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2006-01-28
■ [BOJ]竹内佐和子・世銀エコノミストが新審議委員に
読売毎日(1/29訂正)の報道より。
政府は27日、日銀政策委員会の審議委員に、世界銀行エコノミストの竹内佐和子氏(53)を起用する方針を固めた。3月に任期満了を迎える須田美矢子委員の後任。
竹内氏は、都市経営や企業価値論が専門で、世銀では東南アジア都市融資部門と中国四川省関連のプロジェクトを担当。昨年11月の経済協力開発機構(OECD)事務総長選に、日本の推薦で出馬していた。
竹内先生の業績に詳しくはないのですが、「都市経営や企業価値論が専門」でご本人のサイトを見てもマクロに関する業績はなさそうなので、須田審議委員はマクロ経済学者枠ではなくて女性枠だったのね、ということなのですが(前任は篠塚英子・お茶の水大学教授)、これで審議委員からはマクロ経済学者がいなくなり(須田審議委員が入る前から植田和男・東京大学教授が審議委員でした)、政策決定会合参加者の中でマクロ経済学を専門にしているのは岩田一政副総裁のみという恐ろしい事態に。
もちろん須田審議委員のタカ派っぷりにはあれこれ批判も申し上げてきましたが、審議委員に「金融政策」を専門に研究している人間が誰もいないってのは勘弁して欲しいもので。そればっかりじゃまずいでしょうけれど、何も執行部の人間だけにすることはないでしょうに。
ちなみに竹内先生のデフレへのスタンスはどのようなものか調べてみました。ご専門でないということで関係するご発言もあまりないのですが、あれこれ探して見つかったのが次のようなもの。
○青山(二)委員 それでは、四人の公述人の皆様にお伺いしたいわけでございます。
低金利政策についてでございますけれども、長い間低金利政策が続いておりまして、消費者とかあるいは退職金で生活をしていらっしゃる方々の生活を圧迫しているというようなことが見られます。例えば、利息で家族で旅行を楽しんだり、利息でささやかながら家族でお食事に行く、こういうことをしていた方々ができなくなるというようなことで、なおさら消費活動が低迷してくる。
それで、この低金利政策に大変反発しまして、ある会社の社長さんからこんなお話を聞きました。もう日本の銀行で低金利政策では何の利もない、ですから、ドルにかえて貯金をしている、こういう話を聞いたわけで、今とても利息もよくていいぐあいだと喜んでいらっしゃいました。
きのうも公述人の方が、個人資産一千四百兆あるといっても安心はできないのだ、国境を超えて金は動く、このようなお話をされておりましたけれども、この低金利政策についての御所見、今後の見通しなどについてもお伺いしたいと思います。
(略)
○竹内公述人 低金利あるいはゼロ金利がなぜ発生するかということでございますけれども、基本的に貯蓄が過剰であるということでございます。貯蓄をする方が高年齢層に多くて、どちらかというと中年、中高年あるいは若年層にはお金が回っていないということでございますので、より消費意欲の高い方々のところにお金が残るというシステムを、高年齢層、特に年金受給層においては非常に高い貯蓄率を持っておりまして、その方々が物を買わないということが低金利の原因でございますので、供給サイドからいえば、より質の高いサービスみたいなものをつくっていくということ、需要の面から動かしていくということが最も重要だと思います。
○井上(喜)委員 保守党の井上喜一でございます。
四人の公述人の方々、本当にきょうは御苦労さまでございます。
私は、まず竹内公述人にお聞きをいたしたいと思います。
先生、短期といいますか中期的な経済財政運営についての基本的な考え方、あるいは本年度予算案につきましての、ある程度評価できる面あるいは問題として残っている面、今指摘をいただいたのでありますけれども、大体私どももそんなような感じを持っているわけでございます。
ただ、予算といいますのは、なかなか想定したとおりに経済状況が動かないものですから、時には変更するというようなことがあるのであります。
今言われておりますのはデフレ対策ですね。大変デフレが深刻であるということであります。きのう政府がデフレ対策を発表いたしましたけれども、大変評判が悪い。きょうの新聞なんかをごらんになりましても、そのとおりだと思うのであります。
そこで、二つお伺いしたいのですが、第一点は、財政金融政策をとる場合に、今、非常に限られた制約の中でそういう政策をとらないといけない状況だと思うんですね、財政支出もこれ以上ふやせない、あるいは金融の方ももうゼロ金利だというようなことで。そういう中で、デフレ対策としてとり得る政策はどんなものがあるのかということが一つです。
それからもう一つは、現下のデフレの状況を見ますと、もうそういうことにこだわっておれないのだ、大胆に財政支出をやる、あるいはもっと思い切った金融政策をやるべきだというようなお考えなのかどうか、どのようにお考えなのか。その場合に、どのような中身の政策が考えられるのかにつきまして御意見を伺いたいと思います。
