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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-03-16

[notice]お願い・ツッコミ(コメント)のRSS対象からの除外・明日の予告

webmasterのミスで3/13付エントリのデータを消してしまいました。googleキャッシュにもありません。もしデータを保存している方がいらっしゃったら、提供していただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

RSS設定についてはご要望にお応えしてみました。他にもご要望があれば随時ご相談下さい。

また、「人権擁護法反対論批判」については非常に多くのコメントをいただきありがとうございます。それらについてのwebmasterのリジョインダーにつきましては、明日とさせていただきます。

[movie]ローレライ

#webmasterはディープな映画ファンではありませんので(今年観た映画はカンフーハッスルとこれで未だ2本)、書くこともまた浅いと思いますが。あと、ネタばれは避けております。

先週末観てきました。概ね予想の範囲内といったところでした。やっぱり潜水艦内は妙にこざっぱりしているし、CGはチープだし(伊507の水中での外観は特に。あと、伊507が機敏すぎるのはちょっと)、他方、俳優陣は期待どおりでしたし、ヘッジホッグ萌えー(字幕では「新型爆雷」でしたが、しゃべりでは"hedgehog"と言ってくれました)でしたし、「ちょいブロー」「とーりかじ」とかありましたし。・・・でも。

なんで浅倉大佐のエピソード残すかなぁ。

出航前やナチス関連の話題をばっさり落としたのですから、あともう一歩、浅倉大佐がらみの話も切ってくれれば。あれがかなり時間を食いつぶしたので全体が駆け足に、つまりストーリーがプロットの消化で手一杯になってしまったように思います。潜水艦内部のつらさと、その中での"A boy meets a girl."路線に集中してもっと掘り下げてくれれば。

[economy][pseudos]トンデモ#8:「プロレス史観」と小児病エコノミスト

岩田他「昭和恐慌の研究」に対する日経金融新聞・吉次弘志デスクの批評です。これを「批評」と言っていいのであれば、ですが。

既に執筆陣の中村宗悦先生田中秀臣先生から反論がなされていますし、svnseedsさんも元原稿より長い反論をされていますから、それらで触れられていない点を一つ。

(前略)何と今のマスコミや竹中さんに共通する「構造改革主義者」の大間違いなことよ、というわけ。で、歴史的に見ても、自分たち「リフレ派」が正しいのである、とこう来るわけですな。

これはしかし、ちょっと勧善懲悪的なのではないですかね、というのが筆者の見立て。じゃあ、ニュートン力学が成立する前に渦動宇宙論で世界を説明しようとして挫折したデカルトは「間違い」だったのですかね?。量子力学的原理の発見前に巨視的分子運動を古典力学で説明しようとしたケルビン卿の悲劇は科学の歴史上、意味がなかったんですかね?。そんなことはないんです。今常識として成立した理論で過去に遡及し、正誤を判断する手法を鹿島茂は「プロレス史観」と呼び、科学史では「ホイッグ史観」と称するわけで、これを分かりやすく言えば「後出しじゃんけん」となります。

今の立場から当不当を論ずるのは「後出しじゃんけん」でしょうけれど、だからといって真偽は変わりません。吉次デスクの上記を借りれば、デカルトの努力の方向性は(当時の人間の営為として)「間違い」ではなく正当で合理的なものですが、「渦動宇宙論」は(理論的に)「間違い」以外の何物でもありません。同様に、ケルビン卿の為したことに科学史上意義があることと、量子力学の対象分野を古典力学で解明できるという仮説が誤りであることは、何の矛盾もなく両立します。

要すれば、吉次デスクの指摘は「間違い」という言葉の多義性を悪用して議論をすり替えているのです。引用部の最初のパラグラフの「(大)間違い」はfalse(で、「正しい」はtrue)の意味ですが、次のパラグラフの「間違い」はirrationalとかstupidの意味です。歴史上の人物のrationalであった判断について今の知識からirrationalだったと断罪するのは問題ですが、rationalだったからといって、falseであるものがtrueに変わったりはしません。

#ただし、当時であっても石橋湛山に代表されるリフレ派はいたわけですから、清算主義者にはirrationalだと断罪されてもやむを得ない面があるとwebmasterは考えます。

これはよくいわれる誤った三段論法そのものです。次がその典型例ですが、第1文の「野獣」(=野山に生息する(大型の)哺乳類)と第2文の「野獣」(=乱暴で欲望を表に出す人の比喩的表現)は、単語は同じですが意味するところが違うので第3文が成立しません。同様に吉次デスクの主張は、「間違い」の意味を混同させて「構造改革主義者」は間違っているわけではないという結論を導いています。

  1. 野獣は全身に毛が生えていて四つ足で歩く。
  2. 彼は野獣だ。
  3. したがって、彼は全身に毛が生えていて四つ足で歩く。

この文章が別の観点からも問題なのは、時間軸の概念がないことです。再び吉次デスクのテキストを借用すれば、ニュートン力学が発見される前に渦動宇宙論を追究することが「間違い」ではなかったとしても、その後には「間違い」になるわけです。量子力学が発展している現在において研究者がニュートン力学に基づき量子の運動を論じても、その存在価値はゼロです。

上記のとおり石橋湛山らの主張があるにもかかわらず、それに耳を傾けなかった浜口雄幸や井上準之助が本当にirrationalの意味で「間違い」でなかったかどうかには議論があると思いますが、世界恐慌は前例がないとも言える事態でしたし、当時は各国の政策当局も同様の誤りを犯していた例が多いわけですから、rationalであったとも言い得ると思います。

