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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-10-18

[notice]中央公論(11月号)「ブログ・ハンティング」に掲載

されたとのbranchさんのテキストを見て、さっそく入手。現役官僚の運営するブログとしては質量ともにトップクラスと、過分な評価をいただき恐縮です(実は最近注目しているのは太田在公式ブログ アリぶろぐ♪たった半年前は誰それ? だったのですが)です、なんていっちゃいけないのかな(笑))。毎回コメントも非常に多く寄せられ、経済に関する高度な議論が交わされているとのことで、皆様のお力添えあっての評価だと思います。ありがとうございます。

関連してbranchさんも取り上げていますが、次のようにネット界の先達、岡本全勝課長がwebmasterを含む非実名でのサイト運営者を批判していらっしゃいます

その記事にもありますが、官僚もののウェブサイトは、匿名ばかりですよね。「匿名が多い」と書いてありますが、私はこのHP以外に、官僚が実名で仕事について書いているページを見たことがありません。趣味のページはいくつもありますが。まあ、これも「官僚の問題」なのでしょう。批判をおそれて、実名では書かないという問題です。もちろんこれは、本来の仕事にあっても実名を出さない=責任をとらないことと、通じています。

実名でなくても批判はされますよ、と揚げ足をまず取っておいて(笑)、実人格にネット上での批判が及ばないようにするというのはまことにそのとおりなのですが(そのために匿名にしているわけで)、この業界にいれば独立した個人としては批判対象足り得ないケースがままあるのですから、ご指摘はあたらないと思います。例えばwebmasterの郵政民営化批判エントリについて、官邸から○○【官房/府/省/庁/委員会事務局】はけしからんということで組織として責任が問われるようなことも考えられるわけですから、個人で責任を担いきれると考えるのはいかがなものかと思うわけです。

さらに言うなら、本来の仕事においては、個人が責任をとらないのは個人が名誉を受けないことの裏返しでしょう。個人に責任をとらせたいのならスタンドプレイを認めるべきですし、webmasterは霞が関においてスタンドプレイを認めるのは好ましくないと思うので、個人に責任をとらせるべきでないと思います。

#これはあくまで対外的な話で(対外的には責任も名誉も大臣に帰します)、部内においては人事によって因果応報があります。為念。

[government][law]情報公開における能動と受動(続・行政指導と公表)

15日付のエントリで、制裁的意味合いのある情報公開を行政が能動的に行うのはよろしくなく、他方情報公開法に基づき受動的には公開しなければならないとするなら、その関係はどのように整理したら良いのでしょうか、と問題提起したところ、paco_qさんからご意見をいただきました。ありがとうございます。

#名指ししてしまったAKITさんは学会報告でご多忙とのこと、失礼いたしました。

そこで本題ですが,情報公開と公表との関係については,両者が一般的意味において関連性を有するとの認識はあったにせよ,上でbewaadさんが出された問いのような問題意識から書かれているテキストはあまり見かけません。以下は私見です。

とりあえずとっくに決着済みの話題を持ち出したというわけではなくほっとしています。行政としてどう行動した方が安全か、という問題意識は、行政学者にとってはかなり優先順位の低いものでしょうから、先行研究がなくても当然だと思います。で、paco_qさんの私見は次のようなものでした。

(略)ありうる考え方のひとつは,公表が与えるダメージに注目し,それと公表により得られる公的利益との衡量を行おうというものです(判断方法としては義務的開示のときと同じです)。この場合には

  • 公表による被公表者のダメージ>公表により得られる公的利益 → 法律の根拠必要(≒制裁目的)
  • 公表による被公表者のダメージ<公表により得られる公的利益 → 法律の根拠不要(≒情報提供目的)

ということになります。ある公表行為が「情報提供」を目的とするのか「制裁」を目的とするのかは多くの場合はっきりせず,時としてその両方の性格を持っていることもあります。そうした点からすれば,裁判で争われたときには,このような利益衡量が実は下記のような場合分けに先行しているのかもしれません。

こういった通説となるのであれば、霞が関の住人としては基準が明確となりうれしい限りです。公開が能動的か受動的かで異なる要素を勘案する必要がなく、しかも情報公開については情報公開・個人情報保護審査会において微妙な判断についての着々と前例が積みあげられているので、あれこれ判断に迷わなくてもよくなります。

ただし、この考えがこれまでの行政法学での方向性(制裁的意味合いのある能動的公開については法律の根拠を求める)と整合的かは、直ちにそうであるとは言いがたいでしょう。その点について、paco_qさんはさらに続けていらっしゃいます。

(略)公表という行為によって相手方私人が受けるインパクトが「侵害」的なものであれば法律の根拠が必要と考えるはずです(かつての「侵害」理解には氏名公表は含まれませんでしたが,いわゆる本質性理論はこの部分についても「侵害」の性質を認めたとされます)。そこでいう法律の根拠には情報公開法のようなタイプの規範は含まれず,いわゆる根拠規範(個別の行政活動の発動要件とその効果を規定した規範)が求められます(その背景には,情報公開法に基づく開示請求→開示と,行政のイニシアティブによる公表とでは,情報が明らかになる側へのインパクトが全くことなるという価値判断があります)。その「侵害」にあたるかどうかの判断基準として「制裁目的」かどうかという基準が立てられるわけですが,実はこの基準よりはむしろ上に書いた利益衡量的な判断方法の方が,もしかすると実務的判断には便利なのかもしれません。

