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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-03-20

[law]人権擁護法反対論批判 リジョインダー編(その4)

本日は、紹介・リンクいただいたサイトから2つを取り上げます。

自民党での議論

人権擁護法反対論批判 リジョインダー編(その2)について、kenpoさんから次のコメントをいただきました。

自民党法務部会の詳細が報告されているページを発見しました。3月15日http://www.amaochi.com/yae_log064.html#050315 3月18日http://www.amaochi.com/yae_log065.html#050318 これによると、国籍条項など以前の法案自体の問題のような気がします・・ ご意見をできればお願いします。

おそらく、個別の条項の妥当性以前の法案の存在そのものについての問題というのは、いろいろありますが結局は、「『人権』を錦の御旗に言論封殺を試みる人間が多い中で人権擁護法が成立すれば、そうした言論封殺を後押しすることとなる」ということかと思います。

しかし、これは法案の存在そのものではなく、やはり個別の条項、端的には人権委員の選任方法の問題ではないかと思います。結局のところ、人権擁護法に定める人権侵害等に当たらなければ人権擁護法を濫用することはできず、今回の大阪弁護士会のように法務省(おそらくはそのまま人権委員会事務局へ改組)からダメだしをされてしまうわけです。

#ちなみに法務省は、あくまで人権擁護法案に規定する人権侵害には該当しない、という趣旨で答えたのだと思います。一般用語の定義はむしろ国語学者にでも聞いてくれということで。しかし、法務省がダメだししたというこの3/18の自民党法務部会に提出されたペーパー、どこかで公開されないかなぁ・・・。

ちなみに、次のような記述を見ると、これはあくまで民間団体である大阪弁護士会がやったことで、公権力は一切タッチしていないのだ、という点についてちょっと誤解があるのかなと思ったのですが、いかがでしょうか(強調は原文によります)。

この法律が出来たら人権委員会から不当に人権を侵害されるのではないかという危惧があって、いま慎重論がたくさん出ているワケですが、しかし実際には、法律の後ろ盾による大きな権限がないだけで、すでに今現在、人権委員の暴走による人権侵害が起こっているのです。

ですから、法務省は今回、歌う自由があると告知をしなかったコトは人権侵害ではないと認定したのですから、当然、大阪弁護士会に対して何らかのペナルティを与えるべきなのではないでしょうか

前者については、権限がないどころか、「人権委員」(正式には大阪弁護士会人権擁護委員会)といっても勝手に大阪弁護士会がそうした内部組織を作ってそう名乗っているだけです。一応大阪弁護士会自体は弁護士法第5章の規定による法的な存在ですが、人権擁護活動が法律上その業務として定められているものではありません。

つまり、本件に関して言えばそこらへんの普通の会社やNPOなどの法人や私人と法的には何ら差はありません。オレオレ人権擁護とでもいいますか、たとえば「黒人差別をなくす会」(公式サイトはないようですが、応援ページ(笑)はあります)の活動と何ら変わらないわけです。

後者については、そんな民間団体の自由な活動について法務省がペナルティなど与えれば、それこそ大騒ぎになるでしょう。そんな権限ありませんし。

で、個別の条項としての妥当性ですが、弁護士会が人権擁護法案では次のように人権擁護委員の選定に関与する道が開かれています(強調はwebmasterによります)。

(委嘱)
第二十二条 人権擁護委員は、人権委員会が委嘱する。
2 前項の人権委員会の委嘱は、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)が推薦した者のうちから、当該市町村(特別区を含む。以下同じ。)を包括する都道府県の区域(北海道にあっては、第三十二条第二項ただし書の規定により人権委員会が定める区域とする。第五項及び次条において同じ。)内の弁護士会及び都道府県人権擁護委員連合会の意見を聴いて、行わなければならない。
3 市町村長は、人権委員会に対し、当該市町村の住民で、人格が高潔であって人権に関して高い識見を有する者及び弁護士会その他人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員のうちから、当該市町村の議会の意見を聴いて、人権擁護委員の候補者を推薦しなければならない。
4 人権委員会は、市町村長が推薦した候補者が人権擁護委員として適当でないと認めるときは、当該市町村長に対し、相当の期間を定めて、更に他の候補者を推薦すべきことを求めることができる。
5 前項の場合において、市町村長が同項の期間内に他の候補者を推薦しないときは、人権委員会は、第二項の規定にかかわらず、第三項に規定する者のうちから、当該市町村を包括する都道府県の区域内の弁護士会及び都道府県人権擁護委員連合会の意見を聴いて、人権擁護委員を委嘱することができる。
6 人権委員会は、人権擁護委員を委嘱したときは、当該人権擁護委員の氏名及び職務をその関係住民に周知させるため、適当な措置を講ずるものとする。
7 市町村長は、人権委員会から求められたときは、前項の措置に協力しなければならない。

