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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2006-08-10

[economy]続・非正規雇用(偽装請負)問題について:「ワーキングプア」と総需要

昨日は日本的雇用慣行について否定的な意見をご紹介いたしましたが、逆のものもあります。ちょっと前にはてなブックマークで話題になっていたNHKスペシャル「ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない」(7/23放送)のまとめページにおいても、偽装請負問題が取り上げられていますが、その好例でしょう。

(略)現在の「マーケットで活躍している人々、強い人々、お金持ちの人々」の富の源泉は、たとえば非正規雇用の大規模な活用によって所得を移転している、早い話収奪していることによって成立しているということなのだ。

従来、正社員や終身雇用として雇用に対する責任を果たしていた大企業はそれを切り離し、その分を利益としてためこんでいる。右の逆相関グラフをみれば、まさにこの番組のナレーションがのべた「10年前」あたりからこの逆相関が始まっているのがわかる。大企業は従業員とともに栄えるのではなく、従業員の所得を食いものにして生きているのだ。

しかし、現実には、おそらくその人の責任だと見てしまうような「手落ち」がいくらかでも含まれているケースが大半だろう。どこかに「自己責任」の瑕疵を見いだそうとすれば、見出せるものである。

しかし、だれもが多少の失点がありながら、社会がそれをカヴァーする。「自己責任」だと責めらている「負け組」の人々の少なくない部分は、社会の構造や流れが違っていればそれは救われたはずのものではないか。

さっき述べたように、ぼくは高度成長期の若者と今の若者が責任感においてそう違うとは思えない。むしろ、安定したレールをもたない分だけ、たとえば大学では資格取得などに目の色を変えている学生は今の時代の方がはるかに多い。

(略)

非正規雇用の増大と終身雇用の解体は、若者を育てる社会装置の解体でもある(むろん、その装置は単純に自立した市民を育成するのではなく、利潤追及体に奉仕する人間への変化を伴っていたのであり、手放しで賞賛できるものではなかったのだが)。

それなのに、大資本はそのことをすっかり忘却して、いまの若いやつらはダメになったから「人間力」をつけさせるなどという傲慢な言い分でのとりくみも行われたりするのである。

NHKスペシャル「ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない」(7/23放送)のまとめページ

人間力を誉めそやし推進しようとする動きへの批判においては遅れをとるwebmasterではありませんが、しかしこれでは日本的雇用慣行を「すっかり忘却し」た「大資本」の「自己責任」「収奪」を責めているだけで、その「少なくない部分は、社会の構造や流れが違っていれば」責められるまでもなく勝手に企業が取り組む話だ、ということは昨日述べたとおりです。「負け組」へのいわれなき批判に反論しようとして、同じ穴の狢になってしまってはいただけないでしょう。

この番組では偽装請負を含む非正規雇用問題のほか、生活を賄うに足りない最低賃金といった問題も取り上げられているようですが、番組にせよそれを受けての議論にせよ、企業の行動の是正や職業訓練といったミクロ政策対応、それに所得再分配政策に触れられるのみで、そもそも総需要が足りないのでは、といった話は(はてなブックマークでのコメントを含め)存在しません。それらの政策が有効である局面はあるでしょうけれど、それだけで事足りる話ではないでしょう。

構造改革原理主義にせよ、それに対するこのような反論にせよ、もはや日本は高い経済成長を望むべくもない、という認識は得てして共有しているのが不思議なところです。経済成長という対処は、双方から相手にされなかったりするのが実態でしょう。というより、同じ問題意識に対して違う対処を考える者同士、ということなのかな?

