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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2005-06-02
■ [economy]ヨーロッパ通貨統合により失われたかもしれないもの
昨日紹介いたしましたsvnseedsさんのエントリですが、その中に、通貨統合により金融政策に各国の独立性がなくなった結果、欧州中銀が決定する短期金利が、国によって引き締めを意味したり緩和を意味したりすることになったわけだ
、僕はユーロ統合には非常に悲観的でして、その最大の理由が上に挙げたような金融政策の不自由さが招く景気動向の各国の不平等だったりします
という言及があります。
まさしくおっしゃるとおりだと思うわけですが、この「金融政策の不自由さ」が実際どの程度の問題なのか、EUの場合通貨統合に参加しなかった国、イギリスという格好の対照事例がありますので、そこを見てみたいと思います。
まず、イングランド銀行が過去決定してきたオペ金利と、ECBが過去決定してきたオペ金利(=仮に通貨統合に参加していた場合のオペ金利)を比較すると次のとおりです。
| date | BOE(a) | ECB(b) | a-b |
| 1999-01-01/07* | 6.00 | 3.00 | 3.00 |
| 1999-02-04 | 5.50 | ↓ | 2.50 |
| 1999-04-08*/09 | 5.25 | 2.50 | 2.75 |
| 1999-06-10 | 5.00 | ↓ | 2.50 |
| 1999-09-08 | 5.25 | ↓ | 2.75 |
| 1999-11-04*/05 | 5.50 | 3.00 | 2.50 |
| 2000-01-13 | 5.75 | ↓ | 2.75 |
| 2000-02-04/10* | 6.00 | 3.25 | 2.75 |
| 2000-03-17 | ↓ | 3.50 | 2.50 |
| 2000-04-28 | ↓ | 3.75 | 2.25 |
| 2000-06-09 | ↓ | 4.25 | 1.75 |
| 2000-09-01 | ↓ | 4.50 | 1.50 |
| 2000-10-06 | ↓ | 4.75 | 1.25 |
| 2001-02-08 | 5.75 | ↓ | 1.00 |
| 2001-04-05 | 5.50 | ↓ | 0.75 |
| 2001-05-10*/11 | 5.25 | 4.50 | 0.75 |
| 2001-08-02 | 5.00 | 4.50 | 0.50 |
| 2001-08-31 | ↓ | 4.25 | 0.75 |
| 2001-09-18 | 4.75 | 3.75 | 1.00 |
| 2001-10-04 | 4.50 | 3.75 | 0.75 |
| 2001-11-07*/09 | 4.00 | 3.25 | 0.75 |
| 2002-12-06 | ↓ | 2.75 | 1.25 |
| 2003-02-06 | 3.75 | ↓ | 1.00 |
| 2003-03-07 | ↓ | 2.50 | 1.25 |
| 2003-06-06 | ↓ | 2.00 | 1.75 |
| 2003-07-10 | 3.50 | ↓ | 1.50 |
| 2003-11-06 | 3.75 | ↓ | 1.75 |
| 2004-02-05 | 4.00 | ↓ | 2.00 |
| 2004-05-06 | 4.25 | ↓ | 2.25 |
| 2004-07-10 | 4.50 | ↓ | 2.50 |
| 2004-08-05 | 4.75 | ↓ | 2.75 |
(注)複数日については、アスタリスクを付した側がBOEです。
イギリスが加わっていた場合にECBの政策決定が同じだったかどうかとか、逆にその場合のイギリスのインフレ率がどうなっていたかといった点を考慮する必要があり、あくまで示唆にとどまるものではありますが、イギリスにおける2000年から2001年にかけての相対的緩和や、2003年から2004年にかけての相対的引締めが行われなかったとすればどうなったのでしょうか。
上記期間中のイギリス経済のパフォーマンスは次のとおりです。概ね好調といって差し支えなく、こと中央銀行の政策運営としては、通貨統合をした場合に悪くなることはあっても、これ以上良くなるとは考えづらいです(どの程度悪くなりそうなのかを推計できるエクスパティーズはwebmasterにはないのですが)。
| 年 | GDP成長率 | HICP上昇率 | 失業率 |
| 1999 | 2.9 | 1.1 | 4.1 |
| 2000 | 3.9 | 2.1 | 3.6 |
| 2001 | 2.3 | 2.3 | 3.2 |
| 2002 | 1.8 | 2.3 | 3.1 |
| 2003 | 2.2 | 2.1 | 3.0 |
| 2004 | 3.1 | 2.1 | n.a. |
(注)2004年の失業率は、2004-09まで3%未満(1月2.9%から9月2.7%までゆるい右肩下がり)。
■ [economy][BOJ]今日は当預残高が30兆円割れ?
