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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2005-03-03
■ [government]官僚の海外留学
昨日のエントリでは留学そのものの話は枕として、職場としての霞が関について書きましたが、次のようないろいろと示唆に富むテキストが公表されておりますので、それらを踏まえて今日は留学そのものについて書きます。
- 「若手官僚、留学後の退職多発」、「各府省若手職員の不満」、「続:官僚の退職者続出」(@複雑系の中の混沌とした日常2/28付、3/1付、3/2付)
- 「「留学退職」に悩む官庁」(@のんびりエッセイ3/1付)
- 「何を今さら…留学退職対策も「お役所仕事」なのね」(@R30::マーケティング社会時評3/2付)
- 「若手官僚、留学後の退職多発…費用返還ルール作り悩み」(@Public Management Revisited3/2付)
- 「留学経験で辞める官僚」(@[R]Richstyles!3/2付)
ミクロ的に考えますと、まず2当事者、つまり役所と官僚ですが、それらからなるモデルでは、(役所にとって)現状が望ましいものではなくとも、仕方がないことであるから放置しているのではないか、というのがwebmasterの見解です。留学に出して視野が広がる等による組織の業務効率の上昇が、その中の一定割合の人が辞めることによる組織の業務効率の低下を下回っていれば、留学制度を続ける方が合理的判断です。
この場合でも、もちろん辞める人の割合が下がればその分だけ組織にとって得になりますが、辞めたいという人を無理に引き留めて不平不満をぶちまけつつ仕事をしてもらうことのデメリットもありますし、汚いやり口ではありますが「役所に来れば留学できるよ」というのが就職活動においてそれなりの効果を有するというメリットもありますから、今までこの問題を放置していたのか、という指摘もありますが、全くの無為無策だったということではなく、あえて放置していたという面も否めないと思います。
さて、当事者を増やしてタックスペイヤーというプレイヤーを導入しますと、役所にとってのペイオフが変わります。このモデルでは、官僚に税金でスキルを身につけさせ、その結果転職されるのでは税金の無駄遣い、官僚優遇であってけしからんという批判を受けるという要素が入ってきますから、その分何とかしなければというインセンティブが働きます。
対応として一番直球なのが費用を返還させること。既述のとおり無理に引き留めることにそれほどの意味はないとすると、タックスペイヤーの批判に答えられればよいわけですから、これで十分な対応策と言えるでしょう(ヘッドハントされるような人なら給料も上がるでしょうから、引き留め効果はさほどないと思われます)。
他方、流出そのものへの対策としては、R30::マーケティング社会時評と[R]Richstyles!において提案がなされています。前者は、留学年齢を上げることにより、転職市場における期待収益(=転職後の給料)が引き下げられるので、その分流出がなくなるだろう、というものです。この提案については、Public Management Revisitedで指摘されているように、その年代は最も繁忙なので留学に出す余裕がないという点はまず指摘できます。
#Public Management Revisitedでの記述に若干補足いたしますと、霞が関で独立した作業単位として通用するのは基本的に課長補佐以上だという慣習があります(うまい例えかどうか自信はありませんが、古代ローマ軍における百人隊長のような位置づけではないかと)。本来、課長補佐の下には係長や主任、主査、係員といった部下がつくというのが建前ですが、実際には課長補佐がいさえすれば、部下がいなくても作業単位として認識されます(例えば組織としてどの程度の作業をこなせるかを見積もる場合、まずは課長補佐の頭数でカウントすることになります)。ただし、最近では霞が関のステイタスが下がり、以前であれば課長補佐の対応が許されるような場合でも、課長を呼べとか、局長を出せとかいわれることが増えてきましたので、状況は変化しつつありますが。
