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2006-10-15

[politics][government]質問レクの人数

既に多くの人が知るところだとは思いますが、国会質疑に先立って質問レクがおこなわれ、質問者がどのような内容の質問をするか、担当者が情報を取りに伺います。これにより、答弁に立つ大臣等は単なる個人的見解ではなく、組織の長として責任ある答弁ができるようになっているわけです。これについて、気になる報道がありました。

経験不足、能力不足の安倍首相をフォローするために、官僚が大量動員されている。

野党議員が国会質問する時、大臣が答弁につまらないように、官僚が前日までに野党議員の部屋を回って質問の内容を確認する“質問取り”は、永田町の慣例。この質問取りに異常な数の官僚が投入されているのだ。

民主党の高橋千秋参院議員が、メルマガでこう暴露している。

〈さて、その質問のために先週質問通告したところ、関係省庁の役人が質問のヒアリングに来ました。どの委員会でも質問通告をすると、その答弁を書くために各役所の人間が質問取りと言って、大臣の答弁が困らないように事前に調べに来るわけですが、通常の場合は多くても10人くらいです〉〈それが昨日は、いっぱい来るので部屋には入らないから、通常、議員総会をしている第5控室という非常に広い部屋を借りて行うということになりました〉〈時間通りその会議室に行くと、なんと100人もの役人が座っているのです。「なにっ、これっ! なんかの大会?」と思わず口走ってしまいましたが、いくらなんでもこれだけの人数が来ることないのに〉〈安倍新総理や他の新大臣の答弁に不安があるため、こんなにたくさんの人が来たそうです〉

自分ひとりの力で答弁できない男を総理にしていいのか。

livedoor ニュース(ゲンダイ)「安倍首相の国会答弁官僚100人動員」

ここでの指摘がおかしいのは、質問レクに人数を割いたところで総理や大臣の助けにはならない、ということです。答弁の際であれば、事前に想定していなかったような脱線があった場合に対応するため、サポートとして多くの頭数を揃える、ということはあり得ます。しかし、どういう質問をするかを聞いて帰ってくるのに、1人でできるなら複数で行くことには何の意味もないのは当然です。

webmasterの経験でも、わざわざ人数を数えたりはしないので目計算ですが、100人程度の規模の質問レクはありました。どういう状況においてそのような規模のレクになるかといえば、さまざまなテーマについての質問をする場合、ということになります。先ほど申し上げたように各担当が接触しますから、テーマが増えればその数に比例して担当者は増えるのは必然です。

#なんでわざわざ担当が行くかといえば、議員の質問内容がよくわからないような場合に、その場で聞くべきことを聞いて趣旨や関心を確認するのは、担当でないと難しいからです。

では、高橋議員はどれだけのテーマを取り上げたのでしょうか。だいたい1時間6分の質疑でしたが、議事録がないので当該委員会のネット中継を聞いたところ、次のような内容でした。

  1. 北朝鮮核実験問題
    (答弁者)総理大臣、外務大臣、官房長官
  2. 「美しい国」
    (答弁者)総理大臣
  3. 障害者自立支援法
    (答弁者)総理大臣、厚生労働大臣
  4. 地方の医師不足
    (答弁者)総理大臣、厚生労働大臣、文部科学大臣
  5. 三位一体改革・市町村合併
    (答弁者)総理大臣、総務大臣
  6. 郵政民営化
    (答弁者)郵政民営化担当大臣(総務大臣)
  7. 少子化の年金制度への影響
    (答弁者)総理大臣
  8. 消費税
    (答弁者)総理大臣

一つのテーマでも複数の担当がいることもありますので(大きなテーマであれば、当然ながら分割した細目に各担当が張り付きます)、1テーマあたりの担当者数を3人と仮定しましょう。総理大臣や官房長官の答弁は担当省庁が書きますので、担当大臣が答えているかどうかにかかわらず担当の数は変わりませんが、それ以外の各大臣の場合はそれぞれの省庁の担当が書くので、この場合は増えます。また、各省庁の国会連絡室(国会関係の窓口部署です)の職員も同席しますので、こちらは2人と仮定します。この前提で概算すると、

  • 3×9(=テーマ数+1(「地方の医師不足」における2省))+2×7(内閣官房(総理・官房長官)、外務、厚労、文科、総務、郵政、財務)=41

となります。随分少ないなぁ・・・空振り(=質問レクの段階では質問するとされていながら、時間の関係などで実際には質問されなかったこと)があったにしても、半分空振りということは滅多にありませんが、そうだとして単純に倍にしても100人には届きません。80人いれば目計算では100人だと認識することもあり得るかもしれないけれど、などと考えながら原文である高橋議員のメイルマガジンを見たところ、さもありなんという表現が。

(略)結局それだけの人数が来て、しゃべったのは数人でしたが、それだけヒマなのかと思ったら、安倍新総理や他の新大臣の答弁に不安があるため、こんなにたくさんの人が来たそうです。構造改革はこちらに必要なんじゃないでしょか・・・?

