三國志好きなalpha bloggers
切込隊長さんが
を表したところ、
- 「三国志演義で好きな武将?」(@finalventの日記4/10付)
- 「書評 - 蒼天航路」(@404 Blog Not Found4/10付)
と大物が続々参戦。リンクを張ったDan Kogaiさんは言うに及ばず、finalventさんも切込隊長さんに触発されたと思しきところ、いずれもその内容とは無関係なことを書かれているのが興味深いです。finalventさんはそもそも題材を演義にシフトさせていたり、Dan Kogaiさんはいきなりの曹操好きのカムアウトだったりするわけですが、この手の話題がお好きな人ならば、やはり次を読まないわけにはいかないでしょう。
これを読んだご両人の感想を、ちょっと聞いてみたい気分だったり。
いちおう読んだがディテールは忘れたか。
でも、曹操かな。
「三国志演義で好きな武将?」(@finalventの日記4/10付)
はっきり言って、三国志の世界では曹操の他は雑魚。太陽系に例えたら、曹操が太陽で孫家が木星。蜀はこないだ惑星から外された冥王星と言いたい所だが、三国志演義では地球みたいな扱いになっている。本シリーズでも、だいたいこんな序列で三国志世界を描いている。
(略)
これはある意味、曹操とは対極にある。彼は皇帝の座に拘らなかった。中華統一にすら拘らなかった。拘っていたら、蜀を鶏肋と捨てることもなかっただろう。もしマキャベリが当時いたら、君主論はチェザーレ・ボルジアではなく彼に捧げられていただろう。
この破格の人を日本において再発見したのが、(狭義の)文学ではなく漫画だったところがまた素晴らしいではないか。
(略)
私は三国志の日本における過剰な人気がキモくて敵わんのだが、Stay Hungry, Stay Foolishな生き方を貫いたこの人にだけは共感することが出来る。
「書評 - 蒼天航路」(@404 Blog Not Found4/10付)
「演義」が史書に被せたところの、蜀漢正当論という朱子学的な民族主義のフィルターを通さずに、「三國志」を読めば必然的に曹操が主人公になるのではないか、とも考えられるものの、僕はどうも、戦後日本人が曹操を「武人でありながら一流の詩人だ」と持ち上げる感情の裏には、屈折したアメリカ崇拝の感情が隠されているような気がしてならない。曹操という人は当時の中国人としては異常なほど現実主義的でプラグマティズム思想の先駆者的な部分があり、自分の墓に金をかけたり宝物を入れるな、なんて当時の王侯としては非常識にも程がある遺言を残したりしている。さんざん人を殺しておきながら、戦争の最中に「戦さとは虚しいものよのう」と詩を吟じてホロリときたりするあたりも、普通に考えれば異常人格としかいいようがないのだが、この分裂ぶりは、日本と戦争をしながらハリウッドで大作映画をバンバン作っていたアメリカという国に、何やら通底するものがあるのではないか。
(略)
あと、曹操だけど、「演義」で不当に貶められているのはかわいそうだし、たいした大人物だとは思うが、今、曹操を持ち上げている人達の持ち上げ方も何やら滑稽というか、こちらもひいきのフィルターをかけまくっていて、とても史実通りに曹操を描いているとは思えない! だいたい「蒼天航路」の曹操は外見がカッコ良すぎる。曹操はチビでだらしがない酔っぱらいで威厳がなくて、つまり外見と礼節で人間を評価する当時の中国の価値観から言えばダメ人間にしか見えなかったのだ。「蒼天航路」や横山版「三國志」のようなニヒルな二枚目の訳がないのだ。結局、これらの「英雄曹操」像は、アメリカから輸入した「かっこいい男」のイメージを曹操に投影しているだけで、実像とは全くかけ離れている。武勇とか威厳とかのかけらもない人だったのだ。その上、宦官の孫という出自のコンプレックスもあった筈だから、実際の曹操は異常なほどに屈折した男だった筈なのだ。だから仕事もせず家に閉じこもって孫子マニアになったり詩人になったりしたのだろう。あえて言えばオタク系だ。
(略)
だが「秘本三國志」はそれでもまだマシだ。「蒼天航路」では「父親を殺されてカッとなって狂った」という理由すら書き換えられ、「父親なんてどうでもいいが、曹操が考える遠大な理想のためには数十万の犠牲などいよいよどーでもいい」的な「ビッグマン思想に大衆は従っていけばそれでよい」といういつもの「モーニング論調」。つまり父親の死にかこつけて、何の罪悪感もなく、例のモーニング笑顔で微笑みながら自己の理想のために民衆を殺しまくったというのだ。曹操を偉大に描いてるつもりなんだろうけど、こんな偉大なカリスマは絶対にご勘弁だ。第三帝国建設のためにユダヤ人を殺し捲ったヒトラーとどう違うんだか。まだ「親父を殺されて狂った」ほうが人間らしくてマシである。
