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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2006-04-05
■ [law][government]地方公共団体の破綻法制
またまた毎日より、「縦並び社会・格差の源流に迫る:竹中人脈と強者の論理」ですが、ここで真っ先に取り上げられているのが地方分権21世紀ビジョン懇談会での地方公共団体の破綻法制についての議論です。よくよく見てみますと、本当にこんないいかげんな検討で政策決定してしまっていいのかという代物です。最大の問題は検討内容の柱の1つとして破綻法制を掲げておきながら、メンバーに破綻法制の専門家を1人も入れていない(その他の分野についても行政法学者(小早川先生)が1人入っているだけ)ということ。
#破綻法制は法学の中でもマイナーな分野ですし、さらに地方公共団体の破綻に比すべき大型倒産は学界でどれだけ実態を把握しているかは極めて怪しいのが実情です(法曹でもその分野のプロと言えるのはほんの一握りです。例えば裁判所でいえば、事実上東京地裁でないと無理です)。
例えば毎日でも太田座長のメモに関して検討項目には「関係者の責任の取り方」として「首長」ばかりか「自治体職員」「住民」まで対象に含まれている
とされているように、住民責任が議論されています。太田座長のメモに先立って各メンバーから提出された意見を見ると、小早川先生や本間先生が住民責任を積極的に肯定しています。しかしちょっと考えただけでも、住民責任には次のような様々な論点があります。
- 例えば本間先生の意見として
状況発覚前4年間(選挙で当該首長が選任されてからの期間)の自治体の管理職職員・議員・住民に債務返済を要求すること(再建法制のなかでは、最終責任は自治体の意思決定に関わったすべての人に存することを明記すべき)
とありますから、首長を選任した住民の責任を求めるようであります。しかし、これには次のような問題があります。- 憲法上「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない」(第15条第4項)とあり、憲法違反ではないでしょうか。
- 憲法違反ではないとして、より財政拡張的な落選候補に投票した者より現在の首長に投票した者の責任が重いといえるのでしょうか。
- 現在の首長以外の候補に投票した者で議会与党に投票した者には責任はないのか。その者に比べ、現在の首長に投票した者で議会野党に投票した者の責任は重いといえるのでしょうか。
- 以上の問題から全住民に責任を課すとすれば、現在の首長以外の候補に投票した者にはどのような帰責自由があるのでしょうか。
- かろうじて島田先生が指摘していますが、移転の自由との関係をどうするのでしょうか。引っ越せば責任なしなら先を争って人が出て行くだけでしょうし、かといって引越し先まで追いかけるならその執行体制はどうするのでしょう。
- 企業の破綻法制と対比すれば、株式会社の破綻に当たっては、会社法上の株主有限責任が当然にあてはまりますから破綻後の追加負担は求められませんが、株主に比べ住民の責任は重いといえるのでしょうか。株主は株を売れば退出可能ですが、住居の移転には当然ながらより高いコストが必要で、退出のハードルはより高いことも考える必要があるでしょう。
企業の破綻法制との比較からは他にも、
- 破綻の定義(企業なら支払い不能(及びそれに直結する債務超過)ですが、地方公共団体は債務超過が自然体です)
- トップの位置づけ(企業経営者には法的には破綻に係る賠償責任は追及されません(違法行為があれば別ですが))
- 労働債権の取扱い(企業においては優先的に保護されますが、職員にも責任を求めることとは整合的ではありません)
- 管轄(懇談会では第三者委員会を念頭においているようですが、司法で処理することとしている企業法制との違いは何に起因するのか)
- 再建案の策定プロセス(企業破綻においては、裁判官の職権決定もあり得ますが、原則は当事者合意です。どうも懇談会では第三者委員会の職権決定しか念頭にないようで・・・)
といった問題が考えられます(他にも探せばいくらでもあるでしょう)。
つまりはそれぞれの分野では専門家を集めたのかもしれませんが、こと破綻法制を考えるには素人の集団としか言いようがないのがこの懇談会のメンバー構成です。評論としてはともかく、法制化に耐え得る水準の議論であるとはどれだけ甘く評価しても言い得ません。竹中大臣に逆らうには抵抗感があるでしょうけれど、問題は問題だときちんと言っておかないと、後々法案作成段階で苦労するのはあなた方ですよ>事務局の担当者の方々。そのまま法制化しなければ勝手なことをする抵抗勢力扱いですが、そのままの法制化など条文書きの良心が許すはずもないのですから。
