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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2006-01-29
■ [economy][law]利息制限法の是非
利息制限法という法律があり、元本の額に応じて金利に上限が定められているわけですが、それに関する最高裁の判断を題材に47thさんが次のような考察をされています。
個別の事案において中小企業金融において過酷な取立がなされていることや、よりマクロな視点でみても破産制度に対する社会的なスティグマが依然として大きく経済的再出発に対するハードルが大きいという社会背景と合わせて考えたとき、借手保護的な政策への傾斜は分からないわけでもありません。
他方で、これから考えていくように、一律の利息制限が却って真に資金を必要としている借り手への資金供給を阻害してしまう可能性も無視できないところです。結局、最後は、市場メカニズムに対する修正がどの程度必要で、そのために望ましいメカニズムは何かということになってくるわけで、更にいえば15%前後という水準が適切かどうかというのは、本来はより実証的なデータに裏づけられるべきなんだろうな、というのが、直観的な結論です。
「利息制限法と借り手保護の微妙な関係(1)」(@ふぉーりん・あとにーの憂鬱1/13付)
引用部において「これから考えていくように」とあり、エントリのタイトルに「(1)」とあるように続きをお考えなのですが、当サイトでも取り上げたようにライブドア問題等でのご活躍でこの話題からはしばらく遠ざかるように見受けられますので、完結したら書こうかなと思っていたことを書いておきます。webmasterが忘れてしまうかもしれませんし(笑)。
この47thさんのエントリに先立ってのびたさんが利息制限法を取り上げていますが、そこでの同様の問題に対する考察は次のとおりです。
大島健伸氏が指摘しているように、仮に、妥当な上限金利というものが存在するとしても、それは、時代や状況によっていくらでも変化すると思うけれど、すると、利息制限法で時代や状況の変化に係わらず15%の上限金利を規制する正当な理由はあるのだろうか?
経済学的には何の根拠も無いと思うのですが・・・
「利息制限法」(@のびたの経済学お勉強ノート2005/12/29付)
まず法律で上限金利を定めることの問題点を挙げてみましょう。
- マクロな話・その1
- 法律で定められる金利の値は名目金利なので、インフレになると実質上限金利が下がります。webmasterのようにリフレ政策を推進する立場から言えば、物価水準目標が採択されデフレにならずマイルドインフレが継続していた場合の物価に一定期間で追いつくよう若干高めのインフレ率を許容すべしという望ましい事態になった際、実質上限金利が5%程度になってしまう可能性があるのは問題でしょう。多少脱線しますと、利息制限法の運用が今般の判決のように厳しくなってきているのは、デフレによって名目金利が下がり、社会通念に照らして上限金利が貸し手にとってより甘いものとなったことも影響しているでしょう。
- マクロな話・その2
- 逆に実質金利が上昇した場合はどうなるでしょう。実質金利がどのように決まるのかと言えば、乱暴にまとめるならより多くの債務者が高い金利負担の下においてもなお成長が可能な状態にあるかどうか、つまりは実質GDP成長率が伸びるようなときには実質金利も上昇することが考えられます(十分条件ではなく必要条件ですが)。となるとリフレ政策によりこれまでの実質GDP成長率下押し分が回復する期間において実質金利が上昇したにもかかわらず上限が固定されてそこまでのスプレッドが小さくなる可能性があるのは、webmasterのようにりf(ry
- ミクロな話・その1
- 金を貸す側から見れば、リスクが高ければリターンも高くなければ割に合いません。リターンに上限がはまればテイクできるリスクにも上限を画さざるを得ず、となれば借りたくても借りられない者が数多く出てくることは避けられません。
- ミクロな話・その2
- といっても魚心あれば水心、借りたい人がいれば貸す人は必ず出てくるのが世の常です。その貸借市場は非合法を前提としたもの、つまりは闇市場になるわけですが、毒を食らわば皿までで取立てを含め金利以外の部分も非合法であることに躊躇する理由はなく、闇での債務者はより過酷な状況に置かれることでしょう(今だって闇金融の方が登録業者より怖いと思いますが、その活動範囲が広がるということです)。
とまあ「経済学的には何の根拠もない」というのびたさんのご指摘のとおりだとwebmasterは思います。47thさんがおっしゃるように「個別の事案において中小企業金融において過酷な取立がなされていることや、よりマクロな視点でみても破産制度に対する社会的なスティグマが依然として大きく経済的再出発に対するハードルが大きいという社会背景と合わせて考えたとき、借手保護的な政策への傾斜は分からないわけでもありません」ということであるなら、ティンバーゲンに従ってそれぞれに対して政策対応を行うべきで、利息制限という形で対応すべきでないということになります。