[comic]「パーフェクトだどろっぷ」に続くものとの想定でしょうけれど・・・

下らないエントリをわざわざ引用してくださり感謝の極み!!(突如としてヘルシングを思い出したので)

めんどうくさい愚痴日記(8/7付)

どっちかと言うと「Welcome to this crazy time♪♪このイカレた時代へ♪♪ようこそ/君は確実に恐るべき天才だよ大博士(グランドプロフェッツオル)」でしょう。やっぱり"crazy time"を過ごされたのですから(時制がずれるのが残念です)。

#アーカードより少佐がいい、というのが本音だったりして(笑)。

ただまあどちらかと言うと、「用が済んだらちゃっちゃとおッ死ね英国野郎(ライミー)!」って言ってほしかったなぁ(笑。8巻でのリップ・ヴァーン・ウィンクル再登場を祝して)。もちろんwebmasterはイギリス人じゃないのですけれども。

[politics]公約を守って靖国参拝というなら、私人の立場ではないんじゃない?(T/O)

本日のツッコミ(全43件) [ツッコミを入れる]
e-takeuchi (2006-08-10 07:52)

>公約を守って靖国参拝というなら、私人の立場ではないんじゃない?

その通りでございます。彼は矛盾の人ですから。

Baatarism (2006-08-10 09:42)

>公約を守って靖国参拝というなら、私人の立場ではないんじゃない?

というか、そもそもこういうことを公約にしたのが間違いだったんでしょうね。ひょっとしたら参拝そのものよりもこっちの方が問題だったかも。

とおりすがり (2006-08-10 10:17)

私は、ウソつきだ。
張り紙禁止と書いた張り紙。
これらは、論理矛盾ですが、

「総理大臣になったあかつきには、私は、私人として靖国に参拝します」の場合、「公人としては靖国には行きません」という公約だったという解釈も可能なわけで。。

一国民 (2006-08-10 15:11)

偽装請負の問題ですけれど、発注側の企業として払ってる額はそんなに低減できてなさそうな気もします。正社員が減って賃金を変動費化して、生産量変化に対応する体制になってきたのは確かですけれど。
結局、正社員の働き口が減って、小さな人材派遣会社が増えて、実質的に二重派遣、二重請負(たぶん違法)のような形になり、中間の会社がしっかりマージンとるものだから、労働者の低賃金化は、発注者の低リスク化傾向はだけでなくて中間層の厚みが増えたことにも原因がありそうに思います。
仕事が多い時は同業他社も得てしてそうなので労働力コストが高くなり、そうでない時は全く逆になり、経済のグローバル化含めて競争激化によって労働者の季節労働化が進んでいる気がします。

通行人 (2006-08-10 17:37)

正確な積算は知らないが、直接アルバイトを雇用するよりも派遣労働者を雇うほうが時間当たりのコストはかなりかかるという話は聞いたことがある。事前面接が禁止されているからどういうのが来るのかよくわからんし。
とはいえ、そもそも自社の募集だけでは人が集まらないとか、社会保険など労務管理の問題とか、繁忙期の細切れの仕事に対処するとかいろいろあるらしい。詳しいことはわからんが。

すなふきん (2006-08-10 18:52)

たとえば派遣先会社は派遣元会社に30万払ってて、派遣社員がピンはね分除いた20万貰うとすると、派遣先会社は30万円分の仕事を要求するのに、派遣社員側は20万円分のインセンティブしか湧かないというギャップが起こります。これ、じつは実体験に基づくので主観や偏見が入ってるかもしれないですが、これだとはじめから直接雇ったほうがギャップが少なくなって効率的かと思ったりするんですが。保険とかいろいろあると思いますが、多分辞めさせやすいので派遣が利用されてるんだと思います。あと採用コストの問題もあるんでしょうかね。

鍋象 (2006-08-10 18:55)

人材派遣は自社直接雇用より2〜5割高い時間給となります。

自社で募集かけてもなかなか人が集まりません。学生さんもフリーターも、みんな人材派遣会社に登録しちゃってるからです。派遣会社に人材をガメられてしまっていて、通常のルートでのパート採用はだんだんと難しくなってきているようです。フリーター側からすると、一箇所が駄目でもすぐ次の職場が見つかる事を期待しているのではないかなぁと思います。