bank.of.japanさんの見立てです。今日のオペ結果は要注目ということで。
予定調和的に“割り込ませました”。本業も含めていろいろ野次り記事を書きましたが、びくともせず。こういうときは日本銀行は確信犯的に動きますので、野次るのは不毛と言えば不毛ですが。次の焦点は、減額するのかしないのか、するなら何をきっかけにするのか。気分は減額方向にあるのように思えます。ただし、日銀の金融政策は「短期循環の遅行指標」とも言われるので、逆噴射の悪寒。
イギリスは(今のところ)うまくやってますよね。ブレアがEU参加に固執するのは、個人的な信念というよりはBalance of Powerのゲームの一環だと僕は思っています。要はアングロサクソンと大陸とのバランスですね。bewaadさんはどう思います?
下限割れを受けて少し書いてみました。
>本石町日記さん
根本にある問題は審議委員の選任だと思っています。政府のオブザーバが決定会合に出席していますが、そこでがたがたいうなら、なんでああいう面々を審議委員に選出するのかきわめて疑問に思います。
>svnseedsさん
イギリスはインフレターゲティングがうまく機能してますよね。マクロでの好調は、やはりその賜物ではないでしょうか。
ブレアのEU指向についてはまったく詳しくないのですが、通貨統合をめぐる議論で独自金融政策のメリットが語られていない(ように見える)のが、イギリスでもそういう問題は大衆受けせず一般には語られないのか、単に日本語に訳される段階でスクリーニングされているのか、前者なのかなぁとは思います。
まあ、一般の日本人が思うほどには、イギリスとアメリカは一枚岩ではないと思ってます。
>韓流好きなリフレ派さん
拝読させていただきました。
やっぱり日銀はゼロ金利解除で処世術のみを学んだのではないか、と思いたくなってしまいます。あのころは景気が回復しているから大丈夫だと大見得を切ったわけですが(その割りに責任取ってませんが(笑))、今回はそうした言質をとられぬよう、しかし意図はきちんと伝わるよう、巧妙なメディアコントロールをしているように見えます。こんな市場との対話などして欲しくないものですが。
ちなみに、当該エントリのURIは下記のとおりです>ご覧になっていない方々
http://reflation.bblog.jp/entry/190624/
最近、僕が注目しているぐっちーさんのブログで、投資家の目から見たユーロの危険性について述べられてました。
bewaadさんはマクロ経済の視点で論じられていますが、このような視点での批判も頷けるものがありますね。
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/210b0ba5c42f42427496fadc1b3c0e99
拝読しました。頭に浮かんだのは、ユーロがドルにかわって基軸通貨になるという人と、中国がアメリカのチャレンジャーになるという人は、実は重なっているのかな、という疑惑です。ぐっちーさんがご指摘のユーロのみかけの拡大と内包する不確実性というのは、中国経済のみかけのGDP拡大と内包する不確実性に相通じる面があるのではないかと。どっちも図体だけはでかいですから(笑)。
なるほど、その疑惑は当たってるかもしれません。
現状のアメリカ一極支配が気に入らず、対抗勢力の登場を心のどこかで願っている人たちが、EUや中国のみかけの拡大を見て、期待をかけてしまうのかなという気がしますね。(笑)
アメリカの対抗勢力が存在したところで、それによって日本の相対的地位が上がるわけではないんですけどね(笑)。