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2006-01-11
■ [economy]円の実効為替レイトの推移
最近銅鑼衣紋さんがいちご等にて、実質実効為替レイトで見ればプラザ合意以来の円安である点に要注目だと注意喚起されています。なるほど、ということでまとめてみようと思います。
本題に入る前に実効為替レイトとは何ぞや、というところから。正確な定義などは日銀が説明していますから詳しくはそちらをご覧いただくとして、端折ればどういうものなのかを説明してみます。大雑把に3点押さえておいていただければ結構でしょう。
第1点。通常の為替レイト、すなわち円ドルレイト(以下、ドルとは米ドル)とか円ユーロレイトというのはある通貨とある通貨がどのような比率で交換されるかということを示しています。1ドル100円なら、100円支払えば1ドル入手できますし、逆も同じです。しかしこれが1ドル110円になったとき、円安かドル高にはなったといえますが(110円支払わないと1ドル入手できないのですから、円の価値が下がりand/orドルの価値が上がった)、そのどちらかなのかわかりません。
そうした場合、第三通貨を介在させればある程度はわかります。100円/ドルから110円/ドルになった際、130円/ユーロが140円になっていれば円安である可能性が高いですし、130円/ユーロのままであればドル高である可能性が高いといえます。ただし、前者であってもドル高・ユーロ高で円安ではない可能性がないわけではなく、後者であっても円安・ユーロ安であってドル高ではない可能性がないわけではありません。
そこで円の対外的な価値の変動を抽象的に把握するため、取引のある通貨について取引量で加重平均で計算したものが実効為替レイトです。といっても「取引」をどう把握するかにはいろいろと方法があり、ここで日銀が算出しているものは輸出額でウェイト付けをしています。より多く輸出している国の通貨は大きいウェイト、より少なければ小さいウェイトということです。したがってこの意味での実効為替レイトを見ると、為替の影響でどの程度輸出に有利かがわかります。実効為替レイトが円安なら有利、円高なら不利ということです。
第2点。既述のとおり通常は相手国の通貨を1単位購入するのに必要なのは何円かで為替レイトを表示します(100円/ドルの如し)。しかし実効為替レイトでは、一定の円でどれだけの通貨バスケットが購入できるかで表示します。例えば実効為替レイトが100から110に増えた場合、同じ量の円で買える外貨が10%増えたわけですから、10%の円高を示しています。
#何故そのような計算をしているのかwebmasterは知りませんが、既述のとおり輸出額での加重平均値であり輸出額の変動でウェイトが変わるので、ベースがそのように変わることが統計屋として気持ち悪かったのかな、とは思います。
第3点。実効為替レイトには名目と実質の2つがあります。名目と実質とはGDP等の計算と同じ意味で物価変動をそのまま反映すれば名目、物価変動の影響を調整して除去すれば実質です。どのような調整を行っているかと言えば、日本が外国に比べ相対的にインフレであれば数字が大きくなり、ディスインフレであれば小さくなるようにしています。
というのも、インフレになれば通貨の実質的な購買力は低下するわけですが(例えば10%のインフレにより、100円で買えるものは110円でないと買えなくなります)、インフレになったのに名目為替レイトが変わらないとすれば、購買力の低下を相殺するだけの為替変動(上昇)があったと観念できるからです。ディスインフレであれば逆のメカニズムで実質レイトが下がったと考えます。
さて長い前置きはここまで。実際の推移を見てみましょう(年のみが表示されている場合はその年の12月の値です)。
| 名目 | 実質 | |
| 1984 | 137.3 | 92.0 |
| 1985.09 | 143.7 | 94.8 |
| 1985.10 | 156.1 | 101.9 |
| 1985.11 | 164.3 | 106.6 |
| 1985.12 | 164.4 | 106.3 |
| 1986 | 198.7 | 123.5 |
| 1987 | 234.1 | 140.2 |
| 1988 | 242.0 | 136.6 |
| 1989 | 210.4 | 117.9 |
| 1990 | 219.8 | 119.8 |
| 1991 | 232.4 | 125.0 |
| 1992 | 245.5 | 127.8 |
| 1993 | 283.7 | 140.9 |
| 1994 | 309.8 | 145.9 |
| 1995 | 300.8 | 135.3 |
| 1996 | 273.2 | 119.2 |
| 1997 | 275.4 | 119.0 |
| 1998 | 305.7 | 130.8 |
| 1999 | 356.3 | 148.0 |
| 2000 | 342.0 | 134.8 |
| 2001 | 307.5 | 121.1 |
| 2002 | 310.0 | 117.5 |
| 2003 | 335.0 | 123.3 |
| 2004 | 336.9 | 119.5 |
| 2005.01 | 340.7 | 120.2 |
| 2005.02 | 333.4 | 117.4 |
