archives of BI@K

CSS: default alternative
(要cookie)

toppage memoranda

(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|

2005-07-21

[pseudos][economy]トンデモ#9:アジア港湾戦争

決して経済報道においてレベルが高いとは言い難い我が国マスメディアの中でも、とりわけ玉石比率が石に偏しているきらいのある毎日新聞が、かつて七つの海を支配した英国経済の凋落(ちょうらく)は港湾の没落から始まった。物は市場原理という「神の手」で港を選ぶ。そのひそみに倣うなら日本経済の衰退は既に始まっているだなどとまた世迷い言です。

いちいちツッコミを入れると毎日取り上げるようになってしまうのでスルーすることが多いのですが、今回の記事については木走さんまで幻惑されてしまったようで、世迷い言が本当に世を惑わすことのないよう、あえて取り上げざるを得ないでしょう。

まず木走さんご紹介のデータソースを当たります。日本船主協会のデータページ中の「世界の港湾におけるコンテナ取扱量」がそれですが、一見すると中国や韓国に負ける日本というイメージが伝わってきて、危機感があおられるのもむべなるかな、とも言えます。

しかし、ちょっとデータを加工してみましょう。まず、G7諸国のコンテナ取扱量(世界上位40港対象、2003年)を見てみると次のとおりです。

コンテナ取扱量(千TEU)
アメリカ19,566
日本9,698
ドイツ9,330
イタリア3,149
イギリス2,482
フランス1,985
カナダゼロ

トップのアメリカですら香港1港にかなわず、イタリア以下は惨憺たる有様ということになってしまいますが、どうなのでしょう? コンテナ取扱量で国の盛衰を計るなら、カナダなどもう滅亡状態ですね(笑)。

もう少し抽象度を高めて、同じ対象で先進国(定義としてはOECD加盟国を用います)と発展途上国で足し上げますと、先進国75,188千TEUに対して発展途上国115,324千TEUとなります。日本に限らず、先進国は港湾戦争とやらでは負けているわけです。

これら発展途上国の港湾がこれほど取扱量が多くなる理由は、毎日記事の中に隠されています。具体例として紹介されるマレーシアのタンジュン・ぺラパス港の描写は次のとおりです。

そのロケーションは何と世界トップクラスの中継貿易港シンガポールの鼻の先にあるジョホールバルのそばにある。ここはマラッカ海峡に面していて欧州から来る大型船の荷物をここでトランシップ(積み替え)するというのだ。積み替えた後、アジアの諸港に配る。これでは中継港で世界的な地位を占めていたシンガポールはたまったものではないだろう。

現地ではマンゴー畑と熱帯雨林を伐採しさらに拡張工事を進めていた。2年後にはさらに6バース(岸壁)が完成し合わせて14バースに増える。これは日本のトップコンテナ港である東京港とほぼ同規模だ。

まず需要側から見ると、自国に関わる輸出入以上に、トランシップが大きいということになりますが、トランシップは現状うまみが全くない商売です。船主からすれば、お客がいるところには結局は荷を運ばなければならないわけですが、どこでトランシップするかについてはそのような縛りがありません。東アジアで言えば、例えば日本に荷を届けるに当たって、香港、シンガポール、上海、深[土川](セン)、釜山、高雄(以上が上記統計の世界トップ6です)とよりどりみどりですから、おいしい思いをすべく料金に超過利潤を含めればたちどころに商売あがったりです。

他方で供給側を見れば、マンゴー畑や熱帯雨林を伐採して造成する場合と、日本のように埋め立てたり既にある民間施設等に立ち退きを願って造成する場合とのコスト差はあきらかですし、人件費にしても同じ土俵に乗るわけがありません。

そんな市場に国策で乗り出そうというなら、無駄な公共投資で施設をつくって補助金で運営しなければなりませんが、そういうことがわかっての記事だとはとても思えません。メディアに踊らされてこのような事業をはじめようなら、将来的には本四架橋などと同じように評されること間違いなしでしょう。結局、ハブ港湾は日本にとって比較劣位であり、そんなものに振り向ける資源があったら商業施設でもなんでも民間に有効活用させた方がよほどましです。

もちろん今の日本の港湾施設に改善すべき点が多々あるのは事実でしょう。しかしその改善は、あくまで自国の用のための使い勝手の改善の観点からなされるべきで、勝ち目のないアジア港湾戦争の勝利とやらを目指して行われるべきものでは決してないのです。

[politics][media]中国の軍事費報道

関連してこれも木走さんがお取り上げですが、アメリカ国防総省のレポートで、中国の実質軍事費は公表数字の2-3倍だという推計が出されたとの報道があります。これ実は、昔からそういうレポートなのです。「初めて」とは書かれていないので誤報ではありませんが、紛らわしいことこの上ありません。該当部分を抜き出すと次のとおりです(強調はwebmasterによります)。

