archives of BI@K

CSS: default alternative
(要cookie)

toppage memoranda

(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|

2005-07-19

[government][politics][economy]真の「敵」は誰だ?@障害者自立支援法案

「先日、衆議院で可決した障害者自立支援法案に対するさまざまなブログの反応」(@+ だ ちょう +(駝 鳥)7/17付)において、障害者自立支援法案についての反対意見がとりまとめられているのですが、多くの批判がまずは法案を作成した厚生労働省、次いで郵政や公共事業といった「既得権」(財源がないなら、障碍者向け支出よりもまず彼(女)らへの支出を削れ、というものです)に向けられていまして、それを見てちょっと切なくなってしまいました。

というのも、この法案が作られた源はなにかと見ていけば、経済財政諮問会議に行き着きます。厚生労働省からすれば、諮問会議においては、まずは支出すべき内容ありきで考えるべき(彼(女)らの言葉では「積み上げ」)であるということをねばり強く主張しているわけですが、基本的にその主張は理解を得られずに今に至っています。諮問会議の決定はそのまま閣議決定として政府全体を拘束することになるので、厚生労働省としては先日まで自分たちが発言していたようなことを障碍者たちから言われ、それに対して諮問会議の民間委員が言っていたような反論を職務上せざるを得ません。切ないなぁ。

#そういう諮問会議のやり口、すなわち改革の担い手としての名声は独占し、他方で汚れ仕事は各省庁に押し付ける手法もまた、webmasterの諮問会議への低い評価の一因ではあります。

また、自らのパイを増やそうとする際、ポジティブサムな経済状況であれば他人のパイを奪う必要はないのですが、ゼロサムであるなら他人のパイを奪わなければなりませんし、ネガティブサムであれば現状維持すらパイの奪い合いです。本来ポジティブサムを達成する責任があるはずの経済財政諮問会議が、そこに頬被りしてゼロサムを当然視し、その前提の刷り込みが行き渡った結果、程度に差はあれ政府から資源配分や所得再分配を受けるべき者同士がパイを奪い合い、結果としてものの見事な分断統治にはまっているわけです。切ないなぁ。

経緯を振り返ってみましょう。昨年度において社会保障改革が経済財政諮問会議で初めて議論されたのは第11回会議(5/19開催)ですが、その際の牛尾委員の次の発言が、既にその後の方向性を物語っていたと言えます。

(牛尾議員)(略)

財政審も書いているように、名目成長の範囲以外のことはできないとはっきり自覚することが必要。高齢化もあるし、少子化にもなる。税収は減るかもしれないが、そこで工夫しながらどうするかということが政治の決断であって、法律がこうなっているから、ということであれば法律を変えればいい。この経済財政諮問会議というのは、そういう根本的な中長期にわたる大きな決断をするために、われわれ民間人の気持ちも入って議論している。民間経営者というのは、会社の存立を最優先する。郵政の民営化のときにもあったが、初めから利益が出ないようなら民営化なんて意味がないというのと同じように、会社の存立条件、経済の範囲の中しかできないということが民間経営者の基本である。

民間経営者の立場から言うと、すべての予算が名目成長の範囲内でしか上がったり下がったりできないということは当たり前のことで、更に減らしていかなければならないことだってある。ただ、はっきり言えることは、安全と安心に関しては国際情勢、治安、防衛、サイバーテロと色々な問題が出て、費用がこれから増えてくるということ。これは残念ながら割くことができない最優先の課題、国家の基本的な責任と権利である。

そういう項目が立ったときに、本間議員や吉川議員が仰るように、厚生行政に対する時代認識にかなり我々との間に落差があり過ぎるという印象を持った。坂口臨時議員が社会保険庁の記者会見で激怒されている姿を見て、その苦悩のほどは十分共鳴している。しかし、全体として、今日の資料を見て私は愕然とした気持ちであり、もう少し時代の要請というもの、改革なくして国の存立はない、ということを我々は遵守していきたいと思う。