○竹内公述人 まず、デフレの問題ですけれども、現在、不良債権というところに非常に大きな焦点が集まっております。なぜ不良債権が発生するかといいますと、銀行が将来成長する分野に投資していないということが最も重要なポイントで、どちらかというと、ゼネコン等々、衰退産業にお金を振り向けている。ということは何かというと、銀行が新産業を見る目を持っていないということなんですね。どこから新産業が生まれてくるかということを十分に審査する能力がない。
では、他方で、本当に新産業がないのかというふうに考えますと、外国の投資家等々の話を聞きますと、最近は、不動産の関係でいきますと、レンタル、賃貸の住宅が急激にふえておりまして、分譲よりもふえております。したがって、同じ下降線でも、中身を見ると、消費者がいい質のものに転換しているということがございます。やはりそういうことを考えますと、日本の銀行だけを見ると新規産業がないのですけれども、世界にはどんどん新規産業がまだ先進国でも興っているような状況で、環境サービスもありますし、医療も介護もございますし、さまざまな分野の新規産業の研究というものをきちっと行うべきであるというふうに思います。
財政出動については、九二年以降の財政出動の経過を見ても、政府が歳出を増大することは、基本的には国民には痛みにならないわけですね。国債を発行して、それを預金から買っていくというのは全く痛みがないのですけれども、必要なものを買っているかといいますと、必要でないものも買ってしまうということになりますと、やはり個人消費主導型でとにかくいく、財政出動は非常に危ない政策だというふうに思っております。
それで本当に消費が活性化するかということでございますけれども、ある面で、日本の企業が、消費者の目というもの、あるいは顧客の目というものを十分に見ていないということが大きなサービスの向上につながっていないのじゃないかというふうに考えますと、やはり企業努力によって新しい消費を生み出していくという基本スタンスが必要だと思います。
衆議院予算委員会公聴会(平成14年(2003年)2月28日開催)(強調はwebmasterによります)
非常に不安感を掻き立てられますねぇ(笑)・・・ですませては手抜きもいいところなのでポイントを。青山議員とのやりとりや井上議員とのやりとりの最後の部分では企業努力で売れる商品を作れといっているわけですが、十字軍や大躍進じゃあるまいし政府が努力して結果を出せと号令をかければ結果が出るとでもお考えなのでしょうか(笑)。実際に企業で業務運営に携わっている方々も、学者風情にそのようなことなど言われたくないでしょう。
ついでに付け加えるなら、ある財・サービスが売れることと全体としての消費が増加することはイコールではありません。よくこの手の例に出されるのは携帯電話の普及ですが、えてして通話料を賄うため他の財・サービスへの消費を減らすわけです。ちょっと考えてみればわかることですが、日本が貯蓄超過なのはここ30年以上にわたっているわけで、貯蓄超過に転じたからデフレになったわけではありません。思い付きにもほどがあります(笑)。
そもそも井上議員からは「財政金融政策」を問われているのに全く金融政策について触れない人間を金融政策決定会合に参加させるのはいかがなものかと(笑)。不良債権問題で金融政策を語ったつもりなのでしょうけれど、金融政策はマクロでのマネーの量に働きかける政策であってミクロの資源配分をどうこうするものではありません。
蛇足ながら付け加えるなら、リスクの高い新分野のファイナンスはデットでなくエクイティというのが通例です。というのも、リスクが高ければリターンも高くなければペイしませんが、金利でそんなに高い対価をふんだくっては倒産してしまいます。エクイティで資金供給しておいて、IPO(株式公開)後にキャピタルゲインで回収するのが自然ということになります。竹内先生の甘言に釣られて高リスク融資に金をつっこむようでは銀行失格ですな(笑)。
#先ほどの論点と同じく、民間企業(この場合銀行)が頑張ればなんとかなるというのもアレですが。
といいつつも、次のような報道をみるとworseではあってもworstではなかったかな、という気も。
日銀の最高意思決定機関である政策委員会メンバー九人のうち今年中に須田美矢子、中原真両審議委員が五年の任期満了を迎える。量的緩和策が今春にも解除される見通しが高まる中、金融政策転換に議決権を持つ後任の選出には早期解除に消極的な政府・与党と日銀の溝が絡み、綱引きが演じられる公算が大きい。
(略)
特に三月に任期完了を迎える唯一の女性委員、須田委員の後任選びは注目されそうだ。昨年九月の講演で「解除時期が近づきつつある」と発言するなど、市場関係者の間では(金融政策で引き締め志向の)タカ派の一人とみられている。
後任には、道路関係四公団民営化推進委員会の委員だった川本裕子早大大学院教授や昨年末の経済協力開発機構(OECD)事務総長選に立候補した竹内佐和子京大大学院特命教授らが浮上している。また、東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)出身で六月に任期満了を迎える中原委員の後任も再び金融界から選ばれる見通しだ。
産経「「審議委員」人事、金融政策絡み 日銀、政府・与党と綱引きも」
川本先生じゃなくてよかったなぁと(笑)。
ん、ちょっと待てよ・・・。
篠塚先生、須田先生と来て、ライバルは川本先生だったということは、あれは単なる女性枠じゃなくてタカ派女性枠、つまり竹内先生はタカ派なんだよっっっ!