■ [politics][economy]麻生外務大臣の対中発言
一般にはこちらの方が耳目を集めるのでしょうけれど、
麻生太郎外相は4日午前の記者会見で、中国の胡錦濤国家主席が先に小泉純一郎首相が靖国神社参拝を中止しない限り首脳会談に応じないとの考えを示したことについて「手法がわたしどもの理解を超えている」と述べ、不快感を表明した。
zakzak「麻生外相「手法が理解を超えている」と中国に不快感」
webmasterは次の部分の方がよほど気になります。
麻生氏は、この後の参院外交防衛委員会で、今後の日中関係について「同じ地域に同じような経済大国が出れば、経済の覇権を争わざるを得ない」と述べ、中国との経済面での競争が一層激しくなるとの見通しを示した。自民党の山本一太氏への答弁。
zakzak「麻生外相「手法が理解を超えている」と中国に不快感」
経済の覇権って何が言いたいのやら。各国の企業同士の競争であればともかく(ただこの場合、「経済大国」であろうがなかろうがですからこの意味での発言でないことは明らかでしょう)、国と国とがどう争うというのでしょう。知的財産権関連なら多少理解できないでもないですが、ブロック経済の陣地とりでもやるのですか(笑)?
>全住民に責任を課す
お見込みのとおり。
>とすれば、現在の首長以外の候補に投票した者にはどのような帰責事由
それが「選択」(他候補への投票含む)をした責任です。この責任に耐えられない(耐える意思のない)者は、そもそも「選択権」を放棄していただきます。有限責任型の株式会社ではなく、協同組合とか合資会社的なイメージです。あくまでイメージで、出資者=住民(前記の「責任」に耐えるとの意思表示をしたもの)による無限責任型の組織として自治体を捉える体系を構築します。住民であるかぎりサービスを享受する権利までは奪わないとは思いますが。
>引越し先まで追いかけるならその執行体制
実効性はともかく、「住基ネット」で掌握可能です。
また、どの段階の決断が破綻につながったのか、を特定するのも難しい話ですが、たとえば平成10年の起債はそのときの住民で負担する、とでもいうようなルールをつくれば可能ではないかと。
破綻法制という法そのものをつくるのではなく、こういう法体系をつくれば、住民による「ムダづかい」の監視ができるというわけです。新自由主義原理主義者による制度設計だと、こうなると思います。
>この責任に耐えられない(耐える意思のない)者は、そもそも「選択権」を放棄していただきます。
「他候補への投票」も選択、おそらく棄権でも選択…というならそもそもどうすれば「選択権」を放棄できるんでしょうかね? 破綻しそうな自治体には住まない? しかし例えば転勤によって、破綻が見込まれる自治体に住むことを余儀なくされた場合、「この責任に耐えられない」なら退職するしかないですねぇ…。
>>それが「選択」(他候補への投票含む)をした責任
ってことは、投票(米国流に有権者登録?)した人にだけ責任があり、棄権した人は責任がないということですか?前者なら事実上責任を取れる資産のある人による制限選挙ですし、後者なら棄権者への罰としても重すぎますね。某党とか某党がやってるのと逆に選挙のときだけ住民票移す人が続出しそうですなぁ。
昼休みのとおりすがりです。(同一人物だといってどうする)
Apemanさん、kogeさん、ありがとうございます。
>破綻しそうな自治体には住まない
責任をとるのは、「決定に参加したすべての人」です。あとから移入してきた人に責任かぶせるのはいかがかと、私も思います。逃げる人には、おいかけるだけでなく、転出税をかけるのも可です。
問題は、「棄権」ではなく、参加したくない人をどうするか、ということで、有権者登録をするのは一計だと思います。一々態度表明することができるとすると、逃げますから、20歳の段階で表明して以降の変更は認めない、と公職選挙法に加えればよいかと。
>前者なら事実上責任を取れる資産のある人による制限選挙
財政破綻するのは、補助金よこせ、道造れ、橋架けろ、といって投票行動した人達(ついでに、税金上げるなとも主張したり、bawaadさんのような有能な公務員ではない人に高給を保障している)のせいですから、そのような人達を排除することで、破綻しなくなります。ですから、豊かな資力は、有権者登録の条件とはなりません。
>とおりすがりさん
>20歳の段階で表明して以降の変更は認めない
つまり20歳の段階で自分が所属する自治体を決定し、その後はどこに引っ越そうと一生変更は不可能とすることで、その自治体と一蓮托生の人生を送ることを強制するわけですね。
正直言ってそんな国には住みたくないです。悪名高い中国の戸籍制度よりも、ちょっとだけマシというくらいの制度ですから。
>麻生外相
最近、麻生氏をウォッチしていて思うのですが、マクロ経済はあの人の弱点ではないでしょうか?
