「慙愧に堪えない」by安倍総理
松岡前農林水産大臣の自殺についてのコメントですが、それって自分の言動を反省して恥ずかしく思うこと
という意味なのですが・・・何について恥ずかしく思っているのでしょうか?
#残念という意味だと誤解しての誤用? もしそうだとすれば、おそらく総理がお嫌いであろう柳美里と同じ間違いをしたということになりますが。
一応、首相周辺の解説によれば、本来の意味を承知で用いたとのことですけれども・・・。
28日、首相は松岡氏の自殺について「残念だ。慚愧(ざんき)にたえない」と記者団に繰り返した。「任命責任の重さを改めて感じている。私は松岡大臣の任命権者。当然、責任を感じている」「有能な農水相だっただけに、政権への影響は大きい」とも語った。
慚愧の意味は「恥じいること」。首相周辺は「こういう結果に至ったことへの自らの責任を、この言葉に込めた」と解説する。
#朝日がこういう記事を書いたというのも、この言葉遣いに違和感があるということでしょう。





5月 29th, 2007 at 7:28:15
有名作家の方が違和感を表明されて始まったこの議論ですが、経営者が、社内で不祥事が起き、担当者が自殺してしまった時に、「担当者が責任を感じ、そのような事態に至らしめてしまって申し訳ない、外部からの批判からあなたを守りきれなかった、そんな非力な私を、本当に自分自身恥ずかしく思う、申し訳ない」という文脈で使うような気がします。
安倍総理の心境としては、一連のバッシング(批判)に松岡大臣が晒されなければ、このような事態になることはなく(なかったでしょう)、更迭するか否かの判断も含めて、もっと別のやり方をすれば松岡大臣があのような最期を迎えることはなかったのではないか、身内である松岡大臣を守りきれず、結果として自殺者を出してしまい申し訳ない、非力な自分を歯がゆく思う、という意味で、謝罪会見などではごく普通に用いられるような気がします。
なお、朝日が意味を書いているのは、おそらくこの議論の発端になった有名作家の方のブログを見た方がいたからだろうと思います。記者の中にも今はブログ界隈を見渡している人も結構いるようなので。
私はこちらを参照しました。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E6%85%9...
実際に、自らの非力を嘆くという文脈でこのような使われ方がされています。
「旧版については、一橋大学教授の山本和彦先生から身に余る書評をいただいたが(自由と正義55巻1号)、能力不足の故に、本書の出来が山本先生のご期待とはほど遠いものになっていることは慚愧に堪えない。」
http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/roppou/kenpou_houga...
テクスト論で盛んに言われることですが、人間の語彙に関する知識はその人が読んできたテクストから相当大きな影響、もっと言えばバイアスがあります。誰しも、客観的な現代の用語法に照らして意味を間違えていたという経験はあると思うのですが、この件に関しては、件の作家氏の個人的な感覚に過ぎないのではないかという気がします。
ここからは一般論ですが、作家の方は「言葉のプロ」などと形容されることがありますが、それは、例えば、医師が「医療のプロ」と呼ばれていることとは明らかに違う意味合いで使われており、自らの専門分野に引き寄せて見てみると、作家の方々の用語法というのはかなり適当であることがしばしばあります(典型が、「公共的なもの」=「公共財」など)。
作家の方とは言え、現代の厳密な用語法に関して訓練を受けている訳ではないので、ある学問分野における、その道のプロによる用語法の認識よりは、かなり客観性は落ちるのではないかという気がします。
以上、現代国語が専門ではないものの戯言でした(笑)
5月 29th, 2007 at 14:41:35
甚だ遺憾。
5月 29th, 2007 at 15:53:24
無理に推し量って解釈すれば多少違和感が減ずる気もしますが、ここは身も蓋もなく、人が一人死んでるのに恥じ入ってる場合かと普通に突っ込んでみたいところです。
5月 29th, 2007 at 22:19:12
特に問題ない使い方だと思うんですけどね。
詳細がわからない状況では、まず自分に責任があるかもと思って自殺の兆候を見抜けなかった自分を恥だと思って恥ずかしいという意味で慙愧に耐えないという表現を使う、日本風で違和感はないと思います。
別の表現があったかもしれませんが、ここで「首相のせいだ」と断言していきなり自分が責めたことによる原因を頭から否定している某野党の党首よりは誠実な表現だと見なせます。
5月 30th, 2007 at 0:10:07
でもそういう時って恥じるんですかね
悔いるとか、口惜しいとかいうのなら素直にわかるんですが
恥の感情なんですかね?
