archives of BI@K

CSS: default alternative
(要cookie)

toppage memoranda

(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|

2005-09-20

[politics]民意を問うことの意義について(中編)

昨日の続きですが、そのラインでは多数決という手段によって民意が正しく選択するにはいろいろな前提条件があり、それらが満たされないと誤った選択をしかねない、ということになります。裏を返せば前提条件が満たされるのであれば、多数決という手段で民意は正しい選択ができると。ところがそうは問屋が卸さない、というところから今日は始めます。

昨日の最後に出した2つの言葉のうち、最初のコンドルセのパラドックス(webmaster注:リンク先では「多数決のパラドックス」という語で説明されています)の典型例を示すと次のようなケースです。

投票者\選択肢xyz
a123
b312
c231

ここでabcの3名はxyzという3つの選択肢について、表中に記載の順位を持っています。例えば、aにとってベストの選択はx、bにとってベストの選択はy、cにとってベストの選択はzということになります。この場合、当然それぞれが1票持っていて1回だけ投票するなら、xyzに1票ずつとなりどれも選択されません。

これだけではパラドックスというほどではないとお感じの方も多いと思いますが、ここでまずxyのみが選択肢である場合にはxが選ばれ(acがx、bがyを選びます)、ついでyzのみが選択肢である場合にはzyが選ばれる(abがy、cがzを選びます)ことを見ると、話は面倒なことになってきます。xとyではx、yとzではyが選ばれたのですから、xとzでは当然xが選ばれるだろうと思いきや、xを選ぶのはaのみで、bもcもzを選ぶためzがより多くの票を集めるという結果になります。

これを一般化したものと言えるのがアローの(一般)不可能性定理で、厳密な数学的証明を追いかける力がwebmasterにはないので結論のみ示すなら、各人の選択の自由、人柱の否定(=パレート最適性、つまり誰もが損をしないもののみが採用されるということです)、ある2つの選択肢についての判断の他の選択肢から独立(先の例でいえば、zという選択肢がなくxyのみが選択肢であってもacはxを、bはyを選ぶということです)、の3条件を満たす民主的手続は存在せず、独裁制でなければならないというものです(センによるものなど、様々な発展的議論があります)。

ということは、選挙(多数決)を通じた政策選択は、理論的には独裁制に劣り得るということになります。さらに歴史的に見ても少なからぬ失敗例があるわけで、にもかかわらずトレンドとして民主政は広がっているのはなぜでしょうか・・・ということをさらに明日続けてみたいと思います。ご関心の向きは「ミーム」を事前にぐぐっておいていただければ。

[government]「もえ」=○○省

もったいつけるまでもなく環境省なわけですけれども(MOE=Ministry of the Environment)、t9930211さんが直面したように(実際のニュアンスはpogemutaさんの適切な意訳のとおりに一票(笑))、「萌え」と解されることを恐れるがあまり(?)、ドメイン名に代表される略称がenv(.go.jp)になっております。

しかし、かのMITI(現METI)に代表されるように"O"(ofのイニシャル)を略すという表記があるわけで、"O"をとればいいじゃないですか・・・って、すぐハングしそうですね、"ME"。

#某OSのことを無視するにせよ(って商標ですから絶対見逃してくれないでしょうけれども)、jpドメインでは2文字は禁止なのでやっぱり無理なんですが、本当のところは。代替案としては"kankyo.go.jp"あたりが無難なのでしょう(総務省が"soumu.go.jp"としている例があります)。

[politics][government]勘弁してくださいますようお願い申し上げます

724 名前:受験番号774[] 投稿日:2005/09/19(月) 21:53:33 ID:ZKtA8nmm

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050919-00000049-mai-pol
自民圧勝で新人議員に付く秘書が足りていないらしい。
無い内定の俺を政策秘書とかいうやつで雇ってくれないだろうか。

725 名前:受験番号774[sage] 投稿日:2005/09/19(月) 22:16:30 ID:UakcAMde

>>724
それ、何気にいいかもな。

自分を官庁訪問で切った役人を、
真夜中の質問通告やら大至急の資料要求やら細かい質問主意書でイジメまくる・・・

最高の復讐だなww

「国1 官庁訪問おまいらどこまわるの 6(事務系)」(@公務員試験@2ch掲示板

実際は個人指名は(特に質問主意書では)難しく、該当する省庁のどこかの部署が逆恨みを買うことになりますので・・・。

本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]
小僧 (2005-09-21 00:16)

松井知己, Arrow の一般可能性定理の証明の解説 http://www.simplex.t.u-tokyo.ac.jp/~tomomi/text/Arrow8A.pdf より引用します。