また、課長補佐が終わるのはだいたい30代後半ですが、それから留学に出しても組織にとってありがたみが薄れるということもあります。補佐を卒業すれば管理職となり(残業代も出なくなり(笑))、自分で仕事をするのではなく人(=補佐以下)に仕事をさせるマネジメントにシフトしていきますので(既述のとおり変化しつつありますが)、目先の効果はあまり期待できなくなってしまいます。
#もっと身も蓋もないことを言えば、20代でも怪しくはありますが、30代で勉強してどれほど身に付くのか、というそもそも論もあるように思います。人間30にもなれば、少なくとも過半数は先が見えてきて大した進歩は望めない、というのはwebmasterの持論です。
後者は、海外ではなく国内に留学させれば、妙に色気づく(笑)こともなく転職が少なくなるのではないか、というものです。各省庁の人事担当に確認したわけではありませんのであくまでwebmasterの個人的認識ですが、先に組織として留学させる意義は視野が広がることと書きました。これが正しいとすれば、国内留学ではわざわざ職場から離すに見合うだけのリターンが(組織には)ないということになります。海外に出て大いに異なるカルチャー等に触れることに意義があるのであって、専門的知識は二の次。
#専門的知識としては、留学で得られるようなものよりもむしろ、短期集中研修でいいので、会計と統計の知識を(少なくとも法学部出身者には。あとコンピュータリテラシーもかな)たたき込むべきだと、webmasterは思います。
マクロ的には昨日書いたとおり、あまり霞が関のレベルが下がるのはいかがなものかとは思いますが、人数が減るのも仕事が増えるのも給料が減るのも時代の流れでしょうから、客観的な予測としてそうした傾向は続くのでしょう。仮に留学問題にうまく対応できたところで、できる学生ほど志望先から霞が関を外すことに対する何の歯止めにもなりませんし。
最後に、R30::マーケティング社会時評と[R]Richstyles!での記述で違和感を感じる部分がありますので、それに触れておきます。どちらが正しいというものではなく、それが霞が関の内外の差により生じるものなのか、webmasterの知る世界が狭いが故に生じるものなのかは判別できませんが、そういう見方もあるというご紹介です。
まず、R30::マーケティング社会時評では次の部分です。
特に彼が強く問題にしたのが、kanryo氏の日記でも話題になっていた「キャリアのサービス残業」の問題だった。ちょうどその頃、財務省でも過労やノイローゼで年に何人も自殺者が出ていたらしい。だが、それを引き合いに出して就労環境改善を訴えた彼に対して、財務省の上層部が返した答えというのが、「我々はサムライである。民間人や他の省庁とは格が違う。いざという時には国のために命を投げ出すのがサムライたる者の役目だ(だから過労死対策など要らない)」というものだったらしい。彼はその答えに絶望し、その後しばらくして辞表を出した。
どういった内容の就労環境改善策を訴えたのかはわかりませんが、既述のような構造があるわけですから、よくて小手先の改善に過ぎず抜本的な解決策などあるわけがない、とwebmasterは考えています。例えば会議や電話でのやりとりをメールなどでやれば効率化できる、といったものであるとして、意思決定過程で調整コストがかかるのは対立構造があるからであって、会議や電話という手法を用いていることに起因しているあるわけではありません。絶対反対だと言っている人が、電話だとなかなか説得できないけどメールならすぐ考えを改めるなんてことがあるはずもないでしょう。
対立構造があるのが問題だ、上司(究極的には総理)の指示で組織の方向性が一致させればよいという意見もあるでしょうが、ではホイッスルブローアー(内部告発者)はなんで存在するのでしょうか? 正しい目的がアプリオリに明らかでそれに従えばよいというのなら話は単純ですが、そもそも目的を一本化すること自体に調整コストがかかりますし、仮に一本化できたところで、日々変わっていく外部環境にあわせて対応していくことにもコストがかかります。
