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2005-08-25

[economy][politics]昨日の補足(財投機関債などについて)

昨日のエントリを受けてfinalventさんにお考えを改めて整理していただき、大筋においてお互いの立場が確認できたのですが、一部ご指摘の中で事実関係としてどうか、という点がございますので、補足的に論じてみたいと思います。

財投機関債は「改革の骨抜き」?

webmasterの誤解であれば訂正するにやぶさかではありませんが、finalventさんは財投機関債について「(特殊法人による)改革の骨抜き」という表現を何度か用いられていますが、これは、次のいずれかを指すものと考えられます。

  1. 本質的に矛盾を抱えている財投機関債の導入という詐術を特殊法人が弄して、さも改革が行われたかのように見せかけることにより、本来あるべき改革から逃れた。
  2. 財投機関債はうまく使えば改革につながるものの、特殊法人が暗黙の政府保証が付されるような運用を行っているため、達成されるべき改革が達成されていない。

昨日申し上げたのは財投機関債は本質的に矛盾を抱えている存在で、だからこそ実際に発行される前から問題点が指摘されていたということですので、2番は当たらないとwebmasterは考えています。

1番についても、例えば財投改革について特殊法人の方は、自分で資金調達しなさい、個々の特殊法人は、自ら財投機関債を出して資金調達しなさい。(中略)特殊法人の方は、やはり郵貯のお金が流れないと困る状況が続いていたわけで、ここで出てきたアイディアは、私達が絶対にやっちゃいけないと考えていた、「財投債」だったと「改革派」松原聡先生が述べているように、特殊法人側ではなく「改革派」側こそが財投機関債の導入を積極的に図った当事者です。

一人の意見で代表させるのも適当なサンプリングとは言いがたい面がありますが、コストを考えても、暗黙の政府保証が存在したところで主として流動性の違いにより国債(=財投債=財投借入れ)に比べ高いレートにならざるを得ず、しかも償還キャッシュフローの選択の余地が著しく限定される財投機関債は特殊法人にとって損になるので、その導入を求めるインセンティブはありません。

というわけで、改革の実が上がらない=特殊法人が改革を骨抜きにしたというのは特殊法人への言いがかりのようなもので、これはやはり、とにかく中身は何であれ改革することは現状維持に勝るという改革原理主義の失敗の一例に他ならないとwebmasterは思います。

海外における銀行・保険会社の位置づけ

finalventさんの民営化賛成論の根拠としては、究極的には、問題は、国際慣行というか、先進民主主義国において、銀行と保険会社は純粋な商法上の一般法人になりますが、日本では長い因習からそれをおいそれと移行できないということですという部分になるのではないかと思います。事例を探してみますと、確かに保険会社はないようですが、銀行(類似の金融機関)については、先進国においても次のようなものがあります。

#監督についてもちょっと言葉がきつくて申し訳ないのですが、この点のbewaadさんの認識は国際的には通じないと思いますとのことですので、具体的に何を念頭に置かれているかはわかりませんが、あわせて触れておきます。

  • アメリカのGSEs(Government Sponsored Enterprises)は、暗黙の政府保証という概念が確立されるに至った対象ですが(財投機関についてのそれはこの概念の輸入に過ぎません)、政府出資が入っていないという意味では民営化されているものの、一般の会社法に基づく法人ではありませんし、銀行とは異なりFRBや財務省(というかOCC)の監督下にはなく、政策官庁(郵貯でいえば総務省)の監督下に置かれています(財務省管轄下に移せという主張はなされていますが)。
  • フランスの貯蓄供託公庫は、出資持分が存在しないという意味では国営でも民営でもありませんが、特別な根拠法を持つ法人で、国会議員が総裁に就任するなど特殊な監督を受けています。
  • ドイツの州立銀行・貯蓄銀行は、通常の銀行と同様の監督を受けますが、各州や地方公共団体が出資者であり、組織法も一般会社法ではありません。
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