| 2005.03 | 331.9 | 116.1 |
| 2005.04 | 327.9 | 114.5 |
| 2005.05 | 328.5 | 115.1 |
| 2005.06 | 325.2 | 114.1 |
| 2005.07 | 318.7 | 111.4 |
| 2005.08 | 319.3 | 111.5 |
| 2005.09 | 319.9 | 110.5 |
| 2005.10 | 310.9 | 106.7 |
| 2005.11 | 303.9 | 104.6 |
| 2005.12 | 301.5 | 103.7 |
というわけで、ご覧のとおり100台前半というのはプラザ合意(1985年9月)直後にまでさかのぼらないと観察できない円安水準です。最近の円高でそこを打ったかなと感じさせるわけですが、やはり日銀が量的緩和解除を強く臭わせ、抵抗するかに見えた小泉総理もあくまでCPIゼロに言及しただけだったので、現にCPIがゼロを上回った今となっては、ということかなと考えるのは合理的でしょう。
本来は、実質ですから金融政策から独立であっていいわけです。
でも、実質金利が短期的に金融政策から影響されるとすると(まあ
我々?はそう考えてるわけですが)、実質レートも同じく影響される
としても変じゃない。
例のマッキノン大野の円高トラップというのがあるわけですが、
デフレ解消するような円安になると、過度の円安ということで
引き締めが発動され、結局は元の木阿弥という奴ですね。
もちろん、BoJの人は金融政策が為替レートに左右されることは
絶対ないと仰るのですが、いろいろタイミングが絶妙ではある・・・
>銅鑼さま
ネタをいただいてしまい恐縮です。
BoJの中の人と昔話した際、前総裁はアンコントロラブルで本当に困ったと言っていて、おそらくそれは本当なんだろうなぁと思うので、積極的に円高にしたいという人間は少数派なんだと思います。
ただ、円安になるとあれこれプレッシャーがあったようで、少なくとも現にプレッシャーがなくても、あるかもしれないという警戒感は持っていました。
サンプル数1ですが・・・。
ちょっと遅いですが、明けましておめでとうございます。今年も色々お世話になるかもしれませんが、よろしくお願いします。ところで、前総裁が(円高志向において)アンコトロラブル、というのは事実です。前総裁のインタビューにおける鉄則は「最初に為替の質問をするな」でありました。なぜなら、強い円の必要性を延々と力説し、それだけでインタビューは終わってしまうからです。この失敗をおかし、インタビューをやり直したマスコミ某社もあったやに聞きます。ご参考まで。
デフレ下で金融危機が実際に起こっている国であり、しかも対外債
務は少ないどころか世界最大の債権国でありながら(債務国であ
れば、通貨高を志向するのはわずかになら理解できる。井上準之
介はそういう立場にいたのだから前総裁よりは同情すべきかも)、
中央銀行の総裁が通貨を引き上げるべきだとか、今は低すぎるだと
か、公然と言い募っていたんだから、奇怪というか滑稽というか、
もっとはっきり言えば基地外沙汰だったんですよねぇ。間違いなく
正史にはともかく民間伝承としては彼の凄さは末代まで語り継がれ
てゆくんでしょうな。
と書いてるうちに思い出した(笑)
「国売り」とかおっしゃってましたなぁ。それから例のワシントンか
どこかで「邦銀は債務超過」と告白した件・・・ いやはや凄い。
>本石町日記さん
こちらこそ本年もよろしくお願いします。
そういう話を聞くにつけ、何故彼を選んでしまったのかという気が強くします(いや、接待スキャンダルがありMOFもBOJもダメで民間がいい、だからといって純粋に民間にまかせるには不安がある、だからOBで民間に出ている人を、ということだとはわかっていますが)。
>銅鑼さま
彼にとっては四身一体(神とキリストと精霊と円高(笑))だったのでしょう。語り継がれていくというか、語り継いでいかないといけないのだと思います。二度目の喜劇が起きないよう。
>ワシントンかどこかで「邦銀は債務超過」と告白した件
彼の名誉のため(笑)、資本不足であって債務超過ではなかったような気が。その際の榊原財務官(当時)の対応を見るときわめてまともなわけで、やはり本物は違いますねぇ(笑)。
やはり前総裁は流動性の罠を実現した功績でイグノーベル経済学賞に推薦すべきでしょう。「真似することができない/すべきでない」業績を実現したわけですから。w
>bewaadさん
確かに「債務超過」ではなく4%も割れてるとかいう話だったよう
な。ありがとう。
>Baatarismさん
流動性の罠は94年から事実上嵌っていますから、そんな立派な
功績は彼にはありません(笑)それは、1ドル100円割れを金利
高め誘導だかで引き起こした、MOFOBの松下さんにあります。
マクロ政策管轄のはずの2つがこれじゃあねぇ。やっぱり構造改革
以外はやめた方が無難かもw
>銅鑼衣紋さん
なるほど、そうだったんですか。ではイグノーベル経済学賞は松下さんに。w
誰に栄誉が輝くにせよ、日本初のイグノノーベル経済学賞としてとてもふさわしい功績でしょうね。
>Baatarismさん
あきらめるのは早いですよ。デフレ下で金融を引き締めたという輝かしい実績がありますから(笑)。
>銅鑼さま
ちなみに当時の副総裁は今や・・・orz
>bewaadさん
あわわわわ
>銅鑼さま
まだ3年しかたたず、あと2年もありますから、いまさら嘆いてもorz