このあたり、ぶしつけなことを申し上げるなら、行政法学側の検討が立ち遅れているのかな、という気がいたします。というのも、かつては能動的な情報公開のみを考えていればよかったのですが(だからこそ法律の根拠がいるとされたわけで)、情報公開法がある現在においては、受動的な情報公開があり、とすれば当初の受動的な情報公開が、それが定期的に収集されるものであるとき(例えば決算期ごとのものなど)において、以後能動的に公開することが求められる可能性があるからです。いちいち請求しなくても出せ、と。

この場合、上記引用中の「情報公開法に基づく開示請求→開示と、行政のイニシアティブによる公表とでは、情報が明らかになる側へのインパクトが全くことなるという価値判断」は意味をなしません。学説上、能動的には公表できないので、申し訳ありませんが開示請求してください、そうすれば出しますなどと言おうものなら、お役所仕事の典型として筆誅の対象となること必定でしょう(笑)。

では開示したことがある情報(をアップデートしたもの)の能動的公表のみ許せばよいではないか、という議論も考えられますが、では国会で質問された場合は開示請求に準じて受動的と考えてよいかどうかとか、グレーゾーンはいたるところにあります(で、えてして国会での質問は制裁的意味合いで明らかにしろというものだったりします)。官僚の処世術としては、なるべく当事者が公開している情報で対応しようとしますし、そうでなければ公開してよいという了解をとりつけるまでは守秘義務を念頭にお答えできないというスタンスになりますが、根拠規範がなければ一律に公開しないという考えは、今の霞が関にはあまりないのではないか、というのがwebmasterの個人的観測です。

なんでも利益衡量というのは法令の客観的規範としての機能を損なうものですから、可能であれば避けるべきものではありますが、この問題についてはやむを得ないのではないでしょうか(と学界や裁判所が思ってくれればいいのですが)。既述のとおり、それが「実務的判断には便利」なのは疑いありませんので。

ちなみに、関係する情報公開法の条文を見ていて気になった点を1つ。個人情報については、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に限らず、「法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」もまた義務的開示の対象となっていますが(第5条第1号イ及びロ)、法人・事業者の情報については、前者しか義務的開示の対象になっていません(第5条第2号ただし書)。

素直に読めば法人・事業者の情報は、「法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」であっても開示されないということになってしまうのですが、どう考えてもこれは不合理です。そうした種類の情報は「行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」(第5条第2号ロ)ではあり得ないので当然に開示である、という解釈でいいのかな?

#コンメンタールを読めばわかるような疑問で恐縮です。手元にないので・・・。

[history]孫子の原文はなあに?

キューバ危機を描いた映画「13デイズ」についてなんですが、このなかでケネディが、国連安保理のテレビ中継――ソ連大使が「アメリカの世界侵略」を非難している――を見ながら、

What is it that Sun Tzu says?

War's a moral contest, and they're won in the temples before they're ever fought.

とつぶやくシーンがあるんですが、
『孫子』にそんな言葉ってありましたっけ?

「寺のなかで緻密な calculation をしたヤツが勝つっっ!!」みたいなことは書かれてると思うんですが、moral contest とかそんなのあったかなあ。いや、上に引用したセリフ自体には激しく同意なんですけれども、ちょっと気になって。

「Thirteen Days」(@gachapinfanのスクラップブック10/17付)

以下、まったくのあてずっぽうではあります。

ヒントになりそうなのは"before they're ever fought."の部分で、有名な戦わずして勝つべしを指していると考えてよいでしょう。原文では「百戦百勝、非善之善者也、不戦而屈人之兵、善之善者也」(謀攻第三)となりますが、これを見れば"a moral contest"はこの「善」の訳ではないかと。

残る"in the temples"ですが、これは同趣旨の「夫未戦而廟算勝者、得算多也」(始計第一)の「廟」が混ざったのではないでしょうか? もちろん逆に、始計第一が本来の原文で、そこに「善」が混ざったとも考えられるのですが。

本日のツッコミ(全16件) [ツッコミを入れる]
kumakuma1967 (2005-10-18 09:47)

実名の官僚(地位を特定できる)が政策や選挙について書いたら「地位を利用した政治活動」そのものでしょう。利権のある部門の人なんかは大変な事になります。本当は官僚なんかじゃないかもしれないくらいでちょうどですよね。.....実名でやったら「批判を恐れて」どころではないですね。官房総務課長殿の記事は職場の意見と一致しているので個人的意見ではないんでしょう。批判を恐れないのなら公務は公務ページでやるべきでは?

