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  • 04/28/2007 (5:45 am)

    経済・物価情勢の展望(2007年4月)

    Filed under: economy, BOJ ::

    標記レポートが日銀から公表されました。とりわけ問題だとwebmasterが思うのは、これまでの金融政策の「点検」において、この1年間(昨年4月のレポート以降)をきちんと振り返っているとはいえない点でしょう。当該部分を引用します。

     昨年3月の量的緩和政策解除以降の金融政策運営を振り返ると、経済・物価情勢の先行きを展望して、(1)生産・所得・支出の好循環メカニズムが働き、息の長い成長が続く中で、(2)消費者物価は長い目でみると緩やかに上昇し「中長期的な物価安定の理解」に沿って推移する蓋然性が高いという判断に基づいて、経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行ってきた。物価上昇圧力が弱いもとで、調整のペースはゆっくりとしたものであり、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が維持された。今後の金融政策運営においても、こうした基本的な考え方を維持する方針である。すなわち、「中長期的な物価安定の理解」に照らして、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長軌道を辿る蓋然性が高いことを確認し、リスク要因を点検しながら、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行うことになると考えられる。

    経済・物価情勢の展望(2007年4月)

    webmasterは日銀の「中長期的な物価安定の理解」の水準は低すぎると考えていますが、それを問わないとしても、それに「沿って推移する蓋然性が高いという判断に基づいて」「徐々に金利水準の調整を行ってきた」というのであれば、「蓋然性が高いという判断」が正しかったかどうかを問わねばなりますまい。その判断が間違っていたというのであれば、金融政策の前提となる状況認識が間違っていたということなのですから、量的緩和解除以降の金融政策の路線転換もまたその見直しが必要となります。

    では、日銀による物価見通し(いわゆるコアCPI(=生鮮食料品を除くもの)政策委員見通し)と実績値はどうであったのか、まとめれば次のとおりです。

    レポート等 コアCPI
    2006/4 +0.5〜0.7(中央値+0.6)
    2006/10 +0.2〜0.3(中央値+0.3)
    実績 +0.1

    昨年4月は量的緩和解除(3月)の後、10月はゼロ金利解除(7月)の後ということになりますが、いずれにおいても高く見積もりすぎていることがわかります。見通しが当たっていたとしてもまぐれ当たりがあり、外れていたとしてもやむを得ない外れがありますから、数値の見通しを誤ったことが直ちに判断の誤りを意味するものではありませんが、外していればより厳しい総括が求められるのは当然でしょう。

    では日銀はどのように総括しているのでしょうか。

     消費者物価指数(除く生鮮食品)は、足もとは、原油価格下落などの影響もあって前回見通し対比幾分下振れている。先行きは、原油価格の動向にもよるが、前年比でみて目先はゼロ%近傍で推移する可能性が高いものの、より長い目でみると、プラス幅が次第に拡大するとみられる。その結果、2007年度はごく小幅のプラス、2008年度は0%台半ばの伸び率となると予想される。

    経済・物価情勢の展望(2007年4月)

    というわけで原油価格の動向に責任を押し付けているわけですが(一応「など」とは付いていますが)、では原油価格の影響を除けばどうなるのか、今月のCPI速報によると、いわゆるコアコアCPI(=食料・エネルギーを除くもの)の推移は次のとおりです。

    年月 コアコアCPI(対前年同月)
    2006年3月 ▲0.5
    4月 ▲0.6
    5月 ▲0.5
    6月 ▲0.4
    7月 ▲0.3
    8月 ▲0.4
    9月 ▲0.5
    10月 ▲0.4
    11月 ▲0.2
    12月 ▲0.3
    2007年1月 ▲0.2
    2月 ▲0.3
    3月 ▲0.4

    この指標でみれば、引き続いてデフレの真っ只中ということに他なりません(まして、基準年(2005年)から3年目に入り、ラスパイレス指数であるがゆえの上方バイアスも大きくなってきているでしょうし)。原油価格に左右されるのが厭ならそもそもコアコアCPIを使えよというのはあるわけですが、それを措くとしても、原油価格の動向にのみ責任を押し付けて足る話でないことは明らかです。

