法令において如何に金利を定めるべきか。
#実際の公開日は19日なのですが、18日中に公開できなかった理由がサーバダウンであり、webmasterの主観としては毎日の更新を続けられていたはずのになぁと悔しく思われてならないので(笑)、18日付で公開いたします。
法務省は民法で定める法定利率を、現行の年5%から引き下げる方針を固めた。
低金利時代を踏まえ、市中金利との乖離(かいり)を是正するのが狙い。引き下げ幅や変動型か固定型かなどについて検討を進め、早ければ2009年の通常国会で法改正したい考えだ。
法定利率は、民法404条で、「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年5分とする」と規定され、金銭貸借などの契約で、利息をつけることになっているのに、具体的な利率が決まっていない場合に適用している。損害賠償金など法律上発生した債権に加算される遅延損害金、不正利得を悪意で得た受益者がその利得を返還する場合につける利息にも適用される。
企業間の特許侵害など巨額の損害賠償を求める民事裁判では、金利差が大きいため、賠償金を早く手にするより、法定利率を適用した遅延損害金を受け取る方が有利なため、権利者側が意図的に交渉を長引かせる弊害も出ている。
死亡交通事故の被害者が生涯で得られたはずの逸失利益を算出する際に、決定額は法定利率で運用されたと仮定し、その利息分を支払い時に差し引いている。
(略)
適用利率が低ければ、遺族が受け取る賠償金は多くなるため、識者や遺族の間には「低金利時代なのに年5%もの高利運用の見通しは立たず、被害者に厳しすぎる。現状との乖離を見直すため、法定利率の見直しが必要だ」の声がある。
読売「現行5%の法定利率、引き下げへ…逸失利益算出などに影響」
遺族はさておき「識者」とやらは、では高金利時代(たとえばオイルショック時)には法定利率の引上げが必要だとしたのかどうかという疑問はありますが(笑)、方向自体はあるべきものですし、できれば固定ではなく変動にすべきであることは、理屈としては明らかです。しかし、具体的にどうするのかということを考えると、実はなかなか悩ましい問題です。
一口に「利率」といっても、期間によって差があるのは預金金利をごらんいただければおわかりいただけるでしょうし、よってたとえば同じ5年満期100万円1%といっても、満期一括か元金均等か元利均等かで実行利率は変わってきます。政府においてこのあたりを一番きちんと整理して決めているのは、webmasterの知る限り財投の貸付金利なのですが、法務省にそこまで期待するのもなぁ、とは正直なところ。まして変動させるとするなら、変動のタイミングによってはそれこそ交通事故の賠償金が変わってきますから、なんで一日違いで○十万円も違うのだとか、そのような苦情の存在も容易に想像可能です。
最終的には一定のルールを定め、ルールなのだから一日違いだろうと何だろうとあきらめろとするしかないのでしょうけれど、具体的に何をどう定めるのかを検討する中で、結局はイールドカーヴすら描かないひとつの利率を定めるというあたりで落ち着きそうだなぁとは、webmasterの勝手な予測です。それでも変動になるだけマシ(もしそうなれば、ですが)と考えるべきなのかもしれません。国債のスポットレイトを基準にキャッシュフローのパターンに即して決める、というのがもっとも合理的なのでしょうけれども、それでは混乱を招く副作用の方が理論的に妥当な金利を適用する便益をはるかに上回る、というのが現実なのではないでしょうか。