私の質問はほとんどアドリブだから、事前に来てもあまり意味はないんだけどなぁ・・・

参議院議員 高橋千秋/まるまる通信 #400 2006・10・9(webmaster注:強調はwebmasterによります)

ということは、質問レクに先立って受け取る質問要旨(これを見て誰が質問レクに行くかを決めます)がアバウトで、十分な担当の絞込みができなかったのでしょう。例えば質問要旨に「少子化と年金」としか書かれていなかったとすれば、ひょっとしたらうちに関係あるかも、という可能性を思い浮かべる担当は二桁に上ることでしょう。

逆に言えば、高橋議員がアドリブでなくきちんと事前に質問の内容を固め、それを見れば必要な担当がきちんと絞り込めるような質問要旨を配布するなら、せいぜい先の試算の41人程度、内容によってはもっと少ない人間しか質問レクに行く必要はなかったはずです。レクに行く人数を減らすために構造改革が必要なのは、あなたの質問レクの仕方なのです>高橋議員。

本日のツッコミ(全23件) [ツッコミを入れる]
びん (2006-10-15 11:49)

問題を見つけたときに、その原因を分析して対策を考えることは誰にでも出来るわけではないけれども、ぎゃーと声を上げて騒ぐのは誰にでも出来る。こういう日々の出来事は些末なものかもしれませんが、こういった出来事の積み重ねが大きな職責を担う能力なり責任感があるかどうかを判断する際の材料になります。
全く持ってbewaadさんのおっしゃるとおりだと思う。

でもあれですね、昔は世間からの監視を受けるのは与党側の方が圧倒的に多かったはずですが、野党側も同様の視線に晒されるようになると、単純に攻撃する側(野党側)有利にはなりませんね。その辺、路線転換は進んでいる・進むものなのでしょうか。

winter_mute (2006-10-15 15:21)

民主党には是非一度政権をとっていただきたいですね。できれば短命政権で。そうすればこの辺の問題もかなり片がつくように思えるのですが...無責任ですかね。

bewaad (2006-10-15 16:12)

>びんさん、winter_muteさん
野党は野党でいる間は、当然ながら甘く見てもらえるわけです。与党とは責任に大きな違いがありますから、それはおかしいことでもなんでもないのですが、責任がないからといって調子に乗っていると、何かの間違いで(笑)与党になったときに、かつてとの整合性を保てば現実離れせざるを得ず、かといって整合性を放棄すれば支持者から見放されるという苦しい選択を迫られてしまうわけです。かつての社会党のように。

本当に政権交代の一翼を担う気があるなら、野党でいる間から、世間の甘い目を当然視して堕落することなく、きちんと自律してこそホンモノだ、ということなのでしょう。

通りすがり (2006-10-15 18:57)

ひどい話ですね。

なっしゅ (2006-10-15 19:49)

なるほど。
ゲンダイの「自分ひとりの力で……」云々のまとめもずれてるが、一番ずれてるのは高橋千秋の質問の仕方だと。フィーリングと揚げ足取りで貴重な質問時間使っても、この議員にとっては「仕事」をしたことになるんだからいい気なもんだよな。

luke (2006-10-15 21:48)

ナイーブに過ぎるかもしれませんが、国会での質問内容があらかじめ政府に伝えられていて、官僚があらかじめ答弁を考えておく、と初めて知ったときはえらくショックだった覚えがあります。国会の場では「議論」も「追及」も全く行われてはいないのだと。

どこの国でもそういうものなんでしょうか。イギリスなんかでは違うと聞いた気もするのですが。

通りすがり (2006-10-15 23:34)

イギリスの議会でも質問の内容は当日の審議予定一覧に掲載されているので、事前に通告されていると見なすべきです。一度一覧を見たことがあるんですが、質問自体は議論の広がりを感じられる練られた質問が多いと感じました。

