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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2005-06-07
■ [notice]週刊東洋経済に掲載されました
6/11号p23のコラム、「ミスターWho」の少数異見「ブロガーたちの挑戦/メディアの役割とは?」にて、馬車馬さんとセットでご紹介いただきました。webmasterの知る限り、紙メディアでは初めてだと思います。非常に光栄なことで、本当にありがとうございます。
といいつつ、URIも出ていませんで、仮に普段ネットに親しんでいらっしゃらない方々に興味を持っていただけた場合に、当サイトを探し当てていただけるもののか、不安を感じないわけではありません。"bewaad"でぐぐれば一発ではありますが、そうした方々がぐぐることにたどり着くものかどうか・・・。
■ [economy]設備投資の謎
財務省の法人企業統計調査の本年第1四半期結果が昨日公表されましたが、その中でも8四半期連続で設備投資が前年同期比増加していることが注目されています。
ところが不思議なことに、こうしたフローの動きとは裏腹に、ストック(計数は民間企業資本ストック速報(昨年第4四半期)を参照しています)を見ると、伸び率は右肩下がりとなっています。比べてみれば次のようになります。
| 期 | 設備投資増減 | 資本ストック増減 |
| 2002Q1 | -16.8 | 2.6 |
| 2002Q2 | -15.5 | 2.2 |
| 2002Q3 | -12.2 | 2.0 |
| 2002Q4 | -0.6 | 1.9 |
| 2003Q1 | -1.7 | 2.0 |
| 2003Q2 | 6.3 | 1.5 |
| 2003Q3 | 1.5 | 1.4 |
| 2003Q4 | 6.0 | 1.3 |
| 2004Q1 | 10.1 | -0.2 |
| 2004Q2 | 10.7 | 1.5 |
| 2004Q3 | 14.4 | 1.8 |
| 2004Q4 | 3.5 | 1.9 |
| 2005Q1 | 7.4 | n.a. |
(注)2002Q1,2の設備投資を除き、双方ともソフトウェア資産等を含むベース(なお、資本ストックは進捗ベース)。前年同期比。
統計のベースが異なるのですからまったく同じ動きである必要はないのですが、ここまで動きが異なるというのはなかなか腑に落ちません。エントリのタイトルとして「謎」としたのは、この両者の関係はどのように解すればよいのでしょうか、ということです。
資本ストックは実質ベースですとか、個人企業も含むといった相違がありますが、同じく民間企業資本ストック速報には、法人企業統計調査における設備投資とベースが近いと考えられる新設投資額という項目があります。
1981年から追跡可能なので、計数の記載はあまりにも分量が多くなるため割愛しますが(ご面倒ですが、以下をフォローされる方は上記リンクよりダウンロード願います)、1994Q1が転機となってまったく性質が異なっているように見えます。
まず、資本ストック増減(ネット計数)と新規投資額(グロス計数)の相関係数について、1994Q1まで(以下「バブル前・中」とします)と1994Q1以降(以下「バブル後」とします。なお、1994Q1はどちらの期間にも含めています)を見ると次のようになります。
| バブル前・中 | バブル後 |
| 0.34 | -0.15 |
目分量でこれら両者には、新規投資額が1年程度先行する関係があるように見えますので、1年違いで相関係数をとる(例えば、1994Q1のストックと1993Q1のフロー)と、さらに差は明確になります。
| バブル前・中 | バブル後 |
| 0.57 | 0.04 |
つまり、バブル前・中期においては、フローが増えればその1年後にストックが増える傾向にありますが、バブル後期においては、フローが増えようが減ろうが、ストックの動きにはほとんど影響がありません。
他方で、ストック計数自体の動きを見ますと、次のようにこれまた大きな違いが見られます。
