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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2005-07-02
■ [law]人権擁護法反対論批判 リジョインダー編(その16)
今回は、Rhapsodyさんからいただいた次のメールについて考えてみます。
(前略)4月19日のブログでApes!NotMonkey様のご見解に対してBewaad様が述べていらっしゃるご見解に、少々疑問を感じましたので、メールを致しました次第です。
該当の箇所を以下に引用させて頂きます。
第3条において、この法案が対象とする人権侵害の範囲が限定されているの部分については、第3条第1項で「次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない」とされていて、これまた何度か触れたとおり「その他の」は例示ですから、結局第3条第1項が対象とする人権侵害とは、同項各号に掲げる行為に代表されるところの第2条第1項で定義される人権侵害だという点に留意いただきたいと思います(これが、「次に掲げる人権侵害をしてはならない」という規定であればご指摘のとおりになります)。
「その他の」が例示であることは、法文の解釈として当然だと思うのですが、問題は何を例示しているのか、という点にあります。
Bewaad様が述べていらっしゃる事を別の方法で表現するなら、「次に掲げる行為」を例としたその他の人権侵害をしてはならない、ということになると思います(だから掲げられた項目以外の項目も、禁止すべき人権侵害の対象足りうるというご意見と理解いたしました)。しかしながら、素人判断で恐縮ではありますが、この部分は、次に掲げる「行為その他の」人権侵害をしてはならないという「人権侵害」についての例示ではないかと考えております。
その論拠ですが、まず、第3条の項目で掲げられている、人権侵害には、取扱い・言動など、行為だけでは括れない項目があるということ。
現在制定されている別の法文を例に出しますと
【刑法第175条】
わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。これを「」で括るとしたら、わいせつな「文書」、「図画」「その他」の物であって、「わいせつな」という形容詞は例示されているいずれの項目にも付くと思います。
また、
【投資信託及び投資法人に関する法律第5条6】
6.受託者及び委託者の受ける信託報酬その他の手数料の計算方法並びにその支払の方法及び時期。これを同じように「」で括るとしたら、受託者及び委託者の受ける「信託報酬」「その他」の手数料となると思います。
これらから類推すると、人権擁護法第3条1項が対象とする人権侵害とは、同項各号に掲げる行為など(=取扱いや言動)に限定された第2条第1項で定義されている人権侵害であると考えますが如何でしょうか?
しかし、こういった形容動詞+名詞にその他の例示が付いている場合、形容動詞まで含めた例示と取るべきなのか、名詞部分だけの例示ととるべきなのか、法文の場合には、明確な規定があるのでしょうか?
人権擁護法案第3条の下の項目が例示であっても、確かにそれほど拡大解釈は出来ないのかも知れませんが、項目に限定されていれば、拡大解釈の余地はかなり少なくなると思っております。
(後略)
まず、刑法第175条について申し上げれば、「わいせつな文書、図画その他の物」を法令用語の用法に依存しなくとも意味が明確になるよう書き直してみますと、「わいせつな物(例えば文書や図画)」ということになります。「頒布し、販売し、又は公然と陳列」してはいけないものは「わいせつな物」であって、文書や図画はその「物」という名詞の具体例です。投資信託及び投資法人に関する法律第5条第6項第6号についても同様に、「受託者の受ける手数料(例えば信託報酬)」ということになります。
#この投資信託及び投資法人に関する法律第5条第6項第6号、本来であれば「受託者並びに受託者の・・・」と規定すべきだったのではないかと(いわゆるチョンボ)。現行規定では、「受託者の支払いの方法及び時期」というわけのわからないものが求められることになってしまいます・・・。
ということで、「形容動詞+名詞にその他の例示が付いている場合、形容動詞まで含めた例示と取るべきなのか、名詞部分だけの例示ととるべきなのか」という場合、名詞部分だけの例示ととるのが原則です(古い法律を含め、全てがそうである保証はできませんが、最近の内閣提出法案であれば内閣法制局でそのように添削(笑)されます)。というのも、例に挙げられるものが名詞であれば、例は(相対的な)抽象名詞と置き換え可能であるべきですが、抽象名詞自体に形容詞や形容動詞の趣旨が含意されていない場合、それらを置き換えれば意味するものが大幅に変わってしまうからです。
