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  • 04/28/2007 (5:45 am)

    経済・物価情勢の展望(2007年4月)

    Filed under: economy, BOJ ::

    標記レポートが日銀から公表されました。とりわけ問題だとwebmasterが思うのは、これまでの金融政策の「点検」において、この1年間(昨年4月のレポート以降)をきちんと振り返っているとはいえない点でしょう。当該部分を引用します。

     昨年3月の量的緩和政策解除以降の金融政策運営を振り返ると、経済・物価情勢の先行きを展望して、(1)生産・所得・支出の好循環メカニズムが働き、息の長い成長が続く中で、(2)消費者物価は長い目でみると緩やかに上昇し「中長期的な物価安定の理解」に沿って推移する蓋然性が高いという判断に基づいて、経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行ってきた。物価上昇圧力が弱いもとで、調整のペースはゆっくりとしたものであり、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が維持された。今後の金融政策運営においても、こうした基本的な考え方を維持する方針である。すなわち、「中長期的な物価安定の理解」に照らして、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長軌道を辿る蓋然性が高いことを確認し、リスク要因を点検しながら、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行うことになると考えられる。

    経済・物価情勢の展望(2007年4月)

    webmasterは日銀の「中長期的な物価安定の理解」の水準は低すぎると考えていますが、それを問わないとしても、それに「沿って推移する蓋然性が高いという判断に基づいて」「徐々に金利水準の調整を行ってきた」というのであれば、「蓋然性が高いという判断」が正しかったかどうかを問わねばなりますまい。その判断が間違っていたというのであれば、金融政策の前提となる状況認識が間違っていたということなのですから、量的緩和解除以降の金融政策の路線転換もまたその見直しが必要となります。

    では、日銀による物価見通し(いわゆるコアCPI(=生鮮食料品を除くもの)政策委員見通し)と実績値はどうであったのか、まとめれば次のとおりです。

    レポート等 コアCPI
    2006/4 +0.5〜0.7(中央値+0.6)
    2006/10 +0.2〜0.3(中央値+0.3)
    実績 +0.1

    昨年4月は量的緩和解除(3月)の後、10月はゼロ金利解除(7月)の後ということになりますが、いずれにおいても高く見積もりすぎていることがわかります。見通しが当たっていたとしてもまぐれ当たりがあり、外れていたとしてもやむを得ない外れがありますから、数値の見通しを誤ったことが直ちに判断の誤りを意味するものではありませんが、外していればより厳しい総括が求められるのは当然でしょう。

    では日銀はどのように総括しているのでしょうか。

     消費者物価指数(除く生鮮食品)は、足もとは、原油価格下落などの影響もあって前回見通し対比幾分下振れている。先行きは、原油価格の動向にもよるが、前年比でみて目先はゼロ%近傍で推移する可能性が高いものの、より長い目でみると、プラス幅が次第に拡大するとみられる。その結果、2007年度はごく小幅のプラス、2008年度は0%台半ばの伸び率となると予想される。

    経済・物価情勢の展望(2007年4月)

    というわけで原油価格の動向に責任を押し付けているわけですが(一応「など」とは付いていますが)、では原油価格の影響を除けばどうなるのか、今月のCPI速報によると、いわゆるコアコアCPI(=食料・エネルギーを除くもの)の推移は次のとおりです。

    年月 コアコアCPI(対前年同月)
    2006年3月 ▲0.5
    4月 ▲0.6
    5月 ▲0.5
    6月 ▲0.4
    7月 ▲0.3
    8月 ▲0.4
    9月 ▲0.5
    10月 ▲0.4
    11月 ▲0.2
    12月 ▲0.3
    2007年1月 ▲0.2
    2月 ▲0.3
    3月 ▲0.4

    この指標でみれば、引き続いてデフレの真っ只中ということに他なりません(まして、基準年(2005年)から3年目に入り、ラスパイレス指数であるがゆえの上方バイアスも大きくなってきているでしょうし)。原油価格に左右されるのが厭ならそもそもコアコアCPIを使えよというのはあるわけですが、それを措くとしても、原油価格の動向にのみ責任を押し付けて足る話でないことは明らかです。

