archives of BI@K

CSS: default alternative
(要cookie)

toppage memoranda

(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|

2006-02-17

[economy]2005年度第3四半期銀行決算をめぐる言説・陰の巻

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が十五日、二〇〇五年四−十二月期決算を発表し、大手六グループの第3四半期決算が出そろった。

景気回復と大口融資先の再生を背景に不良債権処理費用が減少しているほか、株高を背景にした投資商品の販売拡大に伴って手数料収入が大幅に伸び、六グループ合計の最終利益は前年同期比二・三倍の二兆六千四百四十億円に達した。バブル経済期を上回る過去最高を予想していた〇六年三月期の通期見通しをさらに上方修正することが確実になった。

Fuji Sankei Business i「4−12月期、大手銀6グループ決算 最終利益2.3倍2兆6440億円」

こうした状況を踏まえてのメディアの言説からwebmasterがいいと思ったものと悪いと思ったものを1つずつ。このエントリでは悪いと思ったものを取り上げます。

東京新聞では、「どうして利息は増えないの?/『汗かかずにもうけ過ぎ』」と題して様々な声を記録しています。中には見るべきものもあるのですが、全体のトーンはタイトルが示すように銀行が不当な利益をむさぼっているといわんばかりのものです。世間のルサンチマンに迎合して、というのであればわかってやっているのですからまだましで、本気でそう思っているんでしょうねぇ・・・。

「預金して受け取る利息は事実上ゼロで、借りた場合に支払う利子は高い。銀行だけが一方的にもうかる、こんな資本主義って一体何なんだ」

東京都西東京市で、飲料や旅行を扱っているベンチャー(新興)企業の役員(56)は十四日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の「純利益が一兆円を超える」との経済紙の報道に、こう憤った。

「だいたい銀行は、相変わらず土地や現金、預金といった担保がなければ貸してくれない。独自の審査力を磨き、新産業に貸し付けて収益を上げたわけでもない。額に汗したことのない部分でもうけている」

東京「どうして利息は増えないの?/『汗かかずにもうけ過ぎ』」

ゼロ金利でも預けたいという人と預金金利に比べれば高い金利でも借りたいという人がそれぞれそれなりにいるから儲かる、これほどストレートに資本主義的な話もそれほどないと思うのですが(笑)。預金のリターンが低すぎるというなら投信でも個人向け国債でも買えばいいことですし、借入金利が高いといっても、例えばこのヴェンチャー企業が取引先に手形を受け取ってもらう際の割引率と比べてみれば相対的には低いのはほぼ間違いありません。

一方、都内の三十代の女性会社員は「コンビニエンスストアでも二十四時間、銀行のキャッシュカードでお金がおろせる。そうした便利が増えるなら、もうけ過ぎとは思わないけれど」と受け止めた。

東京「どうして利息は増えないの?/『汗かかずにもうけ過ぎ』」

前出の役員に比べれば、この女性会社員はよほど公平な見方です。リターンを単に金利だけで判断することなく、預金することに伴って受けることができるサービスの価値も勘案しているわけですから。いやならタンス預金でもしてろと(笑)。

銀行出身者からも、預金者に利益を還元すべきだとの声が上がる。元みずほ銀行行員で作家の江上剛氏は「もうけ方が半端じゃない。日銀のゼロ金利政策の下、銀行はほぼゼロのコストで資金を調達でき、モラルハザードを起こしている」と語る。

実際に、日銀のゼロ金利や量的緩和といった異例の政策の下で、しわ寄せは預金者に及んだ。一九九三年からの十年間で払われるべきだった「国民の利子所得は百五十四兆円減った」(福井俊彦日銀総裁)。

江上氏は、一般市民にとって金融商品の選択肢は広いように見えて実は狭いという現状も指摘。「おばあちゃんが百万円を定期預金で預け、一、二万円の利息で孫の服を買ってあげたり、満期の日にごちそうを食べてみるかというぐらいの金利が付く方が健全だ。銀行自体も、新たな投資信託販売などに力を入れすぎれば、銀行自体が流動性リスクにさらされて経営が健全ではなくなる」という。