以前、僕のブログのコメント欄で議論していたときも、麻生氏は経済政策のブレーンを探した方が良いという話になりました。(ちなみにそのときは岩田規久夫さんが良いのではないかという話でした)
どうもこの点については、麻生氏自身が「自分は経済に強い」という思いこみを持っているようなので、ちょっと心配です。
>Baatarismさん
変更元・変更先の双方が同意すれば変更可能、とするような方法もありますね。で、「転出税」を払わないと同意してやらない。おっしゃるとおり中国の戸籍制度とたいして変わりませんが、たしか二重国籍の解消の際に「兵役を終了するか代わりに金銭を納めないとこちらの国籍を消してやらん」とかやってた国があったような気がします。弁護士会を辞めるときに「将来賦課予定だった負担金」を一括で取られた、とか知人が言ってましたが。
そんな国には住みたくないというのは私も一緒ですが、「とおりすがり」さんのコメントって、「新自由主義原理主義者」によるとこういうシステムになっちゃうはずだよね、新自由主義イヤだよね、という皮肉じゃないんですかな。
3度目ですみません。(w
Baatarismさん、おおやさん、ありがとうございます。
>20歳の段階で自分が所属する自治体を決定し、その後はどこに引っ越そうと一生変更は不可能
そうではなくて、20歳の段階で、「有権者」「有責者」であると宣言し、投票権を得て、その放棄はできないとする。20歳でA市に住んで道路造らせてA市が破綻すれば、30歳でB市に移住しても、A市の負担を負い続ける。B市も破綻すれば、AB両市の負担をかぶるのです。よく考えてみれば、変更不可は言いすぎで、B市にうつるさいに「やっぱり、ぼくサービス受けるだけの人」という宣言はあってもよいかな。もちろん「サービス受けるだけの人」も税金納めます。投票権がないだけの人です。
>皮肉じゃないんですかな
最初はそうですが、書いているうちに、半分は自分でも本気になってきました。
bewaadさんの場をお借りしてすみませんでした。さて残業。
>おおやさん
なるほど。確かに皮肉じゃなければ「新自由主義原理主義者」なんで言葉を自分じゃ使いませんよね。(^^;
追記
>30歳でB市に移住しても、A市の負担を負い続ける。B市も破綻すれば、AB両市の負担をかぶるのです
のは、30歳以降に彼が移住した後に決定に参加した事業が原因でB市が破綻したケースです。
>とおりすがりさん
「サービス受けるだけの人」を認めると、そっちを選ぶ人ばかりになりませんか?よほど税金やサービスに差があれば話は別ですが。
もっともサービスに大きな差があると、事実上の階級制度になりかねませんね。(爆)
>最初はそうですが、書いているうちに、半分は自分でも本気になってきました。
思考実験としては面白そうな話ですよね。「新自由主義原理主義者」のはずが、いつの間にか中国の戸籍制度みたいな話になってしまうんですから。(笑)
とすると、新自由主義原理主義の主張をするなら、bewaad様の本文にもあるとおり、株式会社の社員の有限責任も無限責任に変更せざるを得ないでしょうね。
そもそも株式会社の社員が有限責任になっているのは、そのほうが皆出資をするだろうという法政策的な発想なもとですが、新自由主義にもとづく「自己責任原則」を貫徹した場合、有限責任という発想はでてきません。
もちろん個人の破産免責制度も無し。
これぐらいふっかけたほうが政府や諮問会議の人の目が覚めるんじゃないかとおもってみたり・・・でも個人破産なしは賛成しそうだな・・・
リンク先の記事を読むと竹中大臣は「市場原理主義者に会ったことがない」といってるわけだから、自分たちの改革は市場原理ではないと言いたいんでしょうね。
前にテレビでも不良債権処理で政府介入をしていたから、自分は市場原理主義者ではないと言うような事をいっていたので、小泉改革が市場原理主義だといわれるのは心外なんだろうと思います。
自治体の破綻法制も地方自治をよりよくするための中央政府による介入という位置づけなんじゃないでしょうか?