ただこうした制限を課すことに意味がないわけではないだろうともwebmasterは思います。というのも、本来事業等をあきらめてたたんだ方がいいような場合でも無理をして金策に走りわずかばかりの延命をし、それと引き換えに担保や保証により財産や友人・知人のすべてを失ってしまうような事例もあるからです。そうした事態を防止するためには、上限金利(この場合むしろ利息制限法のそれより出資法のそれですが)による別の借り手保護、つまり借りてしまってからではなく借りることをあきらめるべき水準を周知するということには一定の意義があるでしょう。
こうした考え方から上限金利を設定するなら、水準には議論があるにせよ、利息制限法と出資法の上限金利の差、いわゆるグレーゾーン金利を出資法側に統一する(で、必要なら出資法の上限金利を上げる)ことが考えられます。それなりに高い水準の金利であれば、既述の問題も相対的に軽度なものとなるでしょう。
#しかし、グレーゾーン金利をやめろという意見で出資法側に寄せろという意見は聞いたことがないのですが(笑)。
bewaadさんやのびたさんが取り上げられている「利息制限法」について考えたい。 どうやら年利15%を利息の上限とする法律らしいんだが、経済学的に考えればこれは一種の「価格統制」であり、基本的に資源配分に無駄を生じさせる原因となる。価格に上限が設定されている、..
平成18年01月19日 第一小法廷判決 平成15年(オ)第456号、平成15年(
本件は通常の貸金業規制法による貸金業者の行う貸付業務と異なるいわゆる「日賦貸金業
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そもそもアイフルへの金融庁の摘発のやり方も気に入らないけど、それを受けて出資法の上限金利を引き下げるのはもっと気に入らない。そもそも「価格」である金利に上限を設けること自体慎重に検討すべきことなのに、ましてやそれを簡単に引き下げるなんてのは論外。 問題..
インフレターゲットネタとかヨーロッパのネタとかを積み残しつつ、まるで関係ない話を
久しぶりにブログ書きます。 (アイフル、今はもうほとんどの店舗で元気に営業してますね) ★★★生真面目な現役サラ金社員の意見について★★★ 私は多重債務者の方々のサポートをするべく、このブログをやっているのですが、同時に、現役サラ金社員の方々のことも....
bewaadさんこんにちは
ここには他の人のツッコミないですね…
唐突に(笑)利息制限法についての私見は、現状の利息制限法でも公定歩合や預金金利と比較すると「高すぎる」と思います。公定歩合がゼロの場合には比較しようもないので、普通預金の金利でいくと0.001%ですから利息制限法内の15%でも1万5千倍になってしまいます。
公で設定する「利息」というものは一定の元手を借り入れした場合に「平均的に」導き出されうる利益を想定するものと考えるとすると、リスク云々は、高利貸しというリスクの高いものよりも「業」として他のリスクの少ない商売をおやりなさいという考え方が背景としてあるからなのではないかと。
制限利息設定を見直すとしたら、公定歩合や普通預金と連動させて、公定歩合や普通預金の金利が高いときには上限利息を上げて、低いときには上限利息を下げるほうがよいと思います。
紹介して頂いた記事の訂正
>■追記
なお、大島健伸氏によると、アメリカでは、週給制の労働者に対して貸し出す「ペイデイ・ローン」というローンがあるが、この実質金利は数百%にもなることもあるし、大手銀行のカードローンも、実質金利は手数料を含めると40%前後になる場合もあるそうです。
この追記では、実質金利は、大島健伸氏のコメントの趣旨に合わせて、「契約上での名目金利+各種手数料・調査料等の名目で借り手が支払わなければいけないお金」という意味で使っています。
・苺BBSを御覧になられていない方々へ
上限金利や消費者金融については、消費者金融連絡会の
「経済学で読み解く消費者金融サービス」(無料請求できます)
http://www.tapals.com/dictionary/bk-index.html
早稲田大学消費者金融サービス研究所から発表される研究レポートを、筆者の了解を得て、要約したもの
http://www.tapals.com/dictionary/report-index.html
が参考になるかと思います。
早稲田大学消費者金融サービス研究所
http://www.waseda.jp/prj-ircfs/
>いわゆるグレーゾーン金利を出資法側に統一する(で、必要なら出資法の上限金利を上げる)こと
私もこの考えに1票。
但し、政治的には、
>#しかし、グレーゾーン金利をやめろという意見で出資法側に寄せろという意見は聞いたことがないのですが(笑)。