    足元の動向にもかかわらず、日銀の強気の見通しを支えているのは、次の分析です。

     こうした経済の見通しのもとで、物価を巡る環境をみると、第1に、設備や労働といった資源の稼働状況は高まっており、今後もさらに高まっていくとみられる。マクロ的な需給ギャップをみても、引き続き、需要超過方向で推移していくと考えられる。第2に、ユニット・レーバー・コスト(生産1単位当たりの人件費)は、なお低下を続けているものの、賃金の緩やかな上昇のもとで、下げ止まりから若干の上昇に転じていく可能性が高い。第3に、民間経済主体のインフレ予想は、各種調査では、既往の石油製品価格の下落の影響などから全般に下振れているが、引き続き先行きにかけて物価が緩やかに上昇していく形となっている。

    経済・物価情勢の展望(2007年4月)

    結局は現在の潜在成長率が1%台でしかないということがポイントになっているのでしょう。この潜在成長率見積りの(日銀にとっての)都合のいい点は、「需要超過」だから中長期的にはインフレ圧力があるということになるにとどまらず、例の「上げ潮」の前提となっており、この点については政府・与党が攻撃してくることはないという点です。いくら一部の政府・与党関係者が日銀の金融政策を批判しようと、「需要超過ですけど」という反論がある限り、その批判は天に唾するものでしかないのですから。

    04/28/2007 (5:39 am)

    学生街の書店の厳しさ

    Filed under: book ::

    昨日のエントリに寄せられたkogeさんのコメントに関連して。

    コメント欄でkogeさんが、学生の町京都での丸善の閉店をなげいていらっしゃって、ちょっと感じるものがあった。

    うーん、学生街で本屋ってやっていけるのかな?

    学生さんの使う支出の構成見たら儲かるのは服屋と雀荘と飲み屋とパチンコ屋、続いてラーメン屋あたりが売り上げを伸ばせて、それらと立地を競って生き残るのは本屋にはつらいのではないかと思いますが…..

    「共存共栄の終わり」(@くまくまことkumakuma1967の出来損ない日記4/27付)

    かつてのことはよくわかりませんが、近年においては、生協書籍部の存在こそが、学生街の書店の経営を圧迫しているのではないでしょうか。webmaster自身、学生時代にもっとも多くのお金を支払った書店は生協書籍部でしたが、生協書籍部には、

    • 再販商品である書籍なのに割引がある、
    • 教科書に代表される学生向きの専門書の品揃えが豊富である、
    • キャンパス内にありアクセスがいい、

    といった競争上の優位を確保しています。一般書店がこれに対抗してやっていくのは大変ではないでしょうか。教科書は書籍部、それ以外は一般書店という棲み分けができればともかく、雑誌やマンガなどもそろってますからねぇ、書籍部には。書籍部の売上げの推移がわかるデータがあれば、きちんと検証できると思うのですが・・・。

    04/28/2007 (5:37 am)

    「真の失業率」推計最新版(2007-03現在)

    Filed under: economy ::

    #今回より、対前年同期(括弧書き)を追加いたしました。

    年月   完全     真の    高齢化等  15歳以 就業 完全失 真の失 高齢化等
         失業率    失業率   補正後   上人口 者数 業者数 業者数 補正後
    
    1990  2.1%     3.2%          10,089 6,249 134  204
    
    1991  2.1%     2.4%          10,199 6,369 136  155
    1992  2.2%     2.2%          10,283 6,436 142  142
    1993  2.5%     2.8%          10,370 6,450 166  183
    1994  2.9%     3.4%          10,444 6,453 192  228
    1995  3.2%     4.0%          10,510 6,457 210  266
    
    1996  3.4%     4.1%          10,571 6,486 225  276
    1997  3.4%     3.8%          10,661 6,557 230  262
    1998  4.1%     5.1%          10,728 6,514 279  348
    1999  4.7%     6.3%          10,783 6,462 317  435
    2000  4.7%     7.0%          10,836 6,446 320  485
    
