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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-10-03

[book]Happy News from the Dismal Scienceの訳

伊藤他「ポスト平成不況の日本経済―政策志向アプローチによる分析」に掲載されている(第2章)とsvnseedsさんから情報提供いただきました。最近読書に割く時間があまり確保できないのですが、読まねばなりますまい。

[government]印象操作に踊らされてはいませんか?

ところで、この組織された集団として、最も堅牢な実力を有していて、しかも社会的にこの上ない地位を有しているのが、官僚組織である。我々は、しかし、まったく不都合なことに、この組織に就いて、その実態、つまりその実力、行動、影響力の具体的な実像の詳細をほとんど知らされていない。ジャーナリズムが、もっと関心を向けてもいい筈の対象であるのに、彼らはいつまでたっても、匿名の機構であり、出力に就いては部分的に告げられるにしても、入力がどんなものであり、その内部でどんな経路があって、その出力に至ったのかを、決して解き明かされないブラックボックスなのである。族議員というものが、一頃、盛んに言われたが、これをあたかも政治家を基体にしての政治現象であると理解してはいけない。それは、実は、官僚機構が政治過程に影響力を与えた経路としての現象なのである。(今日、族議員という現象が顕著でなくなったのは、自民党執行部の力が圧倒的になって、執行部以外の実力者が存在しないことと裏表をなしていて、官僚が影響力を行使するのに、小泉純一郎の首相官邸周縁を目標にすることになったからである。)

「今まで無責任で幼稚でしたが、今日からは、責任と品位を持ちます」(@研幾堂の日記9/29付)

はっきり申し上げるが、高負担高福祉というような社会政策は「おたがいの顔が見えるサイズの社会」でしか実現できないのである。私の払う高額の税金は「この人たち」を支えるために費消されているのだということが実感される規模の共同体でなければ、高負担高福祉のようなことはできない。
そういうことは国の規模が小さいからこそ可能なのである。
日本のような大きな社会であれば、いくら税金を払っても、それが「困っている人たち」の手元に届く前に、介在する無数の官僚機構や特殊法人や中間組織によって費消されてしまう。
その不合理に日本人はうんざりし始めている。
だからこそ、「大きい政府にノー」という決断をこのたびの総選挙で有権者は下した。
どの評論家もそう評価している。
私も同感である。

「態度の悪いバースデイ」(@内田樹の研究室10/1付)

いやだから今の日本が大きな政府だというのは実証データからは全く導くことができないのですけれども。研幾堂さんの文章中「官僚組織」を「フリーメーソン」とか「ユダヤ金融資本」に置き換えたような文章は普通は陰謀論として取り扱われるものですし、内田先生の「無数の官僚機構や特殊法人や中間組織によって費消されてしまう」って何の根拠があるのですか、ということです。個別の問題(最近の話題で言えば社会保険庁や道路公団)の存在は全体の存在意義とイコールではありませんし(自動車事故で年間数千人が死亡するからといって自動車を全廃すべきですか、ということ)、そこでの非効率を是正したところで、全体のトレンドが変わるほどのものではあり得ません。

ついでに内田先生の上記引用に続く部分について。

ではなぜ少子化という趨勢が「大きな国にノー」という国民の審判であるとはお考えになれないのか?
それが私にはわからない。
民意というのは投票によってのみ示されるものではない。
日常の生活態度そのものを通じて民意は日々示されている。
日本国民は総意として「ダウン・サイジング」を選択した。
私はそう理解している。

まず、少子化とは未婚化・晩婚化の帰結であって、婚姻者の出生率が下がっていることが理由ではありません(ただし、晩婚化の進捗により今後は婚姻者の出生率が下がるものと見込まれています。つまり、あくまで現時点で現れている少子化については、ということになります)。未婚化・晩婚化の理由は様々ではありますが、その少なからぬ割合は経済的事情、つまりお金がないから(とりわけフリーターにおいて)ということです。

仮に結婚したとしても、お金がなければ子育て費用を考え(とりわけ教育費と、出産によるキャリアパス変更に伴う機会費用)出産には躊躇することでしょう。現に、子供がいる世帯は生活苦を感じる割合が高く、その負担が軽くないであろうことは容易に察せられます。

経済情勢が好転したとしても合計特殊出生率が2までは回復はしないでしょうけれども、少なくとも現状の低下ペースの改善はなされることでしょう。方や「大きな政府」や「大きな国」(って何よとも思いますが)でなくしたところで、少なくとも入手可能なデータから推察するに、そのような効果は期待できないと言ってよいでしょう。「なぜ少子化という趨勢が『大きな国にノー』という国民の審判であるとお考えになれるのか? それが私にはわからない」