拙者もみましたわ。竹中−大田ラインのやり方っていつも同じなのね。しかし、空気のような存在だった政府と住民の関係を明示的な契約として再考する点は色々な意味で面白い。コメントみて思ったけど、この契約って民法組合、匿名組合、根っこは民法組合で部分的に投資事業組合みたいに有限責任の何れなのか、法律の素人としては教えを請いたいところ。破綻処理というか清算結了段階でなく、契約段階から考えないとわからんのかなとも。民主制と個人的自由主義のせめぎあいですか。
この懇談会の面子を見る限り宮脇以外?な人物が紛れ込んでるような気がするんですが、何で猪瀬や島田が出てくるのかさっぱりわからん。
しかし猪瀬や何の検証もせずに堀江を持ち上げてた田原を見てて思うんですが「転び左翼」ほど市場原理主義に走る傾向がありますね。
>とおりすがりさん
最初は思考実験だと受け止めていたのですが、やはりだんだんはまられていましたか(笑)。
ところでご指摘のスキーム、普通選挙を保障した憲法に抵触するおそれがあると思いますが、それを捨象しても機能しないのではないかと思います。というのも、まず選挙権を選択した者だけに限定して考えれば、財政支出に対して賛成・反対にかかわらず負担が一律とのことですから、賛成により自らに利益が及ぶ一方反対なら利益が及ばないとの前提をおけばゲームの理論風に言えば賛成が支配戦略になるからです(囚人のジレンマ状態)。他の言い方をすれば、破綻時の費用が外部化されるので、かえって需要が増加すると。
さらに、選挙権を選択した者としなかった者との関係を考えれば、選挙権を選択しなかった者にも納税の義務があるとのことですから、選挙権を選択した者は一般の税率を高め、財政支出につき受益者負担を求めないという組み合わせの政策を指向することにより、負担を選挙権を選択しなかった者に転嫁して利益を享受することが可能です。
したがって、制度導入前よりも財政破綻の可能性を高めるand/or著しい不公平を惹起するわけで、それなら制度を導入しない方がましということになります。
>Apemanさん
転勤の場合、破綻危険地勤務手当が創設されるかもしれませんね(笑)。損金計上できるよう働きかけないと(笑)。
>kogeさん
住民票は移さず(さすがにばれると問題だからでしょう)、当該地に居住するツテの有る人への説得攻勢が主流らしいですよ>某党の選挙戦術。
>Baatarismさん
日本でも盲流現象が起き、破綻負担逃れのため現在居住地に住民票を移さない者が増えて各種の行政サービスは有名無実化し・・・素敵な未来ですねぇ(笑)。
ちなみに選挙権有無の選択については、とおりすがりさんに書いたように選挙権を選択しない者にも負担が実質的に及ぶようなインセンティヴ構造になっていますから、結局みんな選挙権を選ぶのではないでしょうか。
あと麻生大臣ですが、業界裏話としては、彼は会社経営経験があるがゆえ、実務経験がない者(官僚を含む(笑))の言うことなど机上の空論で当てにならないと公言しています。つまりは経営感覚でマクロを語るよくあるパターンに当てはまる人なので、ブレーンをというなら、岩田先生のような学界一筋の人はほぼ望み薄で、せめて岡田先生や安達先生のような方々でないと門前払いではないかと(岡田先生や安達先生にそのような気になっていただけるかは別問題ですが(笑))。
>大屋先生
弁護士会ってそんなあこぎなことしてたんですか・・・。
>ゆーきさん
一応機会の平等は重要だとの建前をとっていますので、破綻免責の廃止はないでしょう。最近でいえば、安倍官房長官が「再チャレンジ社会」とやらを唱えて我々の業務量増加に努めていらっしゃいます(笑)。
>○さん
さすがにそこは竹中大臣は経済学者出身ですから、ご自身が何をしているかはよくご承知なんだと思います。
地方自治をよくしようという志はよいのかもしれませんが、そのための具体案がこんなに穴だらけではねぇ、というのが正直な気持ちです。
>プロボーラーさん