東京「どうして利息は増えないの?/『汗かかずにもうけ過ぎ』」

モラルハザードという言葉にそういう意味はないんですけど・・・。

おばあちゃん云々については、名目と実質の違いもわかっていないんですねぇとしか。投信販売については、金融政策による日銀当預の積上げに加えて資金の運用先が少ないがゆえに国債に多額を突っ込んでいる状況を前に流動性リスクですか(笑)。みずほも無能な職員が作家に転身してくれてよかったですねぇ(笑)。

間に挟まれた福井総裁のコメントについては、日銀の過てる金融政策による逸失GDPはそんなものじゃないだろうと。1994年度以降名目3%成長していた場合の名目GDPと実際の名目GDPとの差を2003年度まで合計すれば700兆円近くになるのですが。

「はみ出し銀行マンの勤番日記」などの著作で知られる元銀行員の横田濱夫氏は「大企業は株式市場などで直接、資金を調達するようになり、銀行離れが目立つ。かといって景気回復はまだ中小企業にまでは行き渡っておらず資金需要がない。貸出先に困った銀行がどこで稼いでいるかといったら不動産への貸し付け。要するにバブルの再演だ」と強調。そのうえで「カネ余りの状況で銀行が預金の獲得競争をするはずがなく、従って預金金利が上がるはずもない」とみる。

東京「どうして利息は増えないの?/『汗かかずにもうけ過ぎ』」

概ね正しい見方ですが、貸出先別貸出金(業種別<主要>)を見る限り不動産関連の過剰融資らしき動きは観察されません。といいますか、バブルへのアレルギーってまだまだ強いですねぇ。デフレへのアレルギーも少しは持って欲しいものですが・・・。

経済ジャーナリストの荻原博子氏が解説する。「たくさん預金されても運用先がない以上、迷惑だというのが銀行のホンネ。だから、預金者の批判に負けて利益還元する可能性なんてない。銀行は金庫がわりだと割り切った方がよい。もっとも、高金利を打ち出して、大量退職する団塊世代を囲い込み、次に投資信託などに誘導することはありうるし、貸出先をしっかり持っている信金・信組が金利をよくする可能性もある。今後はネームバリューにとらわれず、預金者が銀行を選別する番だ」

では、低金利の防衛策はどうするか。「とにかくローン返済にまい進することをおすすめする。二年固定金利の住宅ローンだって、その後はどんな金利にされるか分からない。返済し終えたら年収の一、二年分のお金を確保しておく。株や投資信託に手出ししてよいのは、それでもなお、お金が余る人だけ」と荻原氏。

銀行の選別方法についても「銀行の格付け、自己資本比率、利益率で決める。従業員教育が行き届いているかどうかもポイントだ。左前になる会社ほど教育費を削減するから」と説明する。

東京「どうして利息は増えないの?/『汗かかずにもうけ過ぎ』」

投信といってもいろいろあるわけで十把一絡げにリスク運用扱いするのはいかがかと思わないでもありませんが、総じて妥当な意見といえましょう。

これに対して、インターネット上のバーチャル政党「老人党」の提案者で、作家のなだいなだ氏は「銀行は大口預金者には高金利商品で対応しているが、老人党のメンバーのような退職者、年金生活者は対象外。だから、株などにひっかかってしまう。銀行が今日あるのは、ゼロ金利で我慢してくれた預金者のおかげと、肝に銘じてもらいたい」と注文をつける。

東京「どうして利息は増えないの?/『汗かかずにもうけ過ぎ』」

大口預金者と退職者・年金生活者を対立する概念として描く印象操作はいかがなものかと。年齢別の1世帯あたり金融資産保有額を見れば、平均値では70歳以上が1位で60歳代が2位、中央値では60歳代が1位で70歳以上が2位なのですけれども。

エコノミストの紺谷典子氏は「金利は上げるべき。金利6%が世界標準。宗教上の理由で金利をつけられないイスラム圏を除き、どこにゼロ金利の国がありますか?」としたうえで、「72の法則」を示した。