本日のツッコミ(全25件) [ツッコミを入れる]
vodka (2005-10-03 09:26)

日本が、領域・人口・経済規模・軍事力・技術力・文化的影響力など全ての分野にわたって超大国なのは否定できません。
この巨大な日本国の現実に目をつぶって政府部門だけ小さくするのはバランスから言って上手くいくようには思えません。
引用文のように、高負担高福祉が共同体的な小さな国でのみ通用することだというのは、断定はできないものの、そう言う傾向は認めなければならないと思います。
それならば、目指すべきは「巨大な日本国の小さな政府」ではなく、日本国をいくつかに分割して「適正規模の国家群と適正規模の各政府」と言うことになるはずです。
引用文の筆者はこの点を摩り替えて、新保守主義者の目指す「小さな政府」の欠陥と弊害を隠蔽しようとしてわざと間違えているのではないでしょうか? いささか悪質な印象を受けました。

同僚英国人や現地のレポから私が知る限りでは、新保守主義者が目指す小さな政府は一種の棄民であって、強い地方政府が代わって役割を果たさなければ人々を守ることが出来ないように思われます。

民間 (2005-10-03 11:52)

単純に考えて、数百兆の金をどう使ったんだ?
日本の官僚は?

のんきゃり@霞ヶ関 (2005-10-03 12:50)

労働者数を軸にしても、日本は諸外国と比べて極端に「小さい政府」だと言うことができます。
(独)労働政策研究・研修機構「日本労働研究雑誌2004.4」より↓
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/200404/200404e.PDF
後半の論旨には反論がないでもないですが、前半のデータによると、特殊法人の職員含めてもアメリカの半分、イギリスの3分の1以下となっております。
なぜ「公務員総人件費50%カット」みたいな提言がでてくるのかさっぱりわからんです。
個人的には○○省の△△事業費減らして1兆円作れば、公務員10万人以上雇えるから、そっちのほうが雇用対策や景気対策になるのになあ、とか思ってます。一般の労働力は輸入できるけど(行I)国家公務員の労働力は純国産ですしね。

ヤマグ (2005-10-03 14:49)

経済が好転すれば、今の少子化は底を打つのでしょうか?
紹介していただいたサイトにもあるように、
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h15/honbun/html/15321040.html
ということで、これは経済的に苦しいと言っても、絶対的な収入の不足というよりも、子育てによって生ずる制約によるものではないでしょうか?それこそ、出産に対する印象操作による結果かと思いますが。

ただ、少子化と「大きい政府」や「小さい政府」自体はあまり関係あるとは思えませんが。

BUNTEN (2005-10-03 20:47)

>>日本のような大きな社会であれば、いくら税金を払っても、それが「困っている人たち」の手元に届く前に、介在する無数の官僚機構や特殊法人や中間組織によって費消されてしまう。

ここに書く話じゃないような気もしますが、こういうことを言う人の何割くらいが教会だのその手NGOだのに寄付してるもんなのでしょーか。

日本の福祉の問題点の一つは、欧米ではかなりの太さがあると言われる教会・NGO系ルートが極細な上に、親族の相互扶助とか会社の福利厚生の限界が見えてきたあたりにあるとか思うわけで、そのどれも当てにならないなら大きな政府でやるっきゃないはずだから、こゆこと言う人にはぜひ近くの教会とかにそれなりの寄付をして欲しいぞ。

K (2005-10-03 22:35)

内田先生ってバカだったんだ……

やっぱり哲学・文学・社会学の人に政治を語らせちゃだめだよな。

ko-ji (2005-10-04 00:03)

 内田先生のは、vodkaさんが指摘のとおり「国」と「政府」という言葉を(意図的に?)混同して使用していることがそもそも問題ですが、「少子化が国(正しくは政府)の規模への審判」を表す(とは思えんが)とすれば、「政府の規模を変えずに人口を減らす」と(人口の割りに)大きな政府になるので、『少子化は小さな国(政府)にノー』になるはず。
 論理が破綻しまくってるんですけど、この先生って影響力あるんでしょうか?