半径50m的な話ではありますが、仕事の仕方がだいぶ変わってきています。労働集約型から設備集約型に変わるにつれて、設備の稼働率が問題になってきます。そうすると1日8時間稼動というのはとてももったいなくなる。3交代まではいかなくても1日20時間交代勤務くらいは起きてくる。また、末端の需給の変動を流通で吸収しているが故に、勢い長時間労働が続いて夜間労働が増えてくる。これらを必要な時に必要な人数だけ集めようと思っても、簡単には集まりません。そういう時に人材派遣だとほぼ確実に集めてきてくれます。

また庫内作業のような単純作業系では人数で派遣してもらうが故に人員生産性がとても悪い。自社雇用が厳しいのでやむを得ず派遣に頼っている状態です。が、一方事務職などの派遣は、顔が見える派遣になります。人材を選別してきているのか、それとも派遣会社が裏で猛烈に指導してくれているのかわかりませんが比較的安定して良く働くようです。というわけで、内勤系の派遣採用はかなりお得、作業員系はやむを得ずという印象です。

鍋象 (2006-08-10 19:06)

さらに半径50mの余談です。

トラックの運転手みたいなタイプの場合、直接雇用すると手に焼きますが、運送会社から請負契約でトラック付きで送り込まれてくると、何故かまともに働いてくれるようになります。身内のボスには反発するのに、お客さんとなると他人行儀になるような。

あと内勤の事務職の派遣の場合、「子供が中学生にあがって時間ができたのでもう一度働きたい」というタイプの女性を優先的に採用します。やっぱり女性は子供を作ると変わるのか、文句も言わず責任感をもって良く働いてくれます。正社員にしたくなるのですが、そこはやはり家庭の主婦という事で、仕事に束縛され責任を負担する事まではNGとなり、パート雇用が続くケースが多々あります。ちょっとセクハラ発言っぽいのですが、現実はこうなっているという事で。

鍋象 (2006-08-10 19:13)

最後に1つ。上場企業の場合、派遣化が進んでいる原因の一つとして、退職給与引当金を計上するように会計制度が変わった事が大きいと思います。結構馬鹿にならない金額ですから。

減損会計ってのも導入されましたので、多分これからは土地購入は流行らなくなって、自社の資産から切り離して借地化する会社が増えるのかなと予想しています。

この手の会計制度変更って、ダイレクトに企業活動を歪曲しちゃうんですよね。

t (2006-08-11 02:46)

【アメリカ】ポール・クルーグマンが語る「愚か者の大行進」 [7/17]
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1153726754/

bewaad (2006-08-11 08:19)

>e-takeuchiさん
本件については、矛盾の人なんていう難解な存在ではなく、単なる考え不足だったような気もします(笑)。

bewaad (2006-08-11 08:22)

>Baatarismさん
なかなか一議員では公的・私的参拝の法的論点には考えが至らないのだと思います。私的行為だから問題ない、なんてことをいう評論家は多いですが、裁判所での認定をまじめに読んでいる人は少ないですし。こういう問題だと法制局に確認もしづらいでしょうし。

bewaad (2006-08-11 08:24)

>とおりすがりさん
お示しの論理矛盾は自己言及命題のものですが、本件はそういう性質のものではないように思います。いかがでしょう?

bewaad (2006-08-11 08:28)

>一国民さん、通行人さん、すなふきんさん
企業側からすれば、コストの絶対水準以上に変動化=売り上げ変動へのヘッジがどれだけ効いているかが重要なのではないでしょうか。派遣会社等の取り分が増えたとしても、その分だけ「かんばん方式」的に「在庫」=固定分が減らせるなら、それは必要なヘッジコストということではないかと。

bewaad (2006-08-11 08:35)

>鍋象さん
派遣の実態についての情報提供ありがとうございます。

会計については、おっしゃることもわからないではありませんが、
○退職給付は現に将来の支払いがあるわけですし、
○減損は益出しを認めることの裏返しのようなものですから、
基本的には妥当なものだと思います。

bewaad (2006-08-11 08:36)

>tさん
スレ全部に目を通したわけではありませんが、エントリにどのような関係が・・・?