    足元の動向にもかかわらず、日銀の強気の見通しを支えているのは、次の分析です。

     こうした経済の見通しのもとで、物価を巡る環境をみると、第1に、設備や労働といった資源の稼働状況は高まっており、今後もさらに高まっていくとみられる。マクロ的な需給ギャップをみても、引き続き、需要超過方向で推移していくと考えられる。第2に、ユニット・レーバー・コスト(生産1単位当たりの人件費)は、なお低下を続けているものの、賃金の緩やかな上昇のもとで、下げ止まりから若干の上昇に転じていく可能性が高い。第3に、民間経済主体のインフレ予想は、各種調査では、既往の石油製品価格の下落の影響などから全般に下振れているが、引き続き先行きにかけて物価が緩やかに上昇していく形となっている。

    経済・物価情勢の展望(2007年4月)

    結局は現在の潜在成長率が1%台でしかないということがポイントになっているのでしょう。この潜在成長率見積りの(日銀にとっての)都合のいい点は、「需要超過」だから中長期的にはインフレ圧力があるということになるにとどまらず、例の「上げ潮」の前提となっており、この点については政府・与党が攻撃してくることはないという点です。いくら一部の政府・与党関係者が日銀の金融政策を批判しようと、「需要超過ですけど」という反論がある限り、その批判は天に唾するものでしかないのですから。

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    28 Responses to “経済・物価情勢の展望(2007年4月)”

    1. だめだめ Says:

      >潜在成長率1%台が・・例の「上げ潮」の前提となっており、この点については政府・与党が攻撃してくることはないという点です。

      「上げ潮」の前提が潜在成長率1%台??
      うん?
      どこにそんなこと書いているんかい?
      ソースキボンヌ

    2. adhoc Says:

      関連ですけど、

      この人、これでも(元)経済学者ですか?

      http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200704200036.h...

      規制緩和して参入を自由化したんだから、
      料金を原則自由に設定させるのは当然でしょう?

      <大田担当相は「運転手の賃金が非常に厳しい状態にあるということはデータでも示されている」と一定の理解を示しながらも「消費者物価が上がっていない中での申請なので、会議の意見を踏まえて、政府部内でしっかり検討していく必要がある」と述べ、値上げに慎重な姿勢を示した。 >

      「消費者物価が上がってない中」って、タクシー会社みたいなところが値上げできるようになったことこそ、デフレ脱却の証として、むしろ喜ぶべきでしょう。

      政府は、事あるごとに日銀に圧力をかけ、利上げさせないようにしてますけど、ホンネでデフレ持続を願っているのは、日銀ではなくて政府ではないか?という気がしてきました。

      値上げが相次ぎ、実際にインフレになれば、日銀に利上げの大義名分を与えることになりますよね。そうなると国債費が増え、財政が破綻すると考えているのでしょうか。

      例えば、公務員の賃下げとか、社会保障費の削減とかは、
      それ自体はデフレ要因であることを考えれば、この見方が正しい気がますますしてきます。

    3. ブヒブヒ Says:

      石油以外の鉱物資源や食料の輸入価格も上昇しているにも関わらず、コアコアCPIの数値がマイナスって事は、相当デフレ圧力が強いって事ですね。
      結局、生産コストの削減で吸収してる訳だが、「賃金の緩やかな上昇のもとで」ってのは本当だろうか?

      輸出比率の高い大企業の正社員は別にして、非正社員化や内需系中小企業の不調継続による購買力低下がデフレの原因ではないのか?

      来月から外資の三角合併が解禁になるが、デフレ→低金利→円安→株安→外資大笑い、じゃないのか?

      中曽根内閣以降の一連の政策は、バブルの生成・崩壊を含めて、外資に日本の資産(株・土地)を売り渡す為にわざと仕向けている様に思えて仕方がない。

    4. webmaster Says:

      >だめだめさん
      たとえば「日本経済の進路と戦略」(今年1月の諮問会議資料)においては、
      >人口が減少する中で、日本経済が安定的な成長を続けていくには、経済全体として生産性を大幅に上昇させなければならない。「進路と戦略」に沿った取組を行うことにより、日本経済を中長期的に新たな成長のステージへと引き上げ、今後5年間で「新成長経済」への移行を目指す。こうした努力により、今後5年間のうちに2%程度あるいはそれをかなり上回る実質成長率が視野に入ることが期待される。
      とあります。この手の政策によって「今後5年間のうちに2%程度あるいはそれをかなり上回る実質成長率が視野に入ることが期待される」というのであれば、当然ながら現状はそれより低いと(認識していると)いうことでしょう。

    5. webmaster Says:

      追記
      「日本経済の進路と戦略」のURIは
      http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0118/item1....
      です。

    6. webmaster Says:

