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2005-07-10
■ [economy][politics]煙の火元は有りや無しや
「郵政民営化ってなに?」(@若隠居の徒然日記7/8付)において、郵政民営化はハゲタカ外資のためである、アメリカの言いなりになっているに過ぎないという話の裏を取ろうとし
た若隠居さんに対して、JSFさんから妄想で練られた陰謀論の裏など取れるわけがないじゃないですか
というコメントがあったのですが、調べたところ面白いものが引っかかりました。
安部幹事長代理の説得に応じず青票を投じて一躍全国区の知名度を得たと思われる城内実議員が、6/7の衆議院郵政民営化特別委員会において質問しているのですが、その中の次の発言がいちばんよくまとまった陰謀論ではないかと思います。
○城内委員 こういった買収防止策が進んでいると言われているアメリカですら、成功率が三五%、そして失敗率が四〇%という非常に愕然たる数字なんですが、我が国においてはまだまだこういった実例もございませんし、先般のライブドアとニッポン放送、フジテレビをめぐる争いでも、裁判をやると負けてしまう、こういう状況でございますので、私は本当に、外資がどっと入ってきて、さんざん買いたたいて、利益だけ吸い取って後去っていくというようなことが非常に心配なわけでございます。
それでは、時間も余りありませんので、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
次の質問は、アメリカ政府の対日イニシアチブ、対日要求についてでありますけれども、私は、ここ数年、我が国の郵政民営化問題について、アメリカが相当高い関心を示しているんだなというふうに思っております。これは非常に日本の国民の関心が低いのに比べて、なぜかアメリカ政府、そしてまた在日米国商工会議所さらには米国生命保険協会が、累次にわたり、いろいろな形で郵政民営化についての要求をしているというふうに伺っております。
例えば、アメリカ政府は、九四年の日米保険合意で簡易保険商品の拡大についての協議開催を取りつけ、また九五年には簡易保険を廃止してくれというようなことを要求したというふうに伺っております。そしてまた、昨年来、在日米国商工会議所や米国生命保険協会は、我が国の郵政民営化について、節目節目にいろいろな形で、民営化を早くやってくれというふうに言ってきていると承知しております。
そこで、質問ですけれども、郵政民営化準備室が発足したのが昨年の四月ですから、この昨年の四月から約一年間、現在に至るまで、郵政民営化準備室に対する、米国の官民関係者との間で郵政民営化問題についての会談、協議ないし申し入れ等、こういったものが何回程度行われたのか、教えていただきたいと思います。
つまり、外資というものは買収して利益だけ吸い取ったら転売してしまう可能性が高いという外資系企業に対する評価(引用部の前には長銀という名前が出ていますから、新生銀行とリップルウッドが典型ということでしょう)と、アメリカ政府やアメリカ企業団体がいろいろと要望しているという事実が、この議論を支える二本柱ということになります。ではこの懸念は合理的なものなのか、それとも単なる陰謀論なのでしょうか。
まず外資系企業に対する評価ですが、いみじくも城内議員がライブドアの例を出しているように、日本人だからって敵対的買収をしかけないわけではありません。長銀にしたって、リップルウッドより高い値段をつける投資家がいなかったからリップルウッドが買ったまでで、そのリスクテイクの結果設けたことに対して文句をつける筋合いのものではありません。
続いてアメリカからの要望ですが、上記引用部のほか、次のやり取りも参考になります。
○竹中国務大臣 お尋ねの米国生命保険協会でございますが、昨年来、郵政民営化に関連をいたしまして、完全なイコールフッティングが確立するまでは郵便保険会社は新商品の発売を認められるべきではない等の主張をする声明等を出していると承知をしております。同協会のホームページによれば、昨年三月以降現在まで、九回の声明等を発出したものというふうに承知をしております。
内容についてということですので、もう少しお話しさせていただきますと、米国生命保険協会は、郵政民営化法案に関し、五月十七日付で、この協会は引き続き日本の郵政民営化法案に懸念と期待を表明すると題する表明を発表したというふうに承知をしております。
声明でありますけれども、郵便保険会社と民間事業者との公平な競争条件に関しまして、幾つか述べております。郵便保険会社の業務拡大の客観的基準が不透明である、業務拡大のプロセスにおいて利害関係者が意見を述べる機会が保証されるべきである、移行期において郵便保険会社の規制監督に総務省がかかわるべきではない、地域貢献基金がどのように使われるかが明確でない等の懸念を述べるとともに、小泉内閣の取り組みを支持しまして、日本政府とのさらなる対話を期待するというふうに述べていると承知をしております。
(略)
○城内委員 今、竹中大臣、だれがどうこう言ったからということでなく改革を進めていくというふうにおっしゃったわけでありますけれども、今議論している郵政民営化関連法案の中身、内容で、アメリカの要求に全く沿えなかったものというのはあるのでしょうか。そこをもしおわかりでしたら答えていただきたいと思います。
○竹中国務大臣 アメリカの要求というのを詳細に、ですから、だれがどう言ったからこうするということではないわけですから、アメリカの言っていることを詳細に、正直言って検討しておりません。
