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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-02-09

[government][law][economy]実はwebmasterがバカでした(続々々・バカには正しくバカと言おう)

というわけで、昨日予告したとおり、例のアレの増税に関する議論(by切込隊長さん)でいただいたコメントについてのリジョインダーです。タイトルについての意味は追々・・・。

#しかし、昨日もtrackbackを送ったのですが、やっぱり届かなかったようです・・・。

課税強化かどうかについて

確かに、「続」・「続々」とあれこれ考えた結果を踏まえれば、課税強化であると裸で書いたことは軽率だったのですが、そこでwebmasterなりにたどり着いた結論、具体的には、例えばアメリカにおいてpartnership課税が認められているLLCについて、それを日本の投資に当たって法人と取り扱って源泉課税する場合、そのアメリカの投資家にとってみれば、米国(やそれと同等に扱う地域)に投資する場合に比べると、日本(やそれと同等に扱う地域)に投資する場合には追加的なコストが必要となるので、そうしたことはやめるべきでは、というものは間違っていないように思います。

で、昨日は、それを実現するためには租税条約で対応すればいいではないか、という仮説に至ったのですが、アレコレ調べてみますと、実は一昨年11月に日米租税条約(新条約)が署名、昨年3月から既に発効していることがわかりました(そんなことも調べずに書いていたのか、というご指摘については、軽率でごめんなさいとしか返す言葉がありません)。で、その内容について財務省の官僚が書いている解説を読みますと、次のような一節がありました。

租税条約の特典を与えられるためには、条約上の居住者、すなわち締約国で納税義務を負っている者でなければならない。しかしながら、例えば、米国の居住者が米国に存在するリミテッド・ライアビリティー・カンパニー(LLC、有限責任会社)を通じてわが国から所得を稼得する場合、日本は国内法上LLC を納税義務者と認識するが、他方米国では、このLLC が構成員課税を選択した場合にはLLC の構成員が納税義務者と認識されることとなる。この場合、両国で納税義務者(居住者)の認識が異なるため、これを放置すると条約上、米国の構成員がLLC を通じ日本に投資することによって稼得した日本源泉所得に対して、新条約上の恩典が与えられず、対日投資の阻害要因となる可能性がある。

こうした問題を解決するため、新条約では、日米両国間で課税上の取扱いが異なる事業体(例えば、LLC、パートナーシップ等)を通じてクロスボーダーで稼得される所得に対し、居住地国での課税上の取扱いを尊重する方向で、税の減免といった条約の特典に係る適用関係を明確化した。

というわけで、「続」で申し上げた、国際資本移動の障壁除去の観点からは、アメリカでの取扱と日本での取扱を同じくするという公平性を国内法におけるそれよりも重視すべきではないか、ということですという点については、まさに財務省はそうした対応をしていますので、そうした観点から財務省をバカと呼んだwebmasterがバカであった、ということでございます。どうせ財務省の人々はこんなマイナーサイト読んじゃいないとは思いますが(笑)、裏も取らずにバカ呼ばわりしたことにつきましては、心からお詫び申し上げるとともに、読者の方々に対しても、誤った情報を発信してしまったことにつき、同様にお詫びいたします。

#本件については誤りを繰り返しておりますが、やはりよく知りもしないことに手を出したのが最大の原因でしょう。

新生銀行について

瑕疵担保条項に批判が集まって、その批判は正当で、おかげで22億ドルもの税金が海外に流出したという結果になったということですが、あの批判は正当なものなのでしょうか。瑕疵担保条項についての金融庁の説明(なお、旧長銀に係るものではありませんが、旧日債銀関連で同趣旨の、しかしよりまとまった説明もあります)を見ると、要すれば買い手にデューデリジェンスをさせない(資産価値については売り手=政府の言い値を丸飲みさせる)ことの代償措置だったことは明らかで、この手の条項を付けなければそもそも買い手が現れなかったか、現れたとしてももっと値段が下がったかのいずれかになることは容易に想像可能です。

政府が勝手にデューデリをさせなかったのであればともかく、それは法律で定められていた(=法律の執行部門である政府には選択の余地はなかった)とのことですし(先の金融庁の説明には、金融再生法では(中略)「善意かつ健全な債務者を保護する」目的を実現するため、長銀の個別の貸出資産について「善意かつ健全な債務者」に対する貸出資産として同行に残すべきかどうかの判定を金融再生委員会が行うよう定められていますとあります(強調はwebmasterによります))、あくまで瑕疵担保条項の評価はこのデューデリ抜きの売却スキーム全体の中で論じる必要があるでしょう。

