武田邦彦先生の信頼性
以下の論争(お互いの意見の応酬はないので、たまたま重なった、というのが正確な表現ではあります)が話題のようですが。
「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」は読んでいませんし、そもそも環境問題はwebmasterにとってそれほどなじみのある話でもないのですが、他方、多少はなじみのある分野についても、武田先生はご健筆を揮われています。
書店で立ち読みをしてみたのですが、到底買う気にはなれませんでした。というのも、なぜ国債を買ってはいけないとお考えなのか、そのロジックというものが、仮に国債を100万円買ったとして、
- 国債購入代金を100万円支払い、
- 利払い財源として5万円納税し、
- 国債償還財源として100万円納税し、
- 国営の赤字事業の損失補填財源として100万円納税し、
- 赤字事業民営化に当たっての株式購入代金を100万円支払う、
ため計405万円を国に支払う一方で、国債を買った見返りに受け取るものが国債の償還金100万円に5.の株式の資産価値100万円の計200万円なので、差し引き205万円損をするから、というものなのです。
一対一の貸借関係で考えればおかしさがわかるなんて書いていますが、その例で言えば「赤字事業」への補填分100万円は国民=国債購入者に結局は支払われるのだから損はしないでしょう等々ツッコミどころはいろいろあるわけですが、最大のものは、利払い財源を5万円払ったのになんで利子5万円は受け取れないの? というもの。経済がどうのとか財政がこうのとかといった話とはまったく無関係な内的整合性の問題です。
まあケアレスミスではありましょうが、この程度の推敲もせずに書を世に問うてしまう武田先生、専門分野ではもちろんその知識・経験が活かされているのでしょうけれども、どこまでその書かれた内容を信じてよいものか、疑義を呈せざるを得ないでしょう。少なくともこの本で代金1,575円を読者からせしめることに比べれば、国債を買ってくださいという政府の方が良心的ではないでしょうか(笑)。
#最大の問題は、こうした内容の「国債は買ってはいけない!」が東洋経済新報社から出版されていることであるような気も。石橋湛山が泉下で浮かばれないでしょうに、これじゃあ。





7月 4th, 2007 at 16:34:05
私も国債本は立ち読みして理解できず、俺もまだ勉強が足りん、と思いましたが、ああやんぬるかな、そういうことでしたか。
タイトルの「先生」がなんとも強烈ですね(笑)。
7月 4th, 2007 at 19:58:44
出る側はほとんど国債買わなくても払わされるもののような…
7月 5th, 2007 at 4:44:16
他人が買わなかった国債を、自分が買うと、利払いの5万円分だけお得なような。というか、それが税制がフラットになったときに相対的に高所得者が有利になるという所得格差ネタだったような。
もうそろそろ極論から脱して欲しいなぁ。そもそも政府の執行する予算の100%が無駄な支出というわけではないでしょう。全部無駄みたいな説を無批判に受け入れちゃうから、大事な社会保障などがカットされて自分の身に降りかかって来るんじゃないかと。
支出の内容の吟味は重要で、必要であるなら事業としては赤字のものを税金投入してでも供給するから政府の支出となるわけで。
僕らの意図と違う政策が実施されているなら、民意を反映した予算チェックをサボっている政治家さんを選挙でちゃんと排除してこなかった自分たちの責任にまで思考が至らないと、問題解決にはつながらないと思う。
無知を決め込んで政府・行政を疑うだけだったら、ただでいくらでも被害者を装うことが可能ですからね。いちばんずるいやり方です。こういうやり方を広めた連中という意味で、旧左派政党とその周辺の連中(いわゆるプロ市民系)は嫌いだし、総理大臣の立場でそれをやって自民党と経済をぶっ壊した某総理も大嫌い。
7月 5th, 2007 at 6:17:03
>一国民さん
大学教授や教師などに言及するに当たっては、当サイトでは一律に「先生」という呼称を用いております(黒木さんのように、ご本人がそれを望まないことが明らかな場合は除きます)ので、他意はありません。
>いんくりめんたるさん
買わなかった場合との比較もあるようですが、そこまで読み進める気力が(笑)。
>鍋象さん
そんな鍋象さんに大沼本を(笑)。
7月 8th, 2007 at 13:29:46
拙著にご興味を持っていただいて、ありがとうございます。
環境関係の情報については多くの方が知りたいと思っておられます。メールアドレスをご連絡しますので、コンタクトしていただければと存じます。公開で情報を確認したいと思います。
7月 8th, 2007 at 19:41:25
米国債は買ってはいけない
7月 8th, 2007 at 20:55:27
もしかしてご本人ですか?