逆に言えば、形容詞等を含む句が例示であれば、例示される句もまた形容詞等を含むものとして規定することとなります。刑法第175条を仮にそうした形で書き直すなら、「性交の状況を描写した文書、学術の目的等の正当な目的を有することなく性器を表示した図画その他のわいせつな物」といった具合でしょう。この場合、「物」ではなく「わいせつな物」の例示として、「性交・・・文書」、「学術・・・図画」という2つの句が挙げられていることとなります。
人権擁護法案に関して申し上げるなら、仮に第3条第1項について「・・・その他の人権侵害」が第2条で定義される人権侵害よりも狭い範囲を意味することとしても、実はそれだけでは反対派の懸念を拭うことはできません。というのも、一般救済はあくまで何の形容詞等もつかない裸の人権侵害(例えば「第3条第1項各号に掲げる人権侵害」といったものではありません)による被害等をそのトリガーとしていますから、結局は第2条の定義に当てはまるかどうかが問題となります。
第3条第1項柱書をどれだけ限定的に解することとしても、第3条第1項違反に対する規定が何も置かれていない人権擁護法案においては、法的な効果はほとんどないといっても過言ではないというのがwebmasterの理解です。
#このエントリは、以下の一連のエントリの続編です。
- 本編
- 前編(3/13)、後編上(3/14)、後編下(3/15)、趣旨説明編(3/29)、faq編(4/9)
- リジョインダー編
- 1(3/17)、2(3/18)、3(3/19)、4(3/20)、5(3/21)、6(3/22)、7(3/27)、8(3/30)、9(3/31)、10(4/2)、11(4/4)、12(4/5)、13(4/8)、14(6/11)、15(6/30)
- 法案分析編
- 1(3/24)、2(3/26)、3(4/1)、4(4/10)、5(4/11)、6(4/14)、7(5/21)
- 正誤訂正編
- 1(3/25)、2(4/6)
- 百地教授編
- 1(4/20)、2(4/21)
- マスメディア編
- 1(6/10)、2(6/14)
■ [economy]「真の失業率」推計最新版(2005-05現在)
恒例の今月分です。「15歳以上人口」の値が入手できず(本来それが掲載されているはずのエクセルファイルへのリンクをクリックしても、ダウンロードしたファイルは先月分のまま・・・)、代わりに労働力人口と非労働力人口の和を用いましたので、それぞれの四捨五入によっては若干の誤差があり得ます。
年月 完全 真の 15歳以上 就業者数 完全 真の 失業率 失業率 人口 失業者数 失業者数 1990 2.1% 3.2% 10,089 6,249 134 204 1991 2.1% 2.4% 10,199 6,369 136 155 1992 2.2% 2.2% 10,283 6,436 142 142 1993 2.5% 2.8% 10,370 6,450 166 183 1994 2.9% 3.4% 10,444 6,453 192 228 1995 3.2% 4.0% 10,510 6,457 210 266 1996 3.4% 4.1% 10,571 6,486 225 276 1997 3.4% 3.8% 10,661 6,557 230 262 1998 4.1% 5.1% 10,728 6,514 279 348 1999 4.7% 6.3% 10,783 6,462 317 435 2000 4.7% 7.0% 10,836 6,446 320 485 2001 5.0% 7.9% 10,886 6,412 340 551 2002 5.4% 9.4% 10,927 6,330 359 660 2003 5.3% 10.0% 10,962 6,316 350 700 2004 4.7% 10.0% 10,990 6,329 313 705 2004/Q1 5.0% 11.3% 10,983 6,236 329 793 2004/Q2 4.8% 9.4% 10,992 6,372 321 663 2004/Q3 4.7% 9.3% 10,988 6,379 314 653 2004/Q4 4.4% 10.1% 10,998 6,326 290 713 2005/Q1 4.7% 11.3% 10,982 6,236 305 792 2004/5 4.8% 9.2% 10,995 6,389 319 644 2004/6 4.6% 9.3% 10,982 6,374 309 654 2004/7 4.8% 9.3% 