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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2005-10-05
■ [politics]断じてリバタリアンではない!
かんべえさんのご報告(10/3付)によると、日経新聞論説委員の芹川洋一さんが次のように評していたとのこと。
「リバタリアン小泉新党」:小泉さんが掲げている理念は、新保守だとか新自由主義だとかいろんな名前で呼ばれているけれども、実はアメリカでいう「リバタリアン」がもっともしっくりいくのではないか。つまり究極の「小さな政府」主義というか、個人の自由を尊重する考え方である。小泉さんが来年引退したら、小泉チルドレンが自民党を割って「リバタリアン新党」を作るというのも面白いかもしれない。
財政支出削減を是とするところや「民営化」(がリバタリアン的なそれかは疑問があるとは思いますが、建前としては)を推進するところはリバタリアン的ではありますが、それ以外はまるでリバタリアン的でないというか、全然個人の自由を尊重しちゃいないじゃないですか。ということで、リバタリアンfaqを参照しつつ、具体的にどのあたりがリバタリアン的でないかを以下。
#小泉路線はリバタリアン的ではないからダメだという趣旨ではなく、小泉総理やその支持者をリバタリアンと呼ぶのは間違いであるという趣旨です。為念。
- 増税に賛成
- そんなリバタリアンなど聞いたことありません。
我々は、税金を廃止したり減らそうという全ての運動を支持する。
- ミクロ的経済活動に積極的に介入
- 政府の銀行経営への介入をガバナンス強化と言ってみたり、民間でまとまりかけた企業再建に介入する産業再生機構を作ってみたり、クールビズをひねり出したり・・・。
リバタリアンは個人的な自由と経済面での自由において、より程度の高い自由を主張しています。昨今のリベラルズは個人的な自由は好みますが、同時にあなたの経済的な問題にも首を突っ込みたがります。
- さらには人の生き方に容喙
- ニートに人間力を付けようだなんて大きなお世話です。
リバタリアンは個人的な自由と経済面での自由において、より程度の高い自由を主張しています。(略)コンサバ系の人たちはその裏返しです。つまりより経済的な自由を主張しますが、あなたの個人生活に関しては締め付けようとします。
- 人権擁護法制定を推進
- ちなみにリバタリアンであれば法案に反対するだけでは足りず、現行の人権擁護行政の廃止もまた訴えるものです。
多くの場合、人々は自発的な意思で自分の問題を解決しようとしたほうが、政府の強制力を使って問題を解決しようとする場合よりもいい結果が得られるものである。
- 各種メディア規制の導入
- メディア規制への反対というと日本では多くの人が左の専売特許みたいに思っているようですが。
印刷された言葉と同様に、放送による言葉は自由市場によって制限されるし、それによって制限すべきものである。アメリカ人は自分の見たり聞いたりするものを自由に選択できるべきである。政府によって、その選択を規制されるべきではない。
ちなみにwebmaster自身は、次の大屋先生のご指摘のように、リバタリアニズムというのは実は最終目的を示すことができていないのでは、悪意を持った言い方をすればアンチ福祉国家に過ぎないのでは、というように思っています。心情としては多いに頷くのですが、制度をどう仕組むかを考えていこうとした場合、演繹的に答えが導かれるものではないわけで(ノージックを読んでないのに乱暴な言い方ではありますが)。
で。こう並べるとおわかりの通り、実は両者は同じ問題になる。もちろん一般的にリベラルが福祉国家を基準として削ったり増やしたりの議論をする傾向があるのに対し、リバタリアンは最小国家に何を足すかという議論が中心ではある。だがそれはスタート地点の差異に過ぎない。実は両者は同じ座標軸の上で、しかも重なる部分を持ちながら、相手のスタート地点にある幻影をお互いに批判しあっているだけではないのだろうか。
■ [economy]リザーブドエリア放棄?