ご本人が降臨されたのであれば、本を買って読まないと。
環境問題は商売柄結構影響がありまして、たくさんの嘘に迷惑しつつ、もしかしたら流されちゃった方が利益になるかもと悩んでいたりします。業界的にも下手にしゃべって火の粉が降りかかると、社会的制裁(村八分攻撃)を受けてしまいますので、口をつぐんだり、わかっていて迎合して評判を取りに行ったりというのが実情です。
そのうち弊害が出てくるから、それからでしょうね。
環境ホルモンネタなんてひどかったもんなぁ。
最近だと塩ビ(ダイオキシンネタ)と、マイバッグ運動か。
7月 8th, 2007 at 21:14:00
武田邦彦で投稿したのは本人です。私が本を出したのは「環境の情報を正しく知ってもらいたい」という希望があったからで利害はありません。このホームぺーイを書かれた人のご意見について苦情を言うつもりはまったくありません。意見はそれぞれ違ってよいのですが、少なくとも私が言っている事実は正確に示してほしいと希望したものですから。環境は国民全体の問題ですし、多くの人が素朴な気持ちで協力しています。ビジネスもあると思いますが、環境はあまりそういうものを持ち込まないほうがよいと考えています。もし、議論ができればと思っています。
7月 9th, 2007 at 6:50:16
>武田先生
わざわざのお申し出、ありがとうございます。先ほどメイルさせていただきました。
>PKさん
ユーロ諸国債ならいいんでしょうか?
>鍋象さん
先日のエントリで触れた、環境のためには貿易をやめて自国産(さらには近隣産)にしようとの運動も、まだマイノリティのようではありますが、マジョリティになった場合の悪影響の大きさを考えると怖いなぁと思います。
7月 9th, 2007 at 18:48:24
>>武田先生
環境問題は極めて専門的な知識が必要な問題です。多くの方が「素朴な気持ち」で参加しているのは良く存じ上げていますが、素朴な気持ちで頓珍漢な事を推進している面があるのも事実です。
まずは事実解明を優先させて、「行動に示したがる」素朴な人たちを抑える事が必要なのではないかなぁと思う事があります。「私たちはプロではないから」「環境に悪影響があっても、みなが環境に興味を持つ事が大事」という、自己正当化の言葉を何度聞いた事か。そして、プロではない人たちの興味関心で選んでしまうから、似非科学ネタを扱うインチキ会社に騙されたりするわけです。
一番気になるのは、「僕たちは善意でやっているのだから、間違えた事をしても僕たちは悪くない」と、彼らが真剣に思っているということです。
事実解明と方向付けが決定したら、後はビジネスとして成立するようにちょっとだけ政府が経済に介入すれば、後は自然に解決していくのではないかと思います。そういう意味で、ビジネスの関与は否定すべきでは無いと思います。
現状は、明らかに逆効果だと思われる事が社会的に推奨されており、ビジネスでそれを悪用している人たちがいる事が問題です。
環境・健康は嘘が多すぎです。
7月 10th, 2007 at 0:08:23
>鍋象さん
武田先生も、おっしゃるような問題意識は共有されているものと理解しています(武田本は、その内容がどうかは大いに議論がなされることが望ましいと思いますが、狙いは鍋象さんのおっしゃるような現状を憂いてのものでしょう)。
7月 10th, 2007 at 6:12:25
bewaad様
武田先生ご本人の書き込みに感動し、関連記事を掲載させていただきました。リンク先をご覧ください。また拝読させていただきたいと存じます。
7月 10th, 2007 at 9:00:49
>環境・健康は嘘が多すぎです。
その言葉そのものにはまったく同感だが。
