archives of BI@K

CSS: default alternative
(要cookie)

toppage memoranda

(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|

2005-11-21

[law]民法の法形式

民法というのは中央省庁等改革関係法施行法という邪道の法律(笑)を除けば最大の法律で全5編からなっているのですが、この各編は総則・物権・債権という前3編と親族・相続という後2編にグルーピングされます。で、それらは同じ法律か違う法律かという点について、AKITさんが次のような考察をされています。

ここで私はふと疑問に思いました。現代語化(平成16年改正)前の民法は、法形式的には「民法第一編第二編第三編」(明治29年法律89号)と「民法第四編第五編」(明治31年法律9号)の二つに分かれていて、昭和22年改正は後者の全面改正として理解されるべきなのではないか?(後略)

翻って考えてみるに、法律番号では明示されていませんが、昭和22年改正における「民法」も明治29年法律89号が明治31年法律9号によって第四編第五編の題目、目次、条文が「付された」ものを指していると解釈することができます。もっとも、明治31年法律9号はそのような立法形式を明示には採用していません。現状において民法という法律は明治29年法律89号のみを指すものと考えても差し支えないと思われますが、それが明治31年法律9号によって明治31年段階から第四編第五編が「付された」ものと考えるか(その場合、平成16年法律147号は既に統合されていることを「確認」したにとどまることになります。)、あるいは、中田教授の説のように平成16年改正によっていわば創設的に両法律は統合されたと考えるかは、議論の余地は残るのではないか、というのが私のさしあたりの暫定的見解です。

「「民法」の法形式」(@唯々諾々のもうぐだぐだ11/18付)

霞が関というのはこういう中身にまったく関係のない形式を考える場所でもあります(笑。といいますかこのようなことを大真面目に考えるのはこの世で法制局しかなく、霞が関の諸官庁では法制局を通すためにあれこれ頭を悩ませる結果、知らなくてもいいような知識が溜まるわけで)が、そのストックに照らせば次のような整理しか考えられません。

  • 民法とは明治29年法律第89号
  • 明治31年法律第9号による民法第四編第五編の追加は明治29年法律第89号である民法の一部改正
  • これが明確な形で表されているのは民法の一部を改正する法律(昭和22年法律第222号)

というのも、民法の一部を改正する法律(昭和22年法律第222号)では、(AKITさんもご指摘ですが)「民法の一部を次のように改正する」として前3編と後2編を区別せずに「民法」として取り扱っていますから、ここでいう民法とは全5編を包括する題名として取り扱われています。今の法制局審査であれば間違いなく「民法」は「民法(明治29年法律第89号)」と書かざるを得ず、だから平成16年の現代語化法でもそうなのですが、では昭和22年改正と平成16年改正が違うかといえば同じなのです。法律番号の有無が違うではないかということになりますが、これはかつてはおおらかだったからつけなくても許されていて、今はおおらかでなくなったので必ず付けさせられるのです。いや、冗談ではなく本当の話。

何でそのようなことが言えるかといえば、例えば民法の改正に伴う関係法律の整理に関する法律(昭和22年法律第223号)を見ても、そこで改正されている法律も原則として法律番号は付されていないので、民法が特別な取扱いというわけではなく題名を挙げた後に続く(一部改正対象の)条文はすべて同一の法律の条文ということになります。昭和22年の段階では単に法律名を書けば特定としては足り法律番号を引いての特定は不要だったというのが慣習で、単に民法と呼べば第1編から第5編までの全体を指すという解釈は確立していたということになります。

ではなぜそもそもこの整理に紛れが生じていたかですが、法制局で口伝にて形成された体系だからというのが実際のところ(笑)でしょうけれど、AKITさんが引用する中田先生の次のテキスト(要すれば孫引き)が参考になると思います。

前3編と後2編が別の法律によって成立したとはいえ、後2編は、当初から「第四編」「第七百二十五条」から始まる形で成立しているし、民法施行法(1898〔明治31〕年法律第11号)も、1つの法律の中で、「第一章通則」の後、「第二章総則ニ関スル規定」から「第六章相続ニ関スル規定」までを一連のものとして扱っているのだから、立法技術の形式はともかくとして、実質的には1896(明治29)年法律第89号を1898(明治31)年法律第9号が追加的に変更したと理解することもできる。今回の改正の形式は、このような理解に立つものと考えられる。

中田裕康「民法の現代語化」ジュリスト1283号(2005年2月)(via 「「民法」の法形式」(@唯々諾々のもうぐだぐだ11/18付))(webmaster注:強調はwebmasterによります)