10,984 6,373 318 657 2004/8 4.7% 9.0% 10,985 6,395 314 635 2004/9 4.6% 9.5% 10,994 6,369 309 667 2004/10 4.7% 9.7% 10,997 6,352 311 686 2004/11 4.4% 10.2% 11,003 6,322 290 720 2004/12 4.1% 10.4% 10,995 6,306 270 731 2005/1 4.5% 11.1% 11,004 6,261 296 782 2005/2 4.7% 11.6% 11,003 6,224 308 818 2005/3 4.8% 11.1% 11,003 6,260 313 782 2005/4 4.7% 9.7% 10,994 6,352 310 684 2005/5 4.7% 8.6% 11,000 6,435 307 605 C/(B+C) D/(B+D) A B C D=Ax0.64-B (直近月次ボトム) 5.8% 11.6% -- 6,193 384 818 (03/3,4) (05/2) (03/2) (03/3) (05/2) (注) ・ソースは総務省統計局の「労働力調査」(http://www.stat.go.jp/data/roudou/2.htm)。 ・月次データは原数値を用いている(季節未調整)。 ・「真の」値は、1992年の労働力人口比率0.64(直近ピーク)を15歳以上人口に乗じた数を労働力人口として算出。 ・少子高齢化の進展による労働力人口比率のあり得べき低下は考慮していない。
就業者数が6,400万人台を回復したのには要注目かもしれません。
#過去の計数は以下のとおりです。
■ [government]公文書アーカイヴス
公文書アーカイヴスに関する意義深い日経の連載をgachapinfanさんがご紹介です。webmasterも個人的にはアーカイヴスの整備は大賛成ですし、多くの霞が関の住人もそうだと信じているのですが、アーカイヴスに転ずる前段階での文書管理に実は重大な問題があります。多くの部局においては日常業務で手一杯で、丁寧なインデックス作成や整理・保存が滞りがちです。本来、各課に1人文書管理専担者がいてしかるべきだと思うのですが、実際は皆兼任ばかりで・・・。
■ [government][economy]採用担当者の質問
官庁訪問中の学生のページをbank.of.japanさんがご紹介ですが、その中で標記の出題が。具体的には次のとおりです。
まず財務省。
今日は財務省に行ってきました
(略)
さて面接
- 銀行の抱える本質的な問題点は何か?
- 金利低下の本質的な原因は何か?
- 理系のどんな能力が行政に生きるか?
等々、考えさせる質問多数
「官庁訪問 第2日目」(@naoya1981の日記6/23付)
3問目への回答は割愛しますが(webmasterは理系でないですし)、webmasterが回答するなら、1問目は「1つには資産のリターンは全体の傾向としては名目成長率に同調する一方、負債のリターンにおいては元本保証を求められるので、マイナス名目成長率が継続するような状況においては、事業継続が困難となること。2つには決済ネットワークでつながっているので、その機能維持が求められるにもかかわらず、思わぬ同調的行動による機能停止の自己組織化があり得(最近スティーヴン・ストロガッツ「SYNC」を読んでいて、それに思いっきり影響されてます(笑))、それは個別の銀行をどれだけきちんと監督しても防止できない」、2問目は「実質金利が仮に低下するとすれば、それは潜在成長率の低下によるもの。名目金利の低下は、実質金利の低下によっても起こりえるし、実質金利が低下しなくてもインフレ率が低下すれば低下する」といったところでしょうか。
続いて金融庁。
その後色々話が進み、銀行はリスクマネーの供給を求められる反面、健全な経営も求められる
この矛盾を行政はどうすべきかとの質問
「官庁訪問 第4日目」(@naoya1981の日記6/27付)
先の財務省担当者への回答にも相通ずるものがありますが、「銀行はその負債特性から自ずと負担できるリスクには限度があるので、リスクマネー供給には異なるビークル(各種の投信やファンドなど)の整備をもって対応し、あまり銀行にその役割を求めない」といったものがwebmasterには思い浮かびます。
さて、両省庁にはこれで採用してもらえるのかな?(笑)
■ [comic]機動戦士ガンダム CDA 若き彗星の肖像(@ガンダムエース8月号)
予想どおり、ハマーン様が髪を切りました。次のステップとして、鰻谷さんご指摘の目の変化が起こるのがいつか、要注目でしょう(笑)。
こちらには初めてお邪魔します!