ペットボトルなら使用禁止にするとか、環境対策の根本的な対応こそまずなされるべきで、使っておいてそれをどう処理するかとか、木っ端学者の小銭稼ぎネタに矮小化されること自体が「嘘」なのだよ。
『「行動に示したがる」素朴な人たち』をそもそも煩わせなければいいんだろ?w
7月 10th, 2007 at 9:47:25
先ほど、リンク先の記事末尾にも追記したのですが、ポイントはやはり、判断に必要と思われる膨大な量の基本情報が入手困難という点だと考えます。
>木っ端学者の小銭稼ぎネタ
これがどこまで真実かあえて触れませんが(笑)、環境問題のデータのあいまいさに着目して(つけこん?)で小銭稼ぎに成功した武田先生をねたむ方向に議論を進めても、後発者には無益ではないかと思います。
bewaad様
勝手にコメント欄をお借りしてすみません。お邪魔でしたら適当にさばいてください。
7月 10th, 2007 at 23:03:40
著書読ませていただきました。
事実認識においては、ほぼ納得です。言いたくて言えなかった事の多く(2ちゃんねるでは匿名で書いていたけど)が指摘されていました。
ただ、僕が気になったのは、マスコミと官僚と企業を批判しているのに、素朴な町の活動家の方たちを全く批判していない点です。
マスコミの記者はそういった活動家の人たちからネタを得ていますし、地方自治体においては苦情窓口の人たちがごみ問題を訴える活動家の人たちに辟易し、また市長・議員が「これは票になる」と思って実際の政策に取り入れています。そして、企業はそれが商売になるからという理由で受動的に行動しています。産廃関係はアングラな部分があり、武田先生が暗に示しているような陰謀論ネタがあるのかも知れません。実際、容器包装リサイクル協会は全然実態が見えません。しかし、これらのリアクションの発端は環境問題をネタに活動している活動家の人たちの存在だと僕は思います。
あと、彼らの活動において教祖様になってお布施を集めている人がいることにも問題を感じます。講演ではベジタリアンを自称しながら、楽屋では「うな丼食いたい」とのたまうような教祖がいるのが現実です。
「リサイクルに反対」という意見も、そういう人たちから上がってきた声ではありませんか?10年ほど前にも活動家の方から聞きましたが、結局のところ「人が生きているからいけないんだ」というところにしかたどり着かない極論を述べる方ばかりでした。
7月 11th, 2007 at 4:38:57
>中村友一さん
昨日(7/10)のエントリは、リンクいただいたエントリの観点からもご注目いただけるのではないでしょうか。
>すがりさん
ペットボトルの使用禁止は、象徴的意味を持ちはしても(つまりは悪用される可能性も大いにあるでしょう)、エネルギ消費にペットボトルが占める比率を考えれば根本的対応とは言いがたいように思うのですが、いかがでしょう。
>鍋象さん
>結局のところ「人が生きているからいけないんだ」というところにしかたどり着かない極論を述べる方ばかりでした。
そういう人々が、まずは自分からと自殺したり、では原因を除去すべきと大量殺人に走ったり、そのような事例が頻発しないのはなぜなんでしょうかねぇ(笑)。
7月 11th, 2007 at 8:47:50
bewaad様
ありがとうございました。7/10の記事についてはそちらへコメントしました。この7/4の記事はそもそも「財務」の話だったのに、いつの間にか話が大きくなっていますね。武田先生の「お金」の話はその「入り口の思想」が分かりやすくて納得しやすいと思います。武田先生のホームページに掲載されているエッセーを読んでみると興味深い話がたくさんあります。悪意はないと思いますが、あまりに単純化しているために不正確な表現になったのではないかな。環境問題についてはかなりいい線を突いていると考えますが、お金の話は専門外なので限界があるのでしょう。