な、なんだってー!
(AA略)
細かいことで恐縮ですが、読売ではなくて毎日ですね。日経は須田委員再任の方向で調整中としています。本件、確認が難航しており、個人的な推測としては、現時点ではまだ人選は詰めきれていない印象です。
本エントリーとは関係ないんですが、行政改革について
書いてみたので採点お願いします。
http://d.hatena.ne.jp/isuzuki/20060101#p9
やはりここは科挙制度で。審議委員は、マクロ経済学の試験を受けて合格しないとはいれないようにしましょう。もちろん試験問題は日本ではなくアメリカのマクロ経済学者に作ってもらう。
なんかしらんけどもおいらの受信機には須田再任だぞ〜んという画像が……う、くるちい、フォースとともにぐべえべべいおhcふぃふじこw
この人の授業ちゃんとうけとけばよかったな、と思った某工学部一号館の住人ですた
>憑かれた大学隠棲
誰?
もうわかってるかもしれないけど(笑
あまりの事態に私信から書き込んでしまいました。申し訳ありません。>all
竹内先生は別にタカ派というわけではありません。むしろ、金融の専門家ではないので何派でもないということが課題だと思われます・・・というくらいしか言えません・・・
>本石町日記さん、韓流好きなリフレ派さん
後追い記事も今のところないようですし、毎日(ご指摘ありがとうございます>本石町日記さん)の推測記事なのでしょうね。誰がリークして書かせたのか、というあたりを考えるとあれこれ妄想が膨らみますが(笑)。
>isuzukiさん
予算が少なすぎますねぇ(笑)。それではまともにやっていけるとは思えませんし、仮にそのような低予算でやっていけるとするなら、それは政権与党にお近づきになりたいという下心で研究員側がディスカウントする(その分他でレントを追求する)結果でしょうから、やはり好ましいものではないと思います。
>cloudyさん
それを言い出すと、霞が関も所掌に応じてマクロand/orミクロの試験をということになり、webmasterなど資格なしなんてことになりそうで困ったりしてしまうかも(笑)。
ま、全員ではなくとも(部外者が入ることにもガバナンス上意味があるでしょうから)、過半数はそうであってほしいですね。
>憑かれた大学隠棲さん、アルベルトさん
正体バレは自己責任で(笑)。
まあ女性・学者枠が必要なら、ジャネット・イェレンSF連銀総裁を招聘してほしいなぁと(笑)。
彼女の授業や、ゼミを受けました。川本先生のことは直接知りませんが、メディアでの評判を聞く限り川本先生と竹内先生は似ているのかなと言う印象を持っています。
授業では、マクロ経済学をあまり信用していないと感じました。「一応学者はこう言っているけど」
少人数ゼミでは、学者というより、より実践よりの人という印象です。「とにかくえいやって答えをだすのよ。」
注:引用はうろ覚えです
>今回は匿名でさん
そこまで言うなら学界じゃなくて実業界で食い扶持探せよ(笑)、というのが正直な気持ちです。まあOECDのような仲良しクラブのお飾りに行っていただいた方が誰にも迷惑がかからなさそうでよかったような(笑)。
OECDの仕事も最近はシビアなようです(先進国でもないのにワガママな加盟国が増えて)。あるいはbewaadさんの方がお詳しいかもわかりませんが、事務総長って結構大変らしいですよ・・・。
彼女の場合、OECDはフランス語が必須ということで白羽の矢が立ったようですが、やはり政治経験の少なさが致命的でしたね。ただ、BOJの審議委員よりは合ってるような気はします。
それでも、某大臣とかその某大臣の元ブレーンの最近の行状に比べれば、彼女の野心は陽性というかカラッとした野心でああいうドス黒いものはなく人格的にはとても親しみやすい人ですので、うまく空気読んでやってくれるのではないかと思います。そう信じてます。
>アルベルトさん
よく竹内先生のことは存じませんが、ここで皆様にご教示いただいた言動からは、学界よりも現場の方が特長を発揮されるのではないかと感じさせますので、その場所がどこかはともかく(笑)、一般論としてはいいことであるように見えます。できれば多くの人にとってよい結果のでる場所であらんことを。
bewaadさん、レスありがとうございます。
結局須田女史が再任のようですね。毎日の見事な誤報ですた。
>アルベルトさん
毎日に特段の希望があったわけでもないでしょうから、誰かのアドバルーンだったのだとは思いますが。最近の情勢を踏まえて妄想をたくましくしますと、竹中大臣・中川政調会長側が牽制でぶち上げて日銀が火消しに走り、それほど世の中も動かず竹中大臣側も矛を収めた、なんて陰謀論に(笑)。
皆さんに一度お目にかかりたいものです。
>匿名さん
まあオフとオンで違う交流というのもまたよしではないでしょうか(皆様方同士でご連絡をとりあうことを否定する趣旨ではありません。為念)。