bewaad institute@kasumigaseki

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  • 05/18/2007 (5:45 am)

    ソフトウェア開発の現場の待遇って、実際のところどうなんでしょうか?

    Filed under: economy, computer ::

    先日の、

    については、いろいろとご議論をいただいたところですが、webmasterの主張の前提としては、開発現場の待遇は極めて悪い、というネットでよく見かける話がありました。平たく申し上げれば、日本で無理してやろうとするから現場にしわ寄せがいくのではないか、ということです。

    他方で、次のようなご指摘をいただきました。

     私の実感としては、ある程度人海戦術が使えるのは、汎用的なパッケージ商品を作る場合のみではないかと思います。
     最近は組み込み系でもパッケージを購入し、製品用にカスタマイズするという開発方法がどんどん広がっています。そして、パッケージは中国等のエンジニアがプログラミングしています。

     実際のところ「海外で安く調達した方が」という指摘を受けるまでもなく、既に海外で調達できるものはしているという印象もあります。

     主張がごちゃごちゃしてきました…。一応まとめます。

    1. 海外で調達するという方法が適切な場合はそんなに多くないと思われる。
    2. 海外のエンジニアを使った方がいい分野では既に使われているのではないか。
    3. 最近は日本のエンジニアを使った方がいい場面で海外のエンジニアを使って失敗している例が多そうだ。

     最終的に、今言うべきことは「日本のエンジニアにやらせた方が、最終的な品質も良く、コストも低い場合があるから、目先のコストに惑わされて安易になんでも海外のエンジニアに任せるな。」ではないでしょうか?

    「想定がリアルでないということ」(@ダメプログラマーのお勉強5/15付)

    国を挙げて下請けと化しデスマーチを喜んでやってくれるというなら、やってもらえばいいじゃないですか

    というか、デスマーチ級のイカれた人海戦術プログラミングってのはプログラマの生産性が原因というよりマネジメントの失敗そのものだろうから、「デスマーチは海外発注すれば」という発想自体がズレてるのではと思う。

    というか、デスマーチの海外発注って可能なんだろうか?「ふざけんな」と突き返されて終わりのような気がするんだけど。マネジメント見直して向こうで受けれてくれる状態に変更してみたら、その時は既に日本でも実現可能なプロジェクトになってるのでは。

    hasenka 「そこら辺は適当にやっておいて」のコスト。

    ブクマコメントでもこういうのがあったけど、これは日本のプログラマの状況を非常に簡潔かつ的確に示してると思うっていうか「そこら辺は適当に頼む」が仕様レベルで通用する国は日本だけなんじゃねぇのか。

    「他国にやらせていいソフト≠他国にやらせたいソフト」(@Scott’s scribble - 雑記。5/15付)

    これらでお示しのように、現に人件費が致命的になるようなものは海外に移転している/日本でやっているのはそれだけの人件費をかける価値があるものだということであれば、たとえば残業が多い職種であるが、労働基準法に違反して、サービス残業を強いられているケースも多い。場合によっては、時給換算した給料が、最低賃金法に基づく基準をクリアしないこともあるWikipediaで書かれるような事態はきわめて特殊な事例であるように思います。言い換えれば、現場の待遇は、言われているほどには悪くないということではないかと推測されます。

    というわけで、実際にデータに当たってみました(最初っから当たれよというご指摘はまことにごもっともですが、過ちては則ち改むるに憚ること勿れということで)。材料は、賃金構造基本統計調査(平成18年)です。

    その第3表は職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)となっていますが、この「職種別」は、SEやプログラマを含む全129種の分類となっています。それによる平均年間給与をみますと、

    SE

    557万7,300円(第17位)

    プログラマ

    406万8,500円(第73位)

    となっており、額面としてはそれほど低いわけではありません。

    #ちなみに、同調査による上位10職種を見ると、航空機パイロット(1,295万円)、大学教授(1,133万円)、医師(1,101万円)、大学助教授(885万円)、公認会計士・税理士(818万円)、記者(816万円)、弁護士(772万円)、大学講師(733万円)、高校教員(724万円)、不動産鑑定士(716万円)となっています。

