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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-03-08

[politics]事実上の解任? その1:大阪市、がんがれ

大阪市都市経営諮問会議を解散し、実質的には同会議の座長である本間正明先生を解任する旨の発表が大阪市よりなされたとのことですが、多分、「改革派」本間教授の厳しい改革案に「抵抗勢力」が反発して改革案が骨抜きにされ、大阪市の改革が後退するといった趣旨の論評がなされる可能性があると思いますので、現時点での報道をベースに考えれば、大阪市の判断はやむを得ないもので本間先生に肩入れするのはいかがなものか、とwebmasterは申し上げたいと思います。

#現時点での報道としては、本件そのものについては読売日経(全国版)日経(関西版)産経(旧)産経(新)朝日毎日を参照しました。また、その前日に行われた朝日での本間先生インタビューも含みます。

その理由は以下のとおりです。

  • 跡田直澄先生を改革担当補佐官に据えるよう要請したこと。以前も触れましたが、跡田先生は2003年、日本国破産[衝撃編]の共著者として、極めてレベルの低いハルマゲドンシナリオをあおった上、特定のプライベートファンドの宣伝に手を貸した人物です。在野にあってご自分の主張を開陳されるのは自由ですが、政府部門の責任ある立場には不適当です(きちんと総括したなら話は別ですが)。さらに言えば、朝日でのインタビューではこの要請について私は政府の経済財政諮問会議の議員をしており途中で放り出せない。越権行為かもしれないが、市長のそばで専従で改革に取り組む覚悟のある人として推したとのことですが、慶應義塾大学教授が大阪市に常勤できるはずもありません(辞職ないし休職するならともかく)。
  • 自らを市顧問に据えるよう要請したこと。上記のとおり自分は大阪にそれほどコミットできないと言っているにもかかわらず、同時に顧問にしろと言うのは、肩書きを欲しているのだと勘ぐられても仕方がないでしょう。
  • 総務省からの出向の受入れを求めたこと。コンサル的に考えれば、総務省からの出向受入れ自体の是非はあれども、いやだといっているならそのプライドをくすぐって受入れなくして成果につながる方策を考えるべきではないかと思います。
  • 人事案を受け入れるよう迫った際に、国の介入を示唆したこと。抵抗勢力の首魁だというならともかく、構造改革のイデオローグを売りにしている人間が、そういう公権力の威を借るようなことを言ってはダブルスタンダードでしょうに(笑)。

#あと一つ疑問なのが、履歴を見る限りそれほどの業績があるとは素人目には見えない彼が、日本経済学界の西の雄たる阪大でトップを極め、さらに(国の)経済財政諮問会議に食い込む等のそうそうたる肩書きをものにしている理由はどういったものなのでしょうか。webmaster自身が読んでいないのに恐縮ですが、彼の共著「地方財政改革/ニュー・パブリック・マネジメント手法の適用」については、自治体関連図書を紹介するページにおいて、まだ国会上程中で可決されていない(2001.10現在)地方自治法改正案を改正されたものとして記述する論外の部分がある(271頁)。特段の検証作業なく、地方には稼働率が低い無駄な公共施設が多いと、理論展開の前の事実認識部分で、経済新聞並の断定が目立つ。地方財政が破綻に瀕しているのは、わかるが、具体的裏付けなく自治体はモラルハザードに陥っていると決めつけるなど、注意して読むべきところがあるといった指摘もあり、下種の勘ぐりではありますが、単に学内政治力に秀でているだけではないかという疑いが晴れません。経済学界内部事情に詳しい方のご教示をいただければ幸いです。

[economy]事実上の解任? その2:Can it be the SONY?

#官僚が(コンプライアンス等の観点以外から)個別企業の経営戦略の方向性を語ること自体ふざけた話だと思いますので、話半分以下で受け止めていただければ。

というわけで出井伸之会長・安藤国威社長の退任とハワード・ストリンガー氏の会長兼グループCEO、中鉢良治氏の社長就任というソニーのトップ交代ですが、これでソニーがかつての栄光を取り戻せるかどうかは微妙だと思います。ソニーといえば技術の高さが売りのように受け止められがちですが、ソニータイマーの都市伝説のように少なくとも大量生産品のクオリティコントロール技術が高いわけではなく、革新性のイメージが先にあり、そのイメージに引っ張られて技術が高いかのような受け止められ方をしてきたわけです。

製品(ベータとかウォークマンとかCDとか)に限らず、NYSEに上場しているとか、そういった経営手法における目新しさもその意味ではソニーの武器だったわけで、iPodとウォークマンの比較がよくなされますが、この観点から見ればソニーとアップルはそれらに限らずライバル関係にあります。