複利の場合、72を金利のパーセンテージで割ると、預金が二倍になる年数が出るという法則だ。「金利6%なら十二年。十五年前のバブル崩壊時の預金が、とっくに二倍になっていた。一千万円預金した人なら、月々の食費ぐらい出ていた。ところが今の金利、例えば0・04%なら、二倍になるまで千八百年かかる。邪馬台国の卑弥呼が預金していたとしても、今やっと二倍になった計算だ」

紺谷氏は、貸倒引当金が戻ったから一見、もうかっているように見えるが、本当の体力はついていない、という銀行側の説明にも首をかしげる。「つまり、貸倒引当金を積み過ぎていたということでしょ? 予想外の利益が出たわけです。ならば、金利をあてに老後などの人生設計をしていた預金者に、きちんと還元しなくてはならないはずだ」

東京「どうして利息は増えないの?/『汗かかずにもうけ過ぎ』」

ここにもいました、名目と実質がわからない人間が。じゃあインフレ率が10%や20%になっても世界標準とやらを標榜して6%金利で文句ないってことなんでしょうか。予想外の利益が出たら還元しろって、実績配分型投信であるまいし、じゃあ予想外の損失が出たら金利下げてもいいんですか?

でまあ紺谷さんは国民新党の副代表・政策委員長だったりするわけですが、社民党の金融政策観と目くそ鼻くそです。もう少しましだと思っていたのですが。

[economy]2005年度第3四半期銀行決算をめぐる言説・陽の巻

さて、この銀行の利益の源泉は何でしょうか。先の東京新聞の記事でも言及されていましたが、次のようなものです。

大手六グループが昨年九月中間決算発表時に公表した通期の最終利益予想の合計額は二兆五千九百五十億円で、すでに四−十二月期でこの予想を上回った。三月期末は融資先の再生を受けた多額の戻り益の発生が予想され、さらに最終利益が膨らみそうだ。

ただ、戻り益の発生が史上最高益をもたらしたことも否めず、こうした特殊要因がなくなる〇七年三月期からは各銀行の本当の実力が問われることになりそうだ。

Fuji Sankei Business i「4−12月期、大手銀6グループ決算 最終利益2.3倍2兆6440億円」

この貸倒引当金の取崩益について、森永卓郎さんが興味深い指摘をしています(公表が2/13ですので第3四半期決算でなく中間決算ベースですが)。

昨年11月に大手銀行の9月期中間決算が発表された。2005年4月から9月までの半年間の連結最終利益は、三菱UFJ、三井住友、みずほ、りそな、三井トラスト、住友信託の6グループ合計で、1兆7300億円にもなった。これは、前年同期の実に21倍である。

新聞各紙は、三菱UFJの最終利益が7118億円と、トヨタを抜いて日本一になったことを大きく報道したが、実はもっと興味深い事実があった。

それはUFJの利益だ。UFJホールディングスだけで、当期利益が4110億円と、三菱東京を上回るだけでなく、メガバンク6グループのなかで最大の利益を上げている。

なぜ、経営が立ち行かなくなって三菱東京に事実上の救済合併を求めたUFJが、わずか1年で、それほど莫大な利益を上げることになったのだろうか。

それは巨額の不良債権費用が繰り戻しになったからである。融資の焦げ付きに備えて積んでいた引当金が不要になって、3000億円以上が繰り戻された。新聞報道では、取引先の経営状態が景気回復で改善したために、引当金の所要額が減ったということになっている。しかし、それはおかしい。

なぜなら、三菱東京とUFJ以外は不良債権処理費用がすべてプラスになっている。つまり不良債権処理で「損」を出している。ところがUFJは、不良債権処理費用が3164億円ものマイナスだ。もし、取引先の経営改善が理由なら、他のメガバンクもマイナスになっていなければならない。

そうでないのなら、結論は一つ。引当金を異常に積み過ぎていたのである。

(略)