もちろん、交渉技術が拙劣でしてやられたという可能性は残りますが、とある情報(webmaster注:いわくありげな書き方ですが、当該ページのみがgoogleでひっかかり、トップページへのリンクをクリックしてもnot foundなのでこう表記しました)によりますと、米リップルウッド・ホールディングス以外に仏バリバ銀行、オリックス=J・Pモルガングループ、中央信託=三井信託グループ等が名乗りを上げたオークションで行われ、最終的に米リップルウッド・ホールディングスと中央信託=三井信託グループに絞り込まれ、その駆け引きの焦点が二次損失問題であった。米リップルウッド・ホールディングスは、二次損失については、一定の理解を示していた。これに対して中央信託=三井信託グループは、二次損失のすべてを政府が負担すべきとの主張を繰り返したということですから、少なくとも政府に許された選択肢の中ではそれなりにまともな判断をしたのではないでしょうか。この話が事実であれば、中央信託・三井信託(当時)グループに売却した方がよほど国民負担が増えたに違いなく、瑕疵担保条項を付したことや、キャピタルゲインに課税できなかったことなどたいした話ではないように思います。

旧長銀の処理に当たっては、ひょっとしたら切込隊長さんが示唆するようないろいろな裏事情があったのかもしれませんが、それを込みで考えたとしても買い手にとってそれが一番ましな選択肢だったとすれば、それはやはり買い手のみが不当な条件を押しつけられたというものでは決してなく(そんな状態では足下を見られた側面はあるのでしょうけれども)、双方にとって締結する方が締結しないよりも得だった契約であったとwebmasterは思います。

国のネット債務超過額の把握について

ここで基本となる2の「グロスの負債額(借金の額だけを見るもの)ではなくネットの負債額(借金の額から資産の額を差し引いた額を見るもの)で議論」というのは実務においてはまず無理なんで厳しいねえというお話ということですが、まあ曲がりなりにもバランスシートを作っているのですから、無理とは言えないのではないでしょうか(会計基準としてより精度の高いものにしていくためのいっそうの努力は必要かもしれませんが)。

[computer][book]平澤章「オブジェクト指向でなぜつくるのか」

以前読むべきかな、とwebmaster自身が触れていたこの本ですが、そのきっかけとなった英-Ranさんの年金連載がいよいよ次回、UMLによる年金制度分析に入るのに何とか間に合って読了できました。この手のスキルを本一冊読んだだけで自家薬籠中にできる能力はwebmasterにはかけらもありませんので、本書で紹介されていた児玉公信「UMLモデリングの本質」を早速追加購入(で、その次はジル・ニコラet al「ストリームラインオブジェクトモデリング」あたりにしようかな)。

内容についてですが、この手の思考の整理や業務フローの認識は、それが膨大な経験に裏打ちされたものであるが故に、ホワイトカラーの業務にも結構応用が利きそうな気がします(だからこそ追加的に他の本を読む気になったのですが)。それは幻想なのかもしれませんが、ある程度オブイェークト(特に279オブジェクト指向やUMLモデリングが頭になじむまで追いかけてみて、確認してみようかと思っております。

[economy][pseudos]トンデモ#2:円に代わる「東アジア共通通貨」を・同友会提言

経済同友会は8日、中国や韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)と「東アジア共通通貨」の創設をめざすべきだとの提言を発表した。円の国際化を進めるのではなく、円を捨ててユーロのような新通貨を導入するよう提案している。

提言は10年後を視野に、世界のなかでの日本の使命を考察。東アジア共同体の実現が世界平和に寄与するとして、通貨統合の必要性を訴えている。

さらに「日本はアジアの連携に主体的に取り組む立場にあり、率先して円を捨てることで共通通貨を推進し、東アジア共同体の実現に貢献できる」と強調している。

いちご経由で知った日経報道です。同友会が構造改革バカ=経済学音痴の集団であることはまあわかっていましたが(極東・東南アジア地域が最適通貨圏のわけないでしょうに)、エセ東洋思想カルトの集団でもあったとは・・・。

#最適通貨圏とは、1999年のノーベル経済学賞受賞者ロバート・マンデルが理論化した概念で、めちゃくちゃ乱暴にまとめますと、通貨を統一した場合、同一通貨には同一の金融政策しか適用できないので、各地域で好不況が混在した場合にそれぞれの地域ごとの金融政策で対応できない分、労働者の移動や財政による資源配分等で対応しなければならないことから、そうした各種の移動・移転・配分が可能である範囲における通貨統合でなければ、金融政策を放棄するデメリットが為替変動ヘッジコストの削減等のメリットを上回ってろくなことがない、というものです。

エグゼクティブ・サマリーでおなか一杯になりましたので本文は読んでませんが、日本人の価値観の底流にある共進化(相互進化)の理念とか、日本には伝統的に全体としての繁栄を尊ぶ共生と和の心が根付いておりとか、日本は歴史的に様々な形でソフトパワーを保有してきたが、その特徴として、人々の衣食住という日常を介して伝わることによる親しみやすさと、相手と同じ目線から歩み寄る姿勢があげられる。その根底に共生の思想が流れる東洋思想があるとか、冗談で言っているならセンスが悪すぎ、本気で言っているなら教養と歴史理解のレベルの低さを嘆くほかない言葉の数々があまりにも素敵すぎて・・・。