鍋象 (2006-08-11 15:13)

>>bewaadさん
退職給付については、これまでその年退職する人分の経常支出だけだったものが、引当金として総額をBS上の負債に載せられた点が大きな違いです。資本の部が変わりますので大きな影響があります。「上場企業」と断ったのはそのためで、非上場企業はあんまり関係ありません。中小企業は今でも正社員志向が強いです。

それと、減損会計は評価額下げる一方です。益出しが認められているのは時価会計の方では?土地資産を購入してしまうと事業収支悪化の時にP/Lの損失だけでなくダブルでB/Sの損失が生じるリスクを抱える事になります。

bewaad (2006-08-12 14:38)

>鍋象さん
大きな影響があるのはおっしゃるとおりかと思いますが、そもそも発生主義の趣旨に照らせば、実際に退職者が出たときにようやく費用計上という従前の処理に問題があったということなのではないでしょうか。

減損会計が下げるのみなのはご指摘のとおりですが、(評価替えであれ実際の売買であれ)益出しのみを認めて評価減がないのは片手落ちですから。

鍋象 (2006-08-12 15:25)

>>bewaadさん
従前の処理の問題の有無なんて話をしているつもりはありません。単に、上場企業において非正規雇用が増えたのは、退職給与引当金の影響が大きいという事を指摘しているだけです。帳簿上にどういう影響を与えて、その境目でどういう事が起きたか理解していただければそれでかまいません。これは、そのためのエントリーだと思いましたので。

ところで、もし将来の支出を引当金計上すべきであるとするのなら、社会保障費関連の基金(年金とか失業給付とか)も引当金を計上すべきではないですかね。僕はそんなことはありえないと思いますが。

ちなみに、退職給与引当金も減損会計も、会計の適切性という「べき」論ではなく、むしろ株主に将来のリスク情報を事前に開示する事で株価の不安定な動きを防止するという意図から導入されたものだと理解しています。

bewaad (2006-08-13 03:48)

>鍋象さん
趣旨を完全に誤解していまして、大変失礼しました。その伝では、BIS規制なども同じような効果があったと思います。

ところで社会保障関連については、少なくとも年金は労使折半の保険料を出した段階(=年金給付ではなく基金に積む段階)で費用計上されているのではなかったでしたっけ?

べき論かどうかについては、結局は経営陣とステイクホールダーとの間に存する情報の非対称性をできるだけ埋めるというものですから、ご指摘と私の理解には大差ないものと理解しています。

鍋象 (2006-08-13 08:13)

国の特別会計の方っすw

会計制度を整える目的って、本来は経営者の判断ミスをなくす事だと思っていました。最近のは株主との情報の非対象性といっても、凄く泡沫な株主救済を目的としているように思います。要するに個人投資家保護目的かなと。ちょっと言いすぎかな。

小僧] (2006-08-13 11:12)

鍋象さんが述べられている会計制度の変更は広義の Lucus 批判の一例と理解すればいいのでしょうか。
See http://blog.livedoor.jp/yagena/archives/50031902.html and http://www.google.co.jp/search?q=%22%E9%9D%9E%E6%AD%A3%E8%A6%8F%E9%9B%87%E7%94%A8%22+%22%E9%80%80%E8%81%B7%E7%B5%A6%E4%B8%8E%E5%BC%95%E5%BD%93%E9%87%91%22

鍋象 (2006-08-13 17:10)

サイト拝見しました。今回のは単純なミクロ的政策による歪曲と言えばそれで十分だと思います。それはそうと、Google検索でトップに出るのは、このエントリーなんですが(^^;、他にも同じような事を言っていた人がいてちょっと安心しました。

bewaad (2006-08-14 04:21)

>鍋象さん
国の特別会計については、まず、国庫補助負担分は保険料と同様に一般会計から随時繰り入れていますので、その限りにおいて費用処理のタイミングは民間並びになっています。