端的には2つの役割があり、意見を述べるというもの(第2項、第5項。ここには引用していませんが、第23条にも同趣旨の規定があります)と人権擁護委員として適格とされる要件というもの(第3項)です。前者は単に意見を言うだけで決定権はあくまで人権委員会ですし(意見の尊重義務も課せられていません)、後者は複数の要件の1つにすぎず(どこかの団体の構成員から選びさえすれば、弁護士会の構成員から選ばなくても合法です)、しかも弁護士会としての行動が求められるものではなく、弁護士会の構成員という個人に最終的に帰着するものです。

#しかしこの第3項、趣深いです。法律上、弁護士会は「人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体」ではないことが明らかにされているわけですから(法律用語の解釈として、Aその他BとはBにAを含みませんが(東京都と都道府県を例にとれば、「東京都その他道府県」という書き方になります)、Aその他BであればBはAを含み(同じく「東京都その他の都道府県」)、この項は「その他」です)。弁護士会の本務は弁護士の職務等についての調停等なので、よく考えれば当然ですが。

まあこうした弁護士会の実績を見れば法律の理解も怪しいなぁと思いますし(国旗国歌の是非はあれ、少なくともあのシチュエーションでは表現の自由の問題ではないでしょうに)、実際に弁護士といってもピンきりで弁護士という肩書きがあれば誰でも信頼できるわけではないとの経験則をwebmasterはもっていますが(司法試験に合格していない嫉みではないぞ(笑))、それなりに法律についての素養のある人間の集まりであることは否定しがたいわけで、上記の程度であればそれほど問題は起こらないでしょう。

最後に自民党つながりで、西尾幹二先生が拉致議連の反対声明を公開されていますので、その具体的主張の部分に注釈を付しておきます。

まず第一に、

本法案では、「人権侵害」の定義があまりに曖昧である。第二条で「人権侵害とは不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為」と規定しているが、これでは「人権侵害とは人権侵害である」と言っているのと同じではないか。

さらに「助長」や「誘発」までも救済措置の対象とされており、拡大解釈の余地があまりにも大きい(1)。新設される人権委員会が「人権侵害」と認定する段階で、恣意的な解釈が可能であり、健全な言論活動は著しく侵害され、「言葉狩り」が横行する危険がある(2)。

例えば、北朝鮮の拉致問題への対応を批判したり、経済制裁を求めることまでも、在日韓国・朝鮮人への人権侵害を助長したと解釈されてしまう危険性がある(3)。

  1. 「助長」「誘発」という言葉だけを取ればそうですが、その言葉が用いられているのは一般救済の部分での指導・調整等の対象者の限定句としてものと、部落地名総鑑の出版等がそれらを目的とする場合に勧告・その公表、差止訴訟ができるという限定句としてのものです。前者には拡大解釈の恐れはありますが、拡大解釈されたところで指導・調整等がなされるだけです。それが全く問題ないとはいいませんが、そんなにたいした問題でしょうか。後者は目的がどう解釈されようとも行為が限定的に定義されていますから、拡大解釈の余地はないといいますか、むしろそうしたものの出版等でも目的が学術等の正当事由であれば法的に問題ないとするもののように思います。
  2. 単に「人権侵害」であるというだけで可能なのは一般救済だけで、具体的には任意調査や助言、関係団体の紹介、指導等です。もちろん強制力も全くありません。そこまで言うなら、「健全な言論活動」がこれらにより「著しく侵害」される説得的仮説例をお伺いしたいものです。
  3. 1に記したとおりで、一般救済としての指導・調整等はあるかもしれませんが、無視しても法律上何ら問題はないので納得できなければ安心して無視してください。勧告等の対象については、純粋な政治的言論は定義に絶対に当てはまりませんからご安心を。