民間経営者の立場を振りかざすなら、売上げ(ここでいう名目成長に相当)をのばすことができなかったことの責任についても一言あってしかるべきでしょうに、そちらについては外部変数で自らの責任ではありませんと言わんばかりに黙殺する姿はいかにもアンフェアであろうとwebmasterには見えるわけですが、とまれこの発言に代表されるような雰囲気が諮問会議を支配し、基本的に厚生労働省は如何にこの注文を値切るかという守勢一方で、そもそも論などできる状況にはありませんでした。

続く第12回会議(5/28開催)において提出された、いわゆる骨太の方針の原案にて、例の「人間力」の一つとして障害者の雇用・就業、自立を支援するため、在宅就労や地域における就労の支援、精神障害者の雇用促進、地域生活支援のためのハード・ソフトを含めた基盤整備等の施策について法的整備を含め充実強化を図る。という一節がいきなり挿入されました。骨太の方針自体は、第9回会議(4/26開催)から議論されていますが、webmasterがチェックしたところ(見落としがあれば訂正します)、障碍者の自立という言葉は第11回まで何ら議論されていませんし、この第12回にはそもそも坂口厚生労働大臣(当時)は出席を求められていませんので、議論のなされるはずもありません。

さらには三位一体とのからみもあります。今回の法案の青写真となった「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」については、厚生労働省事務局(社会・援護局障害保健福祉部の村木企画課長)から次のような説明もありました。

○村木課長

三位一体との関係が一部の委員の方からありましたので、それについてお答えをしたいと思います。今回の三位一体の議論の中で、私ども障害福祉の分野がほとんどの補助金、負担金が大きな制度改革の見直しの中で検討すべきものとして地方への移譲を相当部分が外されております。そういう意味では、私どもはこれからの障害保健福祉の制度のあり方がどうなるのか。とりわけ、国と自治体との役割分担がどうなるのかということをきちんと絵をかいて、地方自治体にお示しをする必要があるのだろうと思っております。で、今回のグランドデザインは先ほどもご説明したように、私どもとしてはかなり三位一体の議論や地方分権に沿ったものとして書いてみたつもりでございます。そして、基礎的な自治体がサービス提供の主体を担い、それからまだ非常に未成熟な分野のある障害者福祉について、枠組みづくりは国がもう少しやらせていただくという形で絵をかきました。この案をここでご議論いただくとともに、地方自治体の方々、6団体の方々ともよく議論をして、自治体の方々が納得できる軽の絵にしていくという作業が必要かと思っております。

これだけ外堀を埋められているわけですから、厚生労働省の制度設計の自由度はたいしてありません。その範囲内で改善の余地はあるかもしれませんが、改善したところでたかがしれています。具体的な議論ということで昨年度の議論から追いかけてみましたが、潜在的国民負担率について。これは、過去において問題点や使われ方について、十分我々は議論してきたのではないか。しかも昨年、基本方針2003で、閣議決定もしているわけであり、それを改めてまた持ち出して、使われ方も含めての有り様について問題提起をしているというのは、如何なものか、というのが私の印象であると第11回諮問会議で本間委員が発言しているように、実際には一昨年度に勝負はついてしまったようなものです。

逆に言えば、まずは熱狂的な改革支持の中でまず総論を固めてしまい、その後いわゆるゾンビ企業、道路に代表される公共事業、郵政、社会保障などの各論において抵抗勢力を分断撃破した小泉政権の戦略は、それが意図したものか意図せざるものかは知りませんが、見事なものだったとは言わざるを得ないでしょう。それが多くの人にとってどのような結果をもたらしたのかはさておき。

[economy]「新しい公共」の存在不可能性

上記エントリの補足のようなものですが。

「労使の「新しい公共」」(@吐息の日々〜労働日誌〜7/15付)や「新しい公共理念?」(@ニート・ひきこもり・失業 ポータルネット7/16付)で取り上げられている「新しい公共」ですが、経済学的に言えばソーシャル・キャピタル理論に立脚しているようです。