まして、政府は理念的には国内のすべての事象を取り扱う必要がありますから、例えば企業であればカニバライゼーションが起きれば究極的には片方の部門を切り捨てるという解決策がありますが、政府にそれは許されません。それは、なんでもかんでも規制しているからではありません。完全に市場に委ねられており政府がコミットしていない分野であっても、何か聞かれれば「コミットしていない」ことを明らかにして説明することは必要なのですから。
蛇足ではありますが、引用中の財務省の上層部の発言ですが、既述のとおりどうやったって解決不能な問題に直面している者として、自らがすがっている幻想を話しただけだと思います(それを幻想だと自覚していないようであるのは否めませんが)。当然その幻想を共有できない人間にとってはナンセンス以外の何物でもありませんが(だからこそ、引用で紹介されている官僚も辞表を出したのだと思います)、そういう環境においては何らかの幻想にひたって現実から目を背けないことには生きていけない(ケースが多い)というのも、神ならざる人間の限界ではないでしょうか。
続いて、[R]Richstyles!では次の部分です。
(前略)しかし、よく聞くのは「一回海外に出すとまた正常に戻すのが大変」と言う。いったん本省に戻しては見るものの妙に感性が研ぎ澄まされて変になる。外見は派遣された前のままだし、日本語を忘れるわけではないが、変にグローバルスタンダードだとかを意識したり、役所のやり方に疑問を持つ。そこでひどい時は出先機関やとんでもない田舎に出向や異動をさせて正常に戻す。(笑)
・・・海外に出てその手の問題意識を持つ人間というのは、全員とは言いませんが、多くは単に能力が低いだけのような気がするのはwebmasterだけでしょうか。役所の中にいるときは役所を絶対的な存在だと思い、海外に出ると海外を絶対的な存在だと思い、厳しい言い方をすればそのときどきの環境に洗脳されているだけで、自らの世界観が確立されていないのだとwebmasterには見えます。霞が関には霞が関なりの問題があることぐらい、海外に出るまでもなく、就職活動のときに気付いてしかるべきだと思うのですが。
■ [misc]やっぱり千葉国大統領候補にしておけばよかった・・・。
公約は一切の時間外勤務禁止で。
■ [government]お堅い仕事に出る硬派?な女性タレント
(麻生久美子は)千葉の選管にもでてくれる硬派?(コメント欄)とのご指摘を契機に、政府公報系での実績を調べてみました。。
#ギャラ(肖像権料)とのかねあいなのかもしれませんが、名前が出ていない・バックナンバーが残っていないものが多く、以下はあくまで検索で引っかかったベースです。
- 選挙(総務省(旧自治省)・都道府県選管)
- すほうれいこ(2003年統一地方選・名古屋市)、白石美帆(2004年参院選・総務省)、森下千里(2004年参院選・名古屋市)など。名古屋が妙にはじけてます。
- 交通安全(警察庁・都道府県警察)
- 内山理名(2001年秋・警察庁)、白石美帆(2003年春・警視庁)、川原亜矢子(2004年秋・大阪府警)など。基本的にコンサバですね。
- 火災予防(消防庁・損保協会)
- 柴咲コウ(2001年)、上戸彩(2002年)、長澤まさみ(2004年)など。民間企業(損保協会)が絡んでいるからか、ブレイクし始めのタイミングをうまく捕まえているように思います。
- 郵政事業(旧郵政省・旧郵政事業庁・日本郵政公社)
- 加藤あい(郵貯)、牧瀬里穂(簡保)、松浦亜弥(2005年年賀状)など。かつては一度契約すると長期間イメージキャラを固定していましたが、公社化により路線が変わったような気も。
- 確定申告(国税庁)
- 黒木瞳(2003年)、長谷川京子(2004年)、仲間由紀恵(2005年)など。ミーハー(笑)。
- 自賠責(国土交通省)
- 深田恭子(2002年)、上戸彩(2003年)、鈴木杏(2004年)など。このままマニアック路線にシフトしてほしいです。
- 国際関係(外務省・国土交通省)
