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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2006-08-15

[government][computer]電子政府、ただいま失敗中!(前編)

branchさん経由で次の記事を知りました。

  1. 崖っぷち!電子政府〜迷走する4500億円プロジェクトの行方・第1回:鳴り物入りでスタートした電子政府だが…
  2. 崖っぷち!電子政府〜迷走する4500億円プロジェクトの行方・第2回:浮き彫りになったEA導入の功罪

まだまだ連載は続きそうで今後が楽しみですが、これまででも十分失敗の状況、そしてその原因は描かれています。まずは状況。

人事院――。文字通り国家公務員33万人の人事管理を行う、省庁独立の行政機関だ。5月17日、この役所を一団の男たちが訪れた。彼らはいずれも、内閣官房に新設された「電子政府推進管理室」(GPMO=ガバメント・プログラム・マネジメント・オフィス)の室員。訪問の目的は、人事院が40億円近くを投じて開発してきた「人事・給与業務システム」の試作版の検証である。

(略)人事院の担当者はまるで意に介さない。ログインしても、住所登録や通勤手当、人事決済など各プログラムのデータがまったく連動しないのだ。その度に担当者の口からは「おかしいなあ」「今日は調子悪いなあ」と、他人事のような台詞が洩れる。堪りかねたシステムエンジニアのGPMO室員が、持参したノートパソコンを取り出し、試作版のディレクトリを確認し始めた。そして……。

「こりゃ、くずファイルばかりだ」

11メガステップスのプログラムの中には、データを出力しない無意味なファイルが1万個単位で集まったディレクトリがいくつも見つかった。成果物のファイルも無秩序に積み上げられており、それぞれの関連を記録したドキュメントも用意されていない。人事院とベンダーの間に基本設計の明確な合意がなく、しかも、プログラム実装は複数の下請けソフトハウスが場当たり的に行ったことは容易に想像できた。

しかし、人事・給与業務システムは人事院が開発した後、各省庁へ導入する共通システムの第一弾なのだ。このまま導入すれば、大混乱が起こるのは必至。だいたいメンテナンスは可能なのか……。この日、夕刻になって元請け開発会社の担当者がやってきた。杜撰なシステムをなじるGPMO室員に、彼らは本音を洩らした。

「納品するだけで手一杯で、メンテナンスのことまで考えていませんでした。我々もできるかどうか……」

投入された40億円近い税金が無駄ガネと分かった瞬間だった。

崖っぷち!電子政府〜迷走する4500億円プロジェクトの行方・第1回:鳴り物入りでスタートした電子政府だが…(1/2)

なぜこのようなことになったのか、整理された指摘は未登場ですが、十分に察することができる材料となるのが次の部分です。

いや、既に開発されてしまったのが、前述の人事・給与業務システムである。これは府省共通の中核システムの1つ。しかし、開発を担当する人事院には初めからそんな認識はなかった。

「なぜ、我々がやらなければならないんだ」

人事院の開発担当者の間からは、こんな愚痴が聞こえて来る。人事院は長年、沖電気工業のパッケージソフトを使って給与計算をしており、人事・給与業務システムは、これをベースにあくまで自庁向けに開発していたのである。ところが2003年7月、電子政府構築計画が決まり、急きょ府省共通システムの第一弾に仕立てられてしまった。

この時点で、各省庁の給与体系、職位・職級制度をヒアリングすべきだったのだ。それを人事院は怠った。というより、「毎年、人事院勧告(国家公務員の給与)を一方的に押し付けるだけの役所に、そんなインセンティブが働くわけがない」(内閣府幹部)。職員700人の人事院に、国税庁や社会保険庁など2万人を超える大規模官庁にも通用する共通システムをつくらせること自体、無理だったと言える。

崖っぷち!電子政府〜迷走する4500億円プロジェクトの行方・第2回:浮き彫りになったEA導入の功罪(1/2)