日本の国会の場合、与野党問わず質問が抽象論・印象論、揚げ足取りとか、決め付けが多く、議論出来るレベルじゃないですね。たまに良い質問や答弁があるんですが、相手側の答弁や再質問の程度が低く、話がかみあわない。

中学生の妹が予算委員会の審議を見て「こんなの社会のディスカッション以下だ。あたしたちにお給料したらまともな議論するのに」と言ってました。塾の友達とも、自分たちが国会議員やった方がずっと世のためだよね、という話で盛り上がってたそうです。

talleyrand (2006-10-16 01:58)

>bewaadさま
貴兄の上記コメントに同意です。
それにしても、閣僚経験者も民主党内にいるというのに、このような体たらくはどうしたことでしょうか。

unknown (2006-10-16 02:30)

昔、野党の首領クラスの質問要旨で、

1.内政問題について

2.外交について

って感じなのがありました・・・。レクはまさに講演会でしたね

>lukeさん
(かつての自分も含め)大抵の人は、それを国会の形骸化だ!茶番だ!というような感想を持たれると思いますが、実のある議論をしようとすれば事前に準備をしっかりすることは当たり前なんですよね。誠実とさえ思いますよw(ただ答弁の内容自体は・・・

あと、知り合いの米国○○省の役人は国会答弁なんて書いたこともないとか。長官がほとんど議会に出なくてもいいですから。

bewaad (2006-10-16 03:14)

>通りすがりさん
エントリに明記しなかったポイントとして、「それはよくわからないので、調べてから回答します」という答弁がなかなか許されない、というものがあります。こうしたやりとりが許されるならばアドリブでも何でもお好きなように、とは思いますが、それこそテレビ中継にはまったく値しないものになってしまうでしょう。

bewaad (2006-10-16 03:21)

>なっしゅさん
テレビ中継が入る際には、選挙区住民の視聴を意識してトーンを変えるということは、政治家にとって大切な「仕事」だとは思いますので、こちらとしてもそれのみを取り出して問題視するつもりもありません。しかし、それをいいことにこのような責任転嫁までされると、ついつい大人気ないことも言いたくなってしまいました(笑)。

bewaad (2006-10-16 03:27)

>lukeさん
互角の議論が成立するためには、対等の立場でないと困難です。大臣が所掌する幅広い分野の中で、質問者は一転集中を図ることができますから、せめてどのような分野のどういった問題を取り上げるのか、という情報がないことには、対等の立場にはなり得ないのだと思います(まして、大臣は通常は一日に複数の質問者に対応しなければなりませんし)。

それに対して答弁を官僚が書くことには異論もあると思いますが、少なからぬ大臣が、官僚作成答弁はあくまで参考にとどめ、きちんとご自身の言葉で応対されているのもまた事実です。

他方、棒読みと批判されても仕方がない場合もありますが、細かいデータや法律の個別条文の解釈など、棒読みにならざるを得ない質問もそれなりにあるとは申し上げておきたいです。

なお、官僚が作った答弁を大臣が読んだとして、それに納得できなければいくらでも再質問をして追及するのは、質問者の自由です。事前にレクがあり、それを受けて想定問答を用意するのは、必ずしも「議論」「追及」の不在を意味するものではないと思います。

bewaad (2006-10-16 03:34)

>通りすがりさん(http://bewaad.com/20061015.html#c07
本当に痛い質問で答えに窮する際には、「すれ違い」を意図的にする答弁を書くこともあります。二の矢、三の矢が放たれれば答えに詰まるなぁと思いながら当日を迎えると、ほとんどの場合「すれ違い」で済んでしまいます。小手先のスキルのなせる業ですが、心の片隅にはしっかりしてくれよ、という気分がないわけではありません。

ちなみに妹さんがご覧になったのはテレビ中継でしょうから、なっしゅさんへの回答で書いたように、スタンドプレイに走りやすい傾向があるのは否定できません。そういうことをしていると選挙に落ちるなら誰もやらなくなるはずで・・・。

bewaad (2006-10-16 03:36)

>talleyrandさん
閣僚経験者だけでなく、官僚出身者も相当数いるんですがねぇ。まあ多くの官僚出身議員は、霞が関に敵意を持っているがゆえに霞が関を離れるのでしょうから、故意に官僚がいやがることをやっているのでは、と思うこともしばしば(笑)。

bewaad (2006-10-16 03:38)