- 藤原紀香(2002年・日韓)、木村佳乃(2005年・観光広報大使)、石川亜沙美(2005年・「旅券の日」イメージキャラクタ)など。モデル系が好まれるのは立ち姿重視ということなのでしょう。
- 娘。
- 自衛隊員募集(2003年)、牛肉トレーサビリティシステム(2003年(石川梨華のみ))、愛・地球博(2005年)など。一つだけカテゴリの基準が違いますが(笑)、知名度が評価されているのでしょう。
#「韓流好きなリフレ派」さん、そういうことをおっしゃるならALLIEのCMの鑑賞は自粛願います(笑)。
■ [law]決闘罪
中学生らのけんかに「決闘罪」適用、5人逮捕・警視庁とのことですが、決闘罪とは次の法律により規定されております。
明治二十二年法律第三十四号(決闘罪ニ関スル件)
第一条 決闘ヲ挑ミタル者又ハ其挑ニ応シタル者ハ六月以上二年以下ノ重禁錮ニ処シ十円以上百円以下ノ罰金ヲ附加ス
第二条 決闘ヲ行ヒタル者ハ二年以上五年以下ノ重禁錮ニ処シ二十円以上二百円以下ノ罰金ヲ附加ス
第三条 決闘ニ依テ人ヲ殺傷シタル者ハ刑法ノ各本条ニ照シテ処断ス
第四条 決闘ノ立会ヲ為シ又ハ立会ヲ為スコトヲ約シタル者ハ証人介添人等何等ノ名義ヲ以テスルニ拘ラス一月以上一年以下ノ重禁錮ニ処シ五円以上五十円以下ノ罰金ヲ附加ス
情ヲ知テ決闘ノ場所ヲ貸与シ又ハ供用セシメタル者ハ罰前項ニ同シ
第五条 決闘ノ挑ニ応セサルノ故ヲ以テ人ヲ誹毀シタル者ハ刑法ニ照シ誹毀ノ罪ヲ以テ論ス
第六条 前数条ニ記載シタル犯罪刑法ニ照シ其重キモノハ重キニ従テ処断ス
#第3条の「刑法ノ各本条」とは殺人罪・傷害罪等のことを指します。
ということですので、実際に決闘をした2人は第2条(ただし、けが人が出たとのことなので、けがをさせた方は第3条の規定に従い刑法適用となり、本法の適用は受けません)、立ち会った4人は第4条の規定に該当するかどうかの捜査を受けることになります。最終的に有罪と認められた際、罰則の適用がそれぞれ罰金200円、50円だったらおもしろいですが(笑)。(事実誤認です。コメント欄をご覧ください。3/4追記)
#しかし、昔の法律のシンプルさには一種の様式美を感じます。この法律と同じ内容のものを今作るとしたら、「決闘」を定義することなどにより、倍以上の条文を必要とするでしょう。
先日,決闘罪に関するbewaadさんの記事に無粋なツッコミを入れてみた。 ツッコミの論旨は,要するに,附加刑としての罰金刑は刑法施行法19条2項により廃止されているから,決闘罪に対して罰金刑が課せられることはなく,決闘罪により罰金刑が科せられることを前提とし..
>決闘罪ニ関スル件
本法の罰金は選択刑ではなく附加刑ですから,「重禁錮1年・罰金50円」という形になります。
罰金の額については,罰金等臨時措置法2条1項本文により,「1万円以上2万円以下」と読み替えられます。
しかし,そもそも刑法施行法19条2項により,明治40年刑法施行前の法律における「附加刑としての罰金刑」は廃止されていますので,本法により罰金刑が課せられることはありません。
ついでに言えば,重禁錮は有期懲役ですね。
Public Management Revisitedのしきのぴぃです。
課長補佐についての補足ありがとうございます。
そういえば、計算省の前身の通算省では、「班長」と言ってましたね。ユニット制入れたりこっそりやめたりしたあとはどうなったんでしょうか?
>hakurikuさん、通りすがりさん
ご指摘ありがとうございました。以後、もっときちんと裏を取るよう気をつけたいと思います。
>しきのぴぃちゃんさん
経産省のサイト内検索では、「課長補佐」968件、「班長」160件でした。
こちらで一般の留学生から出る文句としては、官費留学生の意識の低さ。休養だと思って遊びまわる人間が多いのは本当に恥ずかしいことです。
行き先(専攻やランキング)指定なしに加え、「視野を広げるため」「休養」と周囲が認識する中で留学させてくれるのは、なかなか無いことですよね。一生懸命勉強する人も存在するし、そういう人と遊ぶ人を人事院の選考で区別するのも不可能なのですが、せめて在学中の成績表をチェックするくらいした方がいいのにと思いっています。
>留学中さん
何らかのインセンティブ制度といった工夫も考えられるかもしれません。