメリカでの取扱いは目的により法人格がないようにもあるようにも取り扱うというもので、何らかの行為がなされるときに、それがLPS等への各出資者の行為と考えた方が合目的的なものについては法人格はないと考えますし、逆であればあるものとして取り扱われます。今回の租税の取扱いはこれらの組織について、こと法人税を課すかどうかについては法人格があると考えますよ、ということです。
ですから、法人格があると認められるものについては日本だろうが海外だろうが法人として法人税を課します、ということ自体は、日本の法人と海外の法人について課税の公平を確保したものと考えられるわけです。今までグレーゾーンだったことが問題とも言えなくもないですが、海外の外縁も定かでない各種の準法人組織について、それがいちいち日本法における何かをあらかじめ対応づけることは不可能ですから、グレーゾーンが存在してしまうことそのものはやむを得ないでしょうし、LPSにより近しい投資事業有限責任組合契約が昨年12月1日施行の法改正で日本法上の制度となり、今国会で予定されている会社法制の現代化でLLCにより近しい合同会社が法制化される(その骨格を示す該当する「会社法制の現代化に関する要綱案」がネットで公開されていないというのは、法務省の怠慢ですね(それがとりまとめられた際の法制審会社法部会の議事録のみ公開)。1年以上前の試案しか公開されていないというのは・・・)ので、相当の改善が図られることになるでしょう。
他方で、こうした税務上の取扱いについて、海外では会社等の法人格の存在に紛れがない法人と、これら準法人組織が異なったものとして取り扱われているというのであれば、こうした国内法の世界における公平性の他に、各国法を比較した世界における公平性というものを考える必要があります。「バカには正しくバカと言おう」で申し上げた、今回の措置について反対というwebmasterの意見は、アメリカでは基本的にこれらの準法人組織はパートナーシップ課税と法人課税が選択できる(前者は出資者それぞれに課税し、後者は組織の段階で法人として課税)ことを踏まえれば、国際資本移動の障壁除去の観点からは、アメリカでの取扱と日本での取扱を同じくするという公平性を国内法におけるそれよりも重視すべきではないか、ということです(ただし、ニュージャージー州法では原則法人課税の取扱いとなっている(リンク先の2001年7月16日付ニュース)ことなど、アメリカにおいても今回の件における自民党税調・主税局的な考え方がある程度存在することを伺わせますので、将来においてもアメリカで同様の取扱いが継続するかどうかは定かではないように思われます)。
したがって、[R]Richstyles!「やっぱり財務省は人を舐めている」における次のような議論は、やはり陰謀論的なと申しますか、(仮にその内容が事実の幾ばくかを言い当てるものであったとしても)誹謗中傷と切り替えされれば水掛け論にしかならず、説得力を持ち得ないのではないかとwebmasterは考える次第です。
ただ、隊長が最初で触れているように、「対日投資増えられると困る人も多い」というのが今回、財務省が取った行動につながっているのではないかと思う。
■ [economy][book]安達誠司「デフレは終わるのか」
断言します、まだ2月に入ったばかりですが、今年のベスト経済書はコレで決まりです! 今の日本の経済に興味がある人にとっての必読書です。このテキストをご覧の方、もしwebmasterの言葉に多少なりとも信頼を置いていただいているということでしたら、だまされたと思って買ってください。webmasterは最初から最後まで一度も休みを入れずに一気に読みきってしまいました。
#前のエントリに書いたように明日以降に先送った日銀ペーパーの検証ですが、本書の第3章(特にp84まで)にwebmasterが書こうと思っていたことがすべて書いてあります(当然、プラスアルファも満載です)。
なんかいっぱいTBスパムが来てると思ったら、まともなTBだった。失礼しました。 どうせなので凄い勢いで反応しようと思いつつ企画書書きが終わらないので短めに。 元ネタはこちら。 (追タイトル 05:35 タイ...
おっ、なんか財務省らしきところからメッセージが! 以前のエントリーで、下記の通り書いた。 ただ、隊長が最初で触れているように、「対日投資増えられると困る人も多い」というのが今回、財務省が取った行動につながっているのではないかと思う。 そこでBewaad Institute@..
一昨日のエントリー、「ファンドの外国人投資家への課税「強化」、ですって?」に対して、Bewaad Institute@Kasumigasekiさんから「続・バカには正しくバカと言おう」というトラックバックいただきました。ありがとうございます。 (このBewaadさん、現役の霞ヶ関官僚の方..