著作権侵害の非親告罪化
竹熊健太郎さんの標記に関するエントリについて論じた切込隊長さんのエントリのはてなブックマークにて呼ばれた(笑)ようですので。
竹熊さんのご心配が、
この「非親告罪化」が立法化された場合、「これは誰それのパクリだ」と鬼の首をとったようにネット上で糾弾する趣味の人は嬉しいかもしれないですが、俺を含めて多くの作家・マンガ家・同人誌作家・ブロガーは何か書く場合でも無意識のパクリがないかどうかおっかなびっくり書くことになり、ひいては表現の萎縮につながりつまらん作品ばかりになるかもしれないので俺は反対です。「サルまん」もあっちこっちからパクってますのでこれも勝手に逮捕される心配があり、大変困ります(ちなみにサルまんは発表して15年以上たちますが誰からも訴えられていません)。
「【著作権】とんでもない法案が審議されている」(@たけくまメモ5/21付)
ということですが、ご指摘の点については、著作権侵害は故意犯のみで過失の場合は罪になりませんから、ご心配なくということで終わりです(笑)。
#当該エントリに対するコメントとして、サルガッソーさんが既に2007/05/21 16:19:59にご指摘ですが。
#故意・過失の点については、コメントにて通りすがり(元法学部)さんからご指摘いただいたような点もありますので、上記はミスリードなものとなっています。当該コメントをあわせてご覧いただければ幸いです。(5/24追記)
もう少し建設的な議論をしますと、本件の検討が行われている知的創造サイクル専門調査会の関連資料には、
著作権等侵害のうち、一定の場合について、非親告罪化する。
「一定の場合」として、例えば、海賊行為の典型的パターンである営利目的又は商業的規模の著作権等侵害行為が考えられる。
営利目的の侵害行為は、その様態から侵害の認定が比較的容易であるとともに、他人に損害を与えてまで金銭を獲得するという動機は悪質である。また、営利目的ではなくても、例えば愉快犯が商業的規模で侵害を行った場合には、権利者の収益機会を奪い、文化的創造活動のインセンティブを削ぐなど、経済的・社会的な悪影響が大きい。
知的創造サイクルに関する今後の課題(第8回知的創造サイクル専門調査会提出資料)(webmaster注:強調は、原文では下線です)
とあります。つまりは海賊版対策が主眼です。これに対しては、
- そもそも今以上の海賊版対策の必要性を認めない。
- 今以上の海賊版対策の必要性は認めるものの、
- 現行の親告罪の形式を維持した上で、他の対策を提案する。
- 一部の著作権侵害を非親告罪とすること自体は認めるものの、濫用の危険を抑制するため、適用対象の厳密な定義を求める。
といった姿勢が考えられます。本件について問題意識を持つとして、まずは上記のいずれに該当するかを考えた上で、
- 今以上の海賊版対策の必要性を認めない場合
-
上記専門調査会資料のpp15,16の「(1) 背景」について反論する。
- 他の対策を提案する場合
-
親告罪化よりも効果的で濫用の危険が小さいと思われる案を検討する。
- 厳密な定義を求める場合
-
どのような定義がよいかを考える。
といった対応を行うことが、かみ合う議論につながるのではないでしょうか(webmasterの個人的見解としては、厳密な定義を考えることがよいのではないかと)。
#親告罪とはなんぞやといったことも触れようかと思いましたが、竹熊さんのエントリにて(当サイトにも多くのコメントをお寄せいただいている)西麻布夢彦さんが2007/05/22 22:28:52に詳細なコメントをなさっていますので、ご関心の向きはそちらをご覧いただければと存じます。