特別検査を行っていた2003年10月、金融庁に1本の匿名電話が入った。UFJが資料を隠しているという密告だった。金融庁は隠してある場所も知った上で、UFJに乗り込み、段ボールに山と積まれた隠された資料を見つけたのだった。この検査忌避事件をきっかけにして、金融庁は一気にUFJを追い込んでいった。不良債権の引当率を上げさせたのだ。

2003年9月期のUFJ銀行の引当率は29.2%だった。他のメガバンクも、三菱東京が30.6%、三井住友が30.5%、みずほが35.2%と、メガバンクはだいたい3割程度の引当金を横並びで積んでいた。相場としてはそんなものだろう。

ところが、金融庁が特別検査に入った後、2004年3月期にはUFJ銀行の引当率は51.4%、2004年9月期には54.9%に跳ね上がる。これは、要管理債権(要注意先に対する債権のうち3ヶ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権)の55%がかえってこないと見込んだということだ。

(略)

その後の遺産として残されたのが、50%を超えるとんでもない額の引当金である。こうして、2005年9月の中間決算で、UFJは巨額の利益を上げた。それなら、合併など必要ではなかったのではないか。誰もこのことを指摘しないのはおかしい。

大手銀行の好決算に隠された金融庁の暴走ぶり〜UFJ銀行の“作られた”経営危機〜13

引用していない部分の陰謀論(国有化という政治的意図をもって銀行を追い込んだ)はいかがかと思いますが、銀行が粉飾して不良債権を過小計上しているのではとの世間の追い風をバックに厳しければ厳しいほどいいのだと調子に乗った金融庁が誤っていたことは否定できません。過小計上が粉飾なら過大計上だって粉飾なわけで、どの面下げて銀行の経営者を批判できるというのでしょうか。

これまでもwebmasterは強権的・裁量的な金融庁による経営介入を批判してきましたが、銀行悪玉論に乗じたこのような行政スタイルはやはり見直されるべきでしょう。少なくとも検査結果等について第三者によるチェックを課すべきではないでしょうか‐例えば先日取り上げた公共事業では裁判によるチェックが行われていましたが(行政訴訟が一般に少なすぎるという批判はあるにせよ)、金融検査においてそうしたチェックが行われたとは寡聞にして知りません。

#銀行にしても江戸の仇を長崎で討たれるのが怖くて訴訟などできないのでしょう。

とまれ本件は、産業再生機構が花王によるカネボウ吸収を一旦は横取りした上で結局は花王に売却したことと並んで、不良債権にまつわる行政の個別介入の2大失敗事例として長く記憶されるべきでしょう。リフレ政策に理解のある政治家として竹中大臣を評価するwebmasterもこうした点ではまったく評価できないと思っていますし、最近日本振興銀行の設立経緯等を巡って議論のある木村剛同行会長にしても、たかが1銀行の不正よりも(これは法律にしたがって淡々と処理すればよいだけのことです)、やたらと銀行は引当て不足であると不安感を煽って金融行政をゆがめる原因を作ったことこそ批判されるべきだと考えるのです。

本日のツッコミ(全32件) [ツッコミを入れる]
truly_false (2006-02-17 13:01)

なんつーか、戦間期ドイツの“反ユダヤ主義”が、よくあげつらわれるんですが、件の市民の皆さんの「ルサンチマン」は、それとどこが違うんでしょうか?(また、当の金融当局者が、無用な不安に駆られていたあたりも、どことなく似ている希ガ…)

アルベルト (2006-02-17 15:20)

日銀の「貸出先別貸出金」の分類がどのように行われているか不勉強で詳細がわからないのですが、昨今の不動産関連エクスポージャーは証券投資やSPCへの融資の形態を取っているケースが多いので「不動産業向け融資」に数字が正しく反映されているかどうかやや疑問です。「過剰融資」というほどの動きにはなっていないと思いますが、不動産関係の動きはちょっと気になっています。細かい話で恐縮ですが。

kumakuma1967 (2006-02-17 17:12)