編を追加するような大改正であっても、一部改正である以上法律番号は必ず改正される法律のものを引き、改正する法律のものを引くわけではありません(で、そうであっても一部改正法において改正される部分は一部改正法により成立するものです)。例外は全部改正のみです(この場合は改正する法律の法律番号で以後特定されることとなります)。後2編が「別の法律によって成立した」としても、その「別の法律」が一部改正法である以上(一部改正かどうかはわからないではないか、というなら全部改正法でない以上)は改正される側の法律番号で特定されることとなるので、あくまで「明治29年法律第89号」というのが第1編から第5編までを通じての民法の法律番号ということになります。

#それに合理的根拠はありません。道路を右側通行とするか左側通行とするかのようなもので、統一さえされていればどちらでもいいのですが、日本ではそうなっているとしか。

以下は関連する話題ですが、まず中田先生の従来の題目である「民法第一編第二編第三編」及び「民法第四編第五編」というのは、明治29年法律第89号の「民法第一編第二編第三編別冊ノ通定ム」及び明治31年法律第9号の「民法第四編第五編別冊ノ通之ヲ定ム」を受けてのことかと存じますが、この両法においてこれらは本則と解すべきで、題目(題名のこととして以下議論を続けます)と解すべきではありません。昔の慣習ということで特殊な構成ですが、これらはあえて言えば民法制定法の本則のようなもので、民法本体はあくまで別冊部分になります。

双方の別冊を見たことはないのですが、現代語化法の新旧対照表から察する限り、それらには「民法」と冒頭にあり、その後それぞれの本則の前に「民法」とあるのみで、「民法第一編第二編第三編」や「民法第四編第五編」という記載はないようです。つまりあくまで「民法」が題名で、「民法第一編第二編第三編」や「民法第四編第五編」は題名ではありません。

#AKITさんも別途明治31年法律第9号について附則等は一切なく、表題と施行期日、旧民法の関連する編の廃止、目次、条文を内容としていますと書かれていますが、「表題」は本則(つまりこの「民法制定法」部分には題名はありません)、「施行期日」「旧民法の関連する編の廃止」が附則、「目次」「条文」は別冊中の本則の規定により効力を有する部分(つまり民法)であって法律本体のそれらではありません。

また、現代語化法の「題名及び目次(明治三十一年法律第九号において付されたものを含む。)を削る。」について、明治29年法律89号に明治31年法律9号により題目及び目次(条文もであろう)が「付された」という扱いになっていてとAKITさんは書かれていますが、ここで「付されたものを含む」とあるのは、本来題名は冒頭に一度だけ書かれ、目次はその後に続くというものなのですが、別冊形式で第4編・第5編を追加したが故に題名が複数回出てくる可能性が否定されていません(具体的には第4編以下の目次の前の「民法」)し、その目次の位置も特定されないのであえてそのような規定を設けざるを得なかったということになります。逆に言えば、この問題が生じないならわざわざこの規定は設けられず、かといって付されなかったということにはならない(かえってきちんと付されたが故に言及する必要がなくなる)ということになります。

#実際に改正法の条文を書く人間以外が知る必要のないトリビアですが、題名や目次(あと見出しもそうです)は付すものである一方、条文は加えるものだったりします。何故かは知りません(笑)。

[comic]現在官僚系もふ・第32話

来週は署名が集まって、という展開を大いに予感させるのですが、署名勝負なら「利権」側が同じことしてきたらどうするんでしょう。って、作中ではしないのがお約束でしょうけれど。

本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]
つ[別冊] (2005-11-21 16:57)

http://www.digital.archives.go.jp/
デジタルアーカイブシステム>公文書>*内閣・総理府>太政官・内閣関係>御署名原本(明治)>明治29年>法律>5>89>画像データ>4

bewaad (2005-11-22 06:00)

どうもありがとうございます。政府の一員のくせにしりませんでした(笑)。

電算機専門官 (2005-11-24 20:21)

法令データ提供システムでは、未だに別個の法律として扱われています。(一応、ご意見ページには意見してみましたが。)

bewaad (2005-11-25 06:59)

>電算機専門官さん
政府部内の人間が言うのもなんですが、法制局とかときちんと連携をとればいいのにと思います。

washita (2005-12-04 18:37)

法制局の言うことを聞いていては、永劫にシステム化はできないのではないかと。

bewaad (2005-12-05 01:52)

>washitaさん
頓挫中の法令のXML文書化を途中までは試してみた身としては、そうではないように思います。あの中身は基本的に法制局の言うことに反しないように作ってみましたので・・・。

本日のTrackBacks(全1件) [TrackBack URL: http://bewaad.sakura.ne.jp/tb.rb/20051121]

11月18日付のエントリ「民法の法形式」(id:AKIT:20051118:1132322468)に対して、霞ヶ関、あるいは自治体の法制実務に精通しておられるbewaadさん(http://bewaad.com/20051121.html#p01)、branchさん(http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0511.shtml#1121)、..


トップ «前の日記(2005-11-20) 最新 次の日記(2005-11-22)» 編集