| バブル前・中 | バブル後 | |
| 近似式 | y=-0.0028x+6.9507 | y=-0.0652x+4.5512 |
| R-squared | 0.0006 | 0.6965 |
バブル前・中期においては、近似式はほぼ水平で、しかもR-squaredがほぼゼロですから、その時々の投資環境により上下動しつつも、平均すれば7%程度のネット増で安定的に推移していることになります。ところがバブル後期においては、近似式ははっきりとした右肩下がりの傾向を見せ、しかもR-squaredもそれなりに高い値ということで、この2期においては明らかに企業の投資活動が変質していると言ってよいのではないでしょうか。
以上をwebmasterなりに解釈しますと、GDPデフレータベースで見た場合、1995年(暦年)基準値で1994Q3からデフレになっていることが原因ではないかと思われます。1994Q3から計数ベースでもデフレになったということは、期待インフレ率ではその少し前からデフレになっていてもおかしくありません(期待インフレ率の推計はwebmasterの技量の及ぶものではありませんので、単に可能性を指摘するにとどめます)。
バブル前・中期においては、ストックがフローにより左右されているわけですから、売り上げ増を見込めばその分生産能力を増強するための設備投資がなされ、ストック量を押し上げることになりますし、逆に売り上げがそれほど伸びないようであれば、フロー投資が抑制され、その分ストック量の伸びも鈍っていた、という因果関係があると思われます。
他方でバブル後期においては、一貫してストック量の伸びが減少傾向にあるわけで、その間の景気循環には左右されていません。となると、この間のフロー投資の増減は、既往設備の減耗分に左右されていたと考えられます。俗っぽく言えば、まだ設備が使い物になるうちはそれを使い倒して、いよいよ使い物にならなくなったらようやく買い換える、という行動パターンがあるのではないでしょうか。
以上の検討は、途中で「目分量」といったいい加減な要素がありますし、何よりこの手の分析を行う理論的バックグラウンド・経験・スキルがwebmasterには全くありませんので、数字を眺めての素人の思いつきに過ぎません。それらを有した方々による批判的検討の材料にしていただければ幸いです。
■ [politics]岡田代表に見えているものと見えていないもの
郵政民営化法案を廃案に追い込めば解散に持ち込めるにもかかわらず、総選挙は来年だと言ってしまう民主党岡田代表に対して、JSFさんが次のような指摘をしています。
それなのに『衆院選は来年の可能性高い』と言ってしまったという事は・・・今年解散総選挙する可能性は低い、と認めたのと同義です。それとも、廃案に追い込んでも首相は解散なんかしたりはしないだろう、と予測しているのでしょうか。だとしたらそれは見通しが甘過ぎるのではないでしょうか。
民主党の郵政民営化法案への対応については、webmasterも先日取り上げましたが、郵政民営化法案を廃案に追い込むためには次の選択肢しかありません。
- 野党のみでは、審議を引き延ばして、あるいは世論を盛り上げて採決はまずいと与党に思わせて、会期末まで時間を稼ぐ。
- 与党の造反が見込めるのであれば、採決で否決する。
選択肢1については、審議拒否は不発に終わったので引き延ばすにも限界がありますし、世論もはっきりいってどうでもいいという雰囲気が強いので(様々な世論調査の結果に明らかです)、これによる廃案はまず無理でしょう。
選択肢2については、JSFさんも引用している、廃案になったら解散するという小泉総理の脅しは実際には与党内反対派に向けられたものですが、この脅しの効果はてきめんで反対派はせいぜいが条件闘争にしか持ち込めず、とても反対票を投じることはできないでしょうから、やはり現実的ではありません。
したがって、岡田代表の言は、評論家のする情勢分析としては妥当なもので、よく周りが見えているといってよいとwebmasterは思います。ところが、まさにJSFさんが民主党としては郵政民営化法案を阻止する積りは無いのですね?