ページ記述
2005pp21,22(略)On March 4, 2005, a spokesperson for China's National People's Congress announced that China would increase its publicly disclosed defense budget in 2005 by 12.6 percent, to approximately $29.9 billion -- double the figure for 2000.(略)However, the officially published figures substantially underreport actual expenditures for national defense.(略)According to some estimates, the official budget does not include foreign weapons procurement (up to $3.0 billion annually from Russia alone), expenses for the paramilitary People's Armed Police, funding to support nuclear weapon stockpiles and the Second Artillery, subsidies to defense industries, some defense-related research and development, and local, provincial, or regional contributions to the armed forces. Combined, these additional monies could increase actual defense expenditures by two to three times the publicly available figure, suggesting the defense sector in China could receive up to $90.0 billion in 2005, making China the third largest defense spender in the world after the United States and Russia, and the largest in Asia.
2004pp26,27In March 2004, China announced that a real increase of 11.6 percent ($2.6 billion) to its 2004 defense budget, bringing the total to $25 billion.(略)However, the announced budget markedly understates actual defense-related spending and does not include major spending categories, such as weapons research and foreign weapon purchases. In addition, the PLA receives funding or bartered material from a multitude of sources at every level of government. It also avoids some support costs by using soldiers to grow food and produce materiel. It even subcontracts soldiers out for public and private projects. DoD estimated total defense-related expenditures for 2003, counting the large but difficult-to-calculate off-budget financing, could be between $50 billion and $70 billion, making China the third largest defense spender in the world, after the United States and Russia, and by far the largest defense spender in Asia followed by Japan.
2003p41In March 2002, Chinese Finance Minister Xiang Huaicheng announced that China is increasing military spending in 2002 by 17.5 percent -- or $3 billion -- bringing the publicly reported total to $20 billion. The publicly disclosed figures do not include major spending for weapons research and for the purchase of foreign weapons. Actual military spending, including the large but difficult-to-assess off budget financing portion, could total as much as $65 billion, making China the second largest defense spender in the world after the United States, and the largest defense spender in Asia.
2002p38In March 2002, Chinese finance minister Xiang Huaicheng announced that China is increasing military spending in 2002 by 17.6 percent, or $3 billion, bringing the publicly reported total to $20 billion. The publicly disclosed figures do not include major spending for weapons research and for the purchase of foreign weapons like two Russian-built destroyers China bought last year. Actual military spending, including the large but difficult-to-assess offbudget financing portion, could total $65 billion, making China the second largest defense spender in the world after the United States and the largest defense spender in Asia.

ちなみにこれらのレポート、"the National Defense Authorization Act (FY2000)"に基づき毎年議会提出義務があるとのことなのですが、2000年に最初のレポートが出た翌2001年はなぜか提出がなされず、上記2002年版に飛んでいます。で、2000年版にはこれらに相当する記述がありません。2000年の段階でどのような認識をしていたかは知るよしもありませんが、少なくとも2002年以降、アメリカ国防総省は同様の主張を継続しているのです。

以下は妄想の類ですが、「宮崎正弘の国際ニュース・早読み(2001年12月30日号)」で、丹羽春喜・松木隆「中国軍事支出動向に着いての推計と考察」(「問題と研究」2001年12月号所収)の内容が紹介されていまして、孫引きでそれを引用すると次のとおりです。

中国の「軍事支出総額は、中国政府が公式に公表している「国防費」よりもはるかに大き」いのである。

まず第一に「国防科学研究費・国防基本建設費」などといった「兵器・装備開発のための経費」は「科学研究費(国家財政支出項目の社会文化教育費に含まれる)、基本建設費(国家財政支出項目の経済建設費に含まれる)に計上される。しかしながら、それらの金額については公表されていない」のである。

つまり「科学研究費」支出の実態は国防関係の研究投資で「軍事関係R&Dに投入された」と推定される。

第二に「人民武装警察費・民兵事業費・人民防空費」なる項目だが、これらは「行政管理費から支出される。民兵事業費とは各級政府による民兵の管理、維持、運営経費であり、人民防空費とは要域防空、重要施設の対空防護、市民防空経費などである」。

第三に「軍事演習などの特別予算」だが、これらも「行政管理費に計上されていると推定される」。

第四に「軍隊予算外経費」。これは「軍の生産活動などにより創出される政府財源以外の軍事資金で」でたとえば、「自家消費用の農作物の栽培、家畜の飼育など」。これら軍内部のアルバイトに加えて「軍企業の経営による利潤、国防工業部門の民用生産による利益、兵器輸出による利益」などと類推される。