どうして銀行に預けるの?保証も制限され利息もつかないのに預け過ぎ
....とか書くとタンスに入れたりするんでしょうねぇ。

ヌル (2006-02-17 17:16)

紺谷さんの発言で思ったのですけれど
名目・実質の差を説明しようとしたら
それこそ新聞の1枠を使わなきゃいけないわけで。
blog界とは違って、読者に事前知識を求められないマスメディアでは
結局分かりやすさを重視しなきゃいけないんじゃないでしょうか。

リフレ派はその点でよく甘さを指摘されていますよね。
ワンフレーズ選挙で大勝してしまう状況を
根本からかえるために啓蒙するのもとても大事なことで
bewaadさんの役割はそこにあるとは思いますが。
(じゃあ言うなって感じですけどね。すいません)

(2006-02-17 23:19)

検察庁の国策捜査と同様に金融庁も世論に基づいて恣意的な国策検査をしてたんですね。やたらと不良債権を騒ぐのも財政危機を煽り立てる財務省とそっくりな気もします。役所がどこかの陰謀の手先になってるというより世論に振り回されてるというのが官僚側から見た実態なんでしょうか?

Baatarism (2006-02-18 00:19)

役所は最初は自分に都合の良いように世論を煽ろうとするけど、やがて沸騰した世論をコントロールできなくなって引きずられてしまい、気がついたときには取り返しがつかなくなっている、というところではないでしょうか?役所だろうがマスコミだろうが世論を思う通りにできると考えるのが傲慢なんでしょうけど。

bewaad (2006-02-18 03:19)

>truly_falseさん
構造は似ているのではないでしょうか。

bewaad (2006-02-18 03:27)

>アルベルトさん
そのあたりうまくデータが取れないので代替しました。今にして思えば、バブルは事前にはわからないというツッコミの方がよかったかな、とも。

bewaad (2006-02-18 03:30)

>kumakuma1967さん
まあそういう人はタンスに入れた方がパレート最適のような気が。

bewaad (2006-02-18 03:39)

>ヌルさん
ご叱正肝に銘じます。

しかし紺谷さんはそれを知っていなければならない肩書きですし、知っていてあのコメントであれば不誠実だと思います。「名目」「実質」という単語を使わなくとも表現のしようはあるわけですし。といっても愚痴ですが(笑)。

bewaad (2006-02-18 03:49)

>○さん、Baatarismさん
「国家の罠」のように自覚的である者は少なく、本心から改革に入れ込んでいる、言い換えれば世間をあおるというより同調しているケースが多いと思います。最近いちごで話題になった岡本課長ですとか、以前取り上げたプロジェクトKのメンバーなどが典型でしょう。

odakin (2006-02-18 06:17)

こんなんはどうですか?わりと感情的に同感なんだけど:http://eiji.txt-nifty.com/diary/2006/02/post_c5c2.html
当時大蔵省は長銀も三菱も(以下10行ほど略)も全く同じく健全度である、と判断して各行一千億円ずつプレゼントしたわけですよね

koge (2006-02-18 12:23)

それもあるでしょうが、このデフレ期に他の産業と比べて銀行だけが、少なくとも小口の顧客に還元してないというのもあるでしょうね。消費者からすると。
ほかのメーカーや小売・サービス業は、このデフレ期に生き残りをかけて低価格品に走り(安かろう悪かろうも多いがかつてはその選択権もなかった)、そのしわ寄せが従業員や下請けのみならず時には経営者や株主にまでいっていたわけですが、その結果年収300万、いやフリーターの年収100万でもそれなりに豊かな暮らしができる社会ができてしまい、リストラされず給料減ですんだ大多数の人にとってはむしろ実質購買力は上がっているのでしょう(その給料減が少ないといって公務員が叩かれていますが)。
しかし銀行は、利子はつかないわ振込みや夜間休日手数料は上がるわ場合によっては小額口座に管理料とられるわ窓口の接客も元々「役所以下」といわれていたのがリストラでますますATMに振られるなど悪くなるわ、おまけに中小企業からはどんどん貸し渋りして倒産させるわですから、そりゃ他の産業以上に行員のリストラや役員報酬カットをしたとはいえ一般人からは叩かれて当然かと。要するに、どのステークホルダーにも還元していない(株主?それもどうだか…)わけですから。
本来銀行は、鉄道や放送などと同様に公的な使命が(タテマエだけでも)あるからこそ良くも悪くもあれだけの規制業種なんでしょうが、現状では「決済システムを人質にとって好き放題してる」と思われても仕方がないでしょうね。
あとは、金融庁が預金からリスク資産へのシフトを進めたいと思ってるとすれば、そのために銀行の数(会社数ではなく店舗数)を減らそうとするのは確かでしょうね。(実際に吸収した)三菱への利益供与のためにやったというほうがまだましでしょうが。