という現実に直面するので実現困難なのかもしれませんが。
わたしも利息制限法の上限は市中金利連動型にすべきと思います。
わらをも掴む状態になると、高金利を借りない、ことにはなりにくいです。
また、連帯保証人制度の廃止もやるべきです。
トラバ失敗するのでここに書かせていただきます。
http://d.hatena.ne.jp/BUNTEN/20051009 「国営サラ金のすすめ」
いや、お察しのとおり宿題が山積みなんですが^^;
上限規制の必要性そのものを考える上では、消費者・中小企業金融市場が競争的に機能しているかどうかを考える必要もあり、一概に上限金利規制が不合理ということもないとは思っています。
ただ、規制の手法としては、仰るとおり、あのグレーゾーンは何なんだという話で、合理的な説明は思いつきません。
もっとも、それ以上に困るのは、最高裁が一体何をどこまで考えてああいう判決を出したのか、全く分からないということですかねぇ。
>miyauさん
ツッコミがなかったのはエントリを上げた時間が遅く、それからあまり時間が経っていなかったからだと思います。
金利水準については、キャッシング等の使用状況を見るに利息制限法の上限金利ではまだ低すぎなのは間違いないと思います(何倍という形で考えるのはせいぜい二桁を扱う際には適切な物差しではないように思います)。
連動型については下の渡久地さんのツッコミとあわせて回答いたします。
>のびたさん
論述の参考として使わせていただきありがとうございました。
出資法側に寄せろという人間、ようやく2人になりました(笑)。
>渡久地明さん
連動型は理論的にはきれい(詰めていけば実質金利に上限を設定することになるので)だと思うのですが、固定金利で貸した後に上限が下がって違反になってしまったらどうするのかとか、これは貸した際に合法であれば満期まで合法とするという対応が考えられますが、変動金利で貸した場合に変動のさせ方が違っていて同じような問題が起こった場合にはどうするのかとか、具体的な規制への落とし込みを考えると面倒な問題が多いなぁと思ってます。
連帯保証についても金利と基本は同じで、連帯保証を禁止すれば期待回収額は下がる一方でリスクは変わらず、供給過少になることが予想されます(きちんとした説明はこのエントリよりつれ数からのtrackbackをご覧いただいたほうがわかりやすいと思いますが、同じ考えが妥当します)。それを踏まえて検討の上でやめるということは選択肢としてあり得ると思いますが、単に禁止するだけではかえって困るのは借り手ということも大いにあり得るのではないでしょうか。
>BUNTENさん
公表時からなるほどと思っておりました。
ただマジレスいたしますと、きちんと回収できなければ官業の非効率と謗られ、きちんと回収すれば多くの場合において生存権を脅かすようなことになりかねず、難しいでしょうねぇ・・・。
>47thさん
オンでのもの以上にオフでのアサインメントもたっぷりあるでしょうからご無理されませぬよう。
上限金利設定については、最後に書いた部分も経済学以外の観点からsupportiveという判断からのものです。trackbackいただいたnight_in_tunisiaさんも同様の観点からの正当化の可能性を探っていらっしゃいます(すでにご覧いただいていますが)。経済学的に詰めていくなら、直感的には、競争制限的であるかどうかより、借り手と貸し手の情報の非対称性の方かな、とは思います。
グレーゾーンは白地で考えると奇妙奇天烈ですが、経緯等を踏まえるとそれなりにうまく機能してきたと思います。今回の判決のような法解釈が昔から用いられていれば貸金業者はほぼ全滅していたでしょうし、その場合供給過少で借り手側が明らかに損していたでしょう。絶対ダメよという真の上限を出資法で縛りつつ、それ以下で特に悪質なものを司法判断で個別対応と。法の理屈に照らしても胸を張れるようなものではありませんが、起訴便宜主義やら、やたらと広い裁判官の裁量(刑法上量刑の幅が広く、かつ執行猶予も広範につけられる)やらを考えれば飛びぬけておかしいわけでもなく(笑)。
今回の判決に込められた最高裁の意図としては、それこそ司法府による「国策捜査(じゃなくて判決ですね)」と理解すればよいのではないでしょうか。
同様に最低賃金というのも廃止した方が良くないですか。守られてるのかどうかよく知りませんけど。
とくにフランスなんか、失業多いのにインフレ率以上のペースで最低賃金上げてたようですが…そりゃ暴動も起きるわ。
出資法側に寄せろ、に私も一票入れます・・・と思ったところでbewaadさんの上のコメントを見て考えているのですが、実際のところ消費者金融等、高金利の信用市場というのはどれくらいが真のリスク、どれくらいが情報の非対称性によるものであるかというような実証研究は日本であるんですかね?また、真っ当な人間が消費平準化のために持ちうる割引率って最大どれくらいなんでしょうか?