    しかし、これは残業が月間20時間(プログラマ)ないし24時間(SE)であり、サービス残業を加味した実質的な時給としてどうであるかを正しく表すものではありません。では、先のWikipediaの記述を参考に、最低賃金を割り込むほどのサービス残業があるとすれば、それはどの程度かを試算してみます。

    最低賃金は都道府県により差があります(昨年10月1日現在で、610円(沖縄)〜719円(東京))が、計算の簡便化を図るため、一律700円と仮定します。先に掲げたプログラマの平均年収をこの700円で割ると5,812時間となり、それだけ働いていれば実質時給が最低賃金割れということになります。所定内実労働時間が161時間/月ということですから、含まれている残業20時間/月とあわせてその12倍を差し引くと残り3,640時間、毎月300時間以上のサービス残業ということになり、これはさすがに非現実的でしょう。

    #単発的にはあるでしょうけれども、さすがに一年通してとなると・・・。

    逆に考え、最低賃金割れとなるような年収はいくらかを試算してみます。残業がどの程度で過酷な状況といえるかどうかは主観による差もあるでしょうけれども、とりあえずここでは、ネットで散見する情報(のwebmasterにとっての印象)や、webmaster自身の経験も踏まえ、200時間/月としてみます。平日は毎日日が変わるまでで6時間/日、それを20営業日で120時間/月、加えて土日出勤がそれなりに入る状況にほぼ対応しますから、相場としてそれほど外しているものではないでしょう。

    既述のとおり、所定内実労働時間は161時間/月ですから、これに200を足すと361時間/月、12をかければ4,332時間/年の労働時間となります。これに700円をかけると303万2,400円になりますので、このぐらいの年収で月200時間以上の残業をさせられていると最低賃金割れということになります。

    さて、これに該当するプログラマがどの程度いるのか、という話ですが、賃金構造基本統計調査の結果では分布がわからないので、全体の動向を当てはめてみます。2004年のデータとして、日本の全年齢における賃金の平均/メディアンは1.108とのことですので、これと同じ分布であると仮定します。この場合、プログラマの給与のメディアンは

    • 406万8,500円/1.108=367万1,931円

    となり、全体の半分以上は先のような過酷な状況には賃金だけを見てもなっていないということになります。

    #賃金構造基本統計調査では、企業の規模別の数字が掲載されていますが、その最も小規模である10〜99人区分でプログラマの年収を見ると、374万9,500円となっています。同じくメディアンを求めると338万4,025円となり、これでも半分以上は既述のようなサービス残業をしていたとしても、最低賃金割れにはいたっていないことになります。

    さらにP50/P90、すなわちメディアンと下位10%との差を見ると1.73ということですので、先の数字に当てはめると、プログラマの下位10%は

    • 367万1,931円/1.73=212万2,503円

    の年収ということになるので、これだと月200時間残業をしていれば最低賃金割れであることは明らかです(仮に4,332時間で割れば、時給490円ということになります)。各10%階層がメディアン以下では均等に分布しているとすれば、だいたい1/4程度は最低賃金割れの可能性がある年収303万円ラインを割り込むことになり、月200時間残業をしているのが仮にその半分だとすれば、1割強のプログラマは最低賃金割れの待遇ということになるでしょう。

    #9人以下の企業を加えると、もっと比率が上がるような気もしますが、データがない以上考えても致し方ないので、そういうことがあり得るとの言及のみに留めておきます。

    プログラマという単一職種で全体と同じだけの分布の幅があるという仮定には無理があることは事実ですから、これは若干の過大推計だとwebmaster自身認めます。それに留意した上で、約1割が最低賃金割れで働いている状況にある可能性がある(山勘では現実は5%を超えることはないだろうという気がしますが、まったく根拠はありません)というのは、これを多いと評価すべきなのか、少ないと評価すべきなのでしょうか?

    とまれ、この推計について、現場の実感とどの程度乖離しているのか、ご教示いただければ幸いです>読者諸賢。

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