アルベルト (2006-02-18 14:08)

最近気になるのですが、こうした議論でよく出てくる「小口預金者」というのは具体的にどういう人達なのでしょうか?
というのは、まず口座管理料が問題になるほど金融資産が少ない人達は、そもそも現在のサービスで預金する意味はなく、それこそタンス預金すればいいと思うわけです。
次に、口座管理料が問題になるほどではない程度の金融資産を持っていて預金しているだけの層は、これらの銀行に預ける意味がありません。シティや新生のカードを持てばどこからでも手数料かからずに引き出せるわけです。シティはペイオフ対象ではありませんが、預金保険機構(日本ソブリン)よりシティの方が格付が高いわけですから何をか況や、であります。
(東京のことだけ言ってんじゃねぇ!という突っ込みが来そうですが、元記事は大手六グループですから、基本は大都市限定の話だと思います)
そうなると、決済にも銀行を多用し、借入れニーズもある個人事業主や中小企業のこと?とも思うのですが、今や信金や地銀等の方が彼らにはきめ細かいサービスを提供しています。記事内にも指摘のある通り、中小向けの与信能力に欠ける大銀行の出番ではありません。
では、住宅ローン等を借りている個人?でも、彼らにしても低金利の恩恵には浴しているわけだし、そもそも住宅ローンを借りられるのは定職/定収入がある人達でしょうから、その多くはデフレの負の影響を受けにくい層でしょう。
要するに、「小口預金者」でも「一般人」でも何でもいいですが、大銀行はもはやそうした層に(リスク資産を売りつける以外の)興味は全くないし、顧客は使わなければいいだけの話です。本当に間違っているのは、「大銀行が儲けすぎ」と攻撃することではなく、「大銀行が身近なものである」と今でも思い込んでいることなのではないでしょうか。
でも大丈夫。「一番身近な金融機関」郵便局が民営化でもっともっと効率化されてサービスが良くなりますから。みんな小泉政権に投票してよかったですね(藁

koge (2006-02-18 15:15)

>>アルベルトさん
なるほど…かなりの部分同意できますね。
しかし、そうだとすれば、ベッドタウンの駅前超一等地に3つも4つも支店を維持しているのがおかしい、フツーのメーカーの営業拠点同様1県1〜2個のオフィスだけ残してとっとと地域密着で預金・貸し出ししている地銀・信金・信組に明け渡せということになりますね。で、決済機能は(場合によっては個人向けローンの申し込みも?)郵貯なりIYバンクなり提携サラ金なり(笑)に完全委託して都心のオフィスで貸し出し・運用だけしてればいい、そのほうがたとえ田舎の特定局も維持できるくらいの委託料払っても安くついて預金者も銀行経営者もハッピー、となるんでしょうか。行員が何万人リストラされるのかはわかりませんが。

koge (2006-02-18 15:29)

あと、勤労者は給与振込で使わざるを得ないという点もあるでしょう。私が前いた会社ではバイトを含め全員入社時に富○銀行に(元々そこに持っていた人を含め)口座を作成させられました。

銅鑼衣紋 (2006-02-18 17:05)