ただ、一例としてすぐに思いつくのは、今ちょっと申し上げましたけれども、完全なイコールフッティングが確保されるまで郵便保険会社は新商品の発売を認められるべきではないという主張をしているわけですが、これは我々の今の制度設計とはやはり違っているわけですね。
私たちは、経営の自由度をできるだけ持っていただこう、もちろんイコールフッティングは大事だけれども、透明性、公正性のあるプロセスを経て、段階的にやはり業務拡大をしていっていただこうというふうに考えているわけであります。そこに民営化委員会の公正なプロセスを経て、そのことをしっかりやっていこうというわけでございますから、先方がどういう趣旨で言っているのかはともかくとしまして、そこは、文面を解する限りはやはり違っているというふうに思っております。
城内議員が最初の引用部分でご紹介の94年の保険合意及び95年の要求、そして竹中大臣がご紹介のアメリカ生命保険協会の声明を整合的に整理するなら、アメリカサイドの要望は次のようなプライオリティになっているものと考えられます。
- 廃止
- 存続するというなら、業務拡大禁止
- 業務拡大を認めるなら、完全なイコールフッティングが確保された後
- 完全なイコールフッティングが確保される前に業務拡大を認めるなら、客観的基準の整備、利害関係者(外資系を含むと考えてよいでしょう)の意見表明機会が必要
もちろんアメリカだって業界エゴもあるでしょうから手放しにほめるのもなんですが、いいこと言っているじゃないですか(笑)。で、民営化して業務拡大を自由にするのですから1と2は無視、3も竹中大臣が明確に否定していますから、これまた聞き入れられていません。4まで蹴っ飛ばしているかどうかは裏を取るのが面倒なので略しますが(特に基準が曖昧かどうかといった議論は食傷気味ですので。笑)、仮に意見が受け入れられているとしても、アメリカにとって見れば最悪でもそれだけは確保しないと、といったレベルのものにとどまっています。
というわけで、やっぱり陰謀論の類である可能性が高いように思われます。
#城内議員は外務省出身なのですが、そういう職員が外交を担当していたなんて・・・orz
ありがとうございます。
実は城内議員のその質問に疑問をもったんです・・・orz
最初は城内議員の郵政民営化反対の理由はなんだろうと思って調べていたのですが、元大蔵省出身で郵政民営化に反対の議員さんのサイトで城内議員の質問が紹介されていたので、そこからです。
郵政民営化にまつわる陰謀論といえば、テレビで「ブッシュは小泉に郵政民営化するようにさんざん催促している。それは郵貯・簡保の350兆円をつかって米国債を買い支えさせるためなのだ」みたいな話を真面目にやってる人もみましたよ。誰とは言いませんが、それはM永某という経済学者で、彼は経企庁にいた元お役人なんだそうです。
外務省・大蔵省・経企庁、、、この手の陰謀論って中央官庁の皆さんはお好きなのですね。(うわ、イヤミやなw)
そういう人はきちんと実名を明かしていただかないと(笑)
陰謀論を好むのは中央官庁を「やめる」皆さん・・・だと信じたいですorz.
外務省の人は、仕事柄そういう陰謀論にのめりこんでいる人、意外に多そうですね。意思決定のまわりの少数の人の「内話」などをなんでも「秘」とかつけてレポートして、その中身がどぎつくて結果として正解だったら評価されるみたいな風土もあるらしいですし。もう少しマクロを見て、その中で「内話」の位置づけをパズルをはめ込むようにやっていくような仕事振りが必要なんでしょうけど、多くの人は現象面を追うのに流されて、誰がキーパーソンなのかとかそういうのを探るので手一杯みたいです。
日本であれば「キーパーソン」が実は周りのマクロな空気を総合して答えを出している(し、そうでないとキーパーソンにはなれない)という実態があるのに、外国の情勢分析ではキーパーソンの個人的な意思をやたら重視するのは、陰謀論好きに相通ずるものがあると思うのです。
まあ、個人的な顔見知りの片言隻句で判断しているので、これも陰謀論レベルの話なのかもしれませんがw
>常夏さん
第一線の人間が自分の主観で情報を加工したりせず、生のものを上げること自体はいいと思うのですが、それをバックオフィスにおいてすら、他のものとつき合わせること等をしないとしたら問題ですね。第一線をも経験して、そこでのそういうメンタリティを知っている人間が、その分眉に唾をつけて聞くようでないと、と思います。
関西ローカル番組にて、青山繁晴氏(元政治記者なんだそうですね)が、例の城内議員が頭を抱えていたのは「あれは芝居」とおっしゃったそうな。安倍議員の説得は本気だけど、城内さんのはお芝居で腹はとうにくくっていたはずだ、ですって。テレビに写るからお芝居が入るのでしょうけれども、つくづく、政治家って大変ですね。
安倍幹事長代理の党内での影響力の源泉の一つは若手の圧倒的多数の支持を受けていることなのですが、いわば子飼いの城内議員を御し切れなかったことは、安倍幹事長代理の顔に泥を塗ることであるのは間違いないでしょう。青山さんの解説は存じませんが、お芝居だとすればそれは安倍幹事長代理に配慮してのことで、選挙区事情等からの反対の決心を、安倍幹事長代理に説得されたからこそ大いに迷った(他の人の説得であればそんなことにはならなかった)、という形を整えるためではないかと思います。
ま、西村さんのところでは人権擁護法案反対運動の一環だということになっていたりもしているわけで、さまざまな要素が絡み合ってのことには違いなく、あくまでそうした見方もできるということですが。