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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2005-11-06
■ [economy]政府系金融機関のあり方
金融ソルジャーさんからご依頼のあった標記テーマを、昨日土居論文に絡めてとりあげたいと考えていたのですが、漏れてしまいましたので改めてエントリを起こしたいと思います。
といっても要すれば土居論文への批判への裏返しで、一定水準以上の情報の非対称性の存在など、政府がコストを勘案してもなお介入すべき事情があるかどうかを検討し、介入すべきであるなら政策手段(補助金、政策減税、信用保証、出融資など)を吟味して最適なものを選択し、金融的手段(信用保証、出融資)が望ましいと考えられるものについては政府系金融機関を存置して執行せしめるべし、と順を追ってきちんと検討するということにつきます。
機関の存廃をどうするかについては、このように行うべき業務を決定した上で、その業務量から逆算して必要と考えられる人員・組織をはじき出すべきでしょう。業務として不要と考えられるものについては、採算がとれる部門は営業譲渡のような形で人員・組織・債権ごとオークションで買ってもらえばよいのではないかと思います。この方式であれば待遇がよくなることが期待でき、当該部門の雇用問題がリストラの足を引っ張ることもないでしょう。
そうなると残されるのは政策的に必要な業務と、不要だけれども買い手がつかない業務ということになりますが、後者の廃止に当たっては各機関に第三者委員会(新経営陣を含む)を設けてチェックさせつつまずは当事者にリストラ計画を策定させることが妥当でしょう。というのも、成功するリストラというものは、従業員に組織の問題を自分の問題として当事者意識を持たせた上で将来のビジョンを共有させ、やめるにせよ配置転換(たまたま今いる部署がいいからといって前掲の売却の利益に与れるというのも不公平な話ですから、全体としてガラポンすべきでしょう)するにせよ過半の納得に努めたものだからです。
それでは機関の数が減らないではないかというご意見もあるでしょうが、あまりにも不要な業務が多く単独の事業体として維持するに不適当なものを廃止する(その場合の残存業務は類似業務を営む存続機関に吸収させざるを得ないでしょう)だけでも十分な効果があるのではないかと思います。よく統合は数合わせに過ぎないという批判がありますが、そのとおりだと思いますので‐通常は減らすだけでなくという趣旨で使われますが、それは偏った用法でしょう。
重要なのは存続部分の運営の効率性をどのように担保するか。財投機関債なんていうばかばかしい手段に頼るのはやめ、金融機関としての民間同様のディスクロージャーに加え、政策執行に伴うコスト等についてのディスクロージャーを充実させ、どの程度の政策支援をどの程度のコストをかけて行っているかを明らかにした上で、民主的政策決定‐つまりは法律や予算による統制‐にしたがい結果をチェックしていくことに尽きるとwebmasterは考えています。
■ [economy]今のマンデル教授は信頼できるか
先日の小泉・マンデル(マンデル=フレミング・モデルや最適通貨圏理論でノーベル経済学賞を受賞した人です)会談を受けて、次のような期待をBaatarismさんがお示しになっています。
まあそれはおいておくとしても、この記事で一つ気になってるのは、実は小泉首相はマンデル教授と差しで議論できるほどマクロ経済に詳しく、しかもわざわざマンデル教授を官邸に招くほどこの分野に関心が深いと言うことです。
これまで小泉首相はマクロ経済に疎く関心も薄いという印象がありましたから、これはちょっと驚きでした。
(略)
ここからは僕の(半ば願望混じりの)予測なのですが、小泉首相は日銀に対して「量的緩和解除を行うなら、代わりにインフレターゲットかインフレ目標値を設定してくれ」と要求するのではないでしょうか?経済財政諮問会議が春に出した「21世紀ビジョン」にインフレターゲットが入ってるのも、そこへの布石のような気がします。
「最近、気になってること」(@Baatarismの溜息通信11/5付)
ところがどっこい、もし小泉総理がマンデル教授の最近の所説を実現しようとするなら、事態はまったく逆になりそうです。例えばMasaru Aokiさん(八田先生の教え子さんのようです)はマンデル教授の講演会について次のような記録を残されています。
ノーベル経済学賞受賞者、ロバート・マンデルの講演会に行ってきた。
彼は今時珍しい固定相場制支持者で、「変動相場制は金融政策ではない」「インフレ・ターゲッティングをやって成功した国はない」など、疑問符のつく発言が多かった。
クルーグマンが「ノーベル賞は若い頃のマンデルに与えられた」って言ってたくらいだから予想はしていたけど。
まあ、生マンデルを拝めただけでいいか。
実際のところ、固定相場制推進が高じて金本位制復帰を唱えたり、ラッファーカーブの導出にも貢献したとの説もこれあり、あまり期待しない方がよい(むしろ引き締め方向で議論が盛り上がったというネガティブショックを念頭に置くべき?)のではないかと考えます。
昨日、小泉首相とマンデル教授について記事を書いたところ、bewaadさんからマンデル教授について厳しいツッコミが。w [http://bewaad.com/20051106.html#p02:title] まあ、まさか小泉首相が固定相場制への復帰をもくろんでるとは思いませんが(笑)、少なくともインフレタ..