チビでだらしがなくてオタクで女好きで戦争中に詩なんか読み出す分裂性格で、その上親父を殺されるとトチくるって虐殺をはじめる困った人・曹操。その姿をありのままに描けばまことに魅力的だと僕は思うのだが、世の「曹操ファン」は要するに自分の理想に都合のいい曹操像を彼に押しつけているだけで、ちっとも実際の曹操を再評価しようとしていないのではないだろうか。というか、これでもかこれでもかとウソばっかり書いて、本物の曹操を貶めている。まるで、尾崎豊とそのファンの関係みたい。尾崎は凄く面白い奴だと思うんだけど、ファンが掲げる「尾崎像」があまりにも現実とかけ離れていて、僕はうんざりしているのだ。それってただの「ザ・ファン」じゃないのか? 「興亡三國志」なんて曹操がただの「いい人」で、馬騰の首もはねないのだ。論外! 曹操が馬騰を騙し討ちにしたので馬超が復讐に立ち上がるという「演義」話も大ウソだけど、これじゃあ話として面白くなくなってるからよけい酷い。霹靂車を曹操が作ったなんて言い出す「秘本三國志」もかなり問題だが、曹操がチビだとちゃんと書いてるからまだ全然マシ。さすが六甲の産んだ大作家・陳舜臣先生。っていうか「蒼天航路」とか最近の三國志モノ(我王の乱をのぞく)って、全部「秘本三國志」が元ネタなんだよね。この小説、曹操ときんさんぎんさん以上に長命な五斗米道の教母のババアばかり持ち上げて、逆に趙雲が曹操の親父を殺した人間の屑だったりするので、いまいち評判悪いんだけど、曹操を誉めるための邪推満載でとてもいいですよ。例えば呉に捕まった関羽が急性耄碌、つまりボケてしまって涎を垂れ流すあたり、酷いです。劉備は曹操のスパイとして袁紹や劉表を内側から破滅させるし、南蛮征伐も五丈原も孔明の仕組んだ八百長だし、曹操が勝つシーン以外は全くカタルシスゼロ。これは何度読んでも楽しいです。こんな無理矢理な話なのに「蒼天航路」と違って読後感がいいのは、曹操がちゃんと人間として描かれてるからかなあ。
ちなみに、webmasterが票を投ずるなら、呂布です。しょせんは田舎出の武辺者、典韋や許[衣者]のように一介の武人として生きていければ幸せだったのでしょうけれども、卓越した騎兵戦術ゆえにそれが許されず、群雄の一となり権謀術数に接し武勇を持ち上げられつつ粗野とさげすまれる中で深刻な人間不信に陥り、ために裏切り者のレッテルを貼られて死んでいくなんていうのは、ずいぶんと劇的な生涯ではありませんか。誰か彼を主人公にした小説でも書いてくれませんかねぇ。もちろんその際は、方天画戟でのチャンバラなんてギミックは抜きで、弓術と馬術を柱とする遊牧民族流の業をもって漢民族を恐怖に陥れた様を存分に描いて欲しいのですが。





4月 11th, 2007 at 6:47:38
北方兼三の三国志が前半は実質的に呂布が主役ですよ。未読なのであればお勧めします。三国志物の中でも図抜けて面白いと思います。
4月 11th, 2007 at 10:55:29
三国志が話題らしい…
bewaad institute@kasumigaseki » 三國志好きなalpha bloggers 私の三国志読書遍歴はこちら→思考実験 ま、他にもi (more…)
4月 11th, 2007 at 23:33:49
歴史とは、戦の勝者・権力者・継承者に都合よく且つ正義に描かれています。
それは民衆が、治められていた事、敗者に口なし、だからかな?
つわもの=正義でないのはホラー映画ぐらいかな。
日本の政治と一緒だ〜
4月 12th, 2007 at 0:16:58
なんか諸葛瑾の立場に共感するものがあります。
孫策・周瑜のコンビにも憧れるものがあります。
孫権はインドとかイラン方面の血が入ってたらしいと聞きますけど、もっとそういう雰囲気を前面に書いて欲しいです。
そう言えば光栄のゲームで呉ばかり使ってました。
4月 12th, 2007 at 0:56:46
三国志で好きな武将は姜維です。
「胆斗の如し」から
4月 12th, 2007 at 12:49:25
>とおりすがりさん
情報提供ありがとうございました。未読ですので、早速入手したいと思います。
4月 12th, 2007 at 12:52:05
>魚さん
演義は、敗者にとって都合よかったりしますけれども(笑)、権力者ではあります。
姜維は、あの時期にしてはよくやった方ですよね。といいますか、蜀漢の命運は既に尽きていたわけで・・・。
4月 12th, 2007 at 12:56:45
>一国民さん
諸葛謹とはまた渋い(笑)。そっち路線だと、頑固親父張昭が私は好きですねぇ。
光栄の三國志ですと、呉は武力の高い武将がいない点が、使いづらいともいえますし、逆にやりがいがあったような記憶があります。孫策にしても太史慈にしても甘寧にしても、90前半しかなかったような。逆に知力の高い武将は多いのですけれども。