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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)
2006-11-17
■ [economy][sports]プロ野球の経済学IV(続々):西武グループの儲けは150億円!
これまで当サイトで重ねてきた松坂選手のポスティングによる応札額に係る会計的考察について、次のような監査意見(笑)をいただきました。
この移籍金の会計上の扱いについて、ろじゃあさんのところやbewaadさんのところでいろいろと議論があったようです。すっかり見逃していました。リアルで参加できなかったのが残念。
で、大方の結論として、松坂選手の資産価値は当然簿外資産でしょうから(契約金は償却しきっているという前提)、60億円まるまる何らかの利益として計上するというところに落ち着いているかと思います。私も同意見です。
「松坂選手の移籍金は臨時報告書提出事由か?」(@ある米国公認会計士(USCPA)の鎌倉からロンドンへの道11/15付)
というわけで、図に乗って(笑)さらに本件を取り上げてみたいと思います。今回の対象は、なぜライオンズは当初言明していたように9日ないし10日に応諾しなかったのか、という点です。
前回では、最高入札額は15億円程度ではないかという報道を前提として、主観的資産評価を下回る額だったため迷わざるを得なかったのではないかという議論をしたわけですが、60億円という結果を見ればこの議論はリアリティがありません。さすがにこれを上回るような主観的評価だったとは、想像し難いとしか言いようがありません。
では他にどのような理由があり得るかを考えてみれば、よくいわれる報道等の広告効果が思い当たります。報道等で取り上げられることによりテレビ等での露出が増えるならば、それは無料でCMを流してもらっているに等しい、という話です。過熱する報道を見て、これは引っ張れば引っ張るほど露出が増えるな、と西武グループのトップが考えれば、できるだけ応諾を後ろ倒ししようとするのは自然なことです。
ではその効果はいかほどのものであったのか、簡単な試算をしてみます。
- 人口加重平均で民放局数は4であると仮定します。
- 民放各局とも月曜日未明に約2.5時間の放送休止時間を設けているので、週当たりのべ放送時間は4局×(24×6+21.5)=662時間ということになります。
- 年52週計算で、年当たりのべ放送時間は34,424時間となります。
- 放送時間に対するCMの割合は約20%とのことですので、3にこれを乗じますと年当たりのべCM放送時間約6,885時間が得られます。
- 年間のテレビ広告費は約2兆円(2005年)とのことですので、これを4で除しますとCM1時間当たりの広告費2.9億円が得られます。
- TBS「ブロードキャスター」の「お父さんのためのワイドショー講座」の11/4放送分(webmaster注:そのうち新しいものに入れ替わってしまうと考えられます)では、松坂選手のポスティング関係の39分49秒(8位)でした。先週・今週にはより多くなることが予想されるところ、11/11放送は見ていないのでまったくのあてずっぽうですが、11/4放送分の1、2位は3時間台ですので、先週・今週はそれと同等だったとの推測のもと、全部ひっくるめてワイドショーでの放送時間は7時間と仮定します。
- この他、ニュースでも取り上げられ、これもあてずっぽうですがワイドショーよりは短くしか取り上げられないだろうとの推測のもと、NHKも含め本件についての放送時間は3時間と仮定します。つまり合計10時間。
- したがって、松坂選手のテレビ露出が西武グループのCMと同等の効果を有すると仮定すれば、その広告価値は29億円相当ということになります。
- 総広告費に占めるテレビ広告費の割合は34.2%(2005年)とのことですので、他媒体についてもテレビにおける広告に相当する効果と同じ効果が生じていたと仮定すれば、全体で本件の広告相当価値は29÷0.342≒85億円。
- もし9日ないし10日に応諾していれば媒体露出は半減していたとすれば、応諾を引き伸ばしたことによる利益は40億円強ということになります。
仮定に仮定を重ねた議論ですので、額の数字そのものには大した意味はないでしょうけれど、少なくとも本件による媒体露出と同じだけの広告枠を金で買うとすれば数十億円の費用を要していたといえるでしょう。応諾をなるべく後ろ倒しすることには、1日当たり数億〜十数億円の広告費を投じてキャンペーンを張るのと同様の効果があったわけで、それを最大限引き出した西武グループ経営陣の判断は、利潤追求を旨とする私企業経営者としてまことにあっぱれではないか、とwebmasterは思ってしまうのです。
一方で、テレビCMならまだしも、テレビに露出するだけで、実際それだけの価値があるのかという問題もあるわけで。こういうのは、むしろ西武グループの株価の推移で判断した方がよいと思います。
テレビ局の営業の口癖は、「利益を税金でもっていかれる位ならCMやりましょう」です。明確に商品や特売のプロモーションとしてCMを打つケースが多いのは理解しています。が、税金対策効果がCM価格を適正水準以上に押し上げている面もあろうかと思います。
>通りすがりさん
一般論としてはおっしゃるとおりかと存じますが、なにせ西武HDは非上場なので、株価が観測できないのが痛いところです。
ご指摘を言い換えるならば、CM効果は非課税だけれども価値評価が困難な資産購入に該当するということで、節税効果分だけ本来のCM効果に上乗せされ(経営陣の主観的)評価額が高どまる、ということなのでしょう。