私、銀行には勤めたことないので肩を持つ気もないんですが、最近
まで日本の「金融改革」なるものの大部分が「独占度を上げて収益
至上主義に走りROE上げろ」だったのをお忘れなく(笑)マッキ
ンゼーの川本女史なんか露骨にそう言ってたでしょう?それが国策
だったのですから。メガバンク3行、信託も統合、長信銀+東銀消
滅、生保・損保も統合。これだけ独占度上げれば、少し景気が上向
けばぼろ儲けは既定路線。消費税中心主義もそうですけど、日本の
エリートは官民ともに、景気に左右されない収入確保を至上命題に
してんでしょう。

銅鑼衣紋 (2006-02-18 17:11)

続き

と書いて考えてみると、エリートの取り分は安定していて、でも総
所得は変動すると、その他大勢の取り分の変動は激しくなります
な。で、そこは終身雇用の廃止と能力主義人事考課とかで柔軟性を
確保すると。いやあ、この改革は、実に整合的な立派なもんです。

BUNTEN (2006-02-18 23:27)

>まず口座管理料が問題になるほど金融資産が少ない人達は、そもそも現在のサービスで預金する意味はなく、

決済(銀行引き落とし)と給与振込からはたいていの人が逃げられないというかどっぷりのめり込んでいる気がしますが。

集金に来てもらっても、口座を持ってもどっちにしても割高になるのが貧乏人。機械化だの自動振り込みだのを推進してた時には安くなるとか言っておいていざやめられなくなったらこれかよ。orz

アルベルト (2006-02-19 02:30)

>kogeさん
確かに、そういう会社少なからずありますね・・・認識不足でした。私の勤めていた会社はいずれも振込先銀行を選べたので忘れてました。ちょっと前は「シティに口座を持っている」というだけで、金持ち?みたいな目で見られたものですが、今や私の周囲でも定職持ってる人間は高収入でなくても「シティand/or新生にしか口座持ってない」というのが多いです。

>BUNTENさん
むむ・・・確かにこれもその通り・・・「シティetcに口座を持てない層」というのは大銀行の口座に囚われの身となってしまうのですね。そういう人はやっぱり郵便局(ry

年収250万男 (2006-02-19 02:57)

>最近気になるのですが、こうした議論でよく出てくる「小口預金>者」というのは具体的にどういう人達なのでしょうか?
>というのは、まず口座管理料が問題になるほど金融資産が少ない>人達は、そもそも現在のサービスで預金する意味はなく、それこ>そタンス預金すればいいと思うわけです。

タンス預金では空き巣に入られて全額盗まれたとしても誰も保証してくれないのでは・・・
自分は恐ろしくてそんな勇気ないですね(汗

BUNTEN (2006-02-19 06:22)

>そういう人はやっぱり郵便局(ry

民営化で他銀行並みの手数料…ならいいほうで、田舎の支店を維持するコストを考えたら、銀行を超える手数料と田舎の支店閉鎖の究極の二択になりそうな悪寒が…。orz

bewaad (2006-02-19 20:05)

>odakinさん
大石さんのような見方が多いからこそメディアがきちんと報道する意義があるはずなのに、というのが今回の動機だったりします。

社会的還元についてはkogeさんのところでまとめて書きますが、公的資金は存続行についてはプレゼントでなく、政府はインカムゲインは当然のこときっちり回収してキャピタルゲインまで得ています。プレゼントになったのは破綻行の損失補填ですが、これは預金の全額保護に用いられていますので、実益を得たのは銀行ではなく預金者です。事実関係の確認ということで(これらの区別もつけず十把一絡げに血税を投入とか言っていた野党やメディアが振りまいたイメージだと思いますが)。

bewaad (2006-02-19 20:18)

>kogeさん
荻原博子さんが(多分意識はしていないでしょうけれど)指摘しているように、自己資本比率が高いというのは銀行が提供する預金サービスの質を高めるものと認識されています。つまりは同じ預金金利なら自己資本比率が高いほうがローリスクであり、リスクアジャスティッドリターンが高いということになります。