      >adhocさん
      タクシーの値上げ論については、業者側の言い分も競争市場的でないといいますか、供給に比して需要超過であるからというわけではないんですよね。これまたカルテル的な要素があり、地域的にほぼ横並びで値上げするからこそ値上げできるのであって、そうでなければ値上げしない業者に客が流れるだけのことです(現にそういう理由で、関西方面では値上げ論が出ていないと承知してます)。

      その手の独占系の不完全競争下では、大田大臣の言い分にも一理あります。そもそも不完全競争を解消すればいいわけですが、そこがなかなか解消できないのも現状ということなのでしょう。

    7. webmaster Says:

      >ブヒブヒさん
      個人的には、継続するデフレは内需の弱さと金融引締めが原因だと思っています。

      中曽根内閣以降の経済政策というと、中曽根内閣時代は確かにそう解釈可能な面もありましたが(つまり、経常黒字解消が政策目的=経常黒字の縮小は対外純債権の減少)、バブル崩壊後の諸政権はその公共投資が批判されたりということもあり、おっしゃるようなくくり方については、個人的には違うと考えています。

      小泉政権にしても、本気で「構造改革なくして景気回復なし」と思っていたのでしょうし。

    8. 鍋象 Says:

      >原油価格下落などの影響もあって

      また原油価格が上がってきていますが、利上げしないで欲しいなぁ。いちいちやる事が非対称なんだよなぁ。

    9. webmaster Says:

      >鍋象さん
      景気がそこそこで推移する限り、原油価格が下がってコアCPIベースでもデフレ基調が変わらなくとも利上げするだろうと私は思ってますので(笑)。結局彼/女らにとって怖いのは世論の批判(とそれを背景にした政治家の圧力)で、景気がそこそこである限りそうした批判はそれほど盛り上がるはずもなく、という構造になっているというのが管見です。

    10. ブヒブヒ Says:

      >個人的には、継続するデフレは内需の弱さと金融引締めが原因だと思っています。

      内需の弱さの原因は、所得分配機能低下による「富の偏在」だと考えます。

      バブル崩壊後、正社員の賃金引下げやパート社員への切り替えによる人件費削減が行われた。
      以前にも書いたように、消費性向の高い中低所得層に対する課税強化(所得税課税最低限引き上げ、消費税)や年金支給年齢引き上げ、また健康保険料の引き上げも行われた。
      結果、サラ金に走る国民が増え、サラ金経営者が所得番付上位に並ぶ状況となった。

      一方で、所得税の上限税率は段階的に引き下げられ、高額所得者に対する減税が継続した。(70%台→30%台)
      また、賃貸集合住宅における相続税対策(課税対象額を借金で相殺)や財団法人を使った節税など、資産家に対する課税の抜け道を用意した。

      要するに、富裕層の減税分を、中低所得層に振り返る政策が採られたのだ。

      富裕層は余った富を消費に使わず(もう、買う物が無い?)、貯蓄や金融投資又は資産投資に廻す。
      これらの莫大な金融資産が更なる自己増殖を目指し、金融の信用創造機能で増幅されて、株式・不動産・商品取引市場に流れ込んでいる。

      製品デフレと資産インフレが並存する図だ。
      この両者を合算してのデフレ論議は止めた方が良いと思う。
      また、不動産や農産物鉱物商品のインフレは、二重の意味で庶民から収奪を行う事だ。

      デフレ解消及び社会問題解決の方法は簡単で、資産家&高額所得者に対する増税と中低所得者に対する減税でしょ。
      お金持ちの政治屋さんやエリート諸氏が受け入れるかどうかの問題だと思いますが。

    11. ブヒブヒ Says:

      webmasterさま
      >その手の独占系の不完全競争下では、大田大臣の言い分にも一理あります。そもそも不完全競争を解消すればいいわけですが、

      完全な自由競争が良い事だとは、とても思えないのですが。
      勿論、競争の無い状態が駄目な事は承知しています。

      タクシー業界に見られるような過当競争は、従業員だけでなく消費者にとっても好ましくありません。
      運転手の質の低下や、道路を占拠する客待ちタクシーなど。
      自由化は、タクシー会社経営者の危機感と事業欲を大いに刺激しましたが、その結果がこれです。

      自由競争も、余り行き過ぎないように「適度」な調整が必要だと思います。
      まあ、この「適度」と言うのが難しいのでしょうが。

    12. webmaster Says:

      >ブヒブヒさん
      所得再分配機能の低下を望ましいとは考えていない点では同意ですが、おっしゃるような構図はいかがでしょうか。富の偏在については、現在20代後半から30前後あたりまでの世代で新卒就職ができなかった多数の者について今後深刻な問題になる危険性は認めますが、現時点においては、そのような現象が生じていることは確認されていません(たとえばジニ係数の増加は、高齢化によるものが主因です)。

      また、「これらの莫大な金融資産が更なる自己増殖を目指し、金融の信用創造機能で増幅されて、株式・不動産・商品取引市場に流れ込んでいる」との点についても、マネーサプライにそのような兆しは見られませんし。

      タクシーについては、自由競争がいいわけではないとの立場にたつのであれば、大田大臣の見解に賛成ということになるのではないでしょうか。個人的には、「過当競争」なるものの定義がよくわからないのですが・・・。

    13. ブヒブヒ Says:

      >たとえばジニ係数の増加は、高齢化によるものが主因です)。

      ジニ係数は所得分配に関するものですね。
      既に保有する資産は対象外です。
      また、借金して賃貸マンション経営をする場合、家賃収入をローン返済に充てると所得はゼロですが、資産形成と相続税対策が出来ます。

      >マネーサプライにそのような兆しは見られませんし

      富裕層を優遇する事で、実体経済を流通していたお金が減少して、投機マネーが増えているのではないか、という事です。
      又、国は大量に米国債を買ってますし、個人レベルでも外国株や外債という形で海外に相当お金が流れているので、国内のマネーサプライとは別の話です。

      単に国内問題だけでなく、ヘッジファンドに代表されるように、膨大な投機マネーが儲かりそうな投資先を探して世界を巡り、各相場を撹乱してます。
      投機マネーを減少させる為にも、富裕層から増税し貧困層に廻し、加えて国の借金も減らすべきだと思います。

      >自由競争がいいわけではないとの立場にたつのであれば、大田大臣の見解に賛成ということになるのではないでしょうか

      「行き過ぎた」自由競争は、危険でありデメリットが大き過ぎると考えます。
      タクシー業界は過当競争に走り過ぎたと思って、値上げを打ち出したと思います。
      大田大臣は、自由競争を支持する立場で値上げに反対したと思いますが。

    14. webmaster Says:

      >ブヒブヒさん
      ジニ係数でなくてもいいのですが、ご主張をサポートする統計データはありますか?

      マネーサプライが増えなければ投機につぎ込む原資も増えていないということなので、対外債権がいくら増えようとも投機マネーの拡大を意味しません。そもそも、対外債権の純増は、経常黒字なくしては不可能で、対外(純)債権の増加は経常黒字基調であることの裏返しに過ぎません。

      逆に言えば、いくら所得再分配を強化したところで、マネーサプライが急拡大するような状況では、いくらでも投機が起こるでしょう。

      企業がやりたいということに反対しているのですから、明らかに大田大臣のコメントは自由競争を支持するものではありません。

    15. ブヒブヒ Says:

      webmaster さま
      >ご主張をサポートする統計データはありますか?

      ありません。
      これまでの課税政策と起きている経済現象を見ての推測です。

      >マネーサプライが増えなければ・・・、対外債権がいくら増えようとも投機マネーの拡大を意味しません

      投機の問題点は、その対象品目の行き過ぎた価格上昇と行き過ぎた価格下落、そしてその差額の鞘抜きです。(バブル時の地価・株価の上昇と下落はその典型)
      そして投機マネーは世界を巡っているので、現時点での国内のマネーサプライ云々を言っても余り意味は無い様に思いますが。
      たとえば、日本が米国債を購入する事はアメリカのマネーサプライの拡大を下支えし、世界レベルでの過剰流動性に寄与していると思いますが。
      (ドルの基軸通貨としての増刷を下支えしている)

      >いくら所得再分配を強化したところで、マネーサプライが急拡大するような状況では、いくらでも投機が起こるでしょう。

      所得再分配を強化すれば投機が起きない、と言ってる訳ではありません。
      幾らか起き難くなるだろう、と言う事です。

      バブル時のように低金利に誘導し、不動産担保掛け目100%などと言う信用創造スパイラルを容認するなら、投機が拡大する土壌は作れるでしょう。
      加えて、価格上昇への強い期待感も必要でしょうが。

