toppage memoranda
(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2006-05-02
■ [economy][book]スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー「ヤバい経済学」
ありふれた日常のありふれない側面への着眼に鮮やかな論理展開の末、目から鱗の結論という本‐つまりは本書‐の紹介は難しいです。ネタバレしては興ざめですし。というわけでちょっとひねってみます。
昨今の政治課題である公務員の人件費削減ですが、必要な頭数を揃えつつ劇的に単価を下げる手法があります。ごく限られた幹部職員にはプロ野球選手をしのぐ現役としての収入と戦前の公務員をしのぐ恩給を与える一方、末端の職員には生活保護水準程度の収入しか与えないようにします。もちろん残業はすべてサービス残業で、諸手当も全廃です。
なんでそのような形でうまくいくのか、答えは本書の130ページから133ページあたりをご覧下さい。
ただ世の中うまい話ばかりではなく、うまくいくといっても引き換えに我慢しなければならない問題が生じるのは避けられません。それが何かは本書の135ページや168ページに手がかりがあります。
こんなことを書けば、少なくとも該当ページは立ち読みしてみようと思いませんか? もしその気になられたのなら、是非立ち読みしてみてください。きっと全部読みたくなるでしょう。一度は細かいことを気にせず読み通し、再度巻末付注を参照しながら、なんて読み方がお薦めです。
ちなみに邦題はあまり評判がよくありませんが、うまい意訳はあるのでしょうけれど、直訳なら語呂合わせ(Freakonomics=Freak+Economics)も踏まえ、「畸形済学」ないし「畸経済学」ではないかとwebmasterは思ったりします。いかがなものでしょうか?
実は原題もちょっと評判悪く、The Economist の書評などでは、freak とかいって目先の変わったことをやっているような印象を与えているのは残念とかなんとか、そんな言われ方をしていたので、邦訳でも評判悪いのは正しい翻訳の証拠ではないかとも思います。
何より著者はfreakから程遠い人なんですよね。
>山形さん
ご教示ありがとうございます。そのような視点は持ち合わせていませんでした。やっぱり翻訳は難しいんですねぇ・・・。
>稲葉先生
著者の人となりを知る立場にもありませんが、著者近影を見たときに違和感があったのは事実です(笑)。
いまどきの「やばい学生」にとってはかえって違和感のないタイトルかもしれません。
http://nihon.at.webry.info/200507/article_12.html
でもこの種の「やばい」は80年代前半から中高校生(女子)
が使用していた記憶あり。
Webmaster様, 皆様、コメントありがとうございます。2chの「ハァ? なんだそりゃ、こりゃ売れねぇ」というレスを見て「っつーかおまーら、すでにタイトルについてバウワウほえてるじゃねえか、それがこっちの思う壺じゃ」と思い、ケケケなどとほくそ笑んでいたら思っていたら、ここで山形師匠に頭の中完全に読まれて叩きのめされております。最初に思いついたのはもちろん「ピチガイ経済学」だったのですが、「不動産屋」とか「老齢」をそれぞれ「不動産業者」「高齢」に直す出版業界では「ピチガイ」はもちろん「畸形」も厳しかったのではないかと推定いたします。
bewaadさんには申し訳ないですが、「畸経済学」はたとえ出版社が認めても売れないですよ・・・
専門書じゃないので、むしろ良いタイトルだと思いますが。具体的には、「わかりやすい」ことをことさらに強調する表現を入れず、経済学の「学」を残し、かつ一般の人も敬遠しない語感ですよね。
>梶ピエールさん
かつても同様の転用があったことを考えれば(例:源頼朝の兄の悪源太義平)、実はわが国の伝統に沿っているのかもしれません。
>韓流好きなリフレ派さん
親戚のどなたかによく「ヤバイ」とおっしゃる方がいらっしゃったとか(笑)?
昨今では「宇宙ヤバイ」のテンプレの用法がそういう意味ですね。
>望月衛さん
訳者ご本人にお越しいただき恐縮です。その意味では題名について触れてしまったこのエントリも思う壺にはまってしまったようです。
しかし出版社の禁止用語コードにしても、人種には甘いのだなぁと黒人に関する訳語をみて思いました。多分原語はa niggarではないかと察しますが、それを許容するアメリカは出版社がPCを経てもなお気骨がある一方、日本は関心が薄い分野には単に目配りがないだけなのかな、と。
とまれ、話題の本を早速訳していただきありがとうございました。引き続きのご活躍を祈念いたしております。
>アルベルトさん
売れる売れないの判断ができないのは所詮官僚ですから(笑)。望月さんのお言葉に甘えれば、うまく釣った訳者の勝ちということだったのではないでしょうか。
ども、たびたびおじゃまいたします。そうなんですよ。チビXXサXボはグレーでも「ニガー」はOKとか。これは、もともとあった言葉をカタカナで表記するのはOKということのようです。あと、Fワードがたびたび出てきますが、あれ、当初は訳者の出身地では日常言語であり、小林信彦「唐獅子株式会社」にもちゃんとでてくるひらがな三文字だったのですがそれは強硬にダメだといわれたのです。という話はともかく、Webmaster様の「訳注の多い本はウザいんじゃ」というお言葉がずっと気にかかっていたのですが、結局あーいう形に。主に付注であるということでご容赦いただければと思います。
>望月衛さん
再度のお越しありがとうございます。禁止用語の闇は深いですねぇ・・・って、限りなく白に近い灰色ですら使わない業界に属している身が申し上げる話ではありませんが(笑)。
訳注ですが、そこに訳者独自の主張をもぐりこませるような輩への批判でございまして、読者の便宜を図るものを妨げようとの意図では決してありません。本書についてはもちろん前者のようなものはなく、個人的には全く抵抗はありませんでした。ユナ・ボマーの本名のところなど、巻末を参照するのが面倒だな、訳注つけておいてくれれば、などと思ってしまったぐらいですから(笑。知っていたはずだったのですが・・・)。