続・観光庁設置要求と「スクラップ玉」
打てば響くようにbranchさんに取り上げていただき、感謝の極みでございます(笑)。
(略)ただ、
観光重視路線が引用記事のとおりに海外からの観光客の呼び込みもその射程に収めているなら、観光庁長官がスクラップ玉となる国際担当国土交通審議官の職務を実質的に継承する、といったあたりが無難な落としどころなのかもしれません
という点については疑義があります。
というのも、確かに国際業務の中で観光関係が占める割合は小さくないものがあるとは思われますが、国土交通省における国際関係組織についてに記されているとおり、
「交通分野における環境、セキュリティ等の新しい課題への対応、EPA/FTAを通じた自由貿易推進のための取組み」「社会資本の整備に関連した国際関係事務に関する基本的な政策の企画及び立案、及び、外国人研修生の受入れ、対外取引または海外事業活動に関係する国際経済に関する事項」といった幅広い事務があるところ、観光と親和性の高い旧運輸省関係でも航空関係、海洋関係(これは海洋庁構想なんてのもありますが(笑))、港湾関係などにおいて観光との関わりがきわめて薄い事務があり、まして旧建設省関係ではどう考えても無関係な事務ばかり。また、外局の長が内部部局の国際業務をも担当するというのは、行政組織としてどのような整理にするのか、あまり筋のよくなさそうな話のように思われます。他方、現在国交省においては、観光に関する事務を担当する局長級審議官として総合観光政策審議官が既に存在します。おそらくは観光庁設置にともなって廃止することとなるものと思われるところ、これを財源にして総括審議官(国際担当)を置く、というのが、座りがよさそう。ついでに、官房審議官(国際担当)は観光庁の次長なり部長なりの財源にする、といったところでしょうか。勝手な想像ですが、自分が組織要求の担当とか行管の中の人だったらこういう方向で調整するだろうなぁ、と思いますた。
筋がいいのはもちろんbranchさんの案なのですが、困ったことがあるとすれば、外交礼譲は日本の役所の繁文縟礼とは比較にならないほど融通が利かない(笑)、ということ。よく外交交渉のニュースにおいて、「次官級会合」とか「局長級会合」といった言葉が流れていますが、つまりはこちらが次官級を出さないと、相手は絶対に次官級を出してきません。branchさんの案では、国土交通省案件では次官級会合ができない、ということになってしまうわけです。
といっても実態として必要とあらば、たとえば外務省に頭を下げて(笑)外務審議官を名目上のヘッドとして出してもらって実質は関係者同士で仕切るとか、次官級会合でやりあうべきところを局長級会合と大臣会合に振り分けるとか、対応が考えられないわけではありません。そう腹をくくって総括審議官(国際担当)で我慢する、というのは確かに一案ではあります。
しかしまあ何かと不便であろう、というのはwebmasterの主観的観測。二国間ならまだ上記のような対応もやりやすいですが、たとえば今後、WTOあたりで公共事業に関する政府調達について次官級会合で調整、というようなことが生じた場合を考えると、基本的に外交は顔の繋がりがモノを言う世界ですから、部外者の外務省の人間が入っていってもすわりが悪いですし、かといって国際的に顔の売れていない事務次官や国土交通審議官が出て行ってもお客さんになってしまいます(言葉の問題については通訳を使うにせよ)。他方で既述のとおり、日本の特殊事情を察して日本だけは局長級でお願いします、といっても相手にしてもらえません。となれば、やっぱり次官級の国際担当者は必要ではないかと。
branchさんの「外局の長が内部部局の国際業務をも担当するというのは、行政組織としてどのような整理にするのか、あまり筋のよくなさそうな話」との問題提起については、これで総務省と握れるかどうかはわかりませんが、形式的には国土交通審議官ポストを3つ残し、その国際担当は必ず観光庁長官と兼職にする(ので実質的に純増なし)、というのも選択肢足り得るのではないかと思うわけです。内部部局の国際業務は、併任される国土交通審議官(国際担当)として所掌する、ということで。





6月 28th, 2007 at 12:48:54
農水省のように大臣官房国際部ってのを作って国際関係の課をあてこむのもアリかと。
部長ポストをどこから拾ってくるかは役所的には最重要課題になりますが・・・
6月 28th, 2007 at 14:33:14
国内系の国土交通審議官を一つ減らすんじゃないですかね。次官を出していない方から一人出して、もう一人は国際担当、と。
あるいは、国土交通審議官はそのままにして(結構上がつまっているから)、今ある観光審議官に統括官か課長を足して差し出して長官に振替え、というのはありでしょうか?
課が多すぎると思うし。
6月 29th, 2007 at 5:23:54
>皆様
前エントリのななしさんのコメント、及びqh-nuさんのtrackbackで既にこのエントリは時代遅れ(笑)なわけですけれども。
>のんきゃりさん
内部部局の仕切りは、おそらくはどうにでもなる話で、このエントリでの問題意識は、次官級ポストをどうするかという点です。お示しの農林水産省にしても、農林水産審議官=国際担当次官、なわけで。
>aquamarineさん
国土交通審議官の国内モノは、良し悪しはさておき旧建設と旧運輸のバランス上重要な位置を占めているので、おっしゃるような形でのセットは難しいのでは、と思います。
局長級審議官+課長ではダメでしょうけれど、局長級審議官+政策統括官(局長級)で外局長官のスクラップ玉にできるかは、総務省の相場次第ということでよくわかりません(前例はあるとは思いますが)。それが可能であるなら、有力候補だろうと思います。
6月 29th, 2007 at 13:31:59
観光庁長官ポストはともかく、さいきんの観光業界のばっこぶりは目をみはります。
たくさんの大学で、「観光学部」花盛り=スクラップ玉なしの純増ですし、地方団体も、地域連携、定住≠交流人口拡大、なんて部局をつくってますし。観光カリスマなんて、運輸+自治連合軍かしらと思います。農水ものってくるでしょうねえ。
このあたり(霞ヶ関物語ではなく、為念)、観光業の経済学的な論考を期待してます。上だけ書いていただいて、下は後日でもいいです。
6月 29th, 2007 at 18:19:55
観光は、経済論ではなく、元総理の方針じゃないでしょうか。そんなもん、為替で変わるものなのに。
6月 30th, 2007 at 16:17:38
>通りすがりさん
観光には、あまり興味が湧かないのです。というのも、地域への資源配分削減を正当化するための甘味料として用いられているようにしか思えないからです。マスを相手にするならば、交通の便とブランドヴァリューとその時々の流行り廃りでほとんど勝負が決まってしまうものでしょうし。
>鍋象さん
既述のとおり、同感です。