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  • 03/25/2007 (1:54 am)

    安藤美姫世界フィギュア2007優勝

    Filed under: media, sports ::

    の主要因は、今シーズンは浅田真央にマスメディアの注目が集まり、相対的に安藤美姫にとっては競技に集中しやすい環境が整ったからでは、という気がしてならなかったり。昨シーズンの安藤、今シーズンの浅田と、メディアが足を引っ張った面が少なからずあるのでは。

    03/25/2007 (1:52 am)

    「追い貸しがTFPを上昇させた」仮説

    Filed under: economy, economics ::

    きっかけは、次の書き込みでした。

    689: 名無しさんの冒険  2007/03/21(Wed) 23:54

    追い貸しは不況の主因じゃないという人は追い貸しの悪影響はほぼないと思ってるの? http://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/dp062.pdf この人は外部効果で最大30%生産性が下がったといってるけど、追い貸しの影響は小さいという人は論破してみてよ。 林本ほど難しくないから簡単に出来るよね?

    いちごびびえす・経済/経済学板「トンデモ経済学家元追求委員会vol.8」スレ・レス689

    この三平剛「追い貸しの外部不経済効果について」を読んでいるうち、よく言えばセンスオブワンダー、悪く言えば一発芸的な標記仮説が思い浮かびましたので、書いてみたいと思います。内容についてのきちんとした検討ではないので、そのあたりについては、「日本発展のカギは全要素生産性の成長をいかに加速させるか」RIETI政策シンポジウム「全要素生産性向上の源泉と日本の潜在成長率−国際比較の視点から−」をご覧いただくことをお薦めいたします。

    三平論文における「追い貸しの外部不経済効果」その1‐定性的分析

    三平論文においては、追い貸し(その定義が妥当であるかどうかは、本稿では論じません)が外部不経済効果をもたらすパスとして、以下の3つが掲げられています(pp6,7(紙原稿として振られているページ数です。以下同じ)。

    1. 追い貸し先への貸出しシェアの高止まりによる健全先向け貸出しのクラウディングアウト(ただし、資金需要の低迷等から、健全先は資金供給を受ける代替手段があったと考えられることから、著者はこのパスの影響については消極的に解しています)
    2. 追い貸し先への金利減免等による競争優位獲得・健全先等の活動意欲阻害
    3. 追い貸し先の突然死リスクを警戒した結果としての取引関係の縮小(デット・ディスオーガナイゼイション効果)

    三平論文における「追い貸しの外部不経済効果」その2‐定量的分析

    以上の仮説を前提に、三平論文においては、次のような形で分析が進められています。

    そこで、本論文では、三平(2005)の分析を延長し、追い貸しが外部効果を有していた可能性も考慮して、追い貸しの影響を分析する。具体的には、企業のミクロ・データを用いた回帰分析により、企業の生産性や収益率が、自らが追い貸しを受けているかどうかだけでなく、他の追い貸し企業の存在によっても影響を受けていたかどうかを検証する。追い貸し企業の存在による外部効果を捉える変数としては、当該企業の属する産業における追い貸し企業の割合と、取引先産業における追い貸し企業の割合を用いる。これにより、同一産業内や取引先に追い貸し企業が増加した場合に企業の生産性や収益率に与える影響を検証できる。

    三平剛「追い貸しの外部不経済効果について」, p5

    このような分析により追い貸し企業の割合が高い方が生産性が低い等の結果が導き出せたことから、次のような結論にいたっています。

    本稿では、追い貸しが経済に与えた影響について、追い貸しによって非効率な企業が延命することによる直接効果だけでなく、追い貸しが他の健全企業の生産性等にまで影響を与えるといった外部効果も考慮に入れて分析を行った。その結果、同一産業内や取引先産業内に追い貸し企業が増加すると、企業の生産性や収益率に影響を与えるという外部効果が存在することが明らかとなった。

    こうした外部効果も含めて経済への影響を推定すると、直接効果のみを考慮した場合と比べ、影響は大きかったと考えられる。実際、外部効果も含めて最大限見積もった場合には、追い貸しは経済の生産性(TFP)の水準をおよそ30%低下させていた可能性がある。また、直接効果だけでは追い貸しの影響が確認できなかった生産性上昇率についても、外部効果を考慮すると、最大で1.1〜1.7%程度、生産性上昇率を低下させていた可能性があることが示された。

    これらの結果から、追い貸しは90 年代以降の日本経済を停滞させる大きな要因の1つであったと言えよう。そうした追い貸しも、大手金融機関の相次ぐ破綻や金融再生法の成立を受けて金融機関が不良債権処理に本格的に取り組むようになった98年頃を境に見られなくなり、現状では不良債権処理もようやく出口を迎えつつあることから、日本経済は、バブル崩壊後10 年以上にわたる不良債権の重石からようやく解放されつつあると考えられる。

    三平剛「追い貸しの外部不経済効果について」, p20

    「追い貸し」のない世界のシミュレーション

    では追い貸しがなければ生産性等は下がらなかったのでしょうか。著者はそのようにお考えに見受けられますが、実際に追い貸しがなければどうなるかを考えると、そうは問屋が卸さないような気がwebmasterにはするのです。

    追い貸しがなければ、現実には追い貸しを受けていた企業は「倒産」するのでしょう。ただ、単に「倒産」といっても、そのあり方は様々です。といってもまったくのカオスというわけではなく、次のように大別可能とされています。

