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2006-03-03

[WWW]トラフィック増加問題の先達

J2さんが「日本のインターネット、マジやばくね?」と題して、GyaOやSkypeによるトラフィック増加とそれを支える通信インフラのインバランスをご紹介です。非常におもしろいエントリですので直接ご覧いただければと思うのですが、あえて大胆に概要を示すなら、

  1. 定額での接続が標準となった昨今、プロバイダのリテイル収入は1次関数(固定料金×接続者数)でしか増えない。
  2. プロバイダ等が負担するネットワークの維持・増強コストはトラフィックに応じて必要となるが、トラフィックは指数関数で増えている。
  3. したがって、早晩コストが収入を上回りネットワークは維持不可能となる。

ということではないでしょうか。

これを見ると、webmasterの頭にはマルサスの人口論が浮かんできます。その骨子は、

  1. 食料供給は耕地面積等に依存するので1次関数でしか増えない。
  2. 人口の増加は頭数に依存するので指数関数で増える。
  3. したがって、早晩人口は食料供給能力を上回り維持不可能となる。

というものですから。

#順序が逆でこれを念頭にJ2さんのエントリをまとめたのだろうとお考えの方、そのとおりです(笑)。

結局食料供給量が制約となっての大量死は幸いにして発生しなかったのですが、その理由は次のとおりです。

  • 人口の増加は頭数によってのみ決まるものではなく、指数関数での増加は永続的なものでなかったこと。
  • 食料供給能力は技術進歩によっても向上し指数関数で増えたこと(少なくとも人口増加が指数関数による期間中は)。

この伝でいくなら、技術進歩によりネットワークの維持・増強コストが引き下げられ、トラフィックが指数関数で増えてもコストは(時間の経過による)1次関数でしか増えないという枠組みが維持できるのであれば、トラフィック増加問題も対応不可能ではないと言えるでしょう。事実、これまでのトラフィック増加はそのようにして捌かれてきました。

となると問題は、トラフィック増加のペースが落ちるのが先か、ネットワーク関連技術が枯れてきてその進歩のペースが落ちるのが先か、という点に帰着することになります。J2さんが予言する従量制料金の復活、すなわちユーザのインセンティヴ構造を変えてトラフィック増加ペースを落とそうとの試みは、暗黙のうちに技術進歩のペースが限界に来ていることを前提にしていると解すべきでしょう。

[misc]一日○○

注目していた某一日署長ですが、その良さは想像を超えてました。

一日大臣とか一日局長っていうのはないのでしょうか。一日係員で部下についてくれるのもいいですね(笑。ずっと視野に入るわけですし)。

本日のツッコミ(全14件) [ツッコミを入れる]
Baatarism (2006-03-03 09:47)

>トラフィック増加問題
結局のところ、ネットワークインフラにおいてムーアの法則は成り立つか否かということなんでしょうね。
「ウェブ進化論」などを見ても、結局そのパワーの根源はムーアの法則なんだから、ネットワークでそれが成り立たなければ、あの本の通りにはならないでしょう。

WINNY (2006-03-03 12:35)

金子を逮捕してるんだから、トラフィック問題についてはやる気が無いんだろう

kumakuma1967 (2006-03-03 20:26)

一本のSCファイバーで伝送する帯域幅は伝送規格更新とWDM併用すると十年で100Mbps→4Gbps、40倍くらいになってると思います。ムーアの法則通りですね。さらに最新のメディアコンバータ一台の値段はずいぶん下がってます。
 これまでのコスト構造はIXよりファイバー敷設費が圧倒的に高く、それも幹線よりユーザーに近い「芯数の少ない線」のコストが高かったわけです。
 これまではユーザーサイドに近い部分のファイバー設置費などがコストのメインで、幹線やIXのコストは無視できたので従量課金がすたれたわけですけど、そうやって普及した末端のファイバーが投資額を回収しつつフル稼働すると今度はIXや幹線のコストに応じて従量課金したほうがいいって状況も出てきうるという事ではないかと思います。
 私はそういう状況で支払われる料金が平均で今より高いとは思いませんけれど、じゃぶじゃぶと伝送量を食って他のユーザーを圧迫するような使い方をしてると、今より高くなるかも。

easy (2006-03-04 00:32)

 はじめまして。
 私は通信業界の関係者ではなく、仕事上業界動向を調べてるだけなんですが、ここ数年の固定通信分野の単価下落は異常事態だと考えています。
 危険なのは、過当競争状況になって値下げが続いているのに、ユーザ側はまだ通信コストを下げようという考えていることです。
 事業者側が無茶な値引きをやって自分の首をしめている部分もありますが、そろそろ業界全体として手打ちをしないと総崩れになるのではないかと危惧しております。
 IIJやNTTの悲観論は丸呑みできませんが理解できるものがあります。それに対して、KDDIやソフトバンクのNTTにたかれるだけたかってやろうという姿勢には正直反吐がでます。
 さらに携帯分野の動向によっては、携帯でもっているNTTやKDDIも危なくなりますし、固定通信分野への投資にも影響を与えるのではないでしょうか。
 総務省もそろそろ競争一辺倒の政策から転換する時期がきているのではないかと思うのですが、大臣が民営化・競争好きですから、本気でNTTの解体をやりそうなのが怖いところです。
 冷静な官僚の方々に、何とかインフラにもお金が落ちるような政策を考えてほしいと思います。

bewaad (2006-03-04 01:47)