で、おそらく特会への積立不足(=引当不足)をご指摘だと思うのですが、
(1) 政策論としては、シニョレッジ財源で一気に引き当ててしまえ、なんてことを高橋洋一さんあたりがおっしゃっていたように思いますが、しかしてべき論としてはありだと思います(し、個人的にそうすることの利点は多いと思います)。
(2) とはいっても現に引当不足ではないかとのお話については、情報の非対称性への対応という観点からは、積立不足額のうち過去債務分は公表されていますので、あとは今後の継続分をきちんと開示せよ、ということではないかと思います。本質的に政府BSの債務超過はゴーイングコンサーン性の否定にはならないので、現に引き当てるかどうかは瑣末な問題で、引当不足がどれだけかを開示することに意義があるように思います。

会計の存在意義は、やはり情報の非対称性ではないかと。経営に直接アクセスできるような大口株主は独力で非対称性への対処が可能なわけで、本質的に泡沫株主=開示資料のみが頼りである人々のために存在するものだと思います。

bewaad (2006-08-14 04:24)

>小僧さん
ルーカス批判よりも、合成の誤謬問題ではないかと思います。合成の誤謬をもたらすとしても、ミクロ政策として適切であれば構ずべき(ただし、十分なマクロの手当てが同時に必要)、というのが私の意見です。鍋象さんは、そのような合成の誤謬が生じた、との事実を指摘しているということで、当該ミクロ政策の適否には踏み込んでいらっしゃらないと理解しています。

鍋象 (2006-08-14 11:41)

>シニョリッジ財源で一気に引き当て

他にも言っている人がいると聞いてちょっと安心(^^;

>経営に直接アクセスできるような大口株主は独力で非対称性への対処が可能なわけで、本質的に泡沫株主=開示資料のみが頼りである人々のために存在するものだと思います。

現在の企業会計基準は上場企業向けなので、そういう点が重視されているのは良くわかります。が、それだけで良いのかなと思うのです。現実の世の中では、上場企業と非上場企業の会計基準が違うダブルスタンダードなんですよ。中小企業だと決算するまで損益がわからないとか、銀行対策で無理やり黒字にしたりして、盲目で経営しているようなところがザラにあります。

もっと脱線しちゃうと、泡沫株主対策ばかりして、個人投資家が増加すると株式市場のボラティリティーが増してあんまりよろしく無いんじゃないかなぁと思ったりする事があります。本屋で個人投資家入門みたいな本読むと、投機万歳でぞっとしますよ。

以上2点は、素朴な問題提起です。エントリーの趣旨とは離れますので、書きっぱなしで失礼させていただきます。

bewaad (2006-08-15 06:54)

>鍋象さん
この手の話が嫌いではないのでお付き合いしちゃいます(笑)。

確かにダブスタではありますが、そもそも個人事業に近いような法人と上場企業をシングルスタンダードにすることが問題ないかと考えれば、ダブスタ=証取法会計と税会計の乖離にも合理性はあるのではないかと思います。公認会計士の数を考えても。

また、個人投資家が仮にirrationalであっても、市場としては問題ないでしょう。むしろ皆がMPTを学んでパッシヴ運用ということになってしまっては、それこそ合成の誤謬で時価の情報伝達機能が失われてしまうわけですし。

鍋象 (2006-08-15 14:28)

じゃあお言葉に甘えて。

・ダブスタの件
ダブスタというか、仕事が2つあるという事です。損益計算書は1つでよいはず。税務申告用に別の計算式を用いて別の法人所得の申告書を作っているだけなわけです。一部作業は共通してますが、言わば二重手間です。で、中小企業は払わなければならない申告所得だけしかやっていないと。上場していない企業は株主対策的な部分まで会計基準を適用する必要は無いですが、基本は一緒ですよね。でも、会計側は株主への情報開示方向へ、税務側は税金取る方向へ勝手におのおの進んでいるわけです。縦割りも良いところだなと。

それと会計士の数は足りなくても税理士の数は足りているわけで、監査法人を退職し独立した会計士はたいてい税理士業務で食ってますし、むしろ法定監査なんぞやるから会計士はリスクばかりで儲からない職業になってるわけですし。

なんかほとんど愚痴だなw

・個人投資家の件
ポートフォリオを考えたからって別に合成の誤謬はおきないと思うんですが、できたら詳しく説明していただけますか?