ひーやっぱりそーゆーオチがありなのね。(;_;)
うーん、インフレターゲット否定はまだしも、固定相場制とはねえ。
マンデル・フレミングモデルとかの印象が強かったからああ書いたのですが、見誤ってましたね。
だからこそ差しで話が出来たのかと思うとガクガクブルブル。。。
エントリありがとうございました。bewaadさんのいつもの丁寧な書きぶりがここでも納得の行く結論を導いていました。
もっとも普段仕事をしている感じで見ると、「不要だけれども買い手がつかない業務」が多いのではという気はします。
いや、だって、ほら、緑幅も個人的には金本位制信奉者だったしw。
固定相場制はドル固定を意味するのでしょうか?そんな事は無いですよね?全ての国で通貨バスケットを定めてある日突然固定化するのでしょうか。それってユーロの移行過程と同様、世界統一通貨構想という事ではないでしょうか。最適通貨圏についての考えを示したマンデル教授ですので、「世界統一通貨の実現のために、地域間の格差をなくし資本移動・労働移動の自由化を推し進めるべき」と考えているのなら思考の方向が普通の人と逆ですがわからないではないです。現時点ではフィージビリティー無いですが、発言の真意がわからないので好意的解釈しときます。
で、翻って当方の総理で一番怖いのが金本位制。思いつきで話をしそうなので、金本位制復帰音頭とか作らせて、金準備の増額を指示したりして。
ところで、またドル暴落論がちらほら語られ始めたようですが、そろそろ第二のプラザ合意が近づいてきているのかなぁ。オイルショックと同様に第二次は上手に乗り切ってくれる事を期待します。
>BUNTENさん
あくまで予想に過ぎませんから、このエントリでネガティブファクターは織り込んだということで、ポジティブショックを待ちましょう。
>Baatarismさん
ぐっちーさんの日ごろのスタンスからすると、むしろリフレ政策で盛り上がっていたら「やっぱり小泉総理はマクロがわかっていないようです」といった書き込みがあるのではないでしょうか。ぐっちーさんのあの評価こそ、会議の模様を探る最も有力な手がかりではないでしょうか。
>ドラめもんさん
確かにクルーグマンやスティグリッツが、とはまったく想像できません(笑)。
>金融ソルジャーさん
政策金融の本質が資源配分をどうするかの政治決定だとするなら、あまりにひどいものでない限り、民主的プロセスを通じてきちんと議論を尽くして決定すれば内容は二の次だと思ってます。結果として不要なものが多くなっても、それが納得を得るだけの経過をたどったのかどうかで受け止めは違ってくるでしょうし。
>村さん
さすがにマエストロは、現実的なものとしては語っていないでしょう。あこがれの表明みたいなものだったのではないでしょうか。某国前中銀総裁のように、それを実現しようとするなら困り者ですが、そうでない限り思想・信条の自由は守られるべきかと(笑)。
>鍋象さん
一定の前提を置いた専門的議論が、前提が無視されて一般化されるパターンですね・・・。
マンデル氏は欧米の「陰謀物」の本だと、世界統一政府主義者(ワンワールド主義者)の手先だって罵られてる。MFモデルを作った人間が固定相場制を擁護するのはおかしいと思っていたけど、そうだとすると腑に落ちるな。
まず、通貨を統合してその後に生産要素市場(労働力)の移動自由化を余儀なくさせて国民国家を解体する訳か。
あくまで個人的な感想ですが、まだ世界統一通貨の方がMFモデルや最適通貨圏と矛盾なく説明できそうです(もちろん多くの前提が必要なのはいうまでもありませんが)。それよりラッファーカーブの方がなんだかなぁという感じがします。