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  • 06/08/2007 (6:37 am)

    コムスンの事業譲渡に関して‐「?」

    Filed under: government, law ::

    クエスチョンマークは、「制裁」の語についてです。

     グッドウィル・グループ(GWG)が「コムスン」の全事業を同グループの連結子会社「日本シルバーサービス」(東京都目黒区)に譲渡して事業を継続すると発表したのを受け、和歌山県の仁坂吉伸知事は7日の定例記者会見で、「厚生労働省が認めるとしても、県では新しい子会社が更新を申請してきても認めない」と述べ、譲渡先会社の申請を受理しない考えを示した。

     仁坂知事は「法の制裁を逃れようと考える人間が、福祉事業に手を出しているのはおかしい」と述べた。

    読売「コムスン事業継続、新子会社の申請認めず…和歌山県知事」

    ネット上のリソースではwebmasterには見つけられなかったのですが、テレビを見る限り、柳沢厚生労働大臣も、「制裁」という言葉を用いていたように認識しています。で、更新停止等の行政処分を、「制裁」と認識してよいのでしょうか。

    第37条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

    2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。

    3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

    日本国憲法

    「制裁」の語の定義にもよりますが、それにもっとも当てはまるであろう刑事罰については、上記のとおり厳密な手続上の保障が憲法上定められています。同じく「罰」を冠して称せられる行政罰(過料など)についても、同様の趣旨から、非訟事件手続法に基づく手続等により、それなりに客観性の担保が図られているわけです。

    一般に、各種の行政行為としての不利益処分は、制裁を目的とするものではないとされています。たとえば食中毒を出した飲食店に営業停止を命じるのも、あくまで顧客の安全確保のために必要であるから正当化されるのであって、食中毒を出したことへの制裁として営業を停止させるわけではない、というのが概念上の整理です。なぜかといえば、上記の憲法上の人権保障との関係で、行政府が自らの裁量で制裁を行うのは問題ということになってしまうからです。

    さて、行政府の長が、不利益処分を制裁であると明言し、手続的な保障について何ら顧慮しないということには、問題はないのでしょうか。マスメディアの報道でこれを問題視したものは寡聞にして知りませんが、「憲法上の制約を逃れようと考える人間が、行政権の行使に手を出しているのはおかしい」んでないの?

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    18 Responses to “コムスンの事業譲渡に関して‐「?」”

    1. 学生さん Says:

      今回の記事でご指摘の点は、行政調査権限に関する
      「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」
      という文言のことですよね。
      吊るし上げではなく公共の福祉が目的ですみたいな。
      いやいや、憲法学会を指弾し大臣の無知を論う。
      不断の憲法「尊重」「擁護」の姿勢には感服します。
      護憲(広義)は進歩派の専売特許にあらず、と。
      自由な社会は公然の面従腹背を許容するんばば。
      国旗から目を背け国歌に耳を塞いでも、
      「全体」に「奉仕」することは可能であり、
      祝詞を唱えつつ「不平等」是正を目指すのも正しいと。

    2. 通行人 Says:

      マスゴミのルサンチマン煽り用の用語ですよね。

      雪印とかあのあたりから、企業の社会的責任とか、社会的制裁を加えるべきだという話になって、その手段として行政権限の発動を求めるみたいな形でになったのかなと。形式はどうあれ国民の「制裁を加えるべき」という意思に答えて指導をした場合は、国民側は制裁が行われた、あるいは鉄拳は下されたと考えて心の平衡を取り戻すのでしょう。

      ところで、社会的制裁というのは「下される」ものであって、誰かが加えるものではないですよね。ちょっとわからなくなってきたかも。

    3. Foch Says:

       行政処分やら行政指導のいってみれば「枠」について定めた行政手続法なんか、制定当時は「官僚の恣意的なやりたい放題を防ぐ夢の法律」であるかのように報じられたんですが、時代は変わるもんですねえ。

    4. webmaster Says:

      >学生さんさん
      同種の問題ではありますが、同じとまではいえない話となります。エントリでは行政処分に着目した議論をしておりますが、立入検査は行政処分ではありませんので。

      なお、エントリは、ご賢察のとおり、書き上げてからペイストしております。

      >通行人さん
      「こりゃ制裁しないと収まらないなぁ」と権限を持つ者が動いた場合、権限を持つ者が自ら主体的に「加えた」わけではないと観念すれば、「下された」ことになると理解可能なのでしょう。

      >Fochさん
      今般の行政処分においては、一応コムスン側の任意性を形式的には確保しているので、行政手続法違反にはならないでしょう。ただし、特攻隊への参加を志願させる、みたいな任意性ですがorz。

    5. 鍋象 Says:

      社会的制裁ってのは、村八分の類では?法的に手が出しづらいグレー事案に対して、マスコミ、市民団体などが中心となって嫌がらせ的に批判をして、企業であれば経営者の交代を促したり、取引先に取引を見合わせるよう促したりして孤立させる行為を、マスコミが自称していたのだと思います。

      wikipediaじゃあソースとしてあれですが、たとえば

      http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%8...