あと、反動で株式市場=賭博場というイメージが定着しちゃうのかなと。そういう事の外部不経済も大きいと思います。

そもそも論として、企業の設備投資資金の調達を株式市場でやってもらって喜ぶのは、不良債権を自己責任に転嫁してもらえるという点で、預金保険機構の生末を案じている人達くらいではないかなと思ったりして。

bewaad (2006-08-16 07:45)

>鍋象さん
○会計の話
もともとトリプルだったものが、会社法会計を証取法側に寄せたのが問題ということでしょうか? 非上場なら証取法会計を適用しなくても事実上放置だろう(=無視したってかまわない)という認識だったのですが、非上場でも証取法会計でないと、ということだとそもそも私が時代遅れだったということに(笑)。

○個人投資家の話
投資家『全員』がマーケット・ポートフォリオに追随するパッシヴ運用をするなら、そうなった瞬間に売買は行われなくなりますよね?(増資・新規上場があった場合を除く)

鍋象 (2006-08-16 09:05)

3から2という話にすり替えてないですか?会社法会計何それ?って状態では、それは実態に即したにしかならないわけで。いや、M&A話が増えてきているのですが、基準が違う決算書持ってこられると面倒だったりするんです。

ポートフォリオの件、売買は止まらないと思います。増資・新規上場が無くても、業績(配当の予想)は常に変わりますので。

それに、じゃあ売買が止まったからといって、合成の誤謬がおきるのかな。証券会社が商売あがったりになって、その分の総需要が落ちるという事でしょうか?

bewaad (2006-08-17 04:58)

>鍋象さん
私の事実認識が間違っているならご指摘いただきたいのですが、非上場企業のほとんどは証取法会計(=企業会計原則)など事実上無視していて、税会計処理しかしていない、ということではないのでしょうか?

議論の発端は、株主向けに思われる会計基準が増えすぎではということで、でもそれって証取法会計のみですよね、証取法会計がいくら変わったところで非上場には関係ないので、それがいくら「株主向け」になっても影響は限定的では、というお話をさせていただいていたように認識していました。

マーケットポートフォリオに追随するパッシヴ運用では、業績では売買は行われません。手持ちのポートフォリオがマーケット全体と同じ値動きをするように調整するだけですから。

で、売買が行われなくなったら、プライシングが成立しませんよね? マーケットメカニズムの最大の勘所は値段を通じた情報伝達ですから、それが機能しなくなるとは市場の死というか、エントロピーがホワイトノイズに至ってしまったようなもので。

ミクロの経済主体が合理的にマーケット連動ポートフォリオを構成することで、マーケット自体が機能停止してしまえば、それは合成の誤謬ということですよね(マクロ経済云々ということでなく、個々の最適行動が全体にとっての不都合を生じさせる、という意味で)。

鍋象 (2006-08-17 10:50)

>証取法会計(=企業会計原則)など事実上無視していて、税会計処理しかしていない、ということではないのでしょうか?
その通りです。

>議論の発端は、株主向けに思われる会計基準が増えすぎではということで、でもそれって証取法会計のみですよね、証取法会計がいくら変わったところで非上場には関係ないので、それがいくら「株主向け」になっても影響は限定的では、というお話をさせていただいていたように認識していました。

そういう見方はわかりますが、僕は税務申告用の法人所得の計算は信用していません。税法上の会計だと、本来は損金なのに否認されるもの、そして損金で落とせるけど見かけ黒字にできるものが結構あって、生じている損失を見なかった事にする事が可能です。それゆえ、どちらかというと企業会計原則で会計を見るべきなんじゃないかなと考えているわけです。中小企業にも当てはめろなんて人は滅多にいないのですが、僕はそう考えているという事で。というか、多くの中小企業は会計を甘く見すぎだと思う。