この部分を素材にwebmasterなりに分析するなら、失敗の原因として次の2点が挙げられるでしょう。

おそらく早く結果を出せと急かされてのことでしょうけれど、700人程度の規模を想定した人事・給与業務システム開発を、途中から方針変更して万人単位を扱えるようなシステム開発へと切替えたこと
常識的にはスクラッチで開発した方が早いとわかりそうなものですが、スクラッチからの開発見積りを見た誰かお偉いさんが、「これでは遅すぎる。開発中のシステムを機能強化すればもっと早くできるのではないか」とかなんとか言い出して、それなら人事院がちょうどやっていますとかいう追従者が出てきたんじゃないでしょうかねぇ。
そのような始まり方をしたため、開発担当が人事院になったこと
インセンティヴが働かないという内閣府幹部や、職員が700人だという地の文の指摘は的外れでしょう。インセンティヴは付与すればいいだけのことですし、人事院職員がコーディングするわけでもないので職員数は700人も不要でしょう。ヒアリングすらしなかった人事院は問題ではありますが、ヒアリング結果を踏まえ業務フローを総ざらいし、現状を維持してシステム化すべき部分、やり方を改めた上でシステム化すべき部分、システム化せずに人間側で対応すべき部分を仕分け、必要であれば各省庁に業務フローを変更させ、といった権限がない以上、ヒアリングしたところでそれだけで終わりになってしまった可能性が極めて高く、そうであれば現状と大差ない惨状であったことでしょう。例えば体育祭なり文化祭なりの実行委員のなり手がないとき、おとなしくて断れない子に無理やり押し付けたところでうまくいくはずもなく、そのうまくいかなかったことの責任は、押し付けられた子が皆無ではないにせよ、きちんとした実行委員を選任しなかった側にはるかに多くあるわけです。

失敗は取り返せないにせよ、ではこれからどうすればよいのか、webmasterなりの考えを次回に示したいと思います。

[government][misc]夏休み子ども見学デー@kasumigaseki

8/12に自由研究に霞が関レポってどうよ、という話を書いたわけですが、それ用の企画があるじゃないですか! というご紹介です。しかし、webmasterの所属府省庁等も「参加府省庁等」に含まれているわけですが、こんな企画があるとは知りませんでした(笑)。まして一般の方々の知名度についてはいかほどかとは思うわけですが、とまれ、ご興味のある方は是非。

本日のツッコミ(全10件) [ツッコミを入れる]
電算機専門官 (2006-08-15 20:46)

某省出先機関(全国で数千名規模)の給与計算システムの担当しています。
人給システム開発中ということで既存システムの予算は抑制され、ここ数年はシステム対応に苦慮する人事院勧告が続き難儀しております。(人事院内部では制度担当とシステム担当の連携がとれていないとの噂もありますしね。)
夕方になって本省から連絡があって、人給システムは当初の平成19年度末導入から2年ほど遅れるとのこと。システムの更新予算要求してないんですが・・・。

鍋象 (2006-08-15 21:00)

>常識的にはスクラッチで開発した方が早いとわかりそうなものですが

むしろ、人事給与システムはパッケージに制度を合わせて簡素化する方が良いと思います。大体この手のパッケージは評価制度のコンサルがついていますし。大体、仕様を決めるより文句のつけようがない制度変更の理由を考える方が得意な人が多いはずですし(^^;

人事院がどんな事をする組織なのか正直良くわかりませんが、今まで勧告という形で個別的場当たり的に対応して、全体としてのルールブックを作ってこなかったのであれば、その方が根本的かつ致命的な統制上の欠陥だと思います。

文の内容から察するに職位階級制度については仮にヒアリングしてドキュメントを作ったとしても、システム化のしようが無いというか、一つのシステムで組み込める規模を超えちゃってるんじゃないかとも思います。システム化ありきでは駄目で、個々バラバラに管理していたものを業務改善で一元管理に改めるから、やっとシステム化が可能になるという発想が欠けているのかなと思います。

