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2006-01-19
■ [economy]「格差」を考える 第2回:日本の所得格差は国際的に見てどうなのか
予定を変更します。きっかけは山口浩さんによる「世界各国をジニ係数順に並べてみた」です。はてなブックマークでも人気を集めていますが、ちょっと一言申し上げたいなぁと。内容についてはいちごでcloudyさんが書いたことに尽きていて、それを薄めて引き伸ばしているだけになりますが(笑)。
まずはジニ係数についてですが、山口さんとは異なるソースであるOECDのワーキングペーパーから一覧を抜き出してみます(ジニ係数はソースに従い100倍してあります)。
| 国 | ジニ係数 | |
| 1 | メキシコ | 46.7 |
| 2 | トルコ | 43.9 |
| 3 | ポーランド | 36.7 |
| 4 | アメリカ | 35.7 |
| 5 | ポルトガル | 35.6 |
| 6 | イタリア | 34.7 |
| 7 | ギリシア | 34.5 |
| 8 | ニュージーランド | 33.7 |
| 9 | イギリス | 32.6 |
| 10 | 日本 | 31.4 |
| 平均 | 30.6 | |
| 11 | オーストラリア | 30.5 |
| 12 | アイルランド | 30.4 |
| 13 | スペイン | 30.3 |
| 14 | カナダ | 30.1 |
| メキシコ・トルコを除く平均 | 29.4 | |
| 15 | ハンガリー | 29.3 |
| 16 | ドイツ | 27.7 |
| 17 | フランス | 27.3 |
| 18 | ベルギー | 27.2 |
| 19 | スイス | 26.7 |
| 20 | ルクセンブルグ | 26.1 |
| 21 | フィンランド | 26.1 |
| 22 | ノルウェー | 26.1 |
| 23 | チェコ | 26.0 |
| 24 | オーストリア | 25.2 |
| 25 | オランダ | 25.1 |
| 26 | スウェーデン | 24.3 |
| 27 | デンマーク | 22.5 |
#当該ペーパーの概要は連合総研のサイトに紹介ページがあります。
山口さんのソースは世銀ですが、大きな違いとして調査時点が2000年でほぼ統一されている点が挙げられます(ベルギー、スペインが1995年、オーストラリア、オーストリア、ギリシアが1999年、ドイツ、ルクセンブルグ、ニュージーランド、スイスが2001年、チェコ、メキシコ、トルコが2002年である以外は2000年)。世銀の集計において日本は1993年の計数が示されていて、他方OECDのペーパーでは1980年代半ばからの推移も示されており、上記2000年の係数から推移の幅で逆算しても合致しないのでベースが違うのでしょうけれど、OECDのペーパーによれば日本のジニ係数は1993年から2000年にかけて悪化してきています(80年代半ばから90年代半ばにかけて1.7ポイント増、90年代半ばから2000年にかけて1.9ポイント増)。
このOECDのペーパーではジニ係数以外にもいろいろな手法で格差を試算していますが、参考までに日本がもっとも悪いとされるのが合成貧困指数(the composite poverty index)で計測した場合です(ペーパーでは23ページ、pdfファイルとしては24ページ)。このペーパーでの貧困の定義は所得のメジアンの半分以下の所得しかない者ですが、その比率と所得額の少なさを乗じて算出したのがこの指数です。で、それによると日本はメキシコ、アメリカに次いでワースト3位。
ちなみにこのペーパーで暗澹とさせられるのは、2000年の日本においては実際の所得の不平等より不平等感の方がはるかに小さいという調査結果です(ペーパーでは11ページ、pdfファイルとしては12ページ)。実際の不平等の度合いより不平等感が小さいことはそれ自体としては結構なことです。じゃあなんで暗澹と、といえば、今後どうなるかを考えればということです。
なぜこのような実態と認知の差が生じているかについてはOECDのペーパーは触れていませんが、最もこの差が大きいのがアメリカであることを考えると、将来の所得への期待が反映しているのではと考えられます。今は貧しくとも将来はそこから脱出できると思えば、現在の所得から計算された不平等度合いよりも主観的に認知される不平等度合いは小さくなるでしょう。もちろん他の要素も影響しているでしょうけれど、相当程度はこれで説明ができるのではないでしょうか。
であるなら、デフレ下において若年無業者が増大したことは、不平等感の拡大につながることになります。大竹文雄「日本の不平等」でも示されているように、若年時に無業者であることは生涯賃金に有意な差をもたらします。20代独身と40代子供2人が同じ所得であれば実際の所得の不平等の度合い以上に不平等感は増すわけで、まして将来も大して期待できないとなればどうなることか。
一般に、どの程度の所得再分配を行うべきと認識されるかは、実際の不平等の度合いよりも不平等感に依存します。常識的に考えてもそうでしょうし、OECDペーパーでもそれが示されています(ペーパーでは12ページ、pdfファイルとしては13ページ)。仮にいわゆる「小さな政府」を指向したいなら、実際の不平等に介入する以上に不平等感の解消に力を注ぐべきということになるわけです。
・・・現時点での「小さな政府」を指向するあまり将来の「大きな政府」の種をせっせと蒔いている人々がどこぞの国にはいるようで(笑)。古人はそうした考え方を朝と暮との餌の配分に擬えて表現していたような。
#割引現在価値の概念を導入すれば、餌の配分の方は正当化可能ですが(笑)。
国の中の所得格差の度合いをあらわす指標で、ジニ係数というのがある。めんどくさいの
内閣府が19日に示した「所得格差の拡大は、高齢化と世帯規模の縮小の影響による見かけ上のもの」という見解(月例経済報告資料)をそのまま信じてよいのだろうか。 少し調べてみると、若年層でジニ係数が上昇していることを示す統計があった。また、ある論文で、内閣府の..