と指摘しているように、その分析を野党党首が発言することの意味については、全く見えていないと申し上げるよりほかありません。
現に今、郵政民営化特別委員会において、民主党議員が政府案には問題があると主張しているわけです。しかも、まだ法案審議の場は衆議院ですから半分も終わっておらず、現在の論戦の後には参議院での論戦が控えているわけです。そんな段階でトップがそれら論戦はすべて消化試合だと語ってしまっては、下はどうやってモチベーションを高めればよいのでしょうか。
もちろん、本気で解散に追い込むというのであれば、各選挙区で候補者を絞り込み、資金調達を進め(脱線ですが、選挙にお金が必要な実態は、真保裕一「ダイスをころがせ!」にて詳しく描写されています。小説そのものとしても、もちろんおもしろいです)、といった選挙準備も同時に進めなければ言行不一致になります。それをしない以上(本当に選挙が近いのでない限り、これらを進めるわけにはいきません)、言葉がどうであれ本気でないことは見る人が見ればわかることではあります。
でも、そこであえて嘘をつくこともまた(聞いている方が信じたくなるようなものであればなおよし)、トップに求められる資質でしょう。
そのうち小泉総理がこの発言を取り上げて、「民主党は廃案にすべきだなんて言っているけれど、自分たちだって廃案になるなんて思ってないじゃないですか。そんな軽い気持ちで郵政民営化に反対だなんて言うのは、単に反対のために反対しているだけでしょう」などと民主党への攻撃材料にする可能性すらあります。
そんな岡田代表にアドバイスするなら、自民党内の反対派がとりまとめながら、議員提出法案は所属政党における手続を経なければならないとの慣例が壁となって受理されていない日本郵政公社改革法案を、民主党により議員提出することをお薦めします。自分たちが出そうとした法案が審議対象となっているにもかかわらず、条件闘争に食いつくのは反対派としても人目が気になるところでしょうから、ひょっとしたらひょっとするかもしれませんよ?
■ [joke]村上龍を使った文系・理系判別法(回答)
- ブルー=文系
- 「限りなく透明に近い」はあくまで「ブルー」の修飾句と解して、ブルーになります。
- 透明=理系
- 「限りなく・・・に近い」を極限と解して、透明になります。
というわけで、馬鹿話にお付き合いの上、多くの回答をお寄せいただき、ありがとうございます。
- oioiさん:ご賢察のとおりです。
- 塩らーめんさん:ご丁寧に解説いただきありがとうございます。
- ko-jiさん(2005-06-06 20:45):ごめんなさい、そんなに凝ったものではありませんでした。
- BUNTENさん:ベタって言うなぁ〜(泣)。
- messiahtamさん:「そこを何とか、いずれかを選択いただきたい」という当方は文系です。
- 強襲者さん:待った甲斐がない、ということがなければよいのですが・・・。
- ko-jiさん(2005-06-07 03:37):法「回答の前に、相談料をいただきたいのですが・・・」、経「まずブルーであると仮定してみよう」、というのはいかがでしょう?
- トニオさん:文系で正解でしょうか?
「「ミスターWho」の少数異見」(23頁)にbewaad様のblog紹介キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!! (参考:http://www.bewaad.com/20050607.html#p01)
製鉄会社が合併して高炉の数が減ると、生産品目の補完のために設備投資が必要になりますが、でかい設備をつぶすのでストックは減ります。なんとなく重厚長大産業の合併が多かった時に重なるような気がするので。専門家や知見のある人ではないので、単なる勘違いのお目汚しかもしれません。
>ブルー=文系
ガビーン!
限りなく希薄でも宇宙空間はいわゆる真空ではないから、限りなく透明に近くてもブルーを認識できる以上は、いわゆる透明ではないと思った自分は製造技術職・・・
同じ理系でも数学科とエンジニアは違うだろうから正しい設問の仕方は・・・とか考えていた僕は経済学部卒。あるべき答えの姿をイメージして問題を書き直してしまう癖があるらしい。
法学部の方にはとても失礼かも知れませんが、法学部のイメージというと返事は「どういう答えが欲しいかまず聞きましょう」かなと思った次第。
法学部的には、「透明かブルーかで結論がどう変わるんですか?」から入って、いい結論の方を採ります。その肝心の「いい結論」の評価の基準が経験則だけじゃん、というのが常に指摘されるところではあります。
>とおりすがり@透明とブルーは矛盾しない派さん
逆に個別産業の事情に詳しくないので、製鉄業ではそういう動きがあったのか、と勉強になりました。ご教示ありがとうございます。
ネタ関連で
>ヘルールさん
基礎系と応用系という区分けも考えられそうな気がしてきました。
>鍋象さん、大理少卿さん
法学部というか弁護士ネタは、アメリカンジョークでよくありますよね。質問者にまず結論を聞く、というのかエントリに書いたものか、どちらにしようか迷ってました。