第二に、

本法案は人権侵害に関する情報収集や被害救済・予防活動を行う人権擁護委員を全国で2万人委嘱されることを定めているが、その選考があまりに不透明である(1)。

市町村長が「弁護士会その他人権の擁護を目的とし、または支持する団体の構成員」のうちから推薦することになっているが、国籍条項はない(2)。破壊活動防止法に基づき、いまだに公安調査庁の調査指定団体となっている朝鮮総連の関係者が委員になる可能性は否定できない(3)。

また、北朝鮮などと連動して活動している日本の市民団体や特定の政党の影響を排除するための規定も見あたらない(4)。

  1. 第22条に規定する選考過程は先ほど紹介しましたが、「あまりに不透明」とまで言うなら挙証責任があるのではないかと。
  2. 純粋に法解釈の問題として、推薦対象はそれらの者と「人格が高潔であって人権に関して高い識見を有する者」の双方です。団体構成員だけではありません。で、国籍条項は法的にはどちらでも問題ないと思いますが(どちらであっても少なくとも違憲ではないでしょう)、人権擁護委員は例の「当然の法理」の対象ではなく、かつ、憲法上の人権は外国人に対しても合理的な範囲内で認められている、言い換えれば日本国内の人権は日本国民のみが独占して享受するものではない、ということを踏まえてご検討いただきたく。
  3. 朝鮮総連が「その他団体」に該当するかどうかは知りませんが、該当しないということでも拉致議連としては安心できないのです、残念ながら。先に紹介した有識者として選ばれるコースが残りますから。首長の推薦した者から選ばれるのが原則なのですから、そうした者が不適当だと思うなら、まさしく表現の自由を行使して政治運動を行うべき話でしょう。
  4. 国籍条項が入っても安心できないってことでしょうけれど、これらの者は現行法で人権擁護委員(人権擁護法に規定する人権擁護委員とできる行為は大差ありません)になることは排除されていません。問題視するならなお、現行法第13条の職務行為の政治利用の禁止がないことの方ではないかと思うのですが(これがなくなった経緯、審議会答申を見てもよくわかりません)一見なくなったかのように見えますが、現行法での人権擁護委員とは異なり人権擁護法での人権擁護委員は国家公務員法が適用されるものと考えられますので、そうした規制がなくなったわけではありません

(webmaster注:3/25に訂正しました(強調部分)。)

第三に、

人権委員会は人権侵害の特別救済手続きとして、出頭要請、押収、立ち入り検査など、いわゆる3条委員会としての強制力を持つ。法務省は「令状主義に反するものではない」と説明しているが、国民に畏怖、抑圧し、自由な言論を妨げることにつながる危惧は払拭できない(1)。

  1. 危惧といっても可能性がゼロでさえなければ払拭できないとは言えるわけですが、それがゼロに近いのか1に近いのかで対応を考えるべきでしょう。ゼロでなければいけないということでしたら、それは全称命題の証明(webmasterの好きな言い方ではないのですが、ネット上でとおりのいい呼称を用いれば「悪魔の証明」というやつです)を求めることになるので、まずは危険性の存在をする側が反証をしめすべきでしょう。

第四に、

現行法上の人権擁護委員は、政治活動が禁止されているが、本法案上は、積極的な政治活動のみが禁止されているに過ぎない(1)。

まずは、ADRの充実や現行人権擁護委員の権能強化など司法制度改革を推進し、本当の権利侵害を受けた弱者が迅速かつ簡便な救済策を受けられる制度を充実していくべきである。

  1. 法的位置づけが異なる両者を比較すること自体疑問ですが、多分人権委員の方ができる政治活動の範囲は狭いでしょう。先に触れましたが、現行法で禁止される政治活動はあくまで「その職務上の地位又はその職務の執行を政党又は政治的目的のために利用してはならない」というものなので、政党の役員への就任を含め職務外での政治活動は自由ですが、人権委員は政党の役員就任が明示的に禁止されているぐらいですから。

わかりやすいまとめ

ニヤリにて和尚さんからリンクを張っていただいたのですが、そのエントリの次のエントリ、「[人権擁護法案]明らかな間違いに注意」において、webmasterがしてきたたぐいの議論を非常にわかりやすくまとめていらっしゃいますので、ご紹介させていただきます。

なお感謝の意を込めてお手伝いさせていただきますと、最後のところで過料について何をもって正当な理由とするかの判断に不服がある場合、処分の差し止め訴訟を起こすこともできるようです(未確認)の部分は、高裁への即時抗告が可能というものです(非訟事件手続法第207条)。