いずれにしても法律で金利の上限を定めるというのは少なくとも経済学的な観点からすると奇異なのは当然だと思います。しかし、消費者金融もかなり市民権を得てきてみんなもう知ってるだろうに引き続きあれだけ広告を打っているのを見ると、合理的(予め持っている選好に従って借りるかどうか判断しているという意味において)であるよりも広告とかで選好自体が影響されて借りてるんじゃないかという気もしますし、中小企業等の場合、渡久地さんご指摘の通り、高金利だから借りないという判断にはならないだろうということも思います。
民間でも非営利でもどっちでもいいんですが、グラミン銀行みたいにできるだけ低い金利で多くの人に貸せるような仕組みを考えるという方向に競争が働くのがベストだと思うのですが、難しいのでしょうかね。
利息制限法の金利にお目にかかるのは、借り手が返せなくなって裁判になったときくらいなので、法定(法廷?)金利を公定歩合プラス5%以内などとして、計算し直し、返しやすくしてはどうでしょう。この場合、グレーゾーンは拡大してそのまま残す。
15%で計算して××万円支払え、という判決が出ても、現実に借り手の収入はどんどん減っているわけですから、どっちみち払えないでしょう。
…やはり景気拡大で、15%くらいの金利なんか屁でもないというようにするのがいいですね。
bewaad (2006-01-30 02:48)さん
http://bewaad.com/20060129.html#c11
官業の非効率という批判はハズレで、少なくとも今までの方法よりは高効率です。
融資する方法を採らない場合、同じ人に対して返済の必要のない福祉的対応を強いられるわけですから、期待収益(いずれも負の値を取ると思われます。)は一部の返済が見込める融資>返済なしの福祉となり、融資の方が有利になるからです。
…って、そうか、負け組は殺せ(福祉的対応などするな)というのが国民的合意なのだから、上のような式は立てられず、何もしない(見殺し・±0)>融資(収益マイナス)、という比較の問題にされるのか。orz
注意:
負け組を殺す方が効率が高いという話は一見うまくいきそうですが、負け組見殺しないしデフレ放置は生産縮小を通じて結局みんなの所得を下げます。人を見殺しにした方が世の中うまくいくとかいう、そんな話はたぶんないわけで。
また、「貰ってるわけではない。いずれ返すのだ。」ということで、利用する側の誇りをあまり傷つけずに済むメリットもあるかもしれません。
P.S.
このやりとりを私の日記のコメント欄に転載させていただきたいのですが?
>cloudyさん
「ハードワーク」でも最低賃金を導入したら量的調整が起こると保守党側が主張していたにもかかわらず、実際に導入してみたら雇用が拡大したという事例が紹介されていました。マクロ環境等もあるでしょうから軽々に断ずることはできませんが、他にどのような要素が関係してくるのかあれこれ考える必要があると思っています。
>アルベルトさん
割引率は、リスクニュートラルと仮定した場合、期待可処分所得成長率ではないかと思います。ライフサイクルのどこにいるかで結構変わってきそうですね。
マイクロファイナンスは人的つながりを担保にとっているようなものですから、仮に日本に導入した場合、連帯保証にも批判がある中で受け入れられるとは限らないかもしれないとは思います。
>渡久地明さん
ご指摘のように現在の経済環境を前提に制度設計すると無理が生じるように思います。
>BUNTENさん
官の非効率という際、比較対象は民ですから(笑)。
でもニート論などを見ると、根っこには失業者を絶滅させれば失業率はゼロになる、なんてことを無意識のうちに考えているのではという雰囲気を感じないではないですね。
転載はご自由にしていただいて何の問題もありません。
結局のところ経済学的には非合理だが、他の面で考えると合理的ということでしょうかね。経済学もモノの見方の一つの尺度に過ぎませんからね。経験則的に、青天井の利息で通っていた時代には問題が多過ぎたので、こういう制限を課しているのだと思います。
>如何様さん
47thさんが不完全競争の要素を導入して分析される予定とのことで、経済学的に不合理とも限らないのかもしれません(既に専門のペーパーがあるかもしれませんし)。法と経済学でいじくるには格好のテーマでしょうから、アメリカでなら扱ったものもあるかな?