ところが、そうした革新性、とりわけ製品におけるそれは、クリステンセン「イノベーションのジレンマ」を読めばよくわかります(といいつつ、webmasterのような解釈は稀なようです(笑))が、はっきりいって運頼みでしかなし得ません。破壊的イノベーションをしようと思ってできるなら何の苦労もないわけで、似たような技術が時代のニーズに巡り会うかどうかで勝負は決まりますが、技術開発を始める段階で、それが実る時点での時代のニーズなど読めるはずもありません。

加えて苦しいのは、ソニーはソフトビジネスに力を注いでいますが、ソフトの革新性を企業に重ね合わせることは極めて難しいといえます。SME所属のアーティストの作品の革新性はあくまでもアーティストのものとして消費者に受け止められるでしょうし、ソニーピクチャーズが配給する映画の革新性はあくまでもプロデューサーや監督に帰せられるでしょう。これまではメーカーがそうした分野に取り組むこと自体が革新性の表れとして評価されてきた面もありましたが、もはやこれも定着してしまいそのような見方もなされなくなりつつあります。

とすると、「変化」や「ソニーのDNA」が新旧経営陣から語られていますが、革新性というブランドに縛られている現状を変えて面白みのない企業に変わっていくことこそが、実はソニーが再生していくための確実な方策ではないかと思えるわけです。誰よりも先に新しい世界を切り開いて先行者利益を得る、という博奕は諦めて。

ファンの失望を招くかもしれませんが、成功体験をばっさり切り捨てるというのは、実はできそうでできない革新的な対応だと思うのですが、いかがなものでしょう? それこそ、将来のビジネススクールの教科書に、経営における見事な破壊的イノベーションの例として掲載されるかもしれません。製品の破壊的イノベーションには、運がよければまた巡り会うことができますって。

本日のツッコミ(全8件) [ツッコミを入れる]
tanakahidetomi (2005-03-08 09:06)

跡田と浅井本を放置しないできちんと批判すべき、という過去ログみていなかったです。そしてそんな批判を日本経済学界で実名でするのは、ちょっとミシュラン組しか思いつきませんので早急に読んでみたいと思います。浅井単独本はあるのですが、跡田氏との共著は未見でした。いろいろ読まなくてはいけないその手の本が多いですね(最近ではIMF占領でしたか? それもあるし……。人生短し身銭もなし。笑

bewaad (2005-03-09 04:57)

>tanakahidetomiさん
映画とか写真集とか、ほかに使い道もいろいろありますしね(笑)。某次期審議委員の著書も、今ひとつ食指が・・・。

通りがかり (2005-03-09 14:29)

本間先生は1970年代後半から1980年代前半にかけてアカデミックな業績があります。Journal of Economic Theory, Journal of Public Economics, Regional Science and Urban Economicsといった「業界」では有名な雑誌にも数本ありますし、Economic Studies Quarterly (いまのJapanese Economic Review)にも何本も発表しておられます。学内政治力でなんとかなるほど大阪大学はあまちゃんなところではないと信じたいですが。

Baatarism (2005-03-09 15:23)

ということは、プラザ合意以降の日本経済が大変動を迎えた時代には、たいした業績を残せなくなった学者ということでしょうか?w

bewaad (2005-03-10 04:59)

>通りすがりさん
ご教示ありがとうございました。日本の経済学界の名誉のためにも、ご意見のとおりであって欲しいと思っています。

bewaad (2005-03-10 05:02)

>Baatarismさん
若いころに研究で業績、その後教育活動というパターンそれ自体はありではないでしょうか。それぞれのステージでの実績を見て評価すべきということで。

がくせいさん (2005-03-10 21:03)

>慶應義塾大学教授が大阪市に常勤できるはずもありません(辞職ないし休職するならともかく)。

跡田は大阪が拠点ですよ。
確か事務所もあったはず。
慶応には出稼ぎにというか本間と竹中を支えるためにいるといった感じ。
週に4日は大阪にいて、本間の変わりに阪大の講義をしたりゼミをみたりしてるはず。
第一、大阪市都市経営諮問会議で本間の補佐的役割はしてたようだし、就任に問題は無いでしょう。

まぁ一言で言えば、大阪市職員必死だなw

bewaad (2005-03-11 04:42)

>がくせいさん
ご教示ありがとうございます。跡田先生が大阪から慶應に通われているとは思いもよりませんでした。事情を知ると自分のテキストが恥ずかしいものです・・・。

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