法的性質を思考実験でまじめに考えてみますと、会社類型からインスピレーションを得るなら人的会社(典型的には合名会社で、社員の人的つながりの存在が前提)は無限責任、物的会社(典型的には株式会社で、金が全て(笑))は有限責任という区分があり、つまりは所属コミュニティへの帰属がどれだけバインディングであるかに依存するのでしょう。グラミン銀行のアレのように、結局帰属がバインディングであれば自然体で事実上の無限責任(かつ連帯責任)が達成されますし、離脱が自由であるならそのような連帯性を押付けられる理由もなく有限責任でしかまとまれないと。「民主制と個人的自由主義のせめぎあい」というより「共同体主義と個人的自由主義のせめぎあい」といったところでしょうか。
さらに思考実験を続けるなら、そのような前提たる共同体への帰属を確保するなら、今のような基礎的自治体(市町村)を合併させるのは誤りで、むしろ基礎的自治体の業務を削減してより小さな規模で運営可能なようにし(イメージとしては明治時代初期の市町村数7万〜明治の大合併後の1万ぐらいでしょうか)、その内部での共同体性を強化した上で無限責任を課す(削減した業務は、国なり道州なり都道府県に移管)という形でないと機能しないのでしょう。この場合、協同組合法制などがそれなりに応用可能であるように思います。
>estevanさん
普通の審議会でも、専門家による視野狭窄を防ぎ庶民の感覚を反映させるといったような名目で同様のメンバーを入れています(ただし、消費者団体関係者や新聞の論説委員あたりが多い点で異なりますが)。その名目自体には一理も二理もあると思うのですが、問題は専門家がいないこと。正直、小早川先生には落胆しました。
Baatarismさん、ゆーきさん、bewaadさん ありがとうございます。
ご賢察のとおり、思考実験から少しはまってしまった「とおりすがり」です。
>事実上の階級制度
サービスに差をつけなくても、「有責者」=正確に判断できる賢者とその場の知識で判断してしまう者、という色分け自体が、意識上の階級制度です。「意識上」のという趣旨は以下に書きます。
>新自由主義にもとづく「自己責任原則」を貫徹した場合、有限責任という発想
株主一般に対する有限責任ではありません。一部の人間にはあくまで有限責任です。「有責者」が、不公平だと言って他と違うサービスとか階級差別を要求するようになると、一瞬思いますが、そうしないのが「賢者」たるゆえんです。そこに特権を認めると、資源の最適配分ができなくなってしまいます。彼らは、それで満足するはずです。「資源の最適配分」ゲームのプレイヤーであること自体において。
株式会社でも、最近は、CEOとかなんとか、株主の選任を得ていない取締役ではない可能性だってある者が最高執行責任者であることがありますが。よく調べてませんが、非取締役のCEOの場合、責任はどうなるのでしょう(CEOは取締役から選ぶかもしれず、自分で調べますのでレス不用です。)
>普通選挙を保障した憲法に抵触するおそれがある
たしかに憲法44条は、「選挙人の資格は、法律でこれを定める。ただし、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産または収入によって差別してはならない」ですから、「信条」には「地方団体の債務を未来永劫背負う意気込み」は含まないと解することができれば、この件はセーフではないかと。
>選挙権を選択した者は一般の税率を高め、財政支出につき受益者負担を求めないという組み合わせの政策を指向することにより
そういう政策を志向しないのが「賢者」たるゆえんです。自分個人の便益と社会全体の効率性をはかりにかけると、後者を選ぶのですから。
というか深読み(勝手読み)ですが、住民要望の結果、公共事業とかばらまき福祉で財政破綻し、そのツケを増税とかサービスのカットでまかなうとするケースで、法人市民税とか法人分固定資産税の増税でまかなうのはあんまりですわな(選挙だと、個人住民税すえおき法人増税という公約を掲げる候補が普通はかちますわな。あんまり増税しすぎて企業がにげちゃうリスクはありますが)。
追記
bewaadさん