[economy][pseudos]トンデモ#3:整合性欠く日銀の量的緩和

トンデモなものの紹介として、つい最近、晴れある初回を飾っていただいたばかりの木村剛さんに再度ご登場いただけるとは(笑)。ちなみにこれもいちご経由です。

オペの札割れをとりあげたり(長期資産(国債)を買わないから、でその原因は勝手に保有国債残高に日銀券発行残というキャップをかけているからでしょうに)、ゼロ金利とはお金に値段がないことだとか言ってみたり(実質概念もないくせにハイパーインフレがどうのこうのいってたのでしょうか)、リフレに少しでも関係ありそうなものになんでもいいから文句を付けたいのかもしれませんが、中央銀行出身者ならもう少し理論武装しないと(齊藤理論でも唱えてみるとか)。

しかし、次の2点は、それをネタにいろいろ妄想すると非常におもしろいです(笑)。

  • デフレ対策というムードを醸し出すためのデコレーション(=量的緩和)が長らく続いたとのことですが、「量的緩和なんかやっても意味ねーよ。世の中がデフレデフレって騒ぐからポーズでやっているだけ」という見方は、彼だけなのか、日銀の中でも少しは共有されているのか、それとも少なからぬ声なき声を代弁しているのか・・・。
  • ゼロ金利を解消すると、定期預金(=相対的に長期)で資金調達して預け金や短期国債(=相対的に短期)で資金運用している某銀行の収益は目先は確かに好転しそうですね(はあと)。あっ、概要しか見ていないから、詳細を示す他の銀行並みのバランスシートが公開されて、それを見たらそういう収益構造じゃなかったということでしたら、ここは訂正します。でも、いつになったらそういうものが公開されるのでしょうか。非上場企業は中間決算で監査証明がいらない(webmaster注:このリンク先では20%近い自己資本比率が自慢されていますが、それなら半期先にはそれが約半減する見込みであることにも言及しないとアンフェアでしょうに)ことは否定しませんし、だから監査証明がついていないことを非難なんかしません。いつ公開してもらえるのかなぁ・・・。
本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]
まさくに (2005-02-09 09:48)

またトラックバックさせて頂きました。
銀行券残高はキャップ上限まで20兆円以上ありますが、これは関係ありますか?また、長期国債の買いオペ以外にも、TB、FB、CP、手形の買いオペでも札割れが発生しており、長期資金の問題なのでしょうか?経済理論や金融政策は、ほとんど解らないのですが、私が注目したのは政府預金残高の大幅な減少で、これを解決するよい方法は分かりません。年間3兆円程度TBの買入を行い、政府預金残高を増加させるとともに、債権をゼロ償却(放棄)して銀行券残高を減少させたらダメなのでしょうか?これがよく解らないところなのです。銀行券と当座預金は連動しているから、これもどうなのかな…?と。金利の影響も?よくわかりません。

鰻谷 (2005-02-09 10:22)

リスクにはプレミアムを要求しなければいけません。
あの案件でもっとも重要なリスクは破綻銀行資産内容に関するもの(および政治リスクw)であって、まさに情報の非対称性がリスク認識されていたわけですから、多少「無理」をしてでも徹底的なディスクロをすべきだったのでしょう。極めて大きなリスクのある形で売却しようとすれば、大きなリターンを求められるのは当たり前で、それが実現値になっただけの話。実際、破綻生保を買収した外資は損失を発生させたところもあるわけですし。。
(大体今の金融商品会計だったら、あれではオフバランスにはならないですよねw)
また、税制の問題は全く別レベルの話かと思います。

bewaad (2005-02-10 06:02)

実際に数字を使って詳しく書いてみます>まさくにさん

bewaad (2005-02-10 06:07)

いつもフォローいただきありがとうございます>鰻谷さん。ご指摘のようなこともあり、リップルウッドが不当に悪者にされているように思います。

本日のTrackBacks(全4件) [TrackBack URL: http://bewaad.sakura.ne.jp/tb.rb/20050209]

木村氏は記事の中で、日銀の量的緩和政策がどの程度実効性があるのか、という点で疑問を呈している。しかも、本日の平ちゃんのコメントが、「貨幣供給量の伸び、2%で良いわけがない」(NIKKEI NET 8日より)だ。 以下にその記事を記載します。 {/apples/}{/apples/}{/apples/}..

 とりあえず、グロービスの堀氏がダボス会議という拍手屋を金で雇って動員力で勝負が決まる国際的政治ショーに乗せられて凄い勢いで与太を飛ばしていた一件についての続報。  こちらでまあ概ねそんなものだろうと...

ちょっと前に盛り上がった財務省批判ですが、勉強不足は少し反省。まあ、飛びつき方に問題があったことを反省していますが議論を促して、恥をかいて勉強したことは非常に良かったです。切込隊長さん、R30さん、Bewaadさんの議論から得るものがいろいろあってよかったと思..

おおやにき:雑感 (2005-05-13 02:17)

主指導教員として大学院生のご指導を引き受けることになりました。はじめて。何故に同じ法哲学の教授ではなく不肖私が担当することになったかというと、ラオスからの留学生だからであります。研究指導も論文執筆も英語ですので、まあ負荷分散というわけですな。ところで私、..


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