    2001  5.0%     7.9%          10,886 6,412 340  551
    2002  5.4%     9.4%          10,927 6,330 359  660
    2003  5.3%    10.0%          10,962 6,316 350  700
    2004  4.7%    10.0%          10,990 6,329 313  705
    2005  4.4%     9.8%          11,007 6,356 294  688
    
    2006  4.1%     9.5%    6.7%    11,020 6,382 275  671  458
    
    2006/Q1 4.4%(▲0.3) 10.9%(▲0.4) 7.2%    11,014 6,283 286  766  488
    2006/Q2 4.2%(▲0.3) 9.0%(▲0.1) 6.6%    11,014 6,418 280  631  454
    2006/Q3 4.1%(▲0.2) 8.9%( 0.0) 6.5%    11,021 6,426 273  627  448
    2006/Q4 3.9%(▲0.4) 9.3%(▲0.5) 6.4%    11,029 6,400 261  659  440
    2007/Q1 4.1%(▲0.3) 10.7%(▲0.2) 6.6%(▲0.6) 11,035 6,310 272  752  449
    
    年月   完全     真の    高齢化等  15歳以 就業 完全失 真の失 高齢化等
         失業率    失業率   補正後   上人口 者数 業者数 業者数 補正後
    
    2006/4 4.3%(▲0.4) 9.6%(▲0.1) 6.8%    11,002 6,368 284  673  464
    2006/5 4.1%(▲0.5) 8.5%(▲0.2) 6.5%    11,015 6,448 277  602  448
    2006/6 4.1%(▲0.1) 8.8%(▲0.1) 6.5%    11,025 6,438 278  618  449
    2006/7 4.0%(▲0.3) 9.0%( 0.0) 6.6%    11,020 6,421 288  632  454
    2006/8 4.1%(▲0.1) 8.9%(▲0.2) 6.4%    11,019 6,427 272  625  443
    2006/9 4.2%( 0.0) 8.8%(+0.1) 6.5%    11,024 6,431 280  624  446
    2006/10 4.2%(▲0.3) 8.8%(▲0.3) 6.3%    11,030 6,437 281  622  434
    2006/11 3.9%(▲0.5) 9.2%(▲0.8) 6.4%    11,034 6,410 292  652  439
    2006/12 3.7%(▲0.3) 9.9%(▲0.5) 6.6%    11,023 6,354 244  701  448
    2007/1 4.0%(▲0.5) 11.1%( 0.0) 6.9%(▲0.5) 11,034 6,278 264  784  464
    2007/2 4.1%(▲0.1) 10.8%(▲0.2) 6.6%(▲0.6) 11,034 6,302 270  760  447
    2007/3 4.2%(▲0.2) 10.1%(▲0.5) 6.4%(▲0.6) 11,036 6,351 281  712  437
    
    2006/3 4.4%    10.6%    7.0%    11,021 6,308 289  745  475
    2005/3 4.8%    11.1%          11,003 6,260 313  782
    2004/3 5.0%    10.7%          10,990 6,279 333  755
    2003/3 5.8%    10.6%          10,952 6,266 384  743
    2002/3 5.7%     9.8%          10,914 6,297 379  688
    2001/3 5.1%     8.3%          10,869 6,379 343  577
    2000/3 5.2%     8.4%          10,820 6,345 349  580
    
         C/(B+C)   D/(B+D)          A   B   C D=Ax0.64-B
    
    (直近月次ボトム)
        5.8%    11.6%     --        6,193 385  818
       (03/3,4)  (04/2,05/2)            (03/2) (03/4)(05/2)
    
    (注)
    ・単位は、失業率関連を除き万人。失業率関連は%(対前年同期(括弧書き)はポイント)。
    ・ソースは総務省統計局の「労働力調査」(http://www.stat.go.jp/data/roudou/2.htm)。
    ・月次データは原数値を用いている(季節未調整)。
    ・「真の」値は労働力人口比率が0.64(直近ピーク(1992年))であると仮定した場合の値。
    ・「高齢化等補正」についてはhttp://bewaad.sakura.ne.jp/20060729.html#p02を参照のこと。

    #過去の計数は以下のとおりです。

    2005
    03040506070809101112
    2006
    010203040506070809101112
    2007
    0102
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