>今のような基礎的自治体(市町村)を合併させるのは誤りで、むしろ基礎的自治体の業務を削減してより小さな規模で運営可能なようにし(イメージとしては明治時代初期の市町村数7万〜明治の大合併後の1万ぐらいでしょうか)、その内部での共同体性を強化した上で無限責任を課す(削減した業務は、国なり道州なり都道府県に移管)という形でないと機能しないのでしょう
これは、地方団体関係者で2002年秋頃から話題になった「西尾試案」そのものです。無限責任をとるか、大きくなって大きな市の「賢者」にまかせなさい、というのが、そしてみんな後者になるだろうというのは本音ではなかったかと。
リバタリアニズムというのは思考実験としては非常に面白いんですよね。私もアナルコ・キャピタリズムとか大好きなんですが、一般論としては実装を考えると無理が出てきます。情報の取得・処理に関するコストを無視しているとか、人間性に対するかなり強い仮定を置く必要があったりとか。なので、あまり解釈論としての整合性は考えないで「必要なものは必要なときに改正する」と言い放って思考実験を堪能するのがおすすめかなと。
>bewaadさん
なんか会館だかの建設費だったみたいで、「あこぎ」というよりは途中で辞める人の存在をあまり想定してなかったんじゃないかと。知人は国立大学教官になったので職務専念義務の関係から登録抹消を求められたんですが、やはり例外的なパターンですから。
>思考実験
リバタニアリズムを貫徹しようとするとみんな自分のインセンティブに従って動くので、公共性が維持できなくなって制度が破綻してしまい、それを防ごうとすると今度は強権的手法が必要になってしまい統制社会になってしまう、という矛盾に陥ってしまうんでしょうね。
>麻生大臣
なるほど、彼はなんたら審議会の民間委員みたいなものですか。(笑)
確かに彼にマクロ経済のブレーンが必要なのは明らかなんでしょうけど、じゃあ誰がブレーンになってくれるのかというと、専門家や学者をバカにしている態度が災いするので難しいんでしょうね。
となると、竹中、高橋両氏をブレーンにしている安倍陣営が一番マシな選択になるのかなあ。谷垣氏のバックはあまりにも危険すぎますから。w
さすがにこんなテーマだと伸びますねぇ…
さて、さらに思考実験を進めるとして、まず自治体を企業に擬制するならば、その意思決定も株主総会レベルには直接民主制でなければいけませんね。
となると、少なくとも毎年の予算・決算と合併や分割、それから条例のうち住民に与える影響の大きいものに関しては、「有権者」の直接投票が必要でしょう。
実際その負担と無限責任に耐えうる「有権者」は少ないでしょうし、ネット技術も発達してますからそれは可能でしょうが…議会は必要なくなりますね。
古代ローマの「民会」のような感じでしょうか?で、そこで首長や政治任用される助役・収入役その他上級管理職も選ばれる、と。
しかしそこで、有権者登録していてもどの段階で「投票」したとみなすかが問題になりますね。首長の選挙か、各年度の予算案か、それとも1日でも登録していればそうみなされるのか。
たとえば各年度予算案で決めるとすれば、ある自治体が条例で会計年度を半年ずらしておけば、そこに毎年予算案の投票時のみ住民票を移すことで責任を免れ、条例の決議や首長選挙のみ(時期が重なってなければ)投票することも可能でしょう。
一定期間以上連続して住民でなければ有権者登録できないとするならば、短期間で転居を繰り返さざるを得ない人は権利が奪われることになりますし実際にそこで生活しているかどうか調査できるとしても、隣町からの通勤も難しい過疎地・離島と県を越えてでも転居が容易な首都圏・関西圏では不平等になりますしね。
かといって1日でも登録していればその年度あるいは首長在任期間中は「有権者」とするならば、1度も投票しなくても責任を負うことになりこれもまた不公平でしょう。
>むしろ基礎的自治体の業務を削減してより小さな規模で運営可能なようにし(イメージとしては明治時代初期の市町村数7万〜明治の大合併後の1万ぐらいでしょうか)、その内部での共同体性を強化した上で無限責任を課す(削減した業務は、国なり道州なり都道府県に移管)
国ですら財政破綻が叫ばれているのに、都道府県や道州が破綻しないといえるのでしょうか?