>Baatarismさん
kumakuma1967さんやtrackbackをいただいた「インフラただ乗り論とバックボーン不足論の虚妄」はムーアの法則的な見方ですが、そういうものをひっくるめてのTFPですから、あとは指数関数の上昇スピード勝負なのかもしれません。

ちなみに「ウェブ進化論」、近々取り上げます。

bewaad (2006-03-04 01:49)

>WINNYさん
J2さんのエントリにつけられた和尚さんのコメントでは、GyaOもP2Pでやった方がいいだろうとのことでした。

bewaad (2006-03-04 01:52)

>kumakuma1967さん
経済学的に言えば、総費用はまかなえないとしても変動費はまかなえるだけの価格水準だということと、その価格でクールノー均衡が成立しているということなのかな、と思います。

bewaad (2006-03-04 01:56)

>easyさん
ご賢察のとおり、リテイルでの「価格破壊」は規制緩和・構造改革の典型的成功例として喧伝されていますから、竹中大臣がというより、そうしたものを称揚する風潮が変わらないことには、政府の対応の変更は難しいように思います。

easy (2006-03-04 03:13)

beweed様

 確かに風潮が変わらないうちに政策変更を強引にやれば、NTTの肩を持っているだの、消費者利益に反するだの言われる可能性がありますので、危惧されている方もおられるでしょうが、やはり難しいのでしょうね。そのあたりはよく分かります。個人的な願望にすぎません。
 私が竹中大臣のことを書いたのは、過去の発言や2/21の懇談会の議論からNTTの解体議論をやり始めそうな気がするからです。
 今の業界でこれ以上競争が激化すれば危険なのは総務省の方はおそらく分かっておられるから、IIJの悲観論を取り上げられたりして、警鐘をならされているのでしょうが、竹中氏は業界の現状やアメリカの失敗を分かってても、なおかつ世論やNCCの意見を武器にやりそうだから特に怖いのです。
 経済系のブログにもかかわらず、経済学的なアプローチが全くなくて申し訳ございませんでした。経済学は素人なので、普段は読ませていただくだけだったのですが、つい気になるエントリだったのでコメントさせていただきました。

kumakuma1967 (2006-03-04 14:06)

ムーアの法則が成り立つにしても、重点的な投資がラストワンマイルか、ファイバー支線か、幹線か、IXに必要かで投資の主体が違うわけです。そこに政府のバイアスをかけて利益なしで提供させてしまう状況が続けば投資の必要なパートに資金が回らなくなる可能性はありますね。
 ラストワンマイルと幹線のいずれも整備しないですむ事業者の主要コストは「販売促進費」みたいです。

規制業種 (2006-03-04 21:12)

janogメーリングリストでも時々この話題が出てますけど、彼らが深刻に心配しているのは機器の処理速度がこの先追いつくのか、という部分です。確かにファイバー部分はDWDMの進歩でかなり問題が解決しましたけど、今現在標準の10Gの次の40Gは製品が出ていますが、100Gに至っては規格策定の議論すらされていない状況です。
で、これって日本に特有の問題でもあるんですよね。米国ならCATVが50$、ADSLが20〜45$程度で足踏みしており、FTTHが50$を切っている日本とかなり差があるわけです。日本でのトラフィックの伸び方は、今話題のWinnyの問題もあるわけですが、ちょっと異常で機器の進歩の先を行ってしまっています。

bewaad (2006-03-05 14:20)

>easyさん
総務省(旧郵政省)の立場を考えるに、郵政民営化に絡んでの更迭の記憶も新しいでしょうから、小泉・竹中ラインに反対することにはとてもハードルが高いのだろうなと思います。

というわけで、別に経済以外のネタも取り扱っていますので、今後とも気軽に書き込んでいただければと思います。

bewaad (2006-03-05 14:22)

>kumakuma1967さん
「人口論」の議論を敷衍すれば、全体としての食料供給量は十分であっても地域的な食料危機は起こる、つまり配分の問題で部分的な供給不足は生じ得るということになります。インフラ維持の費用に係るインセンティヴを持たない者の存在は、コモンズ問題として考えることができるように思います。

bewaad (2006-03-05 14:30)

>規制業種さん
エントリの趣旨からは外れますが、昔からネットをやっている身としては、画像ファイルですら必要でもないのに載せるには抵抗があり、まして動画・音声ファイルは、というのが正直なところです。昔YMO(?)がネットライブをやったときに貴重な帯域を無駄遣いするなといった意見があり、大いに賛同したことを覚えています。

とはいっても、そういうトラフィック増加こそが技術進歩の原動力にもなるはずで、現場の研究者の方々の奮起(とそれに報いる報酬)に結局は頼らざるを得ないだろうなぁ、というのが部外者としての無責任な思いになってしまうわけで・・・。

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不思議な議論だ.地方の零細プロバイダって,まだあるんだっけ.あってもインフラは大概アウトソースしてるよね.テレホーダイとかフレッツとかブロードバンドとかで潰れるべき零細プロバイダはとうの昔に潰れて名前だけプロバイダのまま顧客管理業に徹してるんだから,誰..


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