7月 11th, 2007 at 22:07:45
えぇ、仰る通りです。ペットボトルそのものは環境対策としては瑣末な問題だと言えばその通りです。ですが、ペットボトルリサイクルシステムの欠陥に対して、件のタイトルのように、環境問題そのものが嘘であるかの如き印象を与え(本人にその意図があろうが否だろうが、この本や著者出演番組の感想でそう主張しているblog等は多々ある)、瑣末な問題を大問題に祭り上げているのは武田教授の方ですが。また、
>「行動に示したがる」素朴な人たちを抑える
とまで主張してたので、それがそこまで重要だと考えるのであれば、いっそ禁止にすると言うのは、『素朴な人たち』を抑えたいと思われる方にとっても(問題が消失するのだから)精神的にも非常に喜ばしい事であり、(反環境系懐疑主義者でないならば)根本的問題の対応へ主題を速やかに移行できていずれにせよ良い事づくめでは?。
ペットボトル禁止による環境負荷軽減の実効性と利便性阻害では後者の負担が大きいと主張するのであれば、科学的知見で人因CO2排出による温暖化が、ほぼ確定的になった以上、炭素税の導入といった優先度の高い必要な行動へのコンセンサスを阻害するような、環境問題そのものが嘘だという歪曲された論理への扇動や、枝葉末節な議論への誘導はますます避けるべきでは?
7月 11th, 2007 at 22:18:35
あと、あんまり人間に都合の良いように悠長にやってると、
>そういう人々が、まずは自分からと自殺したり、では原因を除去すべきと大量殺人に走ったり、そのような事例が頻発しないのはなぜなんでしょうかねぇ(笑)。
の後者がそのうち日常の光景になる可能性も笑えなくなるのでは?
http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2007/07/po...
>人類だけは発展し続けるという観点の、非常に虫の良いやり方だし、そこに根本的に無理があるのではないだろうか。
そのうち、これに適った振舞いをする人もでてくると思うよ?合理的に考えれば、自分ならMAX1だけど他人ならそれ以上狙えるしね。
7月 12th, 2007 at 0:31:47
まあ、この本は扇動的すぎるのは確かだよね。環境問題推進の人も扇動的すぎるという点では元祖なんだよね。やってる事はそっくりです。
で、本を読んで、僕は武田先生って環境問題を解決しなければならないと考えている方だと理解しました。決して反環境問題派ではないはず。逆効果に対して批判はしていますが、それはすなわち効果的な対策を行うべきだという主張に保かなりませんので。
僕が感じている違和感は、市民活動家の無謬性を暗黙に前提としていて、彼らの活動上の仮想敵である政府・企業・マスコミといった資本家の手先を叩くために、環境問題の解決策としてこれまで市民も含めた社会全体で作ってきたものをこき下ろしているように読めてしまう点。環境問題に趣旨があるのではなく、反政府・反資本家に趣旨があるような。
そう考えると、大変合目的的に書かれた書籍であるなと言うのが、正直な読後感です。
7月 12th, 2007 at 7:21:53
>中村友一さん
お金の話についても、別エントリを昨日立ててしまいました(笑)。
>すがりさん
とりあえずおっしゃるとおりだとすると、「殉教者」を作るような形になるのはまずいんだろうなぁと思います。何らかの難じるべき見解があったとして、それをどのように取り扱うかというのは、なかなか難しいのでしょう。理念的には、議論を通じて見解間の優劣が定まるということを望むべきなのでしょうけれども、あまりに非現実的ですし・・・。
>鍋象さん
未読なので賛否は示し難いのですが、「国債は買ってはいけない」(の一部)を読んだ限りでは、そういう傾向にあるのかな、というようには思います。