それと野党党首があれを責めるのは当たり前だと思います
首相の責任かどうかはともかく、野党党首に非があるとは思えませんね
5月 30th, 2007 at 1:02:05
身に覚えがないのに想定外の利益を得てしまったから、「慙愧に堪えない」のではないですか。
目先、選挙前に検察が動くことはなかったでしょうが、いずれにしても、これで、事件化する可能性はほぼなくなったわけです。
ホンネとしては、政権の足をひっぱる政治家には自発的に退いてもらったほうがよい。もちろん、志の共通する政治家の信頼を裏切らないということは、総理の美学でしょうし、見方の忠誠心を引き出すincentive deviceでもあります。だから、自分から罷免することはできない。
何らかの形で自発的に身を引いてくれれば政権にとって好都合。しかも、死者に鞭打たないというのは日本人の伝統的考え方でしょうし、今回の件で野党が確固たる利益を得たというわけでもありません。
弁明するより潔く腹を切ることを尊ぶ日本の政治風土では、予想された帰結かもしれません。
5月 30th, 2007 at 1:18:11
さて、具体的にこの発言にどのような違和感を感じるんですかね?
私にはどこもおかしいところはないように見えますが。
5月 30th, 2007 at 7:55:14
>象牙さん
その有名作家の話を存ぜぬまま書いたのですが、読売でも記事になっているようで、ひそかに広まっていたのですね(笑)。最初はもっと辛らつなことを考えていたのですが、ご指摘のようなものも含め、このような事態に立ち至ったことを恥じ入っているという趣旨だったとも考えられるなぁと思い、エントリのようにしました。でも、読売の記事を見る限り、誤用を開き直っているみたいです(笑)。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070528ia27.htm
>rijinさん
今後、このような事態の再発防止に全力を尽くす所存。
>ゲストさん
慙愧に堪えないという言葉を誤用したことは慙愧に堪えない、とでもコメントがあったらすばらしいのですが(笑)。
2回目も同じ方だという前提でそちらについても書きますと、任命したことを恥じるとか、そういう意味なら通りますが、そうではないんでしょうねぇ。
>うみゅさん
象牙さんへのお応えで書いたとおり、必ずしもおかしくない趣旨もあり得たと思いますが、読売報道を見る限り、やはり誤用だったのだなと思っています。
>adhocさん
現職大臣の自殺は阿南陸軍大臣以来2人目とのことなので、「予想された帰結」ではないような気もします。病気で辞職ぐらいは、(総理ご本人はともかく)誰かそうなればと思ったかもしれませんが。
>ゲストさん
おっしゃっている内容からして上のゲストさんとは別人ではないかと思いますが、読売の報道を見る限り、本来の意味とは異なる趣旨で使っていたように思われます。
5月 30th, 2007 at 9:36:13
> 今後、このような事態の再発防止に全力を尽くす所存。
そこは難しいですね。
国内年間3万人の自殺者はなかなか減りません。
5月 31st, 2007 at 7:17:15
>rijinさん
失業率の回復等からしても、今年ぐらいからは減ってくるのでは、という気がします。マジレスしますと。
5月 31st, 2007 at 10:04:47
> 失業率の回復等からしても、今年ぐらいからは減ってくるのでは、という気がします。マジレスしますと。
切実に期待します。
完全失業率が2%下がれば、自殺者数は半減する可能性すら指摘されていますから。
ただ、馘首、すなわち職場から放り出されることについての日本人男性の耐性は(すくなくともこれまで)極めて低く、再発防止はやっぱり難しい印象を受けます。
政治家も例外ではないような…。
6月 1st, 2007 at 5:44:34
>rijinさん
政治家は落選という失職の可能性があるわけで、それなりに耐性はあるのではないでしょうか。
6月 1st, 2007 at 10:52:58
トラックバックがうまく通らないようなのでコメントにて失礼いたします。私のブログで海外のメディアの取り扱いを集めています。おおよその見解は「誤用」としているようですね。
6月 2nd, 2007 at 14:32:34
>中村友一さん
興味深いエントリをお知らせいただきありがとうございました。
なお、trackbackについては、spamよけのためにリンクのないところからのものは受け付けない設定とさせていただいているためだと存じます。お手数となり恐縮です。
6月 4th, 2007 at 15:36:36
TBが通らないことはよく有るのであまり気にしておりません。わざわざありがとうございます。その後、同じ記事に追記しております。またご覧下さい。
6月 5th, 2007 at 6:24:31
>中村友一さん
ご教示いただきありがとうございました。