第五に「使途不明金」が多く存在する事実を丹羽教授らは指摘される。

そこで丹羽教授らは「闇」に迫るために「国家備蓄増加額」に「公表国防費」と「軍事関連R&D支出」を合算した額を計算し、中国の軍事支出総額の動向について推計を出されている。

その結果、中国の軍事費はGDPの5%前後に達しているだろう、と推論している。

どの科目を実質的な軍事費に含めるかとか、実質軍事費の対GDP比率が5%程度であることとか、妙に国防総省レポートと一致を見せるこの論文ですが、着目すべきは2001年に発表されたものであることです。まさか、国防総省がパクった、ってことはないですよね・・・。

[book]ジャンル別ビジネス本大賞 '05上半期(マクロ経済)@SPA! 2005/7/26号, p129

田中秀臣先生から告知がありましたので購入しました。回復傾向だと『偽りの』といったことはリフレ派もしがちで、自戒せねばと思いつつも・・・。

ベスト3第3位に選ばれた中島隆信「お寺の経済学」はミクロ経済本では(笑)。

#先生ご自身は「エコノミスト本」とおっしゃっていますので、「マクロ経済」は編集者が付けたのだと思います。

[law]法令における「活字」の意味

gooの国語辞典(大辞林)で「活字」を引きますと、

(1)活版印刷や和文タイプに用いる字型。活版用は鉛合金を、タイプ用は亜鉛合金を用いて方形柱状に作り、その頂面に文字類を左右逆に浮き彫りにしたもの。古くは陶土・木材などを材料としたが、1445年頃グーテンベルクが鉛合金の活字を考案し、実用化した。大きさを表すのに、日本ではポイントと号数を用いる。また、和文・欧文とも種々の書体がある。

(2)印刷した文字。また、書物。
「論文を―にする」「―に親しむ」「―離れ」

既存の政省令中の「活字」は(1)の意味でしょうけれど、お取り上げの「活字」は(2)の意味ではないでしょうか、t9930211さん。つまり、「活字その他の文字」とは、「印刷した文字その他の文字」ということでしょう。そうでないと例示たり得なくなってしまいますし。

[sports][media]7/19放送のロンドンハーツ

にて、橋本の勇姿(6/22撮影とのことでした)。放送の取りやめも検討したとのことですが、本人が生前楽しみにしていたこともあり放送に踏み切ったとのこと。いい判断をしてくれたと思います。ありがとう、テレビ朝日。

[misc][media]7/19放送のがんばっていきまっしょい

内博貴の降板の説明やつじつま合わせは一切ありませんでした。ウルトラマンコスモスのときほどきちんとやれと言う気もないのですが、転校でもなんでもいいですが、ドラマとしていきなり出てこなくなる言い訳の一つぐらいは考えてほしかったように思います。しょせん大人相手ということなら、子供相手に比べれば適当にあしらったところで問題ない、という面があるのは事実でしょうけれども。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]
韓流好きなリフレ派 (2005-07-21 07:49)

ご紹介どうもです。そういわれてみれば「マクロ」になってますね。笑。

木走まさみず (2005-07-21 09:03)

トラックバックありがとうございます。
確かに「コンテナ取扱量」などで一国の経済動向まで語ってはいけないのでしょうね。
「勝ち目のないアジア港湾戦争の勝利とやらを目指して行われるべきものでは決してないのです。」には大いに頷かせて貰いました。
なんか、全体的に僕よりも考察深いなあ(笑)
勉強させていただきました。
今後ともよしなによろしくおねがいいたします。(^^)

bewaad (2005-07-22 04:22)

>韓流好きなリフレ派さん
同じ号にワースト本に近い記事が載っているのもご愛嬌で(笑)。

bewaad (2005-07-22 04:31)

>木走まさみずさん
本文でも書きましたが、毎日の経済記事は外れる確率が高くて、特に怠け者を成敗すれば経済成長、ってノリが強いですね。本社の経営が傾いていたことのトラウマかな、と思ったりもします(笑)。

本日のTrackBacks(全1件) [TrackBack URL: http://bewaad.sakura.ne.jp/tb.rb/20050721]

>[http://:title=転校でもなんでもいいですが、ドラマとしていきなり出てこなくなる言い訳の一つぐらいは考えてほしかったように思います] 霞ヶ関の硬派ブロガーお方がこうかかれていますが 新聞によると >[http://www.daily.co.jp/gossip/2005/07/21/180833.shtml:..


トップ «前の日記(2005-07-20) 最新 次の日記(2005-07-22)» 編集