Arrow の一般可能性定理は, 2 人以上で 3 つ以上の選択肢を好ましい順に並べる合理的な決め方は, 誰かが独裁者になるしかない, という定理である.
(snip)
曖昧な表現を援用して 「民主主義は合理的ではありえない」 といった主張が安易にされることがあるが, これには注意を要する. Arrow の定理における合理性や独裁者は, 数学的に定義される概念であり, 歴史上に実在する合理主義や独裁者とは区別しなければならない. また定理の主張は,
「誰かが独裁者になれる」のでは無く「誰かが独裁者の役を押し付けられる」
という方が正しい事にも注意されたい.
(snip)
この定理は, 「初めに決め方(関数)ありき」で主張が展開されるのだ. 特に, 「独裁者が決め方(関数)を作る」のでは無い事を強調するため, 「プレイヤー j は独裁者である」という表現を排除し, 「関数の 3 つ組が j を独裁者として持つ」という記述に統一した. 個人的な感想だが, 独裁者というネーミングが, この定理の魅力を倍増させているのだと思う. 別に独裁者と名付ける必然性は無かったのだ. 例えば独裁者ではなく王様としたら, この定理の印象はずいぶん変わりそうだ. もちろん女王様でも構わない.

bewaad (2005-09-22 07:09)

trackbackいただいたrandomreadingさんのところでも松井先生の解説をご紹介いただきました。センの議論も、本来はきちんと原点に当たるべきだと思っているのですが。

ir (2005-09-22 22:38)

はじめまして。いつも興味深く拝読しております。

>ついでyzのみが選択肢である場合にはzが選ばれる(abがy、cがzを選びます)

「zが選ばれる」は「yが選ばれる」の誤記でしょうか。

小僧 (2005-09-23 02:49)

Sen 教授本人と言うよりも、周りの解釈が問題なのでは...と仰っているのか、証明の原典がどこにあるのか分からないと仰っているのかが判断しかねるのですがそれはさておき。

Sen の定理 「正義の序列づけ原理と、パレート原理を同時に満足して、普遍的な適用可能性を持つ一般化された社会的厚生関数は存在しない。」については, 本領崇一, 厚生の個人間比較について
http://www.clb.mita.keio.ac.jp/econ/yanomakotosemi/thesis/4th/thesis4th/honryo.pdf

に証明が載っています。

他にも Sen や Arrow の業績については一橋など名誉博士を贈呈している大学に紹介文があるのでそちらを参考にするとよろしいのではないでしょうか。

蛇足
このように net 上の情報は整理されていないのは事実ですが、そもそも aggregate するための枠組がないのに
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr050825t.htm
のように予算を減らしつつ、新しい事を押しつけるのは...

クビ大の騒動についてもそうなのですが、自分が言っていることの妥当性も検討しないでいちゃもんだけを付けているから官公庁は信用されないんですよと小一時間... (いわゆる民間もそういう人は多いですし bewaad さんに申し上げているわけではないですが)

蛇足 2
大竹先生の原稿に対する bewaad さんの疑問を大竹先生の blog に URI だけですが紹介しておきました。

bewaad (2005-09-23 09:36)

>irさん
ご指摘のとおりです。早速訂正させていただきました。ありがとうございました。

bewaad (2005-09-23 09:44)

>小僧さん
「原点」は「原典」の誤記でした。自らきちんと当たっていないことについて、なってないなぁと。少しずつでも勉強していくしかないのですが。

あとクビ大の話は、官庁ではあってもトップのイニシアティブというか、都庁の役人としては政治家にいわれてやった(やらざるを得ない)ことなのに、という気分なのではと思います。役人は役人なりの、政治家は政治家なりのいちゃもんがあり、それがダブルでいく民間の方々にとってはどっちがどうかなどは二の次なのはよくわかりますけれども。

本日のTrackBacks(全2件) [TrackBack URL: http://bewaad.sakura.ne.jp/tb.rb/20050920]

bewaadさんのとこ([http://bewaad.com/20050920.html#p01])で紹介されている面白い定理。自分なりに噛み砕いていうと、「個人の好みに基づいてグループ全体の好みを決定する合理的(推移的等の性質を満たす)な方法では、常にグループ全体の好みを決定しているかのように..

昨日の続き。 どうにも気持ちが悪い。倫理的に許せない!とか、政治的にどうこう、ではなく、数学的に納得できない(そんなに詰めて考えた訳じゃないけど)。 定理は、各プレイヤーの選好に対して非対称な関数を導入しないと結果が弱順序にならない、ということを言ってい..


トップ «前の日記(2005-09-19) 最新 次の日記(2005-09-21)» 編集