      >企業がやりたいということに反対しているのですから、明らかに大田大臣のコメントは自由競争を支持するものではありません。

      「企業がやりたいということ」とは、値上げです。
      多くのタクシー会社からほぼ同時に値上げ申請が出されましたが、当然タクシー会社間で事前に相談がなされた上の事でしょう。
      大田大臣はこの一種の談合に反対したので、自由競争を支持する立場で反対した、と思ったのですが。

      ちなみに、ガソリン価格も上がってるし運転手の待遇改善も必要だろうし、値上げはしょうがないかなと思います。
      本来は、無謀なシェア拡大を狙ったタクシー会社経営者の責任が大きいと思いますが。

      ついでに前々回の分にも答えときます。
      >個人的には、「過当競争」なるものの定義がよくわからないのですが・・・。

      不景気でタクシー利用客が減る状況で、タクシー台数を大きく増やした事です。

    16. webmaster Says:

      >ブヒブヒさん
      統計的裏づけがないというのであれば、そのようにお考えになることは尊重いたしますけれども、それを超えて説得力はなかなか持ち得ないと思います。現に分析がないというのであればともかく、例えば大竹文雄「日本の不平等」(http://www.amazon.co.jp/dp/4532132959/)のような著作も既に出ているわけですし。

      投機についても、マネーサプライに注目しても仕方がないとのご主張をされることは結構ですが、ではどのような状態が投機が横行している、あるいは世界的な過剰流動性が存在するといえるのか、客観的に何に着目してどう判断するのかがないことには、ご意見は承りますが、という以上のことは申し上げづらいです。

      大田大臣のコメントは、値上げの前にコスト削減努力をすべしというもので、利益が減少したときに値上げをしようがコストを削ろうが企業の自由のはずのところを、その自由を制約しようというものだと理解しています。もちろん談合的性格はありますが、それは料金が自由に決められないという制度に内在するもので、その点を批判するのであれば批判対象は企業ではなく制度(ないし国土交通省)となります。

      不況で客が減る中で台数を増やしたのは、政府からそう命令されたわけでもなく、台数を減らすことも可能な中で各企業が経営判断で行ったことですから、通常の競争に過ぎないと思います。経営判断を誤って損になることをすることはいくらでもありますが、それをもって過当競争(=あるべき姿でない競争)ということはできないでしょう。そのように定義するなら、この世には過当競争しか存在しないことになってしまいます。

    17. 鍋象 Says:

      タクシー業界の場合、ちょっと事情が特殊だと思います。
      タクシー会社自体は、タクシードライバーに対して歩合制で賃金を払っています。供給増加はすなわちタクシードライバーの増加であり、水揚げ一定のままの供給増加でドライバーの歩合給は露骨に下がります。タクシー会社は自社の車の台数をある程度受動的に受け入れる立場です。すなわち、これは昔から言われている事ですが、景気がよければタクシー台数が減って、景気が悪くなるとタクシー台数が増えるわけです。
      石油価格の上昇がタクシー会社の経営に影響を与えた時には、歩合比率を下げてドライバーの供給を絞るという解決策と、運賃を上げるという方法があります。歩合比率の変更は、他社へのドライバーの漏出という問題をはらんでいますので、どちらにしてもタクシー協会を通じて談合的に動かざるを得ないわけです。恐らくタクシー協会で話し合いをしたら価格改定を選ぶのは自明だと思います。

    18. ブヒブヒ Says:

      webmasterさま
      >ではどのような状態が投機が横行している、あるいは世界的な過剰流動性が存在するといえるのか、

      参考程度のものですが、ヘッジファンド専門誌「アルファ・マガジン」の最新号によると、
      「2005年にヘッジファンドの運用総額が1兆ドルに達し、2006年には更に拡大し1兆4千億ドルに達した。 更に直近では2兆ドルを超えたと噂されている。」
      そうです。
      (当該雑誌を入手出来ておらず伝聞で恐縮です。 又、ネット上でもソースは見つかりませんでした。)

      しばらく前からヨーロッパなどでヘッジファンド規制の話が持ち上がっていましたが、投資と投機の線引は難しく、さらに米国・英国・オランダあたりは当然反対するでしょうから厄介な問題だと思います。
      また先日、オーストラリアで旱魃が起き農作物に甚大な被害が出ている旨の報道がありました。
      世界規模で「新自由主義vs反新自由主義+地球環境」の対立構図が、より鮮明化して来る気がしています。