やっぱり、bewaadさんが指摘するように、ローカルな700人向けシステムの概要設計が終わったら、それが突然30万人相手に格上げさせられて、本来は概要設計どころかあるべき人事制度の再構築からやり直さなければいけなかったのを、プログラム作ればなんとかなるだろうでずるずるとという感じなかなぁ。だとしたら小銭をケチって大金をドブに捨ててるような。

ところで、元記事にちょっとケチをつけてみますw

>プログラム実装は複数の下請けソフトハウスが場当たり的に行ったことは容易に想像できた。

それが問題を起こしているのなら、それは業者の内部管理の問題であって、電子政府構想の問題でも、発注元の問題でもないのです。それが根本的原因なら開発凍結して支払い差し止めが普通。単に「場当たり」って言ってみたかっただけなんちゃうかと・・・。

マシナリ (2006-08-15 23:10)

>子ども霞が関見学デー

地方自治体にもそれなりに案内をいただくのですが、例年20日過ぎの平日に日程が設定されているんですよね。

東北以北の小中高の夏休みは20日前後に終わってしまうので、事実上参加できないことになってしまうわけで、国会が延長されたりというような不確定要素を考慮されての日程とは思いますが、せめてお盆前に実施できないものでしょうか。

そういった事情を一番よく分かっているはずの文科省が中心というところで既に絶望的ですが。

bewaad (2006-08-16 08:07)

>電算機専門官さん
経済成長枠のようにシーリング上何らかの手当てがなされるべきなのでしょうけれど、そんな話はついぞ聞こえてこないですねぇ・・・。

bewaad (2006-08-16 08:14)

>鍋象さん
おっしゃるとおりでしょうけれど、それでもなんとかやりようがあるのでは、ということを本日(16日)のエントリで書いてみました。引き続きお目通しいただければ。

記事自体もどこまで信じられるか、というのはエントリでも書いたとおりではありますが、発注側も随時連携をとり、それなりに経過報告を理解できるだけのキャパがあれば、もう少し事前になんとかなったのではという気もするので、業者だけでの問題ではないのかな、と思います。

bewaad (2006-08-16 08:17)

>マシナリさん
推測ですが、お盆前は各省庁がいやがっているのではないかと思います(ご指摘のような国会会期延長リスクや、人事異動・予算要求関係業務での繁忙などを考慮して)。文部科学省側は、ご指摘のような要望はしているのでは、と思うのは考えが甘いかもしれませんが。

鍋象 (2006-08-16 20:17)

>電算機専門官
ご苦労様です。2年延期という事は概要設計からやり直しという事で、事実上白紙撤回という意味でしょうね。強いて言うならベンダー側と話がついて、ベンダー選定からのやり直しはしないというところでしょうか。

>bewaadさん
あれは記事への批判です。「お前、ちゃんと調べずに思い込みで枕詞のごとく『場当たり的に』と書いて役所批判しようとしただろ」という事です。

bewaad (2006-08-17 05:10)

>鍋象さん
ご趣旨は受け止めていたつもりだったのですが、ミスリードな書き方で恐縮です。ちゃんと調べずに書いたとの批判がごもっともである一方、それがまぐれ当たりしている弱みが行政にもあるなぁ、と。

憑かれた大学院生 (2006-08-17 20:38)

夏休み子ども見学デーというものを知ったのはこれのおかげですw
http://yhk3.hp.infoseek.co.jp/news/kengaku.mp3
NHKのニュースで畠山アナが淡々と読むような感じだけではなく、民放でミーハーに取り上げてもらうことも要るかも知れません。難しいでしょうけど

bewaad (2006-08-18 12:48)

>憑かれた大学院生さん
おそらく記者クラブで会見をしていると思うのですが、つまり主要紙・局は記者が取材はしたのでしょうけれど、ニュースヴァリューに乏しいと判断されたのでしょう。ま、その判断は残念ながら妥当といわなければなりますまい(笑)。


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