    清算型倒産手続
    「倒産」した企業を資産売却等により現金化し、その現金を配当として債権者等に支払って企業そのものはなくしてしまうもの。破産や特別清算など。
    再建型倒産手続
    債権放棄等により損失を債権者等の間で分かち合い、「倒産」した企業の事業内容を見直した上で、一定期間をかけて企業を再建していくもの。会社更生や民事再生など。

    #これらは法律上の定めのある手続ですが、関係者間の合意に基づき進められる(=法律上の根拠を持たない)任意整理については、いずれのパターンもあり得ます。一般的な傾向としては、任意整理の多くは清算型であると言われています。

    さて、先に整理した定性的分析に照らして、追い貸しを受けられずに上記のいずれかの手続による「倒産」にいたった場合の影響を考えてみましょう。クラウディングアウト効果は、著者が書かれているのと同様の理解からwebmasterもほぼ存在しなかったろうと見ていますから、そこは割愛します。

    競争阻害効果

    追い貸し先が「倒産」した場合、それが再建型手続によるものであれば、競争阻害の原因となる追い貸し先が獲得する優位性は、より大きなものとなります。一般に債権者(多くの場合において銀行)が「倒産」を避けて追い貸し(下における金利減免や一部債権放棄)を好むのは、「倒産」の場合にはより貸倒損失が増えるからですが、これは債務者の側から見れば、返済義務がより小さなものになる、ということに他なりません。

    清算型である場合には、追い貸し先はなくなってしまうわけですから、このようなことは起こりづらいとはいえましょう。

    デット・ディスオーガナイゼイション効果
    本効果は存在したとの前提で議論をするならば、追い貸しがある場合に比べてない場合の方が「倒産」の危険を察知しやすいということでない限り、追い貸しがあるからデット・ディスオーガナイゼイション効果が働くということにはなりません。デット・ディスオーガナイゼイションの場合、対金融機関よりも対取引先に主たる着眼点がありますが、取引先からすれば、経営悪化から「倒産」へ直接移行するより、追い貸し段階を経ている方がいわば「黄信号」を見ることができるので、かえって追い貸しがない方が「倒産」の危険を察知しづらく、本効果はむしろ強くなるようにwebmasterには思われるのですが。

    「追い貸しがTFPを上昇させた」仮説の論理

    というわけですので、現に追い貸しを受けていた企業が、仮に追い貸しがなかった場合に再建型倒産手続に移行するものが多いのであるならば、追い貸しの存在によりTFPは上昇していた(あるいはその減少は小さいものにとどまっていた)、ということが言えるでしょう。そこはきちんとしたミクロのデータで検証する必要がありますが、一般的な傾向として、次のようなことが言える蓋然性は高いでしょう。

    すなわち、今般の景気回復過程において追い貸しから「倒産」を経ずして立ち直った企業は、再建型手続により「倒産」に追い込まれずに済んだがゆえに外部不経済をもたらさずに済んだ、と。真に立ち直れないほどの経営悪化に直面した企業は、結局のところは追い貸しをもってしても復活させることはできず、清算型か再建型かは別にするとしても、「倒産」に追い込まれたものと推測するのは、あながち的外れというものでもないでしょう。

    あくまで外部不経済は再建型によるものに限られ、清算型が多かったのであればそのような悪影響はなかった、というのがここまでの前提です。三平論文の分析を受け入れるにせよ、ここまではその分析を延長することにより必然的にたどり着く帰結を論じてきました。これが間違っているとするには、三平論文の妥当性を否定するのが唯一のやり方となるはずです。

    では、清算型においては本当に悪影響は生じないのでしょうか? 一般に企業の継続価値に比べて清算価値は低くなりますが、その理由のひとつとして、これはその企業が存在してこそ価値が出てくる組織内のノウハウ等の存在が挙げられます。企業が存続すれば何がしかの価値をもたらすものであっても、清算してしまえば、それらは雲散霧消してしまわざるを得ません。この存在をも考慮に入れるのならば、

    • 追い貸しがなければ清算型手続で「倒産」していた企業数×換価不可能な企業特有の価値>追い貸しにより清算型手続による「倒産」の時期が遅れた企業数×当該遅れた期間の平均値×単位期間あたりの追い貸しによる延命の外部不経済効果

    という関係が成立するのであれば、やはり「追い貸しがTFPを上昇させた」ということが言えるはずでしょう。

    因果は巡る?

    三平論文の内容への理屈に基づく反論は以上ですが、そもそもの前提がおかしいのでは、という反射的な違和感が別にあります。三平論文は回帰分析によっていますが、回帰分析は因果関係を調べる手法のひとつとはいえ、必ず因果関係が成立することを保証するものではありません。

    三平論文が示しているのは、乱暴にまとめるのならば、追い貸し企業が多くなれば、その産業は生産性が相対的に低い傾向にある、ということに過ぎません。そこで存在し得る因果関係は、追い貸し企業が多くなることには生産性等を引き下げる効果がある、という三平論文が採ったものしかないのでしょうか?

    webmasterには、俗に言う構造不況業種としてある産業の生産性等が下がれば、当該産業の企業は他産業のそれに比べより多く経営悪化に陥り、その結果として追い貸しを受けざるを得なくなっている企業も多い、という別の因果関係も、それに勝るとも劣らぬ説得力を持つように思えます。いずれが正しいかを検証する能力はwebmasterにはありませんが、少なくとも三平論文の分析内容が正しかったとしても、追い貸しがマクロ経済に悪影響を与えたとの観察にそれを直ちに接続するのは、少々軽率ではないかという気がするのです。

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