信頼だの公だのというとうさんくささ爆発(笑)ですが、webmasterの理解では、ソーシャル・キャピタルとは情報の非対称性や将来の不確実性を緩和する社会的コミュニケーションと整理可能だと思います。知っている人から買う中古車は知らない人から買うそれよりも「レモン」であるリスクは低いでしょう。グラミン銀行が貧困層を対象に融資をしてもなお回収率が高いのは、隣近所同士で連帯保証をさせて夜逃げ等々のリスクをヘッジしているからです。

さて、上記エントリのような「分断統治」の結果、社会の各集団が互いをパイを奪う対象として敵視しあう状態というのは、こうした社会的コミュニケーションにとってプラスかマイナスかと言えばマイナスなわけですから、経済財政諮問会議が今後の経済成長率は低位安定にならざるを得ないということについては、自ら推進するソーシャル・キャピタルの毀損も貢献するところ大ではないかと(笑)。

本日のツッコミ(全7件) [ツッコミを入れる]
BUNTEN (2005-07-19 05:24)

私の認識は

>経済大国になったらなったでデフレを起こしてビンボに逆噴射し、低福祉のままにしておく

というのがお国の方針である、というものだったりします。

bewaad (2005-07-20 04:20)

お国なんてものは寄生虫のようなものですから、宿主には豊かであってほしいと賢明であれば思うはずなんですけれども・・・。むしろ以前ローレライに関連して書いたように、一般の潜在意識にご指摘のような心性があるのかな、と思ったりもするのですが。

BUNTEN (2005-07-20 05:36)

ここで私が言っている「お国」は、国家機構あるいはその構成員ではなく、どっちかというといわゆるブルジョアジーあるいは支配階級という意味あいです。経済財政諮問会議でいうなら、いわゆる民間の方々が該当するかと。m(_@_;)m

ビンボ話になると、どうしてもマル系な発想が頭をもたげてしまいます。申し訳ありません。m(_@_;)m

BUNTEN (2005-07-20 05:41)

あと、"老人福祉は枯れ木に水を〜"だの"鳴かないように〜むしる"とかのたまった某政治家とかもその眷属かと。

bewaad (2005-07-21 04:36)

その手の発言で幽明なのは「貧乏人は麦を食え」でしょうけれども、むしろそのようにはっきり言ってくれる方がましだと思います。努力すれば誰もがいい生活ができると口当たりのよいことを言い、裏返しで生活苦の人々は努力が足りないからだと倫理的にも非難する方がたちが悪いのではないかと。

BUNTEN (2005-07-21 05:41)

ちなみに、"羊が鳴かないように毛をむしる"とかのたまって消費税を入れた某氏には、"羊の毛は刈るもんだ、むしってどーする"、というツッコミが入ってました。
あの"むしる"発言は"はっきり言った"と評価すべきなのか、意味不明なのか…。(^_^;)

bewaad (2005-07-22 04:14)

刈られても痛くないでしょうから鳴かなくても当然で、やっぱり鳴かないようにむしることに意味があるのではないでしょうか(笑)。

本日のTrackBacks(全4件) [TrackBack URL: http://bewaad.sakura.ne.jp/tb.rb/20050719]

うがごげが。 http://bewaad.com/20050719.html

『真の「敵」は誰だ?@障害者自立支援法案』 http://bewaad.com/20050719.html というのも、この法案が作られた源はなにかと見ていけば、経済財政諮問会議に行き着きます。厚生労働省からすれば、諮問会議においては、まずは支出すべき内容ありきで考えるべき(彼(女)ら..

前回のエントリはタイにいる間に原案を書いたのですが、帰ってきてみれば障害者自立支援法案というのが衆議院を通っていたようです。

先の国会の会期末のどたばたで廃案になった障害者自立支援法案が再度国会に提出された。どういう法案かというと、
この「原則1割負担」で、障害者は数少ない収入源である作業所に「利用料」を支払わなければならなくなる。

月1〜2万円程度の収入にしか


トップ «前の日記(2005-07-18) 最新 次の日記(2005-07-20)» 編集