小泉純一郎首相は4日の参院予算委員会で、民間企業の郵便事業への参入条件について「見直してもいいと思う、できるだけ参入しやすい環境をつくるべきだ」と述べ、規制緩和に前向きな姿勢を示した。信書便法で10万カ所の差し出し箱(郵便ポストに相当)の設置が義務づけられていることについて「10万本が固定される必要はない」との考えを示した。
同法は民間企業の封書・はがき(信書)の集配事業などへの参入を可能にするため、2002年に成立。利用者の選択の機会の拡大を図ることを明記しているものの、差し出し箱の設置義務がハードルとなり、民間参入は進んでいない。
以前竹中大臣の答弁を紹介しましたが、ユニバーサルサービスの維持には採算割れ部分の補填が必要で、そのために民営化郵便事業にはリザーブドエリア、つまり独占部分があるので、そこから得られる超過利潤で採算割れを補ってもらうというのが、今般の郵政民営化のロジックだったわけですが、それは放棄ですかそうですか。今後の審議で誰かツッコまないかなぁ。
そもそも信書便法がある段階で理念的にはコンテスタブルマーケットになっていて、それを運用上の高いハードルでごまかしていたというのが真相ではあるのでしょうが。他のコミュニケーションメディアの存在を考えれば、信書便法がなくてもリザーブドエリアは中長期的には維持不可能では、という議論はもちろんありえるのですが、そこまで考えてのこととも思えません。
民間(例えばヤマト運輸)でもユニバーサルサービスは可能だから問題ない、という反論があるかと思いますが、ここでの問題はできるかできないかではなく、撤退・廃業の自由を認めるかどうかです。万国郵便条約を遵守してユニバーサルサービスを維持します、というのは、事業体の都合で業務を廃止することを国として認めない(少なくとも代替手段が確保されるまでは)ということに等しいのですから。
■ [comic]山田優が声優だからというわけではございませんが
NANAよりParadise Kissの方が名作だと思っているのですけれども。NANAは矢沢あい自身が方向感をつかみかねているというか、ストーリーをどう組み立てるべきか迷っているのではないでしょうか。人気が出すぎて続けるに意義がある状態になっているが故、ということがなければよいのですが。
さらには映画がヒットしているようですけれども、あれだけ長い原作を映画にうまくまとめられるのかな、と思うと観にいく気がなかなかおきません。今年はローレライや亡国のイージスがそのあたり失敗していて、もっと短くエンタメ指向でもあり映画向きであるはずのSHINOBI(原作は山田風太郎「甲賀忍法帖」)ですらいまいちで、邦画が信頼できないっていうのもあります。どっちかというと映画にするならParadise Kissで、連続アニメにするならNANAじゃないの、と思いもするのですが。
で、一番いいたいことは、山田優もParadise Kissも好きだからこそ、本職の声優では無論なく、女優としてもまだまだのタレントを起用するなと。
■ [comic]ヴィンランド・サガ、アフタヌーンへ移転
幸村誠『ヴィンランド・サガ』、圧倒的な画力、構成力を見せ付けて滑り出しはまずまず好調だが、本人含むみんなが危惧しているのは「果たして週刊連載なんてできるのか?」である。このところの経験則として言えることだが、『週マガ』に梃入れ的に青年誌から引っ張られてきた気鋭の大型連載は、ほぼすべてポシャっている(能條純一しかり、福本伸行しかり、……)。
まあ実質月刊になってもいいから、『プラネテス』みたいに過度にセンチメンタルにならないようお願いします。
「まんがについていくつか。」(@インタラクティヴ読書ノート別館の別館4/20付)
さすがのご慧眼です。クォリティを維持していただけるならそちらの方が望ましいのは間違いないのですが、アフタヌーン、忘れないようにしないと・・・。
「ポストを設置はしませんけど、ドライバーが集荷に行きますからユニバーサルサービスですよ」とのたまった黒猫ちゃんを思い出しました。総理はクリームスキミングを避けるための措置をお考えいただいているのでしょうか。
それとも、たむけん風に「郵政死ねっ!ユニバーサルサービス維持して死ねっ!郵便差出箱の道路使用料払って死ねっ!メール便で信書運ばれて死ねっ!事業拡大を監視委員会に阻まれて死ねっ!万国郵便条約遵守して死ねっ!」と仰りたいのでしょうか。リバタリアン・・・
山間島嶼における集配網維持のために補助金か追加料金を求めているドイツポストと同じ展開になるのでしょう。
わたしもかんべえさんのエントリーを読んで違和感思ってたのですが、明快な解説ありがとうございます。