高裁の判断について、法令の適用関係等がおかしい(=事実認定の争いではない)場合には、最高裁への特別抗告(違憲の疑い)・許可抗告(判例違反・法令違反の疑い)も可能ですので(民事訴訟法第336条第1項・第337条第1項(非訟事件手続法第25条で準用)。例えば昨年12月には、過料についての非訟事件手続法の適用について最高裁まで上がった実例もあります)、訴訟そのものではないにせよ、事実上訴訟に似た三審制が担保されています。

次回

いろいろとコメントをいただきましたので、再びそれらにお答えさせていただきます。

#このエントリは、以下の一連のエントリの続編です。

  1. 人権擁護法反対論批判 前編
  2. 人権擁護法反対論批判 後編上
  3. 人権擁護法反対論批判 後編下
  4. 人権擁護法反対論批判 リジョインダー編(その1)
  5. 人権擁護法反対論批判 リジョインダー編(その2)
  6. 人権擁護法反対論批判 リジョインダー編(その3)

[comic]現在官僚系もふ・第2回

すでにt9930211さんが触れていますので、かぶらない点につきまして。

  • コピー機が異常に古そう、というかどこからコピー後の紙が出てくるのでしょうか(笑)。
  • サンダルはいている人がいませんけど、いかにもなネタですから取り上げてもよさそうなところ、取材に引っかかっていないのでしょうか。
  • 机が島じゃないなぁ。
  • 700系より500系の方がカッコいいでしょう、絶対(というか600系はFASTECH 360 Sのstream-line形で是非お願いします>JR東日本様)。

#「島」というのは===といった具合に机を並べることで(それぞれの横棒が机だと思ってください。つまり、長辺で向かい合わせにした机をセットにして横に並べていきます)、これが霞が関標準です。

しかしなにより、整備新幹線の財源問題って・・・せっかくのpogemutaさんのフォローがだいなしです(笑)。というわけで改めまして、

・・・四月に補正予算ですか(´,_ゝ`)プッ

#でもご本人は気にされていませんね。いいひとだ・・・。

[politics]南セントレア市、嘲笑するだけでいいの?

「南セントレア市誕生の失敗」(@gachapinfanのスクラップブック3/19付)で日経ビジネスの「敗軍の将、兵を語る」における既述が紹介されています。以前webmasterも取り上げたことがありますが、これって本当にいい連載だと思います。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
an_accused (2005-03-20 16:46)

>webmasterさま
 「職務行為の政治利用の禁止」については、審議会の議事録を読んでも明確に議論された形跡が見当たらないのです(私がきちんと読めていないだけかも知れませんが)。
 ひょっとすると、法案は人権擁護委員を国家公務員として扱っているのではないでしょうか。私も人権擁護委員は国家公務員にあたらないと思っていたのですが、人権擁護委員法第5条にあたる規定が法案にないこと、法案第25条第4項で「人権擁護委員は、非常勤とする」とわざわざ規定していることなどを見ると、保護司や労災防止指導員と同様“非常勤の一般職国家公務員”として位置づけている可能性を捨て切れないように思います。もしそうなら、その結果国公法第102条の適用を受けるので、職務行為の政治利用は当然に禁止されることになります。
 なお、「人権委員会委員や人権擁護委員の政治活動」は、後ほど「寺西判事補事件」あたりを手がかりに検討しようと思っているのですが、こちらで話題に取り上げられましたのでコメントさせていただきます。

bewaad (2005-03-21 02:24)

「後編下」で国家公務員ではないと予想したのですが、確かに非常勤というルートを使っている可能性はありますね。それなら守秘義務はかかりますし、政治利用も禁止になりますし。

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質問取りの前に、コピー取りキタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!! そして、整備新幹線キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!! さらに、「我田引鉄」キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!! 突っ込みどころは色々ありますが。ネタバレ防止のために詳細は書きませんが、「事業見直しのバ..

人権擁護法案に関する文のなかには明らかな間違い、および極めて誤解を招きやすいミスリードが散見されますので記述しておきます。 3/20:追記 参考:人権擁護法案(原文)...

人権擁護法案に強硬に反対してみたものの、同法案を支持している人の意見はどういったものなのか、興味があったので調べてみた。


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