元々はこちらから。 <世界各国をジニ係数順に並べてみた>「これだけで何かをいうのは危険だ。それでも、私たちはそれなりに恵まれた社会に住んでいるということだけは
生活実感として格差が広がっていることを日々感じているので、このエントリを読んで「やっぱり」と思う反面で、「格差が広がってるなんて嘘ですよ」と嘘をついた首相の顔を思い出してムカムカしてきました(笑)
このジニ係数。所得再分配後ですか?
再分配後の所得分布については厚労省の以下のデータが参考になります。
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/indexkk_6_3.html
↓の概要の中に分布が棒グラフの形で示されています。これが直観的にわかりやすい。
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/data-kou6/data14/h14hou.pdf
OECDのと異なり世帯単位ですが、等価所得に変換したグラフもあります。
>miyauさん
OECDのペーパーは2000年までですから、ひょっとしたらその後横ばいになっているかもしれませんよ(笑)。
若年無業者問題が深刻なのは、今の格差以上に厳しい将来の格差を招くことだと思います。今の20代は平均的には本当に不幸であるわけで・・・。
>vodkaさん、cloudyさん
確か再配分後だったような。
月例経済報告関係閣僚会議資料
http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei-s/0601.pdf
世帯人員の減少理由に少子化を上げてないのはなんでだろう。
たいして減ってないからかな。
>bewaadさん
ほんとうに横ばいだといいですよね〜。
年末から今年に掛けて、中小規模の不動産の動きも鈍いようですし、飲食店の閉店も多いですから、デパートの高額商品の売上が高かったことが本当だとすると格差は広がっているのではないかと思います。
いまの20代の人の置かれている状況にはいたたまれなくなります。
社会保障や年金はもっとすさまじいことになるのでしょうか。
>kumakuma1967さん
若年無業者の問題をもっとも重要だと認識する点は同じでも、ずいぶんとトーンが違うものです>月例資料(前半は大竹先生ご指摘済みのものですが)。ニート・フリーター対策とやらに血道をあげるようでは将来が思いやられますなぁ・・・。
>miyauさん
ま、悪くはなっていても良くはなっていないでしょう。
総需要をどうにかしようというのは大きな政府でダメで、個人の資質やらなにやらに介入すれば状況が改善できると考えるのも、政府の能力をいったいどう考えているのか、まったく理解不能です。今の20代の多くの人生がどうにかなったからといって、それが傍目にも明らかになる頃には政策推進者は死んでいるからどうでもよかったりして(笑)。
財務省の外郭機関たる財務総合政策研究所が書いた「日本の所得格差と社会階層」では格差が広がっていると述べています。
実際財務省及び経済学者からみても、格差は進行している訳で
それをどうするかは問題となります。
ただ、ニート・フリーター対策も必要ですが、
一番は単なる失業率0(正社員を増やす)を目指す総雇用政策から英ブレア政権のような雇用創出政策(失業率削減)への転換が求められると思います。例えば、進学しない人は高校一年から就職活動、就能訓練を組み込むべきだと思います。
また、別に派遣でも、アルバイトでも最低限の生活ができる
年金設計が求められると思います。
まずは、彼らも加入できる雇用保険等の労働ルールを創設することが必要かと。
このまま放置し続けていると、ドイツ・フランスのような
どうしようもない状態になります。
即急な対策が必要です。
>Higescytheさん
景気回復こそが失業率削減のもっとも効率よい手段であると考えています。失業率こそが政府の経済政策において有数の優先して取り組むべき事項だとのお考えにはまったく賛同するばかりです。
若年層の所得の格差に対して世の中の大人の人に気づいてほしいことがあります。それは、小学生・中学生からの生徒の成績分布です。中学2年生ぐらいになると、はっきりわかりますが、上位が40%程度中位10%下位50%になります。この50%がそのままニート等になるので、今後格差は縮まることはないと考えます。
>上位が40%程度中位10%下位50%になり
それは成績分布をそう分類しただけでは?(たとえば上から40%を上位とみなす、と)
”上位40%が総得点の70%を占める”とか、そういう話をしないと意味ないですよ。