      みたいな。

    6. webmaster Says:

      >鍋象さん
      松本サリン事件やら所沢ダイオキシン報道やら、何度かそれでひどい結果をもたらしているのに懲りないもんですねぇ、マスメディアは。

    7. 鍋象 Says:

      >>bewaadさん
      抜かずの宝刀なんて言っていましたが、マスメディアには罰則があんまり無いですから、モラルハザードを起こしてしまっているんですよね。TBSの件でも社長の発言見ていて、そりゃあんまりだろうと思うわけで。

      以前の議論でもあったと思うのですが、結局見てもらえないニュースは存在価値が無い→見てもらうためには、多少やりすぎてもOKというロジックになっています。社会的制裁は三権分立みたいな濫用を抑止する仕掛けが無い点で、ドロドロした原始的な制裁に他ならないのですが、それをマスコミの果たさねばならない機能だと自画自賛するのを見てうんざりしています。

      そういうメディアに対して迎合してしまう視聴者側の自己責任だという議論もあるのですが、マスメディアは流行を作り出す力がとても強く、自己フィードバック的に視聴者を獲得していってしまいますので、どこかできちんとした議論をしてどこまでだったら行使してよいのかと、濫用に対する罰則を決めておく必要があるのかなぁと思ったりします。

    8. webmaster Says:

      >鍋象さん
      かといって、総務省が厳しく監督します、なんてやり方が望ましくないのは自明ですから、せめて業界内相互監視ぐらいはきちんとしてほしいわけですが・・・。

    9. koge Says:

      まあ、もうマスメディアはどうしようもないでしょうね。ネットという競争相手の登場で少しはナントカなるかと期待しましたが、かえって視聴者の最大化を目指して過激さで競うようになってしまいましたから。
      もうこうなると、逆に他国のマスメディアではなぜもう少し節度が守られているのか、あるいは日本が進んでいるだけで他国でも障害が取り除かれたら日本のようになってしまうのかを研究したほうがよさそうな…

    10. webmaster Says:

      >kogeさん
      樺島ほか「メディアと政治」に依拠すれば、少なくともアメリカでは日本に先立ってそのような動きが見られているとのことです。
      http://bewaad.com/2007/05/06/103/

    11. 鍋象 Says:

      >>bewaadさん
      それでは番組審議員の制度を見直したらどうでしょう。
      各民放が自分たちで勝手に人選して名誉を与え、勝手に会議開いてシャンシャンしているだけで、何の統治にもなっていないようですから。

    12. webmaster Says:

      >鍋象さん
      彼/女らに自らそうするインセンティヴは少なく、公的介入によってそうさせることが(言論の自由等との関係上)なかなか難しいとなると、実現の方策が思いつきません。

    13. 鍋象 Says:

      あ、もう一つありました。
      デジタル化でチャンネル増やせるようになりましたので、参入を容易にしてあげて、情報流通路を増やし、一つのチャンネルのマス度合いを下げてしまうのです。
      参入がほぼ自由になったら、公共性を求める必要もなくなりますので、後に残るのは私的利用だけ。すなわち言論の自由だけで、何でもあり。そこまで行ったら見る側がある程度考えるようになるのかなと。

    14. koge Says:

      >鍋象さん
      既に自由競争であるネットの(日本での)現状を考えるとそれも期待できないと思います。というか、競争は平均値を上げるには効果あるかもしれませんが、安かろう悪かろうも残ってしまうんで下限を上げるにはあまり向かないんじゃないですか?
      というか、自分だってそれを求める読者・視聴者のほうに入りますし、人間一度得た快楽は捨てられない(ラチェット効果?)ですから…

    15. 鍋象 Says:

      下限を上げる必要ってありますか?
      ちゃんとチャンネルが確保されていれば良いと思いますし、チャンネル増えたら広告効率落ちますので、メディアの収入面でも影響すると思います。個々人の趣味領域への特化が進むと思います。

      ところで、デジタル多チャンネルってペイテレビ番組ありますか?この辺良くわかっていないorz

    16. webmaster Says:

      >鍋象さん、kogeさん
      それなりに参入の自由が確保されているアメリカの状況を見ると、それほどには楽観的にはなれないかな、というのが直感的な感想です。FOXグループって、ノリは2ちゃんねるのコピペな書き込みですよね(笑)。競争から相対的には離れているNHKの報道が、むしろ一般的傾向としては良質であることもまた逆の傍証となるでしょう。結局、競争によって視聴者にやさしい報道=それを理解する物語をも提供してくれる報道が普及していくわけで、自動車で言えば、マニアがマニュアルを是としてもオートマにカーナビ付がどんどん売れるような方向に動いていくものと思います。

    17. 通行人 Says:

      >>bewaadさん
      僕は別に「これが正しい答え」というのを一つ決めてそれだけを報道すべきなんて思っていません。
      チラシの裏も結構です。極右も極左も東スポも何でもOK。チャンネルが増えればマスを狙うチャンネルの他にニッチを狙うチャンネルも出てきます。そのニッチのチャンネルが存在しているという事実が大事だと思います。少数派の意見でも一応意見として認知してもらえる事が大事かなと。

      自動車で言えば、軽自動車もステーションワゴンもセダンもスポーツカーもあり、未だにどこかでロータススーパー7もどきの製造が続いていたり、クラッシクカーライクな車があったり、フェラーリがあったりという事で。

    18. webmaster Says:

      >通行人さん
      誰も正しい答えを報道しろといっているひとはいないと思うのですが(笑)、ドミナントなものが形成された後でのニッチの存在による言論の自由市場での競争状態は、メジャーであっても複数の競合相手がある状態に比べてどうか、ということかと思います。

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