ただ、企業会計原則も、泡沫株主対策で証券取引を円滑にする目的では良くても、企業の損益管理としては「すでにやりすぎ」になってきたなぁという愚痴なんです。愚痴という事でご了解ください。


それと、パッシブ運用というのは超過利潤は求めない=インデックスと同じ値動きをする事を「目標」にファンドなどを運用することであって、マーケットの値動きを受けてポートフォリオを変える事ではありませんよ。さらに、値段がつかないというのは、ストップ高・ストップ安のような需給が完全に崩れた状態のことで、需給が一致していればプライシングは成立していますよ。

もし成立しないなら、債権市場みたいなところは存在できなくなっちゃわないかな。

bewaad (2006-08-18 12:46)

>鍋象さん
結局のところ、
○企業会計原則は(将来的には)中小企業にも適用されるべきなので、大企業に特有のニーズをあまり盛り込まない方がよい、という鍋象さん
○企業会計原則は(将来的にも)大企業にしか適用されないし、そうであるべきなので、大企業に特有のニーズを盛り込むべき、という私
という違いだと理解しました。あれこれお手間を取らせて失礼いたしました。

パッシヴ云々は、理想的なマーケット追随ができれば、という話で、実際にはベンチマークとある程度誤差があるポートフォリオで代替されている以上(取引コスト等を勘案)、私の話はあくまで理念的な警句にとどまります。

で、MPTがいかなる投資戦略も(中長期的に)マーケットをオーヴァーパフォームすることはできないと一定の前提を置いて予言する中で、かといって投資家全員が完全にマーケットと同じポートフォリオを構成するなら、マーケット自体の構成比の変動にあわせて手持ちポートフォリオの構成比を調整する以外の売買はなくなるわけで、時価の情報は無意味なものになってしまいます。ある意味、需要曲線・供給曲線の交点で価格が与えられるのではなく、その点のみにすべての(潜在的なものも含めた)需給が集中しているようなもので。

しかしながら、「一定の前提」は満たされていない(つまりは市場が効率的でない)ので、実際に投資家が採用するパッシヴ戦略は、上記のような理念的なそれとは異なり、ご指摘のようなさまざまな要素を勘案して投資戦略は決定されるわけです。ただ、私が述べてきたのは、あくまで理論としてのパラドックスのことだった、ということです。

鍋象 (2006-08-18 20:40)

>bewaadさん

適切なまとめありがとうございます。僕が言っている事も、管理会計や経営者としての会計に対峙する際の考え方がどちらかというと主で、いたずらに企業会計原則を適用すればよいというものでもありません。その辺ごっちゃに話をしていまして、わかり難かったかも知れません。

本来中小企業こそ、小回りが重要で社員全員のやる気が大事なはずです。やろうと思えば日次決算が可能な大きさで、経営判断は毎日できるわけだし、社員全員に役員なみの権限の分与する事も可能です。にもかかわらず、決算は税理士任せで損益計算書は1年に一回しか見ないとか、決算書は隠して社員には見せないとか。他にも色々おかしいと思う事が色々あります。売上が右肩上がりだったときはそれでも何とかなるんでしょうが・・・。

bewaad (2006-08-19 22:32)

>鍋象さん
おっしゃることはよくわかります。昔友人が起業したいといったことを語っていたとき、経理と法務には金をケチりたくなるだろうけれど、それで足元をすくわれて本来やりたいことができなくなってしまうのは本末転倒なので、ケチるな、なんてことをいった思い出もあります。

しかしながら、それが本当にやりたいことではなく、できれば避けて通りたい話だというのも、それはそれでよくわかるのです。金策だって避けて通りたい話でしょうけれど、しかしやらなければ即刻悪影響が出てきてしまうのでやらざるを得ない。でも、経理や法務は手を抜いてもすぐには悪影響が出てこないから、やっぱり手を抜いてしまうのが人の性なんだろうなぁ、と。