しかし、今はその経験を経た後で、しかも関連する多くの研究が積み上げられているわけです。この70年以上にわたり積み重ねられてきた貴重な知的遺産から目を背けて70年前と同じことを繰り返したとき、同じことの繰り返しだからといってそのrationalityをイコールに評価できるはずもありません。昭和恐慌当時の清算主義者をrationalだとしても、今の構造改革主義者をrationalだと考えることはむしろそれと非整合的で、irrationalだとすることが適当でしょう。

以上の二重のミスリーディング、故意でやったことなら悪質ですし、過失でやったことなら筆で糧を得ている身として恥じるべきだと思います。

[book]書店の品定め

この週末は既述のとおりローレライを観にいったほか、久しぶりに大型書店に行って矢野誠「「質の時代」のシステム改革」P.W.シンガー「戦争請負会社」班固「漢書」2(食貨志を含む部分です)、長尾龍一「ケルゼン研究Iマーチン・ファウラー/ケンドール・スコット「UMLモデリングのエッセンス」を購入しましたが(全然一貫性がないなぁ(笑))、webmasterはこのご時世でも、本はネットではなく書店で買うタイプです。ぺらぺらページをめくりながら買おうか買うまいか悩むのもまたよし、と考えるものですから。しかも、かなりの乱読派なので、大型書店をぶらぶら歩き回ることをこよなく愛しております。そんなwebmasterにとっての主観的な書店ベスト5は次のとおりです。

  1. ジュンク堂池袋本店
    かなりwebmasterの理想に近い書店です。日本最大の売り場面積や取扱冊数(特に専門書を探すときにこのメリットは大きいです)もすばらしいですが、上記のような買い方ですと、1階で一括清算というシステムが代え難い魅力です。別のフロアの本を並べてどっちを買おうかためつすがめつ悩むためには、この形式でないと。
  2. 紀伊國屋書店新宿南店
    ネット上の書籍検索が一番使いやすいこと等、経営がこなれているのはさすがです。昔は新宿本店を愛用していましたが、それに比べて書店としての建物の設計が新しく楽に動き回れる点、客が少ない点が気に入っています。
  3. 丸善丸の内本店
    ジュンク堂池袋本店に迫る床面積を実質3フロアで確保しているので、1つ1つのフロアが広く歩き回るのに適している点、それを使いやすくする検索端末が店内各所に豊富に設けられている点(ただし、縦書き50音表が右から左に並んでいるのは、日本語としては正しいのでしょうけれど、使いづらいと思います)はよいのですが、以前、長尾龍一先生の著作でどれを買おうか迷っているときに、「純粋雑学」が法学関係の1階ではなく雑学関係の2階にあった思い出がマイナス(笑。そりゃタイトルはそうですが・・・)。まだ開店間もないので、もっと通って本の配置等になじむとランクアップするかもしれません。
  4. 八重洲ブックセンター本店
    連続で東京駅近辺から。webmasterが大型書店に行くのは休日のみなので平日がどうかは知りませんが、けっこうすいているので落ち着いて散策できます。新幹線に乗るときには、ここで乗車中に読む本を渉猟するのがwebmasterのお決まりのパターンです(新幹線ホームは東京駅の八重洲口側にあるので便利なのです>東京以外在住の方)。
  5. ブックファースト渋谷店
    売り場面積(webmaster注:回答のNo.9を参照)等のスペックでは上記の各店に劣りますが、立ち寄って本を探したときには何かが心に引っかかり買ってしまうことが多く、何も買わずに帰った記憶がほとんどありません。品揃えの波長が合っているのかな?

#でも、人生で一番はまった書店は、大学生協書籍部ですね。

本日のツッコミ(全5件) [ツッコミを入れる]
wolf (2005-03-16 21:28)

ジュンク堂新宿店もなかなかですよ。品揃えでは池袋店より大分劣りますが、コアな本が見つかりまるので愛用しています。

wolf (2005-03-16 21:30)

見つかりまる→見つかる

bewaad (2005-03-17 04:49)

>wolfさん
ジュンク堂、新宿もいいですか。情報提供ありがとうございます。実はまだ行ったことないので、今度チェックしたいと思います。

tanakahidetomi (2005-03-18 00:56)

ひさしぶりのTBありがとうございました。

ところで『漢書』のちくま文庫の訳は原文がないのが難ですが、それでも通して読むと当時の経済論の大枠がわかりますよね。私も重宝してました。私の知人によると新しすぎて研究者がいないという『塩鉄論』(岩波文庫)もおすすめします(その時間感覚さすが中国と思いました 笑)。そのうち管子の研究、春休みが終わって群馬に頻繁にいくようになったらすこしはお手伝いできるかもしれません。

bewaad (2005-03-18 04:54)

>tanakahidetomiさん
こちらこそご無沙汰してしまって、興味の薄い分野に行ってしまっていると受け止められても仕方がないなぁ、と思っております。

漢書の原文は、それをつけると値段・分厚さともにアップでしょうから出版社としてはつらいんだろうと思います。幸い、原文をネットで見つけてますので(そういう意味では、このご時世、金を取って訳を、ネット上でフリーの原文、というのは古典の売り方として一案ではないでしょうか)、原文はそちらで味わえばいいかな、と。

ちなみに、いつ実現するかお約束はできないのですが、食貨志(特に下)を読んだ今では、古代中国における貨幣政策の推移についてレジュメを切ってみたいなぁと考えるようになりました。管子はその後に回すかもしれません・・・。


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