一国民 (2005-10-18 15:54)

「批判」よりは「情報漏洩」などのケースに対する責任の所在を気にした発言なのかもしれません。まあ、そういう場合には匿名でも責任を取らせることは可能ですが、管理できないものが増えることに対してマネジャーレベルの人が焦りを感じているのでしょう。
ところで、同じ官僚さんでも外務省の方って、わりとスタンドプレーというか個人プレーが見られるような気もしますけど。

gachapinfan (2005-10-18 21:06)

孫子原文探しありがとうございますm(_ _)m
 
孫子って道義的要素とは無縁のイメージがあったものですから、ちょっと気になったのでした。
 
雑談ついでに言いますと、あのセリフ、脚本家による創作なのか記録テープに実際にあったのかもちょっと気になります・・・。
(ケネディ兄がWW1本『八月の砲声』に言及してたり、ケネディ弟が会議で「兄をTojoにしたくない」と発言してたり、勉強好き兄弟だったのは確かだと思いますが、リベラルのJFK信仰によって実際よりもIQ高めに描かれてるような気もします。)

別な種類の官僚 (2005-10-19 02:00)

所属先などを書くと「その組織の見解」などと取られて、自由な論議にならない、というのもありますね。
ネットで読みたくなるのは「個性」なので、一部の実名官僚ブログがその実名ゆえ「あたりさわりのない」ものになってしまっていて、面白くないです。。。
「俺はこう思う!」っていう主張と官僚の実名ブログは両立しないと思っています。

bewaad (2005-10-19 06:12)

>kumakuma1967さん
政策の解説記事を書くときには、必ず「意見は個人的意見だ」という趣旨のことを書くのが通例ですから、個人的意見はあるというのが建前です(笑)。

選挙がらみはまずいですが、政策関係は実名でも問題ないのでは(中身云々でなく形式的には)、という気はします。あくまで管見であって何らかの裏づけがあるわけではないのですが。

bewaad (2005-10-19 06:15)

>一国民さん
外交官には、一国を背負って国際交渉に全権代理として臨んだ古きよき時代の記憶があり(今ではもちろんそんなケースは(通信の発達により)ありませんが)、そうしたビヘイビアをよしとする風潮があるのかな、と外部から見て思います。

bewaad (2005-10-19 06:18)

>gachapinfanさん
ケネディ元大統領には上杉鷹山を尊敬する人物として挙げたというエピソードもあるので、孫子も知っていておかしくはないと思います。孫子はリデル・ハートが紹介もしていますし、全く知名度がないということもないでしょうし。

bewaad (2005-10-19 06:20)

>別な種類の官僚さん
正直なところ、自分が担当している政策についてあれこれメディアに書いている官僚がいたら、「そういう評論家じみたことは辞めてからやれや!」と思うだろうなぁと。自分がやっていることに照らして、思いっきり矛盾してますが(笑)。

一国民 (2005-10-19 15:53)

上杉鷹山については、クリントンも日本の記者に聞かれて名前を出していましたね。民主党の対日本マニュアルに書かれているのかも(笑)。

bewaad (2005-10-20 04:18)

クリントンはJFKを意識した振る舞いが多いですから、あくまで彼の個人技でしょう。で、後の世代でクリントンを手本とする大統領が出てきたら、また言及されると(笑)。

Baatarism (2005-10-20 09:56)

上杉鷹山も良いけど、バーナンキがFRB議長になったら高橋是清を演説の中で引用してほしいですね。

bewaad (2005-10-21 05:32)

確かにそうなればいいですね、という気持ちが半分と、なんで自国の先達を海外から紹介してもらう必要があるのかな、という気持ちが半分で複雑ですね。クルーグマンがノーベル経済学賞を受賞していたら、その挨拶でも、という期待もあったのですが・・・。

BUNTEN (2005-10-21 06:28)

>なんで自国の先達を海外から紹介してもらう必要があるのか

いわゆるひとつのガイアツという奴ですな。(^_^;)

BJ38 (2005-10-21 17:42)

ご推察の原文「夫未戦而廟算勝者、得算多也」が
>War's a moral contest, and they're won in the temples before they're ever fought.
の、and以降の文章の訳ではないでしょうか。andの前後で文章の参照元が違うと考えるのがよいかと。では「moral contest」がどこから来てるかと言われると分からないのですが。「moral」って普通「義」だと思うんですが、『孫子』にそれで該当する箇所はないですし。可能性としては後は「道」でしょうか。

それとネタにつっこんで申し訳ないですが、「temple」は聖堂ですね。「shrine」の方が日本人的にはすっきりします。解説は以下を。
http://kindai.ndl.go.jp/cgi-bin/img/BIImgFrame.cgi?JP_NUM=40066040&VOL_NUM=00000&KOMA=27&ITYPE=0

bewaad (2005-10-22 04:17)

>BUNTENさん
ま、構造改革派もそう思っているのでしょうけれど(笑)。

bewaad (2005-10-22 04:21)

>BJ38さん
a moral contestについては、「非善之善」と「善之善」の対比を指してそう言っているのかな、という気はします。訳者でないので勝手な想像ですが。

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2日前のエントリに対し,bewaadさん,[id:dpi]さん,[id:kei-zu]さんからご意見を頂きました。 [http://bewaad.com/20051018.html#p02:title=bewaadさん]よりいただいたご意見について,まずはコメントさせていただきます。 このあたり,ぶしつけなことを申し上げるなら,..

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