とーにゅー (2005-10-04 01:37)

>vodkaさん
>高負担高福祉が共同体的な小さな国でのみ通用することだというのは、
>断定はできないものの、そう言う傾向は認めなければならないと思います
果たしてそうでしょうか? 実は私もそんな気がしないでもないのですが,これはやはり検証した上で判断すべきことだと思います。でなければ,「日本は大きな政府の国だ」と主張する人たちと大して変わらない発想に堕すると思います。

内田氏のいう「実現できない」というのが,「技術的にそのような制度は設計できない」という意味なのか,「国民が決して納得しない」という意味なのか曖昧なのですが,おそらく後者なのでしょうね。
しかし,「今のお年寄りが政府から受けているのと同じレベルのケアを自分も将来受けられるのだ」と確信することができれば,あるいは,自分の親や祖父母が政府から充分なケアを受けていれば,高福祉高負担にも納得は得られると思うのですが。少なくとも私は納得しますが,そういうのは少数派なんですかね。

もちろん,仮に高負担高福祉を実現しうる上限の人口が存在するとしても,適当な規模の自治体ごとに制度を分割すればよいというのはご指摘の通りかと。

あと,内田氏が例にあげる北欧諸国の450万〜900万の人口というのは,「共同体的」というには多いような気がするのですが……そりゃ,人口1億人を超えるような国よりは「共同体的」かもしれませんが。

愚民 (2005-10-04 01:49)

>こゆこと言う人にはぜひ近くの教会とかにそれなりの寄付をして欲しいぞ。

寄付については、税制を中心に明らかに異なる背景をわざと無視して、一律に個人のモラルの問題に矮小化しないで欲しい。
 古くて、もう使い物にならない資料かもしれないが、財務総合政策研究所のフィナンシャル・レビュー第65号でも「跡田教授」が中心に、『アメリカ,イギリス,日本の3カ国における非営利法人制度を比較し,日本以外の国では法人格付与と税制優遇を連動させていないことを明らかにした。日本の制度だけが,行政が判断を下す法人格と税制優遇を連動させ,非政府非営利のシステムまで官のイニシアティブの下に構築しているのである。』と指摘してる。私は今もこの指摘から大して変わってないと思う。
 英米では、政府を経由しない金の流れを、(日本と比較すれば)積極的に作ろうと努力してきた。しかし、日本では寄付は、公務員の天下りを受け入れいる団体を除けば、個人の税控除はしないとしてきた。これでは、制度的に英米のような寄付文化を否定しているように思う。また、同時にNPO等が「大きな政府」に頼らざるをえないようし向けてると考えるのは、言い過ぎだろうか?
http://www.mof.go.jp/f-review/fr65.htm#06_atoda

bewaad (2005-10-04 06:25)

>vodkaさん
共同体的な特質をいうなら、日本という国は抱え込んでいる文化的・人種的・宗教的対立が他国に比べ軽微であるわけで、そういった要素を捨象して人口のみで論じるのもミスリードであるように思います。

bewaad (2005-10-04 06:28)

>民間さん
一番多いのは社会保障費ではないかと思います。

bewaad (2005-10-04 06:31)

>のんきゃり@霞ヶ関さん
直接雇用ですと景気が良くなったからといって急に方向転換もできないでしょうから、公共投資とどちらがよいかは一概にいえないかもとは思います。

bewaad (2005-10-04 06:34)

>ヤマグさん
底を打つとは限らないでしょうけれど、今の下落圧力を緩和する効果はあると考えるのが妥当ではないでしょうか。つまり安定的な経済成長が確保されれば、下げ止まらないとしても、景気が悪い状態よりは下落ペースがより緩やかなものになると思います。

bewaad (2005-10-04 06:44)

>BUNTENさん、愚民さん
かつては欧米流の寄付行為でなくとも、それなりに地域共同体の顔役が何らかの貢献を行うということはあったと思うのです。典型はかつての特定郵便局長で、今がどうかはとりあえず脇におくとしても、彼(女)らが算盤にあわなくても業務を引き受けていたというのは、全体的な傾向としていえると思います。

なかなか人間はつながりの中でしかそのような行為はなしがたいとすれば、単に寄付金を損金算入することで足りるのか、むしろCSR的な仕組みを考えていったほうがよいのか、ちょっと即断はできないのですが、考えどころではないかと思います。

bewaad (2005-10-04 06:46)

>Kさん
対象が自然科学であれば、社会科学を題材にするときよりは慎重であるのかな、と思いつつも、「知の欺瞞」騒動を見れば、結局は程度問題であるのかもしれません。

bewaad (2005-10-04 06:50)

>ko-jiさん
あのテキストはラジオで話す内容とのことですから、ネットでの言論より影響力はあるのでしょう。

bewaad (2005-10-04 06:54)