>unknownさん
アメリカの官僚は多くが定時退庁だと聞きますが、国会対応の有無の差は大きいでしょうねぇ。日本の役所の方が仕事のやり方において非効率であることを否定する気はありませんが、ちょっとやそっとの効率化なんて、質問レクや主意書でいじわるされたらふっとんでしまいますし(笑)。

メル (2006-10-16 09:17)

国会議員から、「立法措置が必要なのではないのか。大臣の認識を問う。」などと言われると倒れそうになります。
そう思うんだったら、あなたが立法したらどうですか、と大臣には言ってもらいたいです。
質問の内容からして、国会議員は無責任だなと思うことがあります。

竹馬 (2006-10-16 23:06)

質問取りの人数は、相手方の傾向に合わせて、通告されていない内容についても質問取りに行く場合があったと思います。今回の高橋君の場合にも、そうだったのかもしれないですね。

うちの会社では、官房の国会担当者と局窓口の差配で行ってもらうことがありました。実際にこれで、今すぐ会館なんてことを結構防げていました。また、因縁のある課も、行った方が安心することもあるんですよね、これは担当課と要相談ですけどね。

結局通告されてなくても、急に質問取りが出る可能性があると待機でなくても、実質戻ってこれる体制を維持してもらうことになってしまいますから・・・・

自分は、一問の財務クリアで、飲みに行った主査を待つだけで3時間というのがあったので・・・・
どうか改善を御願いします、中の人!
(その他委員会で、23時過ぎに質問通告した某大きな野党を呪っていますけど(苦笑))

t9930211 (2006-10-17 00:01)

高橋先生は全省庁通告をなさっていたと記憶しているのですが。メルマガを見ていると先生も驚いているようなので、要旨見た総務官室が事務的に割り振ったら各省庁を呼ぶことになったという可能性も捨てきれませんが。

bewaad (2006-10-17 04:17)

>メルさん
ぎりぎり、政府が立法措置を講じる気がないことが確認できたら、自分たちでやるぞ、という文脈であれば問題はないのでしょうけれど、そんなことはめったにないでしょうねぇ(笑。でも皆無ではありません、というのもまた事実ですが。勤勉な先生方には本当に頭が下がりますし)。

bewaad (2006-10-17 04:21)

>竹馬さん
確かにこれまでの経緯を踏まえ、というのはありますよね。秘書官が気にしたりしだすと、通告になくても想定対応とかさせられますし。

>自分は、一問の財務クリアで、飲みに行った主査を待つだけで3時間というのがあったので・・・・
>どうか改善を御願いします、中の人!
似たような状況で、飲んでいるから上げられないなんてこっちの知ったことか、あと○分以内に答えがなかったらノーコメとみなす、文句は一切受け付けない、と啖呵を切ったら、カウンターパートが必死に飲んでいる中に突入してOKをとってきてくれたことがありました(笑)。

bewaad (2006-10-17 04:24)

>t9930211さん
通告状況を確認できなかったので(聞けば分かることですが、何で聞くの、とか確認されると正体バレにつながりますし(笑))、そこがどうであっても間違いにならない部分だけを書いたのですが、やはりそうでしたか。もしご想像が当たっているなら、通告先すら予想できないようなアバウトな要旨を出すんじゃない、ということですよね。

roi_danton (2006-10-19 01:30)

> 会社の総務系の方々(誰?)
 株主総会で質問されたらどうなんでしょうか? 総会屋が「株主総会で質問するぞ」というのが立派な脅し文句だったことがある、と効いたこともあるのですが。会社における株主総会に当たる会議において、前夜に(へたをすると当日に)議題が決まって、それに対して一晩で(あるいは当日に)答弁を作成する側の立場(と言っても私は経験僅少ですが)からすれば、社長がその場で全部答えるのは困難でしょうし・・・・
一度どこか大会社の株主総会を全部傍聴して、比較してくれる人いませんかねぇ。(いや、知っている人にとっては常識なんでしょうけど)

bewaad (2006-10-19 04:31)

>roi_dantonさん
所管業界でメディアで注目を浴びるような失態をしでかした会社が出たときに、記者会見用のQ&Aを見たことがありますが、それこそレクができないわけで(笑)、たいそう分厚かったですねぇ。

ただ、記者会見といっても委員会と違って週に何回もあるわけではなく(よほどの大事件を起こせば別でしょうが。まして株主総会なら年一回ですし)、しかも一日中ぶっとおし、ということもないわけですから、申し上げたような部局にぶち当たってしまった場合には、絶対に国会対応の方がきついと自信を持って言えますよね(笑)。


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