無限責任であっても構成員が多い(共同体性が少ない)ほど無責任化しますから、市町村の「有権者」のみが都道府県・道州の「有権者」になれるとしてもむしろ都道府県・道州への負担の押し付けにつながる可能性が高いでしょう。
通貨発行権のある国は別格だとしても、三層制では無理で都道府県・道州レベルに通貨発行権を与えて事実上の二層制にする(あるいは都道府県を廃止し国と市町村の二層制にする)しかないでしょう。
あと、数万の市町村に分割するならば都市圏では高層マンションの1棟ごとに違う村になりますね(笑)東京都だと最低でも2000の市町村ですか、管理が成り立つんですかね?
>住民要望の結果、公共事業とかばらまき福祉で財政破綻し、そのツケを増税とかサービスのカットでまかなうとするケースで、法人市民税とか法人分固定資産税の増税でまかなうのはあんまり
通勤者を多数受け入れる地域中心都市とそこへ人を送り出す衛星都市、さらに流入・流出ともに少ない過疎地で条件が相当違ってくるでしょうね。
企業・法人の多い地域中心都市や過疎地(農家・林家も個人企業です)は住民が逃げるには転職・商売替えが必要になるケースが多いのでそれなりの判断が期待できますが、すぐ逃げられるサラリーマンばかりの衛星都市だと無責任な決定が下される可能性が高いでしょう。
逃げられない小売・サービス業は住民に転嫁するのでマクロ的には影響ないはずですが、実際には隣町や通勤先にフリーライドする可能性のほうが高いでしょうね。
…むしろ昼間人口に投票権与えたほうがいいんじゃないすか?
思考実験が続いてますので、bewaadさんの迷惑もかえりみず。
>古代ローマの「民会」のような感じでしょうか
御意。小さい自治体では無限責任の直接民主主義で、共同性のうすくなった大きな自治体ではいくらネットでもむずかしいでしょうから、有能な官僚を雇って執行権限を委任するタイプになりそうな気がします。地方団体関係者の中では、道州では「知事」は直接選挙ではなく議会で選任しよう(従って憲法上の地方公共団体とはならない)という案まででました。
>有権者登録していてもどの段階で「投票」したとみなすかが問題
有権者登録を一旦したらおりられないとすると基準日は法でいかようにも規定できるでしょうが、むしろ、どの段階の「決定」が財政破綻したのか、という認定の方が重要かと。でも、特定は難しいでしょうね。
さらに言えば、おおやさんのコメントで考えたことですが、弁護士全員の負担ではなく、東京弁護士会館を東京弁護士会の会員で負担するとして、埼玉弁護士会に逃げた人、あるいは、破綻後に東京弁護士会に入会した人のケースが、ちょうどこの問題にあたります。埼玉に逃げた人には転出税をかけるとともに、利用者には決定には参加しなくても一定の負担はさせるわけで、結局、当事者及び後の世代が負担できるコスト以上の箱とかサービスを決めた「責任」が問われるのではないかと。
>すぐ逃げられるサラリーマンばかりの衛星都市だと無責任な決定が下される可能性が高い
だから、有権者登録をして、逃げる人には決定権限を与えないのです。あるいは、逃げても決定責任を追及しつづけるのです。一定の利用料とか租税(直接間接含む)は負担しますから、フリーライドではないでしょう。「私の負担は少なく、私へのサービスは高く」という無理な要求がなくなるわけです。
※自己レスですが、CEOは俗称で、平成14年商法改正で導入された委員会等設置会社でいう代表執行役というようですが、必ずしも取締役とは限らないようですね。
>だから、有権者登録をして、逃げる人には決定権限を与えないのです。あるいは、逃げても決定責任を追及しつづけるのです
いえ、ここでいう「無責任な決定」とは、個人住民税を廃止して全ての税金を法人から取るとかそういうやつです。
で、フリーライドというのも、地元商店に高い消費税・法人住民税がかけられそれが価格に転嫁されているのを、隣町や通勤先の財政が破綻しておらず消費税・法人住民税が低い店で買うということです。いくら納税者番号制といっても同じ店で客ごとに税率が違うというのはさすがに実務上無理ですからね。