鍋象 (2006-08-20 01:13)

>bewaadさん
大変に良くわかります。

ただ、厳しいことを言ってしまえば、「本当にやりたいこと」というのが、「上司が居ない状態で、思う存分好き放題に営業してみたい」に思えて仕方がありません。厳しすぎるかなぁ。

bewaad (2006-08-20 08:36)

>鍋象さん
私はシバキ主義者でないので(笑)。

まじめな話としては、それでも長い目で見れば、あまりに不適切な経営は、非常に高い確率で市場において淘汰されるであろう、ということではないでしょうか。弊サイトのテキストにどこまでそれが表れているか自信はないのですが、私はかなりの程度市場を信頼している楽観主義者なのですよ(笑)。

鍋象 (2006-08-20 21:41)

僕はシバキ主義者ではないと自負していますが・・・。イメージが違うのかな。敢えて「厳しい経済環境を与えて淘汰する」というのがシバキ主義だと思っています。

厳しい経済環境を与えられずとも、逆に好景気で放っておいても売上ジャンジャン増加みたいな経済環境にしなくても、営業には営業の、総務には総務の仕事があるように、経営者には経営者の仕事というのがあるのかなぁと。本来中小企業が果たせる役割というか経済の多様性に対する寄与は大きいと思っているので。

bewaad (2006-08-21 12:37)

>鍋象さん
個人的なイメージを不用意につかってしまったようです。失礼いたしました。

どのような趣旨かと申しますと、現に市場で存続している経営に対して、本来存続にふさわしくないような低レヴェルのものが混入している、というのが私にとってのシバキ主義のイメージです。あえて淘汰を図るかどうかはその次のステップといいますか、「主義」を実現すべく行動すべきかどうかの問題なのかな、と。

経営者には経営者の仕事があるのでしょうけれど、とりあえず企業を存続させることができているなら、その中身に問題なしとできなくても、基本的に肯定的に評価してよいのではないか、というように私は思っています。

鍋象 (2006-08-21 17:33)

イメージの違いわかりました。この件に関しては僕はマクロ屋さんの立場ではありません。「楽しているつもりで、実は機会損失してるんだよ」という、かなりミクロな話をしています。むしろ経営学的な話ですか。まあ、こういう話を相手に面と向かってする訳にもいかず、bewaadさんのところで落書きというか、穴に向かって「王様の耳はロバの耳!」と叫ばせてもらったというところで(^^;

いや、現時点では生きていても、「お前は既に死んでいる」みたいなところが多いのですorz。戦後起業して高度経済成長で潤った多くの会社で、そろそろ代替わりの時代に突入していまして、これからは後継者難で清算ラッシュがくるなぁと思う次第。後継者難というのは婉曲表現で、要するに現在財務体質は悪くはなくとも、お先真っ暗だと後継者候補に判断されてしまったという事で。

bewaad (2006-08-22 08:13)

>鍋象さん
経営というものをleadershipとmanagementに大別するなら、前者はともかく後者は平均してTFP並には向上させていかなければ、気がつけばそれが企業の足を引っ張ることにもなりかねないのでしょう。30年前の生産性しか有さない技術を使い続けている企業は極めてまれだというのに、その程度のmanagementのままでいる企業は少なくありませんよね、ということではないでしょうか。

鍋象 (2006-08-23 23:46)

>bewaadさん
世の中の企業は製造業ばかりじゃ無いんです。むしろ製造業は山勘ですがGDPで2割くらいではないかなと。問屋や小売店なんてのはmanagementが生産性向上の全てといって過言ではありません。

bewaad (2006-08-24 07:51)

>鍋象さん
例えば小売店ならディスプレイの手法などもあるでしょうけれど、確かにmanagementとの境は曖昧ですし、managementの重要性は高いのはおっしゃるとおりですね。

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