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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-10-09

[economy]プチ特集:財政問題に関していただいた意見について (1)大石英司さんへのリジョインダー

2月に書いたエントリにつきまして、大石さんより次のようなご指摘をいただきました

2.日本では金の使い道が無く、国家が国債を発行してそれを民間に買わせ、国がお金を使うという話は一見筋が通っているみたいだけれど、それって社会主義の発想ですよね。それに、実際に今の国債の発行というのは、実際の税収を大幅に上回る国家予算を賄うための窮余の国債発行であり、借金返済のための発行だったりする。これをして、正常な経済運営だとはとても思えないのですが。

大石さんご指摘の「一見筋が通っているみたい」な議論は、その後9月にその点に絞って再説したエントリがありますが、そのエッセンスはあまった貯蓄は国に貸すか(財政赤字)、海外に貸すか(経常黒字)でしか運用できないというものです。運用できなければどうなるかと言えば、その分だけ所得が減って(=財政支出and/or純輸出の減少)貯蓄に回す金がなくなるという形で調整されることになります。

大石さんのご批判に対してお答えしますと、まず社会主義の発想ではないかという点ですが、何をもってそうおっしゃられているのかが不明ですので、webmasterが思いつく2つの可能性を取り上げます。

  • マクロ経済変数(GDP、貯蓄投資差額、経常収支など)に着目して経済政策を行うことが社会主義的というのであれば、そのような経済政策を2つの手法である財政政策と金融政策により行っていない先進国はないので、全ての先進国は社会主義的ということになり、日本だけが社会主義的というわけではなくなります。政府債務残高の程度がはなはだしく、社会主義的の程度が高いというのであれば、それは日本に以上に貯蓄投資差額の程度が高かった国はなかったことの裏返しでしかありません。
  • 貯蓄投資差額の程度にかかわらず、政府が財政政策を通じて資源配分や所得再分配を行うことが社会主義的というのであれば、これまた全ての先進国がそうした施策を講じていますので、日本だけが社会主義的というわけではなくなります。さらにこの観点からは、貯蓄投資差額がプラスであり財政政策発動の副作用が相対的に少ない日本よりも、貯蓄投資差額がマイナスであり財政政策発動の副作用がクラウディングアウト(政府が貯蓄を民間部門と奪い合うことによる金利上昇)の形で出て来やすい国(例えばアメリカ)において、あえてそうした施策が講じられる場合の方がより社会主義的ということになります。

続いて現在の国債発行が正常な経済運営かどうかですが、現に生じている財政赤字の最大の原因は社会保障関連の支出で、この社会保障関連支出の増加傾向が恒常的なものなのか一時的なものなのかで議論が変わってきます。恒常的であるとすれば少子高齢化に歯止めがかからない場合ですが、このケースでは長期的には日本国民はゼロとなるわけで、財政赤字なんぞを心配したところではじまりません。

一方、いつかは歯止めがかかるとすれば、その時点での社会保障関連支出の水準で均衡することになりますから、そうした安定状態に移行した後での返済を見込んで先に借りておくことは合理的対応です。例えば住宅ローンをその後数十年かけて返済していくように、移行期間中の国債残高の累増傾向を移行後に安定させればよい(GDPが伸びているなら微増でも可)というだけのことなのです。

[economy]プチ特集:財政問題に関していただいた意見について (2)磯崎哲也さんのご提案

9/3010/2の2つのエントリで預金税について磯崎さんが論じていらっしゃいまして、当サイトにもtrackbackをいただきました。このアイデアについて考えてみます。

ご提案の預金税とは、預金残高を基準に税金を課すというもので、次の2つの目的を有するものとされています。

  1. 財政事情が厳しい中、新たな財源が確保できる。
  2. 個人(家計)がリスク資産に運用することで、財政や企業経営により関心を持つようになり、そのため政府や企業経営者の規律が高まる。

前者については、そもそも現在の財政をそれほどの危機的状態であるとは思っていないので問題意識の共有ができないわけですが、仮に増税が必要であるというなら、所得税の累進性強化と相続税増税を優先し、さらに納税者番号制を導入して諸税の補足率を上げることから始めるべきだと考えています。金持ちが国外に流出する? どうぞご自由に!

後者については、個人が投資先をチェックすることによるガバナンスの向上というのは、正直申し上げて夢物語だと考えています。各人はそれぞれ本業を持ち、それぞれの余暇を過ごしているわけですが、そこから投資先の分析・検討に割く時間を捻出したところで高が知れていて、しかもスキルを身につけるにも限度があり、プロである格付会社やアナリストのレポートに目を通すのが関の山でしょう。市場を通じたガバナンスは、やはり大口保有を行う機関投資家に期待せざるを得ないでしょう。

ちなみに深尾先生の資産課税案についてもお取り上げのうえ、現金や預金以外の金融資産にアロケーションを移すことによる課税回避を防止するためではないかとされていますが、深尾先生の案は金融資産への運用ではなく消費にお金を回させることを目的としているので、現金を含むあらゆる金融資産に課税せよというものになっていますので、その旨付記させていただきます。

[economy]プチ特集:財政問題に関していただいた意見について (3)techさんのお題

クリントン前アメリカ大統領の「日本や中国や(略)からお金をせっせと借りて、減税やら戦争やらカトリーナ被害復興やら、いったい何やってんのかね」という発言(大意)をお取り上げのtechさんから、気の利いた返事はありませんかというお題をいただいてしまったので、あれこれ考えた結果が以下です。

Bewaad couldn't help adding: "We are interested only in how much can you pay back, not in how do you spend borrowed funds on. Your legacy concerning the US economy has made so much sense as to reinforce your successor's nonsense, hasn't it?"

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]
night_in_tunisia (2006-09-11 14:52)

>所得税の累進性強化と相続税増税を優先し
ギャッ!! orz
働くインセンティブをもっと大事にしよう!!

night_in_tunisia (2006-09-11 14:59)

真面目な話し、預金税なんていまさら考える必要もなく、単にゼロ金利に戻せばよいだけかと。本来は消費への刺激のためのアイディアだったんでしょうがそれがなぜ財政再建の手段に!? むしろ金を借りると返済額が元本より少なくて済むというタイプのマイナス金利のほうが面白いアイディアだと思います。

night_in_tunisia (2006-09-11 15:01)

ウギャ!!よくみたら1年前のエントリだった。
RSSフィードおかしくね?

bewaad (2006-09-12 06:20)

>night_in_tunisiaさん
累進強化はともかく、相続税増税は労働インセンティヴに中立だと思うのですが、どうでしょう。

預金税は、代替的な他の資産をどう把握するかといった問題から、あくまで思考実験に類するものではないでしょうか。

RSSは本日(2006/9/12)書いたとおりです。混乱を招いて申し訳ないです。

本日のTrackBacks(全1件) [TrackBack URL: http://bewaad.sakura.ne.jp/tb.rb/20051009]

 先日紹介した、財政問題に関する bewaad 氏のブログからトラックバックを頂戴しましたので、そちらをまずご参照下さい。実は先日、記事にし


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