>とーにゅーさん
そういう意味では、今年度の経済財政白書にも書かれていましたが、社会保障よりも公共投資の方が共同体性が必要なはずなんですよね。つまりは社会保障は自分も潜在的受益者ですが、公共投資は投資がなされた地域の者でないと対象の施設を使えないわけで、なんでそんなものに金を流すんだ、ということになるのは自然だと。

すなふきん (2005-10-04 07:58)

>とーにゅーさん
むしろ日本ではおっしゃるような条件が担保されれば高福祉高負担に賛成の人が多いと思いますが。国民の多くが「小さな政府」の意味を果たして正確な意味で理解しているのかも疑問です。生活実態は負け組みでホンネは大きな政府が好きなのに、「俺は負け組ではない」とか無理に納得してやせ我慢してるみたいに見えてしょうがないです(笑)。

BUNTEN (2005-10-04 21:11)

http://bewaad.com/20051003.html#c10
愚民 (2005-10-04 01:49)さま。

大きな政府は嫌だというなら、貧乏人は飢えて死ねというのは論外として、他のルートでの"福祉"の拡大を図るしかないのは自明なので、小さな政府論者にはまずその線で行動して欲しいと思うのはおかしいでしょうか。
別に今期の寄付が損金にならなくったっていいじゃないですか。寄付する人が増えて、損金にならないゆえの社会的損失が無視できなくなれば、きっと政府も対応してくれるはずですから。


http://bewaad.com/20051003.html#c15
bewaad(2005-10-04 06:44)さま。

>なかなか人間はつながりの中でしかそのような行為はなしがたい
だからこそ、社会の変化によって従来の繋がりに基づく"福祉システム"が働かなくなっている今こそ"大きな政府できちんと福祉"という発想の出番だと思うわけです。
カネやコネのある人は安心して老いられるが、コネなきが故にろくな仕事がないニートは野垂れ死にもやむを得ない、とか言うわけにはいきませんから。

vodka (2005-10-04 21:32)

こうして見ると、イスラームの喜捨と言うは優れた制度だと思いませんか?
政府によらず、住民同士で自治的に福祉システムを機能させるイスラーム教に学ぶことは多いと思います。

Apeman (2005-10-04 23:05)

とーにゅーさんもご指摘ですが、人口が数百万なら「おたがいの顔が見えるサイズの社会」というロジックは、人口600万足らずの県に住んでいるものの実感とかけ離れています。これに目をつむるとして、仮に少子化が「ダウン・サイジング」への意思の現れなのだとすると、その意思は「高負担高福祉」を可能にする「おたがいの顔が見えるサイズの社会」を最終的に志向しており、むしろ少子化は「大きな政府」をという民意なのだ、という結論だって可能なはずなんですけどね。

bewaad (2005-10-05 05:27)

>すなふきんさん
前にも書いたことですが、東側諸国の体制崩壊とバブル崩壊が重なって、共産主義的なものはすべて悪であり、日本の停滞の理由もそうしたものの存在である、というマインドセットが多くの人に受け入れられたような気がします。認知的不協和を避けるためにも、繁栄といえるような状態にならない限り、それらを客観視はできないのかな、と。

bewaad (2005-10-05 05:46)

>BUNTENさん
愚民さんとの論点ですが、少なくとも相対的富者の側が積極的にその手の税制整備を要望しているとは言いがたい状況であるとはいえるでしょう。

私宛の論点については、社会の対立をあおっていることによるつながりの希薄化が相乗効果を生んでしまうおそれがあると言えるでしょう。

bewaad (2005-10-05 06:07)

>vodkaさん
そうした伝統的共同体が福沢諭吉の言う「親の仇」として機能した面もあって、その解体は必然ではないかと思います。唯一宗教のみが、そうした動きに対抗し得るのでしょうけれど、それが全体としてプラスなのかマイナスなのか、正直申し上げて私にはよくわかりません。

bewaad (2005-10-05 06:17)

>Apemanさん
「大きな政府」のマインドセットの強さいかばかりかということでしょう。そこをまず相対化しないことには、「抵抗勢力」の内輪もめに容易にはまってしまうわけで。

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てか昨日か。 すげーな。 『ムー』とかでやってるネタかと思ったよ。 http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20051002/p1 彼らは面白いねぇ。 http://bewaad.com/20051003.html#t だけど、「小さい」の知っててわざとこういうこと言っているのか?と勘ぐってしまう人結構いるか..

政府の大きさはどれくらいなのか。調べてみようと思います。


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