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2005-08-08
■ [government]農林水産省の内々定者に東大法学部生ゼロ
農林水産省が「内々定」を出した来年度の入省予定者に東大法学部の出身者がいないことが明らかになった。明治以来、日本の官僚養成コースとされてきた東大法学部からの入省ゼロは「記憶にない」と同省幹部。背景には、農業の地盤沈下に加えて、官僚人気の低下がありそうだ。
(略)
今回、同省は「出身大学にこだわらず人物本位で採用した」と説明するが、ある幹部は「採用したかった学生の多くが、法科大学院への進学や外資系企業などへの就職を選んだ」と打ち明ける。
朝日「農水の入省予定者、東大法学部ゼロ 官僚人気の低下反映」
既に同業者のbranchさんやt9930211さん、pogemutaさんが取り上げていらっしゃいますが、webmasterも以前に霞が関の就職市場における地盤沈下を取り上げたことがあり、ロースクールや外資系企業にも進むことができる学生が霞が関を選ばないことも自然であると思います。
#農水省を袖にして進む先まで把握しているということは、内々定を出そうとしたら「実は・・・」と断られたのか、そうでなくともそれに近い段階まで進んでのことだったのでしょう。
ただ気になるとすれば、webmasterが知る限り多くの農水官僚は能力・人格ともに尊敬すべき人も多く、他方で困難な仕事に取り組んでいます。戦闘において攻勢よりも防御は難しく、とりわけ戦線を崩壊させることなく撤退するというのは極めつけの難事ですが、農林水産省もまた、強力な族議員や圧力団体、省内における法文系官僚と技官の対立など困難な環境の中で、日本の農業をどうするかという「撤退戦」をそれなりに破綻なく行っている職場です。成長期にある産業など、要すれば放置して民間の自主性に委ねておけばよいわけで、そうではない分野を所掌する農水省にはさらなる知恵と工夫が求められているわけです。
2ちゃんの関連スレを見る限り、相変わらず財務、経産、総務(旧自治)、警察、外務といったところが学生の人気を集めているようですが、これらの省庁だってやりがいのなさを探せば(あくまで偏見ですが(笑))、
- マクロ経済に関する責任感を経済財政諮問会議に売り渡して単なる守銭奴に成り下がった財務、
- 本省ではやることがほとんどなくなって、他省庁に口出しするか個人的ステイタスを上げることに生き甲斐を見いだす人間が増えている経産、
- 本省ポストが少なく、他方で知事等への進出も難しくなる状況の中、限られた出世コースを巡りスケールの小さい競争が激化しつつある旧自治、
- 犯罪が増加傾向にあり、取り締まるべき行為の対象も広がっていく一方、人も予算もそれに見合った伸びなど到底認められるはずもなく、巨大な現場をどう運営していくか先行きが暗い警察、
- 本来のエクスパティーズであるはずの安全保障の根幹はアメリカに委ねざるを得ず、経済その他の面では他省庁にかなわず、いきおいプロトコールをエクスパティーズとせざるを得ないケースもある外務、
などがあるわけで、これらを考えれば、霞が関を選ぼうとしてくれるのであれば、よほど農水省に行っていただいた方が日本全体にとって望ましいような気がしないでもなく。
#そんな農水省を「もふ」はどのようにきちんと描いてくれるのでしょうか・・・。
■ [comic]現在官僚系もふ・第20話
で今週のもふですが、農水省側の事情は全く描かれず、財務省内部のキャリアvsノンキャリアのお話になっています。とりあえず短絡的にノンキャリアをマルクス主義におけるプロレタリアートのような存在として描写することはなさそうで一安心(笑。見る目が甘くなっていますでしょうか)。
しかし、今日の郵政民営化関連法案の採決で否決になったら、今回描かれているような概算要求が8月末に可能かどうかかなり怪しく、実態と相当程度食い違った展開にならざるを得ないのですが、そうなったら運が悪かったとあきらめるしかないでしょう。あ、作中時間は今年だと設定が固まっているわけではないからいいのかな?
■ [movie]「ヒトラー〜最後の12日間〜」大人気?
観に行ったら立ち見ということで先送りに。今度は早めに行かないと。
私と同じゼミで農水省に行った方がいるのですが、非常に優秀な方でした。現某幹事長が大臣でBSE問題で農水省に対するバッシングが盛り上がっていたときに彼は農水省を選んでいました。
既に指摘されているとおり、今東大法学部では法科大学院志向が強くなってきていることを肌で感じます。
そういう人には、心から農水省でがんばってほしいと思います。本文で触れた以外に、外国での農業担当官庁の強さもあり、本当に大変な職場だと思います。
後半については、ローを卒業した後で、と選択を先送っている気もしないでもないですが(笑)。
法科大学院開設により司法試験の敷居が低くなった結果として、少なくとも現時点では法学部生(東大に限らない)にとっての官僚の魅力が以前より少なくなったのは確かだと思います。財務、経産、総務(旧自治)、警察、外務といった省庁の人気の高さはあまり変わっていないような印象を受けますが、他の省庁には人材不足に悩んだところもあるのではないでしょうか。今年は民間企業の採用人数が増えたり好況で一流企業との給与格差が広がったりということで、農水省においてはその傾向が目に見える形となったのではないでしょうか。
ただ、「採用したかった学生の多くが、法科大学院への進学や外資系企業などへの就職を選んだ」との発言には納得しかねます。法科大学院については結果が出ているわけではありませんし、外資系企業を真剣に検討している学生の多くは、官庁の中では農水省ではなく経済官庁を志望する傾向があるように思います。「有望な学生で、法科大学院・外資系企業を選ぶ者が増える→官庁志望者が減少→農水省が学生集めに苦戦」という図式は一応成り立っているかと思いますが、「採用したかった学生の多くが、法科大学院への進学や外資系企業などへの就職を選んだ」と言うのはミスリーディングな言い方のような気がしてなりません。
bewaadや同僚の方々にも、政党から選挙の誘いがくるのかな。
>Zさん
最近の学生の本音を知り得る立場にないので参考になりました。
後半については、わざわざ朝日や農水に嘘をつくインセンティブがないので、少なくとも学生はそういったことを言ったのではないかと思います。ローについては進学に向けて専念することにした、といった具合かもしれません。
>Treyさん
私にそのような話が来たことはありませんが、若手官僚は最近出馬づいていますので、そういう向きもきっとあるでしょう。特に今回のように急いで候補を確保する必要がある場合、身近で声をかけやすいですし。