「年金を受け取れる権利」は当然存在します
磯崎哲也さんの「「年金を受け取れる権利」なんて、もともと存在しない」は、この手の問題について磯崎さんへのネット上での信用度は高いだけに、とっても困ってしまいます(現に、はてなブックマークも多数集まっています)。というのも、完全に間違っているのですから。というわけで、このエントリをご覧いただきましたら、訂正いただければ幸いです。
#このエントリは、磯崎さん向けということで、一般向けのわかりやすさを二の次にして書きます。わけわかんねーよ、といったご不満もあろうかと存じますが、趣旨をお汲み取りいただきますようお願い申し上げます。
磯崎さんのご主張の概要
磯崎さんのご主張が端的に表れているのは、次の部分でしょう。
以前も書きましたが、法的な説明としては「年金2008年問題」の著者の玉木伸介氏がおっしゃっていた、
年金をいくら受け取れるかは「法律」で決まっている。「法律」で決まっているということは、国会で過半数の承認が得られれば、いくらでも変更が可能だ、ということだ。
年金は、国に対する国民の「債権」であると思っている人が多いが、債務者である国側の都合で金額が勝手に変えられてしまうものが「債権」であるはずがない。
という説明が非常にわかりやすかったです。
「「年金を受け取れる権利」なんて、もともと存在しない」(@isologue6/8付)
こうしたご認識の下、
(略)「高齢者に年金を払わないといけないから、若いヤツは金出せ」という制度、あるいは「過去に掛金を払わなかった人は年金あげないよ」という制度ではあるが、「掛金を払った人には必ず将来年金を差し上げます」という制度ではないわけですね。
(↑この微妙な違いを、じっくりお楽しみください。)
「「年金を受け取れる権利」なんて、もともと存在しない」(@isologue6/8付)
とおっしゃっているわけです。
反論のポイント
2点からなります。
「掛金を払った人には必ず将来年金を差し上げます」という制度ではないのでは?
法律を見れば明らかなように、25年という期間の縛りはありますが、「掛金を払った人には必ず将来年金を差し上げます」という制度になっています。
(支給要件)
第26条 老齢基礎年金は、保険料納付済期間又は保険料免除期間(第90条の3第1項の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものを除く。)を有する者が65歳に達したときに、その者に支給する。ただし、その者の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年に満たないときは、この限りでない。
国民年金法
(受給権者)
第42条 老齢厚生年金は、被保険者期間を有する者が、次の各号のいずれにも該当するに至つたときに、その者に支給する。
一 65歳以上であること。
二 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上であること。
厚生年金保険法
そんなこと言っても、法律改正してしまえば支払わなくていいのだから、「必ず」ではないのでは?
私契約での債権(たとえば物を売った際の代金の受取り)であっても、民法の改正がなされ支払わなくてよいという可能性はゼロではないのですから、「必ず」支払われるものとはいえません。つまり、法改正すれば何でもありだからという理屈であれば、この世に権利はないということになります‐そのようなものとして権利を定義するならば、確かに年金受給権は現状債権と認められている他のすべてと同様、権利ではありませんが。
しかし、そのような何でもありの法改正は行われないだろうと、通常は信頼が存在します。法的には、憲法第29条の財産権保護規定が根拠となり、当然金銭給付を求める債権もまた財産権に含まれますから、いわゆる徳政令のような形で国が勝手に債権を無効化するようなことはないと考えられるわけです。で、それは年金受給権も例外ではないのです。
以後、マニアックな話が延々続きます(引用も多いです)ので、興味のない方は素通りしてください。
#乱暴に言えば、「年金は預金ではない」なんて内容であれば何の問題もなかったのですが。