いつもみっちりお勉強させていただいてます。ありがとうございます。
ガンダムAは旦那が好きで買っていたのをちょろっと見た事があるんですが、ご幼少のみぎりのハマーンさま、確かに可愛らしくてクラクラした記憶が…(w
あのお顔のまま、アニメ版の髪型になられたと言うことは、もしかしてもうそのものズバリ『ミン○ーモモ』なのでは…?と、かなりどきどきしてしまっているんですが。
ええ、実は私モモ好きロリコン属性持ちなもので…
…今月号は見せてもらおう…(笑
ストロガッツの『SYNC』、まさに昨日読み始めたところで。こんなところにも同期現象が…
>cioさん
もうご覧になったかもしれませんが、あの髪型かというとそうでもなく、まださなぎといったところでしょうか(笑)。今はまだデレデレなので、はやくツンデレに進化して、方やバストは退化してほしいものです(笑)。
>Apemanさん
あの手の本の欠点は、世の中にはとんでもなく頭のいい人間がいると思い知らされて、わが身を振り返るとペシミストにならざるを得ないところですね(泣)。
平山あやちゃんですか、知らんなあ 笑。
個人的にはしばしばyahooのトップページでその三白眼?的ニヒルな風貌にかなりひかれる(映像みるとそんなでもないけども)岩佐嬢のブログがはじまりましたねえ〜。コメント欄があるのでその意味ではすばらしいです。コメント欄かTB送れないのはだめですよ。
遠野凪子ブログもぜひTBかコメント欄お願いします
ってここでいってもなあ〜。
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/iwasa_mayukojp/
上がブログのアドレスでした。
そういえば山田優問題に続いてアイドル(セレブ?)のプチ経済学第二弾そのうちでます。
Bewaad様、
大変詳細かつ判り易いご解説を有難うございました。結局、この法案の第三条1項に該当するのは、かなり限定された人権侵害ということで、これは即ち、特別救済の対象となる人権侵害もかなり限定されたものであるということですね。一般救済は、確かに漠然とした広い対象ということになるのでしょうけれど、一般救済に該当する場合に人権委員会や人権擁護委員が出来ることには、大した強制力は無いようですね。
ネットでこの法案について取り扱っているサイトの中には、人権委員会に人権侵害をでっちあげられて氏名を公表されるとか、この法案が施行されると言論の自由が全く無くなるとか、とんでもないデマを流しているところもありますが、この法案が制定されても、そういったとんでもない事態は有り得ないということですね。まあ、この結論は当然と言えば当然ですが(笑)。
ただ、法文の解釈と言うのは、やはり一般人にとってはかなり難しいので、こういったデマが簡単に生じる要因となっているのではないかと考えております。
>韓流好きなリフレ派さん
平山あやは、かつて下記で紹介したように、山形さんの一押しでもあります。
http://bewaad.com/history.html#Jul2703
岩佐真悠子といえば、今度「がんばっていきまっしょい」に出ますが、そこに出てくる相武紗季を気に入ってます(彼女のことは何度か取り上げましたが)。岩佐真悠子も嫌いなわけではないですけれども。
>Rhapsodyさん
最近は、こうした法律の規定でなく内規に基づいている現在の人権擁護行政の方が裁量の余地が大きく危険であろう、というロジックを使うことが多いのですが、それについてはまだ反論はないようです。
法律の性質が不安の原因となっているというご指摘はそのとおりだと思います。当サイトについても、そうした状況に対して微力を尽くそうと思ってやっている部分もあるのですが、法学に関しての「トンデモ本の世界」等があればなぁと思ったりもします。
エントリーへのTBありがとうございます。金融庁の面接官の質問に対するbewaadさんの回答に賛同いたします。特に「銀行はその負債特性から自ずと負担できるリスクには限度がある」のは正論であります。銀行経営を資産サイドから語る向きが、銀行アナリストにもいたりして困るのですが、実は負債特性から見るのが正しいわけです。リスクを取らないと収益は生まれないものの、元本保証の預金が負債にある以上、エクイティみたいなリスクマネーの供給は背任行為ではないかと思ったりします。
だからといって金融庁のようにポートフォリオ構成にかかわらず一律に株式保有にキャップをはめるのもどうかというのがあり、そう考えるとあれこれ陰謀論はありますが、BIS規制は方向としてやっぱり正しいんだなぁと思います(もちろんテクニカルに改善の余地はいろいろあるでしょうけれども)。
いや、ハマーンの話ではなくw
リスクテイクが出来るかどうかは、一義的にはバッファ(自己資本)の水準によりますし、メガバンクのような超巨大企業では、分散投資も相当程度可能ですので、一概にはリスクテイクが難しいとは言えないでしょう。また、リスクテイクは収益を生み、バッファを増加させますから、適切なリスクマネジメントの下では、リスクテイクと健全な経営は背反しません。(過少資本は個々の銀行の問題ということで。)
また、出資者(もしくは債権者)が、積極的なリスクテイクを目的としているヘッジファンドであっても、どんなリスクでも取って良いわけでもありませんから、あくまで負債の持つリスク(銀行だったら比較的短い金利の金利リスク)と、資産サイドのリスクのマッチングの問題なんだと思います。元本保証はリスクテイク能力を下げる要因ではありますが、一般企業は借入を行い、事業リスクを取っているわけですから、決定的な要因ではありません。
ですから、個人的には「あまり銀行にその役割を求めない」というよりは、「あまり銀行『ばかり』にその役割を求めない」、というほうが良いかと思います。(まぁ、それも今は投資銀行部門も、証券子会社もあるので、業態自体は曖昧になってきていますが。)