実際に週ごとに消費税率が違うアメリカではよくある話みたいですよ。
>とおりすがりさん
ここでの議論ぐらいまじめな議論があの懇談会で行われていて欲しいと願いつつ(笑)。
根本的なところを申し上げてしまうなら、「賢者」を必要とする制度はそれだけで維持不可能だと思います。例のチャーチルの警句もそれを指しているのでしょう。その余の点については、
>憲法問題
無限責任だと「財産又は収入」で引っかかるでしょう。マグロ漁船や風俗に事後的にぶち込めば事前のそれらはいらないとすれば、その条との関係では問題はなくなりますが、奴隷的拘束の禁止の方に引っかかってどのみちアウトかと。
>西尾私案
ええ、あれを念頭においてます。くだらない諮問会議の提言が取り上げられる一方で、まるで振り返ることすらされないのはなんだかなぁ、と。
>大屋先生
>「あこぎ」というよりは途中で辞める人の存在をあまり想定してなかったんじゃないかと。
最近似たようなことを書いた気がしますが、倫理的に問題がないとすると能力的に問題があるということに(笑)。
>Baatarismさん
ただ安倍長官にはNAISつながりで塩崎議員がブレーンに、という可能性があるので油断できませんよ。
>kogeさん
>株主総会と直接民主制
結局株主によるガバナンスなんて幻想だというのが現在の認識で、だからこそ委員会設置会社ですとか大口株主による経営介入ですとか格付け機関ですとか、逆に会社側が代議制に擦り寄った制度改正を重ねてきているのだと思います。
>国ですら財政破綻が叫ばれているのに、都道府県や道州が破綻しないといえるのでしょうか?
私はブロック単位通貨発行・国内変動相場制導入論者ですので問題ないです(笑)。地域間資源配分を財政でやるより金融でやった方が問題は少ないだろうなと。絶対実現しそうにありませんが(笑)。
>東京都だと最低でも2000の市町村ですか、管理が成り立つんですかね?
明治の大合併は小学校校区基準ですから、その単位ならそれほど難しいわけではないかなと考えてます(詰めてはいませんが)。義務教育と同等と言い得るナショナルミニマムを担ってもらい、それ以上の権限は持たないのであれば、草の根自治で十分回るのではないかと。アメリカの地方自治にはそれほど詳しくないのですが、カウンティとかはそんなイメージだったように思います。
しかしまあこれも種を明かせば背理法で、そんな共同体はいまどき人口カバー率で見てどの程度で成り立つのかを考えれば、やはり無限責任は前提を欠くのだろうな、というのが真意だったりします。
新自由主義原理主義ならこうなるだろうという、あくまで思考実験です。当方も、とおりすがりの分際ですが、勉強になりました。半分本気にならないと、ディベートだってうまくいきませんし。
>「賢者」を必要とする制度はそれだけで維持不可能
というのは、私もそう思っており、有能な公務員の方すらそう思われていることがこのブログでも端々から感じておることからファンになっています。
kogeさま
なるほど。そういうことなら分かりました。破綻していないほうにフリーライドして、そこで消費が増えますます順調、破綻団体は重税で消費が冷え込みますます破綻となりますね。で、ご承知のように、支出税を累進税率でかける、なんて発想もでてきています。
さいごに、このような議論は、審議会の場ではやらないでしょうが、当該審議会のブレーン衆は検討されているようです。転出税も、ブレーンのひとりであるK大の先生がさわりを言い出してますし。
連投すみません。
>マグロ漁船や風俗に事後的にぶち込めば
は、たとえとしてよく使われる表現ではあっても、やはり文字にするのは少し不適当ではないかと。
>とおりすがりさん
いろいろと興味深い応酬を拝見でき、また面白い考察ができました。果敢な問題提起ありがとうございました。
あと例の表現ですが、突き詰めればそういうことだということをぎらつかせるため意図的に使いました。