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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2005-04-19
■ [politics]日米関係と日中関係
って似ている部分があるのではないかという気がする今日この頃。といっても、時間軸がずれていて、戦前の日米関係と今の日中関係が、なのですけれども。
典型的には、戦前の日本を追いつめたものの1つがABCD包囲網ですが、日米(と台湾)によって太平洋から封じ込められる可能性を想像することは、中国指導部にとってそれ以上の悪夢であることは間違いありません。
最近の日本で出てくるようになった従来よりは強気な言動も、仮に絶対水準として他国に対するものと同様になったのだとしても、中国側から見た相対的な変化の受け止め方は、紳士協約により認められた、日本に対する他のアジア諸国と比べての優遇を排して横並びとしたいわゆる排日移民法に対する当時の日本のそれに相通じるものがあります。
乱暴にまとめるなら、「大国」(かつてのアメリカ、今の日本)側に大国としての自覚が少なく、「小国」(かつての日本、今の中国)側に被害妄想的な恐怖感がつのっている状態ではないでしょうか。
#基本的に日本は、自国が極東においてどれほど頭抜けて大きな存在であるかの自覚が足りなさすぎます。尖閣諸島に対する中国の出方と、南沙群島や西沙群島に対するそれを比べてみても、中国が日本(とアメリカの強い結びつき)をどれだけ怖がっているかわかるでしょうし、まして中国に及ばぬ他国においてはなおさらなのですが(「超大国」アメリカと自国を比べてしまうがためという側面はあるのですけれども)。
以上を踏まえると、戦前アメリカの対日外交の失敗(戦争に至ってしまったのですから、もちろん失敗です)を振り返るのも、今後の対中外交を考える上で得るものが多いように思います。まずはジョージ・F・ケナン「アメリカ外交50年」(先日お亡くなりになってしまいましたが)あたりが手頃なのかな?(学生時代に読みましたが、今は手元にありません・・・。)
#振り返るまでもなく、まずは安保理常任理事国入りをやめるのがベストだとは思いますが。
■ [movie]The Aviator
当サイトに映画評論をお求めの方々がいらっしゃるとも思えないので、取り上げる気はなかったのですが、自分は人にお勧めしません。起承転結がないというか、なんというか、微妙です
という同業者の評価があったので、少しばかり弁護を。
スコセッシ監督が本作の主人公ハワード・ヒューズをイカロスになぞらえてもいるわけですが、本作は"New York, New York", "The Age of Innocence", "Gangs of New York"といった作品の系譜に連なる、神話を持たない国アメリカの歴史を神話化する作品ではないかと思うのです。最近頻発の読んでいないにもかかわらずな放言をすると、ギリシア悲劇や叙事詩のようなものを作りたかったのではないかと。
ですから、物語としての整合性やわかりやすさよりも、不条理さや理不尽さをあえて放置したんではないでしょうか。もちろんそういったわけのわからなさも作り手の主観を通過していますから整理をしていないわけではないのですが、ハワード・ヒューズという多くの人の想像を超える人物について、この人にもこんな一面があったんだねぇ的なわかりやすさをはめ込まず、できるだけわけのわからないさまを描いたように思います。
#キャサリン・ヘップバーン(を見事に演じたケイト・ブランシェット)がいなければ、もっとわけがわからなかったでしょうけれど。
ちなみに、たまたまwebmasterが観たときには白人が結構入っていたのですが、公聴会でヒューズが(ライバルであるパンナムの社長)トリップを経営者としては無能だという趣旨で皮肉ったときに、白人にはかなり受けていた一方で、あまり日本人にはピンと来ていなかったように思いました(白人の方が一般論として映画館でよく笑うといった傾向もありますし、webmasterがつぶさに観客を観察していたわけでもないので、そういう雰囲気を感じたという以上のものではありません)。UFJ争奪戦やホリエモン騒動を経てもなお、株主と経営者との関係についてのアメリカ的見方というのは日本人にはなじまないのかな、と少しばかり思ったり。