本来自己資本比率の限界リスク減少率(一定の自己資本比率上昇によりどれだけ銀行の信用リスクが減少するか、というもの)は逓減するはずで、ある程度自己資本比率が向上すれば利益を内部留保にまわして自己資本を厚くすることより、預金金利の引上げ等に活用した方が競争力を増すはずですが、これまでの経緯もあってメディア・預金者ともに自己資本比率が多ければ多いほどよいといった風潮があり、それを前提にするなら預金金利の引上げよりも自己資本の充実こそが預金者の望む利益還元であるともいえます。

あまり銀行を弁護したいというわけではないのですが、マクロ経済政策のひずみが端的に現れる業界ですから、銀行を責めるのであればそれ以上に国のマクロ経済政策を責めるべきと考えています。

bewaad (2006-02-19 20:20)

>アルベルトさん
他の方々のご指摘以外では、決済サービスもまた多くの人々が使用しているものだと思います。クレジットカードや各種公共料金の振込みには銀行口座が必要ですし、それらをすべて現金決済にする手間にくらべ各種手数料が割高だと考える人も少ない(からこそそれらのサービスが普及している)のではないでしょうか。

bewaad (2006-02-19 20:28)

>kogeさん(http://bewaad.com/20060217.html#c15
重複店舗は合併の名残である場合が多く、そのうち整理されるでしょう。さらに、昨年の銀行代理店の一般法人開放によりそうした動きは促進されるでしょう(支店の統廃合と代理店による一部業務実施)。

bewaad (2006-02-19 20:31)

>銅鑼さま
あと、日銀なども日米の預貸スプレッドを比較して(日本が約200ベーシス、アメリカが約400ベーシス)もっと預金金利の引下げand/or貸出金利の引上げをやるべきだ、なんてことを言っていたわけで、銀行を弁護してやれよと(笑)。フィービジネスの強化についても同じことですよね。

bewaad (2006-02-19 20:42)

>BUNTENさん
>集金に来てもらっても、口座を持ってもどっちにしても割高になるのが貧乏人。機械化だの自動振り込みだのを推進してた時には安くなるとか言っておいていざやめられなくなったらこれかよ。orz

いちおう銀行を弁護しておきますと、昔は金利水準が高かったのでそこから預金金利を大幅に下方に乖離させていたわけです。それがゼロ金利になって市場金利と預金金利の格差を作ることができなくなり、別途手数料で徴収しているという側面はあるでしょう。言葉悪く言えば、昔は掠め取られていたのが明示的にとられるようになったと。アカウンタビリティ向上(笑)?

bewaad (2006-02-19 20:45)

>年収250万男さん
そのようにお考えの方は少なくともエントリで引用したような批判の仕方はしないのだと思います。「預けている」ということのみで、どのようなサービスを受けているかを考えないと、かえって損をしかねないのですけれども、そうした人々も少なくないようで。

bewaad (2006-02-19 20:47)

>BUNTENさん(http://bewaad.com/20060217.html#c22
(地域)独占企業体であれば限界費用=限界収入となる価格設定をし、かつご指摘のような地域ではサービス消費の価格弾力性が低いと考えられるので、相当程度の引き上げを合理的に経営するなら行うことでしょうね(笑)。

うし (2006-02-19 23:50)

アメリカの銀行はなぜ儲かっているのか?
http://www.scbri.jp/HTMLcolumnNY/17/17-5.pdf

米銀並みに収益性の向上を求める圧力が強かったから、米銀の御無体な非金利収入増大策を真似たということなんでしょう。

bewaad (2006-02-20 01:51)

>うしさん
確かアメリカではクレジット関係の手数料(実質的には金利)が非金利収入に加算されているので、日本基準に引き直せばもっと非金利収入比率は下がる、といった話を聞いたことがあります。

もちろん口座維持手数料等があり、そのような修正を施した後においてもなお米銀の非金利収入比率は邦銀のそれより高いわけですが。


トップ «前の日記(2006-02-16) 最新 次の日記(2006-02-18)» 編集