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  • 04/08/2007 (11:19 pm)

    not親子関係but嫡出・非嫡出関係(続・not民法第772条問題but戸籍法問題)

    Filed under: law ::

    昨日のエントリには多くのコメントをいただき、また、次のエントリでも論じていただきました。

    それらを見て思ったのですが、法務省が守ろうとしているのは、親子関係をどう認めるかではなく、嫡出・非嫡出との間の差異ではないのでしょうか。よくよく考えてみれば、民法第772条の見出しは「嫡出の推定」であるのですから、昨日の段階で気がつくべきだったのですけれども。思いついたきっかけは、pas-a-pasさんの次の記述でした。

    長勢大臣の発言から透けて見える法務省側の論理は、婚姻中に懐妊した子はその夫婦の子である、という建前は維持すべきであり、戸籍実務の現場でそれをひっくり返すべきでない、それをひっくり返したいなら裁判所に行ってくれ、離婚後に懐妊したとの医師の診断が出た場合にはこの建前に抵触しないから、戸籍窓口でも反証を認めましょう、ということなのだと思われる。条文に則していえば、772条2項の推定は戸籍窓口限りで反証を認めるが、772条1項の推定に関しては民法の大原則に関わるところだから反証したければ裁判所に行ってください、ということになろう。

    「民法772条問題なるもの」(@Cahier de pas-a-pas4/7付)

    ここでの「婚姻中に懐妊した子はその夫婦の子である、という建前は維持すべき」との記述について、一般論としてはそうであることを認めたとしても、少なくとも生物学的な意味での父親が夫でないことが明らかである事例について、生物学的な関係に優先してまでそうした方向を守るのはおかしな話です。生物学的な親子関係がまずあり、それに法的な意味を付加するのがあるべき順序なのですから。違う言い方をすれば、いくら建前がそうであっても、事実が違うのであれば仕方がないじゃないですか、ということです。

    しかしながら、そこで頭に浮かんだのが嫡出の話です。まず言葉から議論を始めれば、法律上、嫡出の定義は置かれていないものの、婚姻関係にある男女の間の子どもを嫡出子として扱うものと解されています。そうでなければ非嫡出子(法律上は「嫡出でない子」)ということになるわけですが、これにより親子関係は、嫡出と非嫡出に分かたれることとなるわけです。

    「婚姻関係にある」という条件でおわかりいただけるかと存じますが、実の親子であっても結婚した男女の間に生まれたのでなければ嫡出にはなりません。嫡出かどうかが争いになる場合において、実の親子であるかどうかは意味がなく、両親が結婚しているかどうかが決定要因になるのです。

    第772条の第1項と第2項を「嫡出推定」という見出しにこだわってそれらの「推定」を考えると、次のような性質の違いがあると整理可能でしょう。

    第1項
    結婚関係にあるのだから、当然にその子どもは嫡出子であり、ただ生物学的な父が異なることがあり得るので、その場合には非嫡出子とする。
    第2項(この問題の文脈上、離婚後300日後の部分に限定)
    すでに結婚関係は終了しているのだから、その子どもは非嫡出子であるが、結婚中に妊娠した場合には妊娠時点では嫡出関係にあるといえるので、離婚後であっても嫡出関係を認める。

    つまり、第1項は一般の嫡出に対して例外としての非嫡出を認めるというものであるのに対し、第2項は一般の非嫡出に対して例外としての嫡出を認めるものであるということです。法務省の今般の通達における第1項と第2項の扱いの差には、この嫡出・非嫡出の整理が横たわっているということではないかとwebmasterは思うのです。

    #にしても、生物学的な親子関係が先にあっての嫡出・非嫡出の違いなわけですから、結婚中の妊娠(により生まれた子ども)は嫡出であるという法律論が生物学的な親子関係よりも事実上優先されるがごとき取り扱いは、webmasterにとっては本末転倒であるように思えてなりません。嫡出否認等が先立たないと生物学的な父からの認知が認められないといった問題とも相通じるものでしょう。

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