■ [economy]お金を持つことの幸せ
とまあ破格の大金持ちの話を受けて。
「「幸福の政治経済学―人々の幸せを促進するものは何か」を読む」(@A.R.N [日記]4/17付)によると、次のように金があればあるほど幸せではないということです。
経済学を学んだものから見ると、一番ショックなのは「先進国においては幸福と所得の間に相関が認められない」という点であろうか。クルーグマンの言葉を引用すれば「経済にとって大事なことというのは――つまりたくさんの人の生活水準を左右するものは――3つしかない。生産性、所得配分、失業、これだけ」なのだが、少なくとも先進国に関しては生産性は国民の幸福に影響していなかったわけだ。
似通ったテーマについてちょうど最近、磯崎さんが違った切り口から語っていました。
もう20年以上前ですが、ある大学教授(経済学)曰く、
「日本ではどうも年収2000万円くらいの人が効用が最大って気がするなあ。それ以上稼いでいる人を見ても、あまりに忙しくて好きなことをする時間がなかったり、家族と生活がすれ違いだったりして、あまり幸せじゃないような気がする。」
とのこと。
ベンチャーを起業しても、時価総額50億円にして自分が何十億円か獲得したら、それ以上稼いでもバッシングを受けるだけということだと非常に困るわけです。100億円の企業を1000億円に、1兆円の時価総額の企業を10兆円に押し上げる経営者に対して、「やりがい」の他には、「使い道のない金」と「バッシング」だけが報酬というのでは、よほど性格がヘンな人しか日本の国富を増やしてくれないことになります。
「マズローの欲求段階説」的にも、ある程度カネがたまってきたら「名誉」とか別のものを目指そうとするから、あまりカネの効用は無くてもいいのかも知れませんね。(お金持ちの気持ちはよく存じませんので、何とも言えませんが・・・。)
ヴェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を借りて理屈づけるなら、金儲けできるからではなくそれが天職であるから働くのだエートスがあるからこそ先進国になれるのであって、ということになります。
経済学的に考えるなら、短期的に見て平均消費性向が所得の増加により減少するとはよく言われることで、日本での実証分析を見ても傾向としては当てはまっています。限界消費性向についての実証分析を見ても、明らかに年収1,000万円を超えると限界消費性向が激減しています。
#限界消費性向の分析は、増減税に伴う可処分所得変化を見ているので、年収300万円未満の階層の限界消費性向がゼロであるなど、癖のあるものですが。
一般論としていえば、お金自体の限界効用は金額の多寡にかかわらず一定であっても、その金額で買うことができる財の限界効用は財の価格に対して逓減していく、例えば300円のカップ麺を食べたときに感じるおいしさが、150円のカップ麺を食べたときのそれの2倍になるわけではないので、自然なことなのでしょう。
#美味しんぼの登場人物のように、限界効用が逓増するようなケースもあるわけですが(ブロイラーなんか食えないとか言ってますし(笑)、あくまで一般的な傾向としてはということで。
以上のような考え方の延長線上にある「お金持ち」の意味と、それとは別の価値体系に立つであろうポトラッチのような富の蕩尽を対比して考えていくとおもしろそうな気もするのですが、明らかにwebmasterの能力を超えるので、可能性を述べるにとどめさせていただきます。
>お金を持つことの幸せ
http://d.hatena.ne.jp/otokinoki/200501 の1/14-17など(特に17日)ご参考になれば。あと18日の蓄積資本排出システムとしてのインパク評価とか。
コメントありがとうございます。たしかに今産経の記事を読むとまさにぴったりのコメントでした。自分もその記事を人に読んでもらって人なりに判断してもらおうと思います。
>村さん
面白いサイトのご紹介ありがとうございました。しかしこのテーマ、話として面白くても、ふとした瞬間にむなしくなるのが玉に瑕ですね・・・。
>t9930211さん
でも、ある程度アメリカ史の基礎知識がないとつらいのは間違いないでしょうから、日本人が見るとしても合う人と合わない人がいても当然だと思います。