リバタリアンは現実の制度に適用すると必ず矛盾を露呈するような、一種のユートピアのようなもの、私的態度としてしかありえない種類のものではないでしょうか。というのは人間がある程度の自由を実現するにはどうしたって経済的な裏づけが必要ですから、最小国家で自由の拡大が出来るとは思えないんです。借金漬けの人に自由があるとは思えないですし。金さえあればなんでも出来る、というのはむしろ人間の本質に根ざした考え方でしょう。それよりもお金など大した問題ではないとかしたり顔で言うのこそ詭弁ですね。
>yubin様
監視委員が事業拡大を阻んでる時点でリバタリアンと相容れないですわ。Bewaad氏の言う通り小泉氏はリバタリアンではないので、そこは「小泉…」でお願いします。
まあ「純粋なリバタリアン」というのは「純粋なリベラル」と同じレベルで嘘であると思われますので、その間の直線状でどこを選ぶかということになるでしょうね。
これだけでも日経記者の無学ぶりがわかる記事ですね。武富士のことといい本当に「都合のいいこと」しか言わない会社ですなあと・・・
ちなみにリバタリアンは特許制度や著作権制度も否定します。(国家介入による独占を認める制度であるため)「知財推進計画」なんて持ってる政府のどこがリバタリアン的であるのかと。
>すなふきんさん
アナルコ・キャピタリストくらいまで行くとそんな感じで、実現可能性とか実効性は皆無なんですが思考実験としてはすてきにおもしろいと思っています。ところが一般的なリバタリアンは自分たちの理論が実現可能である、実効性ある代替選択肢であると主張するんですよね……
ご無沙汰です。このエントリーの趣旨に賛同いたします。
日経さんが、自分のとこを小さな政府推進=リバータリアンって考えてるんだろうなーってなことはわかりますね。
自民党の中では、いくら小泉系のひとたちでも、さほど個の自由にベースを置いた主張をしてる気はしません。経済面では規制改革でその一端が出てるようでもありますが、やりくりに困ってやらざるを得ないから・・・という側面が強いような。
今後、都市型人間が地方への分配減少を志す改革を求めるときの合言葉が「りばーたりあん」になってくるのかな、とか思います。
政権を持たない立場になっても思想的な基盤を維持できる党派なのかは大いに疑問であり、じゃあなにを目指しているのかと・・・
>yubinさん
独占でないというなら、プライスキャップ制を合理化することはできないわけですから、料金を自由化して地域別料金の導入というのが合理的対応ということになるでしょう。
>ドラめもんさん
アメリカ政治に詳しいかんべえさんですから、それを信じる人が多いのではないかと危惧して書いた次第です。
>popoさん
従来からの伝統型保守主義者の多くが小泉改革に賛同していますし。本来のリバタリアン的態度が小泉派の基本思想だとは思えないんですね。それどころか2ちゃん流ネット右翼なんかグロスタと対中国交断絶を同時に唱える馬鹿がいる始末。支離滅裂な部分に自分でも気付いていない。これ、日本の知的水準の低下がかなり進んでるってことでは?
>すなふきんさん、でぶさん、大屋先生
リバタリアニズムが自らをアナーキズムと差異化する以上、「ナショナルミニマム」と「最小国家」は絶対水準の議論というよりは、過剰を憂うか過小を憂うかという方向性の議論ではないかというように思います。
>ゆーきさん
日経記者は経済分野でも怪しいのですから、いわんや政治分野においてをや、ということではないかと。
>本石町日記さん
こちらこそご無沙汰してます。某ボードの各メンバーがあれこれ騒がしくあり、そちらはお任せしちゃってますが、フォローよろしくお願いします。
>popoさん、すなふきんさん
リバタリアンと自称してくれればこのようにいくらでもつっこみようはあるのですが、没理論で開き直られるほうが始末が悪いと思います。
というか、なまじ知識人を意識してリバタリアンなどという言葉を使う、という選択をしないところが小泉風ではあるのでしょうけれども。
小泉首相の場合、「構造改革」という言葉も、具体的な政策や思想を指しているというよりも、自分にとって都合の良い政策を入れるための飾り箱として使っている印象があります。
彼の本質は機会主義者なのかもしれませんね。
リバタリアンというのなら個人が銃で武装する権利を認めなきゃね。
ついでに総理のご英断で、万国郵便条約に定める我が国の「郵政庁」を別の会社にしてもらえないでしょうかね。(外国から送られてくる郵便物について、配達先が山間島嶼であったと言う理由で差出国に追加料金を要求できるわけではないので)
>Baatarismさん
清和会(福田派など)が戦前以来のエスタブリッシュメントを代表する勢力であるとし、戦後の成り上がりを叩き落すことが構造改革だとするなら、相当程度一貫したものとの考えられるような、と思いつきですが。
>cloudyさん
今の選挙戦など戦国時代に比べれば甘っちょろいとおっしゃっていたわけで、そこは総理も同意するかもしれませんよ(笑)。
>yubinさん
そこは内外逆差別補助金を導入して補填することでしょう(笑)。