      なお、私のコメントは根拠不十分なド素人の感想文に過ぎません。
      なにぶん、知り合いや縁者にキャリア官僚の方は一人も居りませんので、直に御考えを伺える機会に恵まれて少し調子に乗り過ぎました。
      失礼の数々をお許し下さい。

      また、全てのコメントに几帳面に返事をされる姿には感銘を覚えました。
      私の駄文にまで、毎回コメントを下さり有難うございした。

    19. webmaster Says:

      >鍋象さん
      いくら歩合制とはいえ、あるいは慣行があるとしても、採用をやめることはその気になればできるわけですよね。いずれにせよ、値上げを選ぶことが合理的になるとすれば、価格弾力性がそうだということになるのでしょうけれども。

    20. webmaster Says:

      >ブヒブヒさん
      ヘッジファンドと一口に申しましても、それこそ名称がヘッジ(リスクヘッジといえば、投機とは対極ですよね)であるように、裁定取引専門といったローリスク・ローリターン運用のものも多いです。何が投機かという定義は、おっしゃるような投資との線引きをどこでするかを含め、なかなか難しいのが実態だと思います。

      私も専門外については素人ですから、コメント蘭での議論で教えられることも多々あります。これからもよろしお願いいたします。

    21. 鍋象 Says:

      >>bewaadさん
      「歩合制」で基本給がとても安いという点を考慮すると、タクシー会社は、サプライヤーではなく市場として機能しちゃうんですよ。
      この問題はタクシー会社自身の経営問題ではなく、タクシードライバーの問題であって、会社がとりまとめをしているのは他にまとめ役がいないからだと思います。

    22. webmaster Says:

      >鍋象さん
      となると、一部の儲かっている運転手からすれば現状のまま苦しい運転手が退出してくれた方がいいのに、苦しいけれども退出したくない多数派の数の力で値上げせざるを得ない、というような状況だと理解すればよいのでしょうか。もちろん前提として、価格弾力性がそれほど大きくはない、という経験則に基づく現状評価があるのでしょうけれども。

    23. 鍋象 Says:

      >一部の儲かってる運転手

      努力で決定的な差がつくわけではありませんので、そのようなドライバーは存在しないと思われます。

    24. webmaster Says:

      >鍋象さん
      霞が関で客待ちしている運転手の中には、長距離客にビールやおしぼりを出すなどした上で名刺を渡し、無線ではなく携帯で直接呼んでくれ、という営業をしている人が少なからずいますが、それって半径5mの話だったんですね。

    25. 鍋象 Says:

      >>bewaadさん
      携帯もってる人ですね。あれ、どうなのかなぁ。長距離って、1日の目標水揚げを1回で確保して早く帰るためにやってる人が多いような気がします。ドライバーと話をしていても、大抵そういう言い方します。確かに努力で差はついているんですがね。

      確か、MKタクシーの営業方針はその逆で、流しながら短距離客を常に乗せ続ける方が稼働率が上がってよろしいという言い方をしていたと思います。

      まあ、一時期虎ノ門近辺にいた身として実感するのは、霞ヶ関近辺は確かに特殊なところだと思います。2000円の距離で乗車拒否していたら、当方の地元では行くところがなくなるぞと。

    26. webmaster Says:

      >鍋象さん
      よくわかりました。今後タクシー関連の話題を取り上げる際には、自分が特殊なところにいるのだということを忘れないようにしないと(笑)。

    27. 鍋象 Says:

      最近は知りませんが、少なくとも95年頃はかなり特殊でした。って、もう干支が一回りするくらい昔の話なのか・・・

      ちなみに、MKタクシーの理屈は「初乗り以下の距離は、固定収入分で儲かる」というものでした。距離あたりの平均価格が高いわけです。駅前で行列していると乗車率が下がるし客が選べないので、近距離でも断らずに乗せる努力の一環として「流し」を主体として、見かけで差別化してMK見たらタクシーに乗っちゃえという評判を作ると。
      MKの社長の講演で聞いた話で、実際にそういう結果が出ているのかはわかりません。

      まあ、逆に言うと駅前などには参入させてもらえないという面もあると思いますが。

    28. webmaster Says:

      >鍋象さん
      MKに限らず、企業系はおおむねそうなのかな、というのが特殊環境霞が関(笑)にいて感じることです。ご案内のとおり、霞が関近辺ではでんでん虫のシェアが高いのですが、近距離客に対して露骨に嫌がるそぶりをみせることがあるのは得てして彼/女らの方で、他ではそういうことはないですね。

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