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2005-10-19
■ [government][law]続・情報公開における能動と受動
昨日のエントリと相前後して、dpiさんからもご意見をいただきました。ありがとうございます。当初の話題からは以下ずれたことを書きますが、問題意識をクリアにしてもらったということかと。
以下は直接dpiさんにお答えする内容ではないのですが、情報公開法の制定により原則非公開・例外公開という扱いが逆になり、原則公開・例外非公開になったのではないか、というのがwebmasterのもっとも根本的な疑問であったようです。手がかりとして、いわゆる守秘義務を定める国家公務員法の規定を見てみます。
第100条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。
2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する。
3 前項の許可は、法律又は政令の定める条件及び手続に係る場合を除いては、これを拒むことができない。
4 前3項の規定は、人事院で扱われる調査又は審理の際人事院から求められる情報に関しては、これを適用しない。何人も、人事院の権限によつて行われる調査又は審理に際して、秘密の又は公表を制限された情報を陳述し又は証言することを人事院から求められた場合には、何人からも許可を受ける必要がない。人事院が正式に要求した情報について、人事院に対して、陳述及び証言を行わなかつた者は、この法律の罰則の適用を受けなければならない。
これが原則ということになりますが、典型的な例外規定として、議院証言法を続いて見てみます。
第5条 各議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会は、証人が公務員(国務大臣、内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、副大臣(法律で国務大臣をもつてその長に充てることと定められている各庁の副長官を含む。)及び大臣政務官(長官政務官を含む。)以外の国会議員を除く。以下同じ。)である場合又は公務員であつた場合その者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該公務所又はその監督庁の承認がなければ、証言又は書類の提出を求めることができない。
2 当該公務所又はその監督庁が前項の承認を拒むときは、その理由を疏明しなければならない。その理由をその議院若しくは委員会又は合同審査会において受諾し得る場合には、証人は証言又は書類を提出する必要がない。
3 前項の理由を受諾することができない場合は、その議院若しくは委員会又は合同審査会は、更にその証言又は書類の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明を要求することができる。その声明があつた場合は、証人は証言又は書類を提出する必要がない。
4 前項の要求後10日以内に、内閣がその声明を出さないときは、証人は、先に要求された証言をし、又は書類を提出しなければならない。
守秘義務を破って秘密を公開させるにはこれだけ厳重な手続が求められています。まさに例外と呼ぶにふさわしいでしょう。
さて、情報公開法が定められるまではこのような世界だったわけですが、これらの規定が対象としているのは秘密であって情報でないというところが考えどころです。秘密でない情報についてどのように取り扱うかについては規範がなかったということですが、類推解釈で秘密に当たらない情報であっても漏洩すべきでないとするか、反対解釈で秘密に当たらない情報は漏洩してもかまわないとするか。
従来の行政法学がとっていた目的による区分、つまり一般への情報提供を目的とする場合には行政の判断でも問題ないとし、制裁的な影響を生じさせることを目的とする場合には法律の根拠があってしかるべきというのは、この類推解釈・反対解釈の使い分けだと考えれば制度的な並びはよくなります。制裁として機能するには公知になったことにより何らかの害が生じるということになるわけで、もちろん情報提供目的でもそのような反射的効果は生じるわけですが、少なくとも制裁目的はそうした害を積極的に生じさせようとしているのですから、守秘義務への例外に準じて考えてもよいということではないでしょうか。
ところが情報公開法の制定により、第5条各号に掲げる不開示情報は限定列挙されることとなり、それ以外のあらゆる情報は(請求がなくとも潜在的には)開示すべきものとの整理がなされました。先の整理を援用すれば不開示情報は類推解釈(その中には国家公務員法上の秘密が当然含まれるでしょう)、それ以外は反対解釈ということになります。というのも、不開示情報以外は、仮に公知になったとしても、そうでない状態よりも社会全体としては望ましいからこそ、開示義務が課されたと整理可能だからです。
この整理で問題となるのはdpiさんもご指摘の手続的保障の点ですが、これはむしろ行政処分の概念の問題と解すべきではないでしょうか。というのも、情報公開法においては開示決定が行政不服審査の対象であることが明記され、つまりは開示決定は目的の如何にかかわらず処分性を有するとされていますが、他方で行政による情報の自主的公表は通説では基本的に処分性がなく、有力説で制裁目的の場合は処分性があるというもので、いずれにしても情報提供目的であれば処分性はありません。能動的か受動的かで処分性の有無に差を設けるべき合理的理由はないでしょう(情報の帰属者については。もちろん請求者の有無に係る違いはあって当然ですが)。情報公開法制定時に、本来はこの差を埋めるような立法措置が講じられるべきではなかったのかな、という気がします。
#しかし開示決定は、反対意見の提出者については、行政手続法上はどのような処分と解すべきなのかよくわかりません。これが確定しないことには、能動的情報公表に当たっての関係者の扱いをどうすべきかがうまく定まりません。請求者に対しては申請に対する処分でしょうけれども・・・。
最後に本論とは関係ないのですが、気になったところを2点。まず、dpiさんは国会での質問は国政調査権の行使と位置づけられていますが、国政調査権は両議院に付与された権限であって各議員に付与されたものではないので(憲法第62条)、そのご指摘は当たらないと思います。先に紹介した議院証言法第5条があくまで各議院(及びその構成要素である委員会等)についての規定であることからも明らかで、議院証言法に基づく証言の請求が議院等の決議を要し、また、質問主意書も議長ないし議院の承認を得て始めて対行政府の効力が出るのは、そういう趣旨に沿った規定であると思います。
次に、本来の話題であったインフルエンザワクチンについてですが、元となる朝日の記事(を引用したAKITさんのエントリ)では次のとおりですので、公表に先立つ聞き取り調査については、その対象は医療機関であると理解しています。つまり、卸から情報を得て返品の多い医療機関を特定し、その機関に事情を聞いて公表する、というフローではないでしょうか。
しかし、法的な拘束力がないため、大量に返品を出した医療機関については、聞き取り調査をして名称を公表する。
■ [misc]今度は戦争だ!
軍隊チックないわれ&雰囲気の曲、結構好きなのです。「1812年」とか。そんなに過激な性格だとは思わないんですが(嘘)
「疾走するかなしみ。」(のコメント欄)(@amarettoの日記。10/16付)
妙にamarettoさんと気があってしまうのですが、軍隊っぽい曲っていいですよねぇ・・・webmasterも過激な性格では決してないのですが(笑)。というわけで、それ系統のお気に入りベスト5。
#ちなみに「疾走する悲しみ」とは小林秀雄がモーツァルトの曲を評した言葉で、交響曲第40番などのレビューでよく引用されます。
- 第5位 チャイコフスキー/大序曲「1812年」
- 1812年とはナポレオンがロシアの冬将軍に負けた年、そしてチャイコフスキーはロシアの作曲家ということで、ロシアのナポレオン戦争勝利を描いた曲です。amarettoさん愛聴のドラティ版は、wikipediaによるとロシア軍の勝利をたたえる場面の祝砲を最初に空砲で録音したレコードだそうで(それまでは実弾で・・・なわけはありませんで(笑)、バスドラムで代用されていました)、amazonのレビューを見ていると買いたくなるなぁ・・・。webmasterはwikipediaでも紹介されているカンゼル版で空砲を体験しました。同じく紹介されているカラヤン版で冒頭が合唱になっているものも買いましたが、合唱から入るのは好みではありませんでした。とかいいながら、チャイコの小品ではイタリア奇想曲の方が好きだったりして。
- 第4位 ホルスト/組曲「惑星」より「火星」
- 火星(Mars)はローマ神話の戦争の神ということで、実際に各惑星がどのようなものかではなく占星術における各惑星の位置づけを題材に描いたこの組曲の中で、思いっきり軍隊してます。webmasterの主観では「天王星」といずれが好みかを決しがたい曲です(脱線しますと、「木星」は平原綾香「Jupiter」の元ネタです)。ボールト版しか持っていませんが、後悔したことはありません。
- 第3位 レスピーギ/交響詩「ローマの松」より「アッピア街道の松」
- アッピア街道はローマ街道のうち最初に敷設されたもので、そこを通るローマ軍団をイメージして作曲された曲です。たいていは同じくレスピーギの手による「ローマの噴水」「ローマの祭り」とカップリングされています。webmasterが持っているのはムーティ版ですが、友人から借りたデュトワ版と並んで代表的名演と言えましょう。
- 第2位 ワーグナー/楽劇「神々の黄昏」より第2幕第3場冒頭の合唱
- 普通は「指環」から軍隊っぽい曲と言えば楽劇「ワルキューレ」より第3幕への前奏曲(いわゆる「ワルキューレの騎行」)が選ばれるのでしょうけれど(コッポラ「地獄の黙示録」でのヒューイコブラによる攻撃シーンでも使われています)、絶対にこちらの方が大迫力と自信を持ってお薦めします。緊急集合の号令を受け豪族の部下たちが集まってくるシーンなのですが、そこでの合唱はまさに圧倒的。唯一の問題は、「ワーグナー名曲集」といったオムニバス版にはまず入っていないことで、諦めて「神々の黄昏」全部を(たいていCD4枚組)、できれば「指環」全部を買ってください(CDで13〜15枚程度(笑))。このシーン目当てで買うなら、合唱がピカイチのショルティ版しかありません。ところでこの曲、格闘技・プロレス選手で、だれか入場テーマとして使ってくれませんかねぇ・・・。
- 第1位 フーサ/「プラハのための音楽1968」
- 最後になって吹奏楽曲なのですが、フス教徒が歌ったコラール「汝ら神の戦士たち」のメロディ(スメタナ/組曲「我が祖国」の「ターボル」でも使われています。を全編にわたって繰り返しつつ、旧ソ連によるチェコスロヴァキア侵攻(いわゆるプラハの春)への抗議のために書かれた曲です。というわけで、イーストマン・ウィンド・オーケストラ版ぐらいしか販売されていませんが(セルは自分でオケへの編曲を依頼したのだから録音残しておいてくださいよ・・・)、「IV トッカータとコラール」だけでも是非。鳥肌が立ちますよ。
2位の曲は、以下のCDで聞くことができると思います。『指環』全曲で、たしか合唱が出てくるのはここが最初のはず(例のワルキューレの騎行を合唱に数えなければ)。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005FLP3/qid=1129690013/sr=1-19/ref=sr_1_2_19/249-0709043-8023541
ワクチンが偏在しては困るわけで、2度と起きないように何が起きたか具体的状況を公表するのは公益目的の情報提供ということでいいのではないかと思います。
制裁目的ではないし、公益目的で事実を公表することによる不利益もたいしたものではない。
Husa の曲なら自分で振ったと思われる
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00009EIQ7/
があるようです。吹奏楽関係では有名らしいですが、私はこの曲を聞いた事がないので...
>Fellow Travelerさん
バラででていたのですね。まさにそれです。ご教示ありがとうございました。
>565さん
目的が制裁か情報提供かどちらと解すべきかについては、最初にこの問題を取り上げたAKITさんのエントリで論じられていますが、そこでの論旨が妥当だと思います。すなわち、ここで公表されるのは返品情報、すなわちシーズン終了後に行われるもので、ワクチン接種の必要性が失われてからのことになるので、翌シーズンに間接的に影響するとはいえ、情報提供が主目的とは言いがたいのかなと思います。
>小僧さん
ご教示ありがとうございます。他人に薦めているつもりが、自分が